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ジョジョの奇妙なバトルロワイアル第7部
- 1 :参加するカモさん:2007/04/22(日) 14:21:04 ID:KqdXCJnZ
- このスレはジョジョの奇妙な冒険のキャラクターを使ったバトロワをしようという企画です。
仮まとめWiki
http://www26.atwiki.jp/bizarre/
まとめサイト
http://aukusoe.cho-chin.com/rowa/
したらば
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/8085/
- 2 :参加するカモさん:2007/04/22(日) 14:22:24 ID:KqdXCJnZ
- 【第一部:ファントムブラッド】《4/7》
●ジョナサン・ジョースター/●ロバート・E・O・スピードワゴン/○ウィル・A・ツェペリ/
○ダイアー/○ジョージ・ジョースター1世/●黒騎士ブラフォード/○タルカス
【第二部:戦闘潮流】《4/7》
●ジョセフ・ジョースター/○シーザー・アントニオ・ツェペリ/○シュトロハイム/
○リサリサ(エリザベス・ジョースター)/●ストレイツォ/○ワムウ/●カーズ
【第三部:スターダスト・クルセイダーズ】《8/10》
○空条承太郎/○モハメド・アヴドゥル/○花京院典明/○J・P・ポルナレフ/○イギー/
○ホル・ホース/○ミドラー/ ●ペット・ショップ/●ヴァニラ・アイス/○DIO
【第四部:ダイヤモンドは砕けない】《6/9》
○東方仗助/○広瀬康一/●虹村億康/○岸辺露伴/●山岸由花子/
○墳上祐也/○ヌ・ミキタカゾ・ンシ/○虹村形兆/●吉良吉影
【第五部:黄金の風】《4/9》
●ジョルノ・ジョバーナ/○ブローノ・ブチャラティ/○ナランチャ・ギルガ/●トリッシュ・ウナ/
●プロシュート/●ギアッチョ/●リゾット・ネェロ/○セッコ/○ディアボロ
【第六部:ストーンオーシャン】《8/9》
○空条徐倫/○エルメェス・コステロ/○ウェザー・リポート/○F・F/○ナルシソ・アナスイ/
○エンリコ・プッチ神父/○ジョンガリ・A/●スポーツ・マックス/○リキエル
【残り34人】
- 3 :参加するカモさん:2007/04/22(日) 14:23:07 ID:KqdXCJnZ
- 以下の主張はナンセンス。
人気キャラが弱いキャラに殺されるのが嫌
投票を得たキャラが無下に殺されるのが嫌
能力、支給品に差がありすぎるのは平等ではない
【基本ルール】
全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
勝者のみ元の世界に帰ることができる。
ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
開催場所は、荒木のスタンドで作られた異次元世界であり、外に逃れることは不可能である。
開催場所は、杜王町。
MAPはこちら
ttp://www26.atwiki.jp/bizarre/pages/4.html
- 4 :参加するカモさん:2007/04/22(日) 14:24:19 ID:KqdXCJnZ
- 【首輪と禁止エリア】
プレイヤーは全員、荒木のスタンドで作られた首輪を取り付けられている。
首輪の爆弾が発動すると、そのプレイヤーは死ぬ。(例外はない。爆発後にC・ダイヤモンドで治す等は不可能)
この首輪はプレイヤーの生死を常に判断し、荒木にプレイヤーの生死と現在位置のデータを送っている。
また、プレイヤーには説明されないが、実は盗聴機能があり音声・会話は荒木に筒抜けである。
首輪が爆発するのは、以下の条件の時である。
荒木が放送で指定した禁止エリア内に、プレイヤーが入ったとき。(首輪が自動で爆発)
首輪を無理やり取り外そうとしたとき。(〃)
24時間で、一人も死者が出なかったとき。(全員の首輪が一斉に自動で爆発)
プレイヤーが、荒木に不利益な行動をとろうとしたとき(荒木本人がスイッチを押すことで、手動の爆発が可能)
【放送】
放送は6時間ごとに行われる。
放送内容は「禁止エリアの場所と指定される時間」「過去6時間に死んだキャラ名」「残りの人数」
禁止エリアは一度の放送で3区画ずつ(2時間ごとに1区画ずつ)増えていく。
【主催者】
荒木飛呂彦。使用するスタンドは『バトル・ロワイヤル』。
破壊力B 持続力無限大 スピードC 精密動作性C 射程距離無限大 成長性D 空間変化系
能力…指定した空間内を外界から孤立させる。脱出するには発動時に定められた条件をクリアするかスタンドを解除させるしかない。
- 5 :参加するカモさん:2007/04/22(日) 14:25:13 ID:KqdXCJnZ
- 【参加者】
参加者は、上記の通りこれ以上の増員は絶対に認められません。
参加者の容姿、記憶、能力は、そのキャラクターを最初に書いた人に委ねられます。
(例:東方仗助・4部終了後 ジョルノ・ジョバーナ:ブチャラティに会う前)
そのキャラクターを最初に書く人はいつから来たのか明言を、
続けて書く人は前の話をよく読み時間軸の矛盾が起こらないように注意してください。
ただしそのキャラクターが選出された部内での時間軸にしてください。
よって3部代表の承太郎は4部バージョンや6部バージョンで出ることは認められません。
また、「作中で死亡したキャラクターが生き返った」は無しです。
あくまで死亡する前の時間軸から連れてきただけになります。
よってキャラクターは誰に殺されたなどの記憶はありません。
【能力制限】
スタンドは、スタンド使い以外でも視認可能。ただし、接触・破壊はできない。
柱の男は、頭を潰されれば死ぬ。
肉の芽、GER、バイツァダスト、メイド・イン・ヘブンは使用不可能。
カーズの究極生命体化も不可。
- 6 :参加するカモさん:2007/04/22(日) 14:25:54 ID:KqdXCJnZ
- 【支給品】
プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給される。
「食料(パン数個)」「飲料水」「懐中電灯」「開催場所の地図」
「鉛筆と紙」「方位磁石」「時計」 「デイパック」「名簿」「ランダムアイテム」
以上の9品。
【ランダムアイテムについて】
「ランダムアイテム」は『ジョジョ作中に登場するアイテム』『日用品』『現実の武器』等から選択。
猫草、ココ・ジャンボなどのスタンド能力を持つ支給品を登場させてもOK。
ただしアヌビス神はキャラを乗っ取ってしまうという性質上不可。
連載中のため今回参加を断念したSBRも支給品のみなら可。
『参加者に能力を付与してしまう可能性』のあるアイテム、
つまり石仮面・弓と矢・聖人の遺体などは不可。
- 7 :参加するカモさん:2007/04/22(日) 14:26:53 ID:KqdXCJnZ
- 【予約(仮)】
キャラ被りを防ぐため、自分の書きたいキャラクターを予約することができます。
例 【予約】:空条承太郎、DIO
期間:予約当日から三日間。予約期間後は、他の人が予約または投下してもOKです。
予約しなくても投下することはできますが、
その際は他に予約している人がいないか十分に確認してから投下しましょう。
【一週間予約】
@期間→1週間。その後は他の人が投下してもOK(一言断って貰えると助かる)。
A権利→本編で2作以上採用されている作者のみ。新人はまず2回採用を目指そう。
B途中報告→2〜3日目に1回と、5〜6日目にもう1回。
C間に合わなかったときのペナルティ→次回だけ予約の期限が3日以内に。
*間に合わなくても、投下しても構わない。その代わり、なるべくお早めに。
*その際も、途中報告をちゃんとする。
【トリップ 】
投下後、作品に対しての議論や修正要求等が起こる場合があります。
書き手は必ずトリップをつけてください。
【投下宣言】
投稿段階で被るのを防ぐため、
投稿する前には必ず議論スレで 「投下します」 と宣言をして下さい。
いったんリロードし、誰かと被っていないか確認することも忘れずに。
- 8 :参加するカモさん:2007/04/22(日) 14:27:34 ID:KqdXCJnZ
- 【キャラクターの参加時間軸】
このロワでは登場キャラクターがいつの時点から召集されたかは
「そのキャラクターを最初に書いた人」にゆだねられます。
最初に書く人は必ず時間軸をステータスにて明言してください。ステータスについては下記。
【ステータス】
投下の最後にその話しに登場したキャラクターの状態・持ち物・行動指針などを表す
ステータスを書いてください。
テンプレはこちら。
【地名・○○日目 時間(深夜・早朝・昼間など)】
【キャラクター名】
[スタンド]:『名前』
[時間軸]:ここはキャラの登場時間軸。できるだけわかりやすく
[状態]:(ダメージの具合・動揺、激怒等精神的なこともここ)
[装備]:(武器・あるいは防具として扱えるものはここ)
[道具]:(ランタンやパソコン、治療道具・食料といった武器ではないが便利なものはここ)
[思考・状況](ゲームを脱出・ゲームに乗る・○○を殺す・○○を探す・○○と合流など。
複数可、書くときは優先順位の高い順に)
【作中での時間表記】
深夜:0〜2 黎明:2〜4
早朝:4〜6 朝:6〜8
午前:8〜10 昼:10〜12
日中:12〜14 午後:14〜16
夕方:16〜18 夜:18〜20
夜中:20〜22 真夜中:22〜24
- 9 :参加するカモさん:2007/04/22(日) 14:38:45 ID:uG3OP4Dn
- >>1
シルバー・チャリ乙
- 10 :参加するカモさん:2007/04/22(日) 21:20:40 ID:0ibGLkwC
- >>1君の勇気ある行動に敬意を称するっ!!
- 11 : ◆yxYaCUyrzc :2007/04/22(日) 21:57:05 ID:QVsCFyUc
- >>1乙です
- 12 :参加するカモさん:2007/04/22(日) 23:25:56 ID:N7ltJJbM
- >>1
乙(オツ)!乙(オツ)!乙(オツ)!
- 13 :参加するカモさん:2007/04/23(月) 13:26:09 ID:HGPiLCcv
- >>1
乙だッ!
- 14 :参加するカモさん:2007/04/23(月) 18:13:32 ID:7DZ3qAcR
- >>1に乙したいのですが構いませんねッ!
- 15 :参加するカモさん:2007/04/23(月) 18:34:24 ID:Z3wJjBXN
- >>1いいや!限界だッ!
乙ねッ!
- 16 :参加するカモさん:2007/04/23(月) 20:09:24 ID:HU9pAe/F
- >>1
乙です
- 17 :参加するカモさん:2007/04/23(月) 20:13:48 ID:SuhR0mXI
- >>1
大した乙だ…
- 18 :参加するカモさん:2007/04/23(月) 22:09:50 ID:ECEY91Vi
- 流れぶったぎるが、避難所したらばに荒木の設定が投下されたぜ。
オレは◆C9UOxHGVmM氏の案に賛成イピョ。悪くないと思うんだが。
- 19 :参加するカモさん:2007/04/26(木) 23:00:28 ID:3mJuDHz9
- 避難所で議論されてるな。
- 20 : ◆fk8qEzlLPk :2007/04/28(土) 16:24:40 ID:W9NC8Ims
- 【DIO】予約します。
- 21 :参加するカモさん:2007/04/28(土) 17:40:29 ID:6glmzCl8
- >>20
違う人かも知れんがレス1回だけの避難所に投下したようなのはやめてくれよ
書くならもう少し詳しくお願いする
- 22 :参加するカモさん:2007/04/28(土) 18:25:45 ID:jFE4If/y
- ブチャと形兆、予約します。
もしかしたら、今日中にかけるかもしれませんけど
- 23 :参加するカモさん:2007/04/28(土) 18:45:36 ID:i9aRhjoc
- >>22
トリ忘れてるぞ
- 24 : ◆Vtooc8R.KE :2007/04/28(土) 18:58:30 ID:jFE4If/y
- >>23
っと、自分でもうっかりしとりました。
もうしわけないです
- 25 : ◆Vtooc8R.KE :2007/04/28(土) 22:58:12 ID:jFE4If/y
- ブチャ形、投下します
- 26 :発覚する疑惑 ◆Vtooc8R.KE :2007/04/28(土) 22:59:33 ID:jFE4If/y
- 「……なあ、ブチャラティ。
俺達が追いかけているあの化け物どもの事なんだが……はっきり聞くぜ。
お前、勝算はあるのかよ?」
血痕について調べる為、橋へと足を運ぶ最中。
俺は、昨日から疑問に思っていたある問題をブチャラティへと尋ねた。
このまま血痕を調査していけば、ミキタカと……そして、あの化け物どもと遭遇するのは自明の理。
その時……俺達は、奴等に勝てるのだろうか。
正直に言わせてもらえば、俺達二人の力は奴等に比べて大幅に劣る。
そもそも、奴等は人間ではない―――元は親父同様、人間だったのかもしれないが―――存在だ。
戦闘において最も重要な要素である身体能力が、根本から俺達とは違う。
昨日の戦いからも、そのポテンシャルの凄まじさは垣間見る事が出来たが……基礎の時点で劣っているのだ。
幾らなんでも、ハンデが大きすぎる……さっきの男程、楽に倒せる相手じゃない。
何の考えも無しに戦いを挑んでは、敗北するのは確実だろう。
- 27 :発覚する疑惑 ◆Vtooc8R.KE :2007/04/28(土) 23:00:11 ID:jFE4If/y
- 「勝算か……はっきりと『ある』とは断言できない。
だが、一応幾つか策は考えている……奴等の弱点が分かっている以上、それを使わない手は無いからな。」
「弱点……日の光か。」
この答えは、ある程度予想できていた。
相手の弱点が分かりきっているのに、そこを攻めない奴が何処にいるって話だからな。
だが……その弱点を突くというのが、やはり一番の難関だ。
奴等が最も警戒しているのは、何より日の光だ……そう簡単には、日光を浴びてくれないだろう。
よほど意表を突く奇襲でなければ、ダメージを与えるのは無理だ。
ブチャラティは一体、どんな策を考えているんだ?
こいつがこの問題点に、気付いていない筈がない……それを踏まえた上で、策を立てているに違いない。
一体どんな手段で、奴等を葬るつもりなのか……興味がある。
「どんな策なのか、聞かせてもらえるか?」
「そうだな……このまま何事も無ければ、最低でも俺とお前の二人で奴等と対峙することになる。
誰かが盗み聞きをしているわけでもあるまいし、お前には伝えておかなきゃな。
伝え損ねていたのが原因で失敗したら、元も子も……!?」
いざ、己の策を伝えようとした、その瞬間だった。
ブチャラティは口元に手をあて、愕然とした表情をした。
そんな彼を、形兆は不思議そうにして見る。
ここで、ブチャラティは気付いたのだ。
自分達が犯していた……最大のミスに。
- 28 :発覚する疑惑 ◆Vtooc8R.KE :2007/04/28(土) 23:01:09 ID:jFE4If/y
- 「ブチャラティ……?」
「……考えてみると、この作戦は口で説明するのは難しいな。
形兆、歩きながらで少し面倒かもしれないが、メモを出してもらえないか?
図を交えて説明したいんだ。」
「ああ、それは構わないが……」
ブチャラティは形兆にメモを取るよう促すと、自分もメモを用意した。
図を交えながら説明する必要があるとは、一体どんな事を考えているのか。
形兆は、素早くペンを走らせるブチャラティの答えを、期待して待った。
そして、数秒後……ブチャラティは伝えるべき事を書き終えると、メモを形兆に渡した。
その瞬間……形兆の表情が、凍りついた。
ブチャラティから返ってきたのは、化け物打倒の作戦などではなかった。
自分達が見落としていた……最大の難敵についてであった。
(俺達の会話が……盗聴されている……!?)
ブチャラティから渡されていたメモに書かれていたのは、たった一文だけ。
『首輪を通して、荒木が盗聴している可能性がある』
という、危険な事実を示す物であった。
何故ブチャラティが、この事に気づく事が出来たか……形兆には、すぐに理解できた。
先程の彼の発言に、答えがあったからだ。
- 29 :発覚する疑惑 ◆Vtooc8R.KE :2007/04/28(土) 23:02:48 ID:jFE4If/y
- (『誰かが盗み聞きをしているわけでもあるまいし』……そうだ。
考えてみれば、これは当然の事だ……どうして、気付けなかったんだ……!!)
(……どうやら、最初から俺達は踊らされていたらしいな。)
二人はカモフラージュの為の会話を交わしながら、筆談で話を進める。
荒木は、自分達をこの殺し合いへと参加させたが……単なる定期放送だけで、彼の役目が終わる筈が無い。
ゲームの主催者である以上……参加者の監視を行うのは、必然である。
ならば……首輪による盗聴が行われているのは、確定的。
そして、この確定的な事実が二人に齎したのは……最大級の精神的ダメージであった。
自分達が首輪の解除に関して話していた事は、全てお見通しだったのだ。
ぬか喜びしている人間を、絶望のどん底に叩き落す。
奇しくも、自分達の予想が当たってしまった。
こんな、最悪の形で……
- 30 :発覚する疑惑 ◆Vtooc8R.KE :2007/04/28(土) 23:03:42 ID:jFE4If/y
- (……だが、御蔭で収穫もあった。)
(何だって……?)
(考えてみろ……あれだけどうどうと脱出の意志を見せておいて、奴は何故俺達を野放しにしている?
ましてや俺は、スタンドで首輪の中身を見れると断言しているんだぞ……?)
(あ……!!)
ブチャラティが見つけた、理不尽な点。
それは……自分が、まだ生きているという事である。
首輪の構造を知る事が出来るブチャラティは、どう考えてもゲームにおいて邪魔者でしかない。
最も首輪の解除に近い位置に立っている人物であるといっても、過言ではない。
なら……何故、自分を殺さない?
折角のゲームを破壊する可能性がある自分を、何故生かしておく?
- 31 :参加するカモさん:2007/04/28(土) 23:03:54 ID:uMjz6+sm
- しえん
- 32 :発覚する疑惑 ◆Vtooc8R.KE :2007/04/28(土) 23:05:40 ID:jFE4If/y
- (……俺が生きていられる理由は、大きく分けて二つの可能性がある。
まず、一つ目は……構造を知ったところで、解除は絶対に不可能だって可能性だ。
例えばこいつの中身が、専門職顔負けの複雑な回路だった場合……解除は極めて困難になる。
もしも参加者の中に、専門的な技術を持った者が一人もいなかったら。
そうでなくても、もしも首輪の解除に特殊な器具が必要だったりしたら……)
(……どうしようもないな。
その時点で、俺達はお手上げになる訳か……二つ目は?)
(……二つ目の可能性は、一つ目よりも更に性質が悪い。
そもそもこの首輪は、中を見れない。
ジッパーなり何なりで中身を覗こうとしたら、その瞬間に爆発する仕組みになっている可能性だ。
正直に言うと、俺はこれが一番ありえると思っている。
この首輪は『無理矢理外そうとすれば爆発する』と、最初から公言されてるんだからな。
ほんの僅かでも手を加えれば、それを解除と見なされる可能性があるとしたら……)
(……厄介なことになったと考えるべきだろうな、これは。)
(そうかもな……)
悪魔で可能性の話で、確定したわけではない。
だが……荒木が自分達を見逃している以上、この二つの可能性はどちらも十分にありえる。
もしもこの可能性に気付かないままに首輪の解除に挑戦していたら、確実に死んでいただろう。
このゲームにおける、最大の敵……首輪。
その解除は、どうやら想像以上に困難な道のりのようである。
- 33 :発覚する疑惑 ◆Vtooc8R.KE :2007/04/28(土) 23:06:31 ID:jFE4If/y
- 【ギャングと軍人と宇宙人 (ただし現在、宇宙人行方不明)】
【道端(H-6とH-5との丁度境目)/一日目/昼】
【虹村形兆】
[スタンド]:『バッド・カンパニー』
[時間軸]:仗助と康一が初めて虹村兄弟と遭遇する直前。そのため父親を殺すことしか考えていない。
[状態]:全身裂傷。バッド・カンパニーの狙撃隊の一部が呼び出せない
[装備]:特になし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]:
1)盗聴されている事に気付き、精神的ダメージを受けている
2)首輪の解除をダシに使える可能性が薄まった為、少し焦り気味
3)ブチャラティに協力し、ワムウ達を倒す
4)『ゲーム』に乗っていない参加者と相対したら、『脱出』という言葉を仄めかして、仲間に誘う
5)億泰を……どうする?
6)参加者の中にチラリと見た東方仗助に警戒感
7)『ゲーム』に乗った参加者を淘汰した後、ブチャラティの首輪調査が失敗した瞬間を狙って、周囲の人間を奇襲、殺害する
(万が一首輪調査→解除のコンボが成功した場合、或いはブチャラティが途中で死亡した場合の身の振り方は未定)
- 34 :発覚する疑惑 ◆Vtooc8R.KE :2007/04/28(土) 23:07:03 ID:jFE4If/y
- 【ブローノ・ブチャラティ】
[スタンド]:スティッキィ・フィンガーズ
[時間軸]:サンジョルジョの教会のエレベーターに乗り込んだ直後
[状態]:右腕の袖がズタズタに切り裂かれているが、本人はかすり傷程度。全身打撲は引き気味
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2 、フォーク、ペット・ショップの『首輪』
[思考]:
1)盗聴されている事に気付き、精神的ダメージを受けている
2)ワムウたちが仲間を襲う前に、日光も利用して彼らを倒す。二人に捕われているミキタカも、救出する。
そのために橋の血痕を調べに行く。
3)機会があれば仲間と合流する(トリッシュがスタンドを使える事に気付いていない)
4)なるべく多くの人を救う
5)アラキの打倒
6)『ゲーム』に乗った参加者を淘汰する。
首輪の内部構造の調査に関しては、危険度が高い為保留する。
- 35 : ◆Vtooc8R.KE :2007/04/28(土) 23:08:25 ID:jFE4If/y
- 以上、投下完了しました。
ブチャラティと形兆にも、盗聴の可能性に気付かせておきました
- 36 :参加するカモさん:2007/04/28(土) 23:08:52 ID:nMtQVWE2
- 乙!
- 37 :参加するカモさん:2007/04/28(土) 23:10:19 ID:5f10fT16
- 乙です
- 38 :参加するカモさん:2007/04/28(土) 23:11:49 ID:uMjz6+sm
- >>35
GJ!
形兆ブチャは本格的に脱出派ポジションになってきたな。
このまま放送に行きそうだし、ジョルノ達の死を知ったらますますショック受けるエグイ展開に……。
おら、なんだかワクワ(ry
- 39 :参加するカモさん:2007/04/28(土) 23:26:05 ID:6glmzCl8
- おっつー
- 40 :参加するカモさん:2007/04/29(日) 03:45:25 ID:208JmeqD
- おぉぉぉ!なんか燃える展開になってきたぁ!
GJです!
- 41 : ◆yxYaCUyrzc :2007/04/29(日) 06:28:58 ID:5lBl3r1H
- 乙!そしてGJ!です
最後の「あくまで」が「悪魔で」になってる誤字以外はかなりいい文章でしたよ!
そろそろ放送ですがまだ荒木以外のキャラで引っ張るべきでしょうか・・・?
予約とかはまだ考えていないですが
- 42 :参加するカモさん:2007/04/29(日) 12:23:08 ID:b9Dfw1Q+
- 現在状況まとめ
『早朝〜朝』
【H-3】<橋の入り口>空条徐倫/ミドラー[55話/1日目早朝〜朝]
『朝』
【C-8】<吉良吉影の家>DIO[59話/1日目朝]
【D-4】<岸辺露伴の家から南東へ進行中>シュトロハイム[64話/1日目朝]
<岸辺露伴の家の前>ツェペリ[64話/1日目朝]
<岸辺露伴の家から南へ進行中>リサリサ[64話/1日目朝]
【E-3】<杜王駅駅前広場>アナスイ[61話/1日目朝]
『午前』
【D-4】<線路沿いの道より東に進行中>噴上裕也[67話/1日目午前(八時過ぎ)]
【E-3】<杜王駅東入り口前>空条承太郎[70話/1日目午前]
<杜王駅内部>ワムウ/タルカス/ヌ・ミキタカゾ・ンシ[70話/1日目午前]
【F-5】<廃ビル近隣>ダイアー[73話/1日目午前]
【G-6】<道路より南東に進行中>アヴドゥル[73話/1日目午前]
【I-5】<杜王町南、川沿いの道>ディアボロ[74話/1日目午前(10時前後)]
【J-6】<杜王町南、川沿いの道>シーザー[74話/1日目午前(10時前後)]
『午前〜昼』
【E-4】<駅前広場入り口付近> 広瀬康一/イギー/岸部露伴[71話/1日目午前〜昼]
<駅前広場入り口付近を南下> エンリコ・プッチ/リキエル[71話/1日目午前〜昼]
『昼』
【D-3】<D-2とD-3の境目付近の湖のほとり>ポルナレフ[72話/1日目昼(11〜12時)]
【E-7】<杜王グランドホテル>ジョージ/花京院典明/ホル・ホース/ナランチャ/F・F/ジョンガリ・A[66話/1日目朝]
【F-3】<杜王駅近くの民家>エルメェス/東方仗助/セッコ/ウェザー・リポート[78話/1日目昼(11時50分)]
【H-6とH-5との丁度境目】<道端>虹村形兆虹村形兆/ブチャラティ[79話/1日目昼]
- 43 :参加するカモさん:2007/04/29(日) 12:43:34 ID:b9Dfw1Q+
- 『昼』、『午前〜昼』まで進んだ参加者と、
昼(10時)に突入しつつあるシーザー、ディアボロはギリギリ放送に突入しても多分おk。
残ってるのはこんだけ。
空条徐倫/ミドラー←時間軸は最も過去。近くに誰もいない。
シュトロハイム←矢の形をした首輪探知機持ってる。でも南東には誰もいない。
ツェペリ ←露伴の家からどこに進んだかわからない
リサリサ←進行方向で考えると近いのは康一?
アナスイ←駅からどこにいったかわからない。承太郎達と遭遇していない。
噴上裕也←近くにいるのはポルナレフかツェペリ? 時間を的にどっちにも遭遇しにくい。
ダイアー←時間が午前。駅に向かってる。
アヴドゥル←ブチャ達とボスが一番近いが、アブが午前なので遭遇は時間的に厳しい。
DIO←予約ありだけど移動できない
空条承太郎←駅から移動したのかしていないのかわからない。
ワムウ/タルカス/ヌ・ミキタカゾ・ンシ←駅から移動できない。駅の入り口は封鎖されてる。
- 44 :参加するカモさん:2007/04/29(日) 12:51:02 ID:b9Dfw1Q+
- もちろん放送直前なのはウェザー組(10分前)とジョースター組(30分前)だけだから
他の昼の参加者が上の参加者とからんでもOKだけどね
- 45 :参加するカモさん:2007/04/29(日) 15:42:13 ID:XsuJyRka
- wktk
- 46 :参加するカモさん:2007/04/30(月) 12:48:21 ID:3TjoMpwt
- 防御無視系減ってきてるなあ
残ってるのはブチャくらいか
もしギアッチョ生き残ってたりハンサム顔が降臨したりしたら優勝かっさらっちまいそうなくらいだなw
- 47 :参加するカモさん:2007/04/30(月) 19:21:47 ID:AlvI8om8
- >>◆Vtooc8R.KEさん、お疲れさまです。
主催者打倒の難しさを実感しますね。
>>42>>43も、お疲れさまです。
チープ・トリックの制限に関して、以下のように決定しました。
「宿主に認識された場合、能力を説明しなくてはならない」
(宿主が背中を見せずに死んだ場合は、チープも消滅する)
というわけで、今後の活躍にご期待くださいますように。
- 48 :飢エタ野犬ノ慟哭 ◇fk8qEzlLPk(代行):2007/04/30(月) 20:51:54 ID:j8wtmf0A
- したらばの臨時投下スレに規制のため投稿できない方がいらっしゃるので代行させて頂きます
タイトル:飢エタ野犬ノ慟哭
トリップ:◆fk8qEzlLPk
- 49 :飢エタ野犬ノ慟哭 ◇fk8qEzlLPk(代行):2007/04/30(月) 20:52:30 ID:j8wtmf0A
- ガチャン! バリバリ! ガチャンガチャン!
飛び交う雑貨が襖や食器棚を散乱させる。時刻は午前八時を指していた。
オレは所構わず家の中をザ・ワールドに引っ掻き回させていた。
いくら漁っても、出てくるのは平凡な家庭にありがちな日用品ばかり。
武器に使用できそうなものは何も見つからない。
最初に見つけた包丁、ナイフ合わせてほんの数本。ここの家屋には携帯銃すら備えていない。
無用心にもほどがある。住人は一体どういった神経をしているのか。
この町はそれほど治安がある、ヌルい地域なのだろうか。
てっきり殺し合いを容易に進めるために用意された場所だと考えていた。
オレは勘違いしていたのか……?
このDIOが、地図を広げる。
今自分のいるエリア【C-8】は、この紙面でいうと端だ。
私はこの町の都市部にはまだ行ったことがない。
この町の人口密度がどれほどかは知らないが、ざっと百人はくだらないはずだ。
隙あらばこの家に近づく人間からエネルギーを補給したかったが……。
ここで出会った人物は、『柱の男』カーズと『ヌケサク』のナランチャ……未だ二人だ。
まさか……町にはこの名簿に乗っている『参加者』という輩しか、いないのではあるまいな?
それは非常にまずい。このまま夜になるまでここで行動を制限されるのは、我慢がならん。
それにもしもここが、禁止エリアにされてしまおうものなら……
「クソッ! 忌々しい首輪だッ!」
首輪に手をかけ、オレは悪態をつく。
あの『ヌケサク』ナランチャはもうここには戻ってこない。
命令通りに動く人間は命令をこなすことに精一杯で、こちらの状況まで気がまわるほど有能ではない。
「気が向いたから、ちょっと主人の顔色を伺おうかな」なんて発想は浮かばないだろう。
実際ヤツはそれほど有能ではないからな。どの道殺すつもりの人間なのだから、これ以上期待をするのは止めるか。
だがこのままでは…………DIOが、このDIOが禁止エリアによる爆死などという、不名誉な烙印を押されてしまう。
さて、どうするか。
- 50 :飢エタ野犬ノ慟哭 ◇fk8qEzlLPk(代行):2007/04/30(月) 20:53:11 ID:j8wtmf0A
- ※ ※ ※
時計が刻々と針を動かす。長針は12、短針は10をそれぞれさしている。
やはり何も思い浮かばなかった。
この状況を槍のように突き破る、革新的な何かが。
土を掘って地下を進むこともできるだろう。
家具を工作して日除けを作り、脱出することも可能だろう。
だが、そうでは無いのだ。
それでは納得がいかなかった。
「この『ディオ・ブランドー』はッ! 『帝王』なのだッ! 」
策を弄すれば弄するほど物事には限界があるもの。
自分はその限界と決別を図るために人間をやめた。
今更あえてこの道を選ぶほど、このDIOは落ちぶれていないッ!
……日光に弱いのは代償として受け止めているつもりだ。
だが、もう時間がない……万が一放送でここが、禁止エリアに選ばれてしまえば、我が生命はここで絶たれる。
吸血鬼が首を刎ねただけで死ぬことはないはずだが、荒木がそれを知らぬはずがない。
何らかの手段を用いてオレを始末できるのだろう。
その為にこの首輪が私の首に……付けられたに違いない。
思えば目覚めた時から既に、荒木との絶対な優劣を、オレはつけさられていたのだ。
ヤツが真っ向から挑んでいれば、こんな首輪を装着させる暇など与えさせないというのにッ!
このDIOがァァァ……この、DIOがァァァ……。
もはや……これまでなのかッ!?
閉じこめられたこの陸の孤島で、オレがこの状況で全ての者から『勝利』をもぎ取る可能性はッ……!
- 51 :飢エタ野犬ノ慟哭 ◇fk8qEzlLPk(代行):2007/04/30(月) 20:53:44 ID:j8wtmf0A
- カチ、コチ、カチ、コチ、カチ、コチ、カチ、コチ……
私は椅子に座り、手を組み、足を組む。
見据える置時計の時刻は、午前11時55分。上出来だ。
今まで気にするのも忘れていたが、体の傷は大分癒えており、気がつけば心肺に流れる血脈も正常になっていた。
いい。ノロマな亀の足のごとく、着実に我が肉体は本来の力を取り戻しているようだ。
この6時間実に暇を持て余していたが、ついに半分まで「時」が来た。
あと6時間、あと6時間待てば私の時間がやってくる。
この指で肉を抉り、この掌で肉を潰し、この手で肉を引き裂き、この牙で肉を食い破る――吸血鬼の本能を生かす時が。
この口で罵倒し、この足で屈服させ、この靴を舐めさせてジョースター共に屈辱を与える――勝者となる時が。
さあ荒木、放送を流せ。ファンファーレのようにフーフー鳴らせ。
その下卑た声で、運命について講釈を垂れるがいい。
そして死者の報告をDIOに、このDIOに知らせるのだ
オレはここから逃げも隠れもしない。もう、あれこれと詮索するのは止めだ。
認めよう。あえて認めてやろう。
「この状況で、『脱出』という『勝利』は不可能だということをッ!」
聞こえたか荒木?
それがこの6時間で、オレが出した答えだ。
このDIOとしたことが、一時といえど、禁止エリアなどというふざけた事象に怯えたのは腹立たしかった。
だが、今は違う。
- 52 :飢エタ野犬ノ慟哭 ◇fk8qEzlLPk(代行):2007/04/30(月) 20:54:21 ID:j8wtmf0A
- オレは帝王だ。
ここを禁止エリアに出来るものならやってみろ。
オレの死を聞いて調子にのったジョースター共が、貴様を殺しにゆくぞ?
オレの部下が、復讐のために立ち上がるぞ?
奴らの因縁を掌握し、断ち切れるのは後にも先にもこの私だけだ。
このオレを、現時点で殺して生じるメリットなど、歯カスにも満たないことはよくわかっているはずだ。
大人しく此処以外の場所を禁止エリアに指定するがいい。
もし、貴様がここを禁止エリアにしたのなら……そこに残るのは貴様の『敗北』だ。
このDIOの存在が生み出した恐怖に、貴様はひれ伏したことになるのだ。
わざわざこのDIOは、貴様のレールに『乗っている』のだよ。
まぁ……首輪をいつまでも付けたままにするつもりは、微塵もないがな。
『勝利』と『敗北』は、あくまでこの『時点』での段階の話だ。
貴様のような、好奇心でしか運命を語れない論者など、我が感情をかけるまでもない。
貴様のような、首輪をつけさせることでしか犬を屈服させれない飼い主など、他愛もない。
貴様のような、自分の領域でしか力を発揮できない安っぽい帝王など、下水に住むボスネズミ以下の存在でしかない。
『帝王』は他人への『支配』にしか興味を持たない。
だが、真の『帝王』は他者への『恐怖』を決して持たない。
負け惜しみかどうかは、貴様が判断することではない。
このDIO、自分の定めた『勝利』さえ得られれば――――それで満足よ。
- 53 :飢エタ野犬ノ慟哭 ◇fk8qEzlLPk(代行):2007/04/30(月) 20:55:04 ID:j8wtmf0A
- 【吉良吉影の家(C-08)/1日目/昼】
【DIO 】
[スタンド]:『ザ・ワールド』
[時間軸]:ポルナレフ達対ヴァニラ・アイスの直前
[状態]:ほぼ完全回復
[装備]:包丁、ナイフ合わせて5本
[道具]:支給品一式(ただしランダムアイテムは無し)
[思考・状況]
1:放送を待つ。夜までは『大人しく』ここにいる。
2:ナランチャを利用する。第三放送から第四放送までの間に杜王グランドホテルに行き、プッチ達と合流するつもり。
3:もしナランチャがプッチ達と共にホテルにきた時、ザ・ワールドで暗殺する
4:優勝してアラキを始末したい。
5:そのためには帝王の誇りを傷つける首輪の解除は必須ッ!
6:ワムウ(柱の男の肉体が欲しい)、ジョースター家の連中、首輪解除に役立つ者を探す。
- 54 :旋頭歌 ◆6zsldeDOfM :2007/04/30(月) 21:08:32 ID:CwJ/K5x4
- うお!fk8qEzlLPkさん、代行さん乙です。
自分との文章の違いを思い知らされるなぁ・・・
ただ、DIOの一人称が俺、私と交じっているようですが。
- 55 :参加するカモさん:2007/04/30(月) 23:25:08 ID:2ldRUaXF
- 乙ッ!!いわずにわいられない
- 56 : ◆Vtooc8R.KE :2007/05/01(火) 00:12:21 ID:mBxis0eD
- 乙です。
流石はDIO、帝王の貫禄を思い知らされたというか……
>>54 6zsldeDOfMさん
DIOの一人称っすけど、これは問題ないような気がします。
こいつ、原作でも『私』と『俺』と、二つ使ってたような気がするし……
- 57 :参加するカモさん:2007/05/01(火) 01:08:29 ID:LFgqVATn
- 平常時は『私』、テンションがあがると『俺』ってかんじっすかね。
- 58 : ◆yxYaCUyrzc :2007/05/01(火) 08:13:12 ID:nnc+51Lf
- 乙です!
一人称は個人的な意見を言わせてもらえれば混じってることに問題は無いと思います。
でもこの感じだとしたらば、移転先を考えるスレの26氏は暗黙の内に破棄なんでしょうかね?
仮にも書いてくださった方ですしどうするかの検討も必要かと。
もしここで話すことでなければ書き手相談スレですかね?
- 59 : ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 22:50:42 ID:6IVBusnZ
- >>1
>>◆Vtooc8R.KEさん
>>48
>>◆fk8qEzlLPkさん
皆さん乙です。
此処へ来るのが遅れた為、レス遅くなってしまいました。
で、いきなりですが予約無しに投下します。
繋ぎなので短い話ですが、
一挙2話です。
- 60 :頂点に立つ者として ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 22:52:40 ID:6IVBusnZ
- 暫く川沿いに西へ進めていた歩みを止め、俺は近くの木陰に身を潜めた。
どうやらこの辺りには誰も居ないらしい。
少なくとも今俺の居るエリア、H-4には。
俺は適当な木陰に身を潜め、此れから先のことを考える事にした。
取り敢えずの所、火急の目的は果たした。
俺にとって唯一の脅威であるトリッシュは此の世から消え去ったのだ。
此れから先は、焦る事無くゆっくり吟味すれば良い。
そうだ。慌てる事は無いのだ。
先ず、目下の目的。
俺の存在を知る者の始末。
ブチャラティ、ナランチャ、ジョルノ、ポルナレフ、リゾットを殺さなくてはならない。
問題はセッコをどうするかだが、率先して捜すまでも無いだろう。
奴はチョコラータが居なければ戦力としての存在意義が激減する。
そして何よりの問題は、此の状況で奴に命令を下すには、
奴に姿を現さなくてはならないと云う事だ。
此のリスクを以ってして、奴に会う道理は無い。
腐っても奴は俺の部下。
放って置いても、俺の障害となる人間の1人や2人、消してくれるだろう。
* * *
「角砂糖おぉぉ〜〜〜!!!」
「角砂糖?」
「バカ!仗助、そいつを止めねぇか!」
- 61 :頂点に立つ者として ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 22:53:17 ID:6IVBusnZ
-
* * *
俺の最終目標は何処にある?
勿論優勝だ。
そして荒木に元の世界へ戻して貰った後、再びボスとして…
と、ちょっと待て。
今、俺は頂点に立つ者として相応しく無い考えをしなかったか?
“何故俺は奴の言う事が正しいと信じている?”
此れはおかしい。
此の約束、荒木に優位性がある。
(奴に遅れを取っていると云う事実は不快だが、認めなくては判断を誤る事になる)
例えば、主が奴隷に向かって、
『今日から3日、眠らずに仕事を頑張れば1週間の休暇をやろう』
と云う様な物だ。
奴隷は其の言葉を信じて3日間、死に物狂いで頑張る。
しかし3日後、主は
『そんな約束、守る訳無いだろう?馬鹿め』
と、にべも無く反故にする。
約束に優位性があると、優位に立つものは“約束を反故に出来る”事が出来るのだ。
そして愚劣な奴隷共が約束を果たすと信じて死に物狂いになり、
約束を反故にされた時の奈落に落ちるような表情を愉悦を以って眺める、其れが優位に立つ者の特権。
今の俺は、正に愚劣な奴隷の考えでは無いか。
馬鹿な。一時でもその様な考えを持つ事を恥と知れ。根拠も無く奴の約束を信じるな。
- 62 :頂点に立つ者として ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 22:54:00 ID:6IVBusnZ
- ならば優勝後荒木を殺す?
普通に考えて、行き着く答えは此れだろう。
だが、此処で又問題がある。
別に荒木を殺す事が出来るかどうかに疑問を持っている訳では無い。
我がキング・クリムゾンの前には、奴のスタンド能力も無力と化す筈。
奴を消し去る事に問題は無い。
其れよりも問題は、荒木を消した後に元の世界へ戻れるかどうかが怪しい事にある。
もし戻れなければ、其の時点で俺の敗北が決定する。
何故なら、俺は頂点に立つべき者だからだ。
優勝して荒木を殺し、元の世界へ戻れなければ、俺は此の街に1人になる。
そうすると、“支配される人間”が居なくなってしまう。
国王1人しか居ない国があるか?
長官しか居ない軍があるか?
そして、ボスしか居ないマフィアがあるか?
ゲームで優勝しようなどと云うのは殺人鬼の考え。
いや、殺人鬼ですら優勝後殺す人間が居なくなっては困るだろう。
つまり、ゲームに乗るのは“狂人”か“愚劣な奴隷”しか居ないのだ。
何度でも云おう。俺は頂点に立つべき男。荒木の掌で踊らされるマヌケじゃない。
俺には必要だ。“支配される人間”が。
「!!!」
其の時だ。俺のスタンド、キング・クリムゾン・エピタフが、
此処へ人間が近付いて来る未来を予測したのは。
先程までの俺なら、問答無用で殺しただろう。
しかし、こいつらが荒木を殺す役に立ってくれるのなら、
そして、こいつらが支配される人間なら…。
- 63 :頂点に立つ者として ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 22:54:52 ID:6IVBusnZ
-
* * *
「…ん、う…ん」
え〜っと、何が起きていたんだっけ。
確か、エルメェスから逃げようとして、その後の記憶が…
「とぅるるるるるるるる」
あっ、ヤベ。ボスからの電話だ。早く取らなきゃ。
って、何で携帯が木にぶら下がってんだろ?ま、いいや。
ポキリ
「はい、ボス」
『ドッピオか。今エピタフは使えるな?』
「使えますけど、其れがどうかしたんですか?」
『エピタフを使って、此れから先の事を予知しろ。
先程俺自身でも確認したが、今此方へ向かってくる人間が居る』
「はい。…え〜っと」
ボスの指示通り、僕はエピタフを使って未来の予測をした。すると、
「………!
確認出来ました!北から2人の人間が、僕と会うみたいです」
『何?俺の時は2人が近付いてくる所までしか確認出来なかったが、
そいつらの前に御前は姿を現すのか?』
「はい。どうします?」
『相手は誰だ?』
「済みません。僕の知らない奴らです」
『ならば相手を探るのが先だ。
良いか。奴らを殺すべき相手かどうか見極めろ。
もし、奴らを殺さなくてはならない場合、私が“其処”に行く』
- 64 :頂点に立つ者として ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 22:55:30 ID:6IVBusnZ
- 「えぇ〜っ!?ぼぼ、僕が判断するんですか?」
ボスから任された大役に、僕はビビッてしまった。
しかし、そんな僕をボスは励ましてくれる。
『ドッピオ、御前は頭が良い。
リゾットの戦いの時も、エルメェスから逃げ出す時も、
御前は最高のタイミングで最高の選択をした。
今回も御前なら出来る』
「…」
『良いか。俺が御前に命令する事は一つ。
“ダメージを負うな。負うとしても、最小限に抑えろ”其れだけだ。
後は御前が最も良いと思う行動を取れ。
御前が必要と感じたら、その場を逃げ出しても構わん。
奴らの正体を暴き、奴らへの対処を御前が判断しろ。良いな』
「…はい」
激励と共に、僕への大役を任せたボスは、
『そろそろそいつらがやって来る頃だな。一旦切るぞ、ドッピオ』
と言って、電話を切った。
- 65 :頂点に立つ者として ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 22:56:18 ID:6IVBusnZ
-
ぶるぶるぶるっ。
ボスからの電話を受けていた時は勇気が湧いて来るんだけど、
一旦切られると、一人になる寂しさというか、
いきなり怖くなっちゃうんだよね。
でも、ボスのために頑張らなくちゃ。
ってなワケで、武者震いをした僕は、木陰でこれからの事を考えた。
ボスの指示通り、まずは見極める事だ。
あの2人が、すぐに殺さなくてはならない人間か、途中まで行動を共に出来る人間か、
それともボスが支配出来る人間か…。
それを踏まえ現状を考えると、相手は2人。此れは相手が1人よりも好条件。
ボスの命令が『有無を言わさず殺せ』なら相手は少ない方が良いんだけど、
『相手の素性を調べろ』の場合、1人はむしろ危険。
だって、姿を現した途端襲って来る可能性が高いから。
複数の人間の場合は、逆にいきなり攻撃してくる可能性は低いから、姿を現しやすい。
下手に相手に警戒心を起こさせないために、今の内から姿を現した方が良いだろう。
いざという時逃げやすいし。
そう考えた僕は、木陰から姿を現した…。
- 66 :頂点に立つ者として ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 22:56:59 ID:6IVBusnZ
- 【杜王町南、川沿いの道(H-4)/1日目/昼】
【ディアボロ・ドッピオ(現在ドッピオ)】
[スタンド]:『キング・クリムゾン』
[時間軸]:リゾットに勝利後、ローマに向かう途中
[状態]:健康
[装備]:DIO様の投げナイフ、ミスタの拳銃
[道具]:支給品×2、またプロシュートの支給品から食料等をゲット
[思考・状況](ドッピオの思考):
1)ボスの指示通り、近付いて来る相手の素性の確認
2)向こうが僕を殺す意思が無いのなら、取り敢えず行動を共にする
3)こいつらがボスの支配出来る人間かどうかを確認
4)支配出来る人間なら、共に荒木打倒を考える。無理なら機を見て殺害
[補足1]:ディアボロの思考…ブチャラティ、ジョルノ、ナランチャ、ポルナレフ、リゾットの始末及び空条承太郎を警戒
[補足2]:ディアボロの思考2…支配される者達の探索
[補足3]:ディアボロの思考3…荒木の打倒。其の後自分が支配者となる
- 67 :邂逅、曾祖母と曾孫 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 22:58:23 ID:6IVBusnZ
- 私が駅へ向かったのは本当にただの偶然。
駅前なら人が集まりそうだから、向かってみる価値はあるかもしれない。
それが味方なら運が良いし、敵なら倒すまで。
そう考えていたのだけど、
バグオォォォ〜〜〜ンッ!!
実際の駅は、正に戦闘中だった模様。
そして、爆発に巻き込まれたのか、一人の男が放り出されるのを遠目に確認した。
吹き飛んだ男を、ペット?が介抱している。
よく解らないけど、あの男が味方になるかどうか話し掛ける必要がありそうね。
そう考え、私はその男の元へ向かった。
- 68 :邂逅、曾祖母と曾孫 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 22:59:09 ID:6IVBusnZ
-
* * *
全く、とんでもねぇとばっちりを喰らっちまったぜ。
それもこれも、この疫病神以外の何でもねぇ
「あぁ、ご主人様。お次はどうなさいましょう」
お付き人(いや、お付きスタンドか?)のせいでよ。
骨折、ってのはちとヤバイぜ。
取り敢えずスター・プラチナは拳を振るえるようだが、
俺自身が、余り激しい動きが出来なくなっちまってる。
「取り敢えず、てめぇは黙れ。俺の許可無しには一切喋るんじゃねぇ」
「…」
そう言った途端、ヨーヨーマッはバカ正直に口を噤んだ。
ったく、役に立つんだか立たねぇんだか。いや、確実に邪魔だな、コイツは。
そんな事を考えている時だった。
俺の前に一人の女が姿を現したのは。
女はまっすぐ俺の方へ向かって来る。
出来れば関わりたくねぇが、向こうさんが俺を素通りする気が無さそうだ。
案の定、女は俺に声を掛けて来た。
「貴方、怪我をしているの?」
「…失せろ、アマ」
近付いて来る女に警告。
「礼節を弁えていない人間の様ね。
あの子の事を思い出すわ」
失せろと言ったのに、このアマ俺の方へ近付いて来やがる。
「それ以上近付くと、そのおキレーな顔が2度と見れない位に歪む事になるぜ」
再度の警告。しかし奴は平然と近付いて来る。
- 69 :邂逅、曾祖母と曾孫 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 23:00:32 ID:6IVBusnZ
- 仕方ねぇ。
「オラアッ!」
俺は右拳を女の顔面に繰り出した。が、
バチィッ!!
「ぐっ」
俺の攻撃は静電気みたいな衝撃と共に弾かれた。
「貴方の攻撃は私には届かない。
私の全身に波紋を巡らしているから」
「…!」
今、コイツ何と言った?
「テメェ、今“波紋”と言ったな?」
波紋といやぁ、俺の中に思い付くのは一人の人間だけだ。
「あら、波紋の事を知っているの?」
「一つ質問に答えろ」
「先に質問したのは私なんだけど、まあいいわ。何かしら?」
「ジョセフ・ジョースターという名に聞き覚えは?」
「!!」
それまでクールだった女は、その名を聴いた瞬間
傍目でも解り過ぎる位露骨に驚きの表情を浮かべた。
「…あるわ」
「ジジイとの関係は?」
「ジジイ?」
「ジョセフ・ジョースターの事だ。奴は俺の祖父なんでな」
「…」
女は直ぐに返答を寄越さなかった。
答えられない質問なのか?
「…成程、やはり時空を操れると云う能力が一番しっくり来る」
いや、違う。俺の質問自体に何か思う所があるみたいだ。
- 70 :邂逅、曾祖母と曾孫 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 23:01:17 ID:6IVBusnZ
- 「取り敢えず、その質問に答える前にこの場を離れない?
貴方とはじっくり話す必要がありそうだし、
こんな所で立ち話してたらいつ敵に襲われるか分かった物では無いわ」
暫く考え込んでいた女はふと顔を上げ、そう言って来た。
そして近くの家に入ろうとする。
「…やれやれだぜ」
その時、後ろの方から大きな音がした。
この女の提案は正しかったようだな。
こんな見晴らしの良い所で井戸端会議してりゃ、
ココが今の爆発音の爆心地になってもおかしくねぇ。
音の正体を確かめたいが、先ずはこの女の話を聴く方が先だ。
そう考えながら、俺は女の後に続いた。
俺の後にヨーヨーマッが続く。
ちっ。付いて来なくて良いのに。
- 71 :邂逅、曾祖母と曾孫 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 23:01:52 ID:6IVBusnZ
-
「ジョセフ・ジョースターは、私の息子よ。私は1950年前の人間」
近くの家に身を潜めるなり、この女はそう言って来た。
「…」
「『何、馬鹿な事を言ってんだ、このアマ』って顔をしてるわね」
「当たりだ。一言一句」
「良い事を教えてあげる。私の他に、1950年以前からこの街へ飛ばされてきた人間が何人か居るわ。
ジョナサン・ジョースター、ツェペリ、シュトロハイム、そしてこの私。
他にシーザー、ジョセフもその可能性があるわね。
今は私の言う事を信じなくても良いわ。ただ、今私が言った人間に会ったら確認してみなさい。
私の言う事が正しいと解るわ」
「…」
「つまり私が言いたい事は、ゲーム参加者は色々な時代から集められていると云う事」
「フン」
信じられるか、と顔を背けようとして、俺は一点ゲーム開始から気になっていた事を思い出す。
そういえば、何故花京院、イギー、アブドゥルは生きているのか、この疑問に俺は答を見い出していなかった。
しかし、この女の言う事が正しければそれらの疑問にも説明がつかないか?
つまり、アブドゥル達は、死ぬ前の時に此方に連れられて来た、と考える事が…。
「どうかした?やっぱり信じられない?」
「いや、アンタの言う事が正しそうな根拠に一つ思い当たっただけだ」
と、そこまで言っていて、初めて俺の袖を引く存在に気付いた。
ヨーヨーマッだ。
- 72 :邂逅、曾祖母と曾孫 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 23:02:29 ID:6IVBusnZ
- 「何だ、鬱陶しい」
そう言ってヨーヨーマッから袖を引き剥がそうとすると、
「…」
ヨーヨーマッは無言で名簿を見せてきた。
そして幾人かの名を指差す。
ジョナサン・ジョースター、ツェペリ、シュトロハイム、シーザー、ジョセフ
この女の言っていた名がある。
デタラメじゃなさそうだ、とヨーヨーマッは言いたい訳だ。
フン。黙れという命令はしっかり守っている様だな。
まあ、コイツが口を開けたらこの女とも戦う羽目になるかも知れねぇから、その方が良い。
「おい、曾婆さんよ」
「それって私の事?」
「ジジイの母親なら、そういう事になるだろうが。
てめぇの名はエリザベス・ジョースターで良いのか?」
「御名答。よく分かったわね」
「名簿で、ジョースターの名が付く女はそれ位だ」
「成程。抜け目の無さも祖父譲り、か。相手が敬愛する先祖だろうと不遜なその態度も。
それで、貴方の名は?」
横から名簿を覗きながら、ババァが訊いて来た。
「空条承太郎」
- 73 :邂逅、曾祖母と曾孫 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 23:03:13 ID:6IVBusnZ
- 「じゃあ、この空条徐倫って子は貴方の血縁者?」
「?」
言われて気付いた。
そういえば、空条の姓を名乗る人間がもう一人居た。
「いや、知らねぇ」
「じゃあ、貴方の子孫かも知れないわね。
丁度、今の私と貴方の関係の様に。
…あら、私の祖父の名前もあるわ」
そう言ってババァが指した名は、ジョージ・ジョースター1世。
なんだ、このゲームはジョースター家の祭典か?
「兎に角だ」
俺は頭を切り替え、ババァに向かって一番重要な事を訊ねる。
「てめぇの目的は何だ」
「えぇ。それを私も話したかったの」
そう前置きをして、ババァは説明を始めた。
「病院で、私の義父ジョナサンとシュトロハイムがスタンド使いに襲撃され、ジョナサンがその命を落とした」
「…」
「私とツェペリの2人は、ジョナサンに命を救って貰いその場を逃げ出したシュトロハイムと会ったの。
そしてシュトロハイムからその事実を聴いた私達は、
第4放送までに仲間を集め、ジョナサンの仇討ちを決行する事にした」
「それを手伝えってんならお断りだ」
ババァの用件が大体読めた俺は、先にその答を言った。
「何故?」
「俺は俺で見つける仲間が居る。倒さなきゃならない敵が居る。
そっちの都合に構ってるヒマはねぇ」
「貴方の先祖様が殺されたのに、何とも思わないの?」
「俺にだって思う所はある。だが、今捜している仲間達も、それに勝るとも劣らない存在だ」
- 74 :邂逅、曾祖母と曾孫 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 23:03:44 ID:6IVBusnZ
- 「…」
暫く考え込んでいたババァは、不意に顔を上げた。
「なら、こうしましょう」
「?」
「貴方の仲間の名を教えて。その人に会ったら第4放送時に病院前に来るよう伝えるわ。
その代わり、貴方も仲間集めを手伝う事。
此れなら御互い利益になると思わない?」
「…」
悪く無い話だ。
特に、この女の素性を考えれば、この話が詐欺である可能性は低い。
病院襲撃につき合わされるのは面倒だが、
俺のご先祖様を殺している野郎を放置する訳にもいかねぇし、
何より仲間に会える確率が飛躍的に上がる。
ならば、この話には乗った方が良いだろう。
「…解った」
俺はババァに向かって承諾の意を告げた。
- 75 :邂逅、曾祖母と曾孫 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 23:07:17 ID:6IVBusnZ
-
* * *
その後、承太郎と私は一通りの事を話した。
御互いの情報は、
○承太郎の話
仲間;ポルナレフ、花京院、アブドゥル、イギー
敵;DIO、ホル・ホース、ミドラー、ペットショップ、ヴァニラ・アイス
情報;駅にタルカスともう1人居る。
○私の話
仲間;ツェペリ、シュトロハイム、シーザー、岸部露伴、岸部露伴の仲間
敵;ストレイツォ、ワムウ、カーズ、ブラフォード、タルカス、DIO
タルカスが駅に居る事には驚いたけれど、
此れはツェペリさんに後で報告すれば良い。
- 76 :邂逅、曾祖母と曾孫 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 23:08:27 ID:6IVBusnZ
- 「で、これからどうするつもりなんだ?」
「別行動を取りましょう。第4放送時に病院で待ち合わせ、それで良い?」
「あぁ、問題ねぇ」
「私は此れから取り敢えず南へ向かうわ。
シュトロハイムは南東へ向かって行った。
ツェペリさんは…まだ北の崩壊した家の辺りをうろついているかも知れないわね。
その2人に会って、2人にも貴方の仲間捜しの協力を依頼するのも良し、2人の居ない所を捜すも良し。
貴方の好きになさい」
「…」
承太郎は無言で立ち上がった。そして、
「崩れた家に言った後、東へ向かう」
とだけ言って家を出て行った。
「さて、じゃあ私も予定通り南へ行くとしますか」
彼が出て行った後、私も立ち上がる。
「太陽が…高い」
扉を開け、空を眺めた私の感想が其れだった。
そして私は太陽の方角へ…南へ向かって歩き出した。
- 77 :邂逅、曾祖母と曾孫 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 23:09:04 ID:6IVBusnZ
- 【駅前の一軒家(E-3)から南へ/1日目/昼】
【リサリサ】
[能力]:波紋
[時間軸]:第二部終了後。ジョセフとの母子関係を明かしアメリカ移住を決めた頃
[状態]:右脛に小さな傷があるが治療済み。 冷酷に振舞っているが、冷静ではない
[装備]:アメリカンクラッカー×2
[道具]:支給品一式、薬草少々(ツェペリと公平に分けました)
[思考・状況]:
1)ジョセフの死はこの目で見るまでは信じない。他の死者に関しては保留
2)第4回放送までに病院(C−4)襲撃の為の仲間を探す。 特にシーザー、岸辺露伴
3)ついでに承太郎の仲間も探す
4)ジョセフの死を肯定するものは信頼しない。あくまで病院襲撃の手駒として利用するまで
5)もちろんワムウ、荒木には警戒する
6)未知の技術『スタンド』についてさらなる検証を重ねる
- 78 :邂逅、曾祖母と曾孫 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/01(火) 23:09:49 ID:6IVBusnZ
-
【駅前の一軒家(E-3)から北へ/1日目/昼】
【空条承太郎】
[スタンド]:スタープラチナ
[時間軸]:ロードローラーが出てくる直前
[状態]:左腕骨折。全身に火傷。背中を強く打っている。冷静(荒木、DIOに対しての怒りはある)
[装備]:なし
[道具]:デイパッグ
[思考]:
1)露伴の家に行き、ツェペリに会う。ツェペリにリサリサとの話をし、自分の仲間も一緒に探すよう話す
2)ツェペリに会った後、東へ(仲間や協力出来そうな参加者を探す)
3)ヨーヨーマッを利用する(そろそろウザイ)
4)荒木を倒す、DIOを殺害する。駅にいた奴ら(ワムウ達)は無視
5)『過去の人物の名』にやや疑問
[補足1]:承太郎とリサリサが家に入る時に聞こえた音は、康一とプッチの戦闘の音です。
[補足2]:承太郎にとってリサリサは曾祖母ですが、『曾ババァ』と呼ぶのが面倒なので、承太郎から見て年取ってる人間と云う意味で『ババァ』と呼んでいます。
- 79 :旋頭歌 ◆6zsldeDOfM :2007/05/01(火) 23:19:34 ID:7ocG9LBW
- ニ作品!すげー!!乙でした!
ところで、ディアボロについてはなしたい事があるので書き手スレにお越し下さいますか?
- 80 :参加するカモさん:2007/05/01(火) 23:33:17 ID:znqWpf/v
- いや〜乙!でした。
備考欄でリサリサが死亡者の放送を否定(もしくは保留)している下りが
改めて遣る瀬無い気持ちになった・・・
- 81 :参加するカモさん:2007/05/01(火) 23:54:18 ID:7jV1Uh3G
- どっちもGJ!
ボスもカリスマあるなー。DIOとは違ったタイプの支配者だw
北から来たのはプッチ達なの?そこん所状態表でハッキリしておいたほうがいいと思うよ。
一瞬、杖助と勘違いしちゃったから。
それと遂に生きてる者同士でのジョースター一族の出会いktkr。
でも噴上たちはもう病院にいないんだよな・・・第4放送が気になってきた。
- 82 :邂逅、曾祖母と曾孫 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/02(水) 00:10:38 ID:7PQQRYi+
-
【ヨーヨーマッ(支給品)】
[現在の主人]空条承太郎(主人変更の命令があれば主人は変わる。ただし変更対象人物の同意が必要。
主人変更の命令をされた時、次の主人候補がヨーヨーマッの視界に入っていなければ命令は無効化される)
[装備]:マスク
[持ち物]:なし
[任務]:
1)承太郎を“助ける”
[補足]:
1)ヨーヨーマッは攻撃出来ない。能力も完全に封じられている(主人がヨーヨーマッ自体を利用して攻撃というのは可能かも知れない)
2)主人の命令には絶対服従。しかし、命令を曲解して受け取ることもあるかも知れない。(ヨーヨーマッを殺すような命令には従えない)
3)ヨーヨーマッは常に主人の半径20メートル以内に居なければならない
4)ヨーヨーマッの主人が死んだ時又はヨーヨーマッが規則を破ったならヨーヨーマッは消滅(荒木によってDアンGの首輪が爆破される)
- 83 :邂逅、曾祖母と曾孫 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/02(水) 00:20:59 ID:7PQQRYi+
- …又規制に引っ掛かりました。
投下完了です。
>>81
個人的にプッチのつもりで書きましたが、
次の書き手さんの都合で変えられるようにしました。
何より、その指定は自分は出来ません。
…自己リレーになってしまうので。
現在、自分が書くと自己リレーになってしまうキャラ
ジョージ、リサリサ、承太郎、花京院、ポルナレフ、イギー
ホル・ホース、仗助、康一、露伴、ナランチャ、セッコ、ディアボロ
エルメェス、F・F、ウェザー、プッチ、ジョンガリ・A、リキエル
荒木
…多過ぎです(汗
生存キャラの6割を投下封印されているしw
- 84 : ◆yxYaCUyrzc :2007/05/02(水) 08:14:49 ID:Yj5OlFp0
- 投下乙です!また面白くなりそうな流れのひとつが出来たって感じでGJです!
俺が自己リレーになってしまうキャラは噴上とシーザーの2人だけです。
俺が書いたキャラのほとんどは既にリレー済みなんで。
今はチームになっているところが多いのでひと団体書くとほとんどが規制ですからねぇ・・・
今後また放送前後でつなぎ文章も書こうとも思っていますが前スレで軽く叩かれているのでそこは検討中です。
この点はまた書き手相談スレ等々ここ以外で話したほうがいいでしょうね。
あと58で自分が言っていた件ですが移転スレ26氏は自身で破棄と言っていましたんでそこは私のチェックミスで申し訳ない
- 85 :参加するカモさん:2007/05/02(水) 16:08:01 ID:3LWpEAqI
- >>84
むしろ叩かれるのは良いことだと言ってみる俺ドM。
批評意見は時として自分の文章力のレベルアップに繋がるぜ。
- 86 : ◆fk8qEzlLPk :2007/05/04(金) 12:59:46 ID:49JUvwil
- すみません。予約延長を申請します。
予約した日から、一週間後……つまり8日までの予約をお願いします。
- 87 :参加するカモさん:2007/05/05(土) 11:02:23 ID:Wwj8gUIL
- >>86 さんの意味が理解できなかった私と同様に、本スレしか見ていない人の為、
したらば に入っていた以前の予約を転載させていただきますッ!
124 名前: ◆fk8qEzlLPk 投稿日: 2007/05/01(火) 20:45:53
そして、【康一、露伴、イギー、ダイアー】予約します。
- 88 :さすが肥溜め大阪府:2007/05/06(日) 17:52:17 ID:379lz1Vh
- エキスポランド側は午後4時から緊急会見。山田三郎社長ら同社責任者11人が勢ぞろいして行われた場では、車軸の点検について、施設営業部長が「毎年5月に実施していた。今年も5月15日から予定していた」と説明していた。
ところが、会見後、保守点検部門の責任者として1人で応対していた同部長は、報道陣の質問に「実は2月の予定だった」と“前言撤回”。例年2月に実施している年1回の解体点検を5月に先延ばししていた経緯を説明し始めた。
折れた車軸部分は外部から確認できないため、月1回の定期点検や日常的な目視点検の対象ではなく、解体検査が必要だが、今年2月の検査では、新アトラクション建設のため点検作業の場を確保できないとの理由で、解体して調べなかった。
最初の会見で、なぜ5月の予定と説明したか、との質問に、同部長は視線を落として沈黙。その後、新アトラクションについての問いには「見られていなかったら、ぜひ探検してほしいんですが」と笑みまで浮かべてアピール。危機意識に欠ける対応だった。
- 89 : ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 22:41:12 ID:Wh0eZVfE
- 岸辺露伴、広瀬康一、イギー、ダイアー投下します。
- 90 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 22:42:46 ID:Wh0eZVfE
- 「えーと……この丁字路はどっちに行けばよかったんだっけ」
ボストンテリアのNICE GUYことオレ、イギーは大統領を守るSPのように移動中。
『亀』の中にいるロハンとコーイチを安全に運ぶ為には、人に見つかっちまったらアウトだからな。
とはいえ……正直面倒くさいぜ。
つーか何でオレ一人で『亀』を運ばなきゃいけねーんだよ。
そりゃ人数が少ないほどエンカウント率が下がるのは当然だけどよ……。
『ごめんねイギー。露伴先生と今後のことを慎重に話し合いたいんだ……』なんて言われたら気がひけるっつの。
そういや太陽が真上に来てるなぁ……もうすぐ正午か。
ジョースターの一味はどうしてんのかね。簡単に死ぬ奴らじゃあないのは勿論だが……。
オレたち3人? が今まで出会ってきたヤベー奴らと、ドンパチやったらアイツらだってただじゃあ済まないだろう。
見ろよこのコブ。せっかくのイケメンが形無しだろ? あの神父の野郎、今度あったらただじゃおかねー。
ぶっちゃけオレ自身、あの時死ぬかと思ったし。
……愚痴っててもしょうがねーな。オレはオレのすべき事をやろう。
スタンド・『愚者』に『亀』を抱えさせて、俺は周囲を確認する。
いかなる匂いも逃すつもりはねぇ。メンドクセー事は匂いと共にやってくるってもんだ。
その匂いと出会わないように、俺が目的地に着けば万事OKなわけ。
それにしても……俺はなんで『亀』を置き去りにして逃げようと思わねーんだ?
確かに俺はさっき承太郎の匂いを感じた。いつもの俺ならさっさと奴の所に行くはずなのに……
ロハンに「移動しよう」と命令されたらそんな気分が薄れちまった。
思えばロハンと出会った時から何か変だよな。俺は奴に何かされたのかね……?
- 91 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 22:44:45 ID:Wh0eZVfE
- ※ ※ ※
「……じゃあ、スタンドの姿形だけでなく」
「ああ。僕が紙に描いたネームすら、発動する素振りを見せない」
僕と露伴先生は今、『亀』の中にいる。
『亀』の中は思っていたよりも快適で、一人暮らしをするには申し分ないアパートのような造りだった。
お風呂がないのはちょっと不満だけど、冷蔵庫があるのはいい(空っぽだけど)。
あーあ……こんなことなら、もっと早くに『亀』を使いこなせるようにしておくんだった。
この『亀』の体内にある『不思議な居住空間』に身を隠し、イギーに外を任せればあんな事にならなかったのに。
そう――露伴先生のスタンド、ヘブンズ・ドアーの消失。
「やはり……あの神父が僕のスタンドを使用不可にしたと考えて間違いないだろう。
いつぞやの、ジャンケン小僧の能力のように……『抜き取った』と言ったほうがわかり易いかな。
だからあいつらを倒さない限り、僕のヘブンズ・ドアーは、おそらく元に戻らない」
露伴先生は鼻息を鳴らしながら、両手を軽く上げて、お手上げのポーズをとった。
自分の身に危険が起こっているのに……全く動揺していないようだ。
「イギーが大人しく言う事を聞いていることから察するに……今までやってきた『書き込み』までは解除されないようだ。
イギーの『康一くんと僕を守る』とシュトロハイムの『僕に逆らえない』、そしてアナスイの『人殺しが出来ない』。
現状で残っているのはこの3つか。あの二人が死んでなきゃ使える道はあるな」
この何を考えてるのかわからない振る舞いは露伴先生らしいといえばらしいけど……
そんな素振り見せ付けられるほど、僕の心は締め付けられる。
どうせならはっきり『お前のせいだ』と言ってくれたほうが、僕としても気が楽になるんだけどな。
- 92 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 22:45:54 ID:Wh0eZVfE
- 「話は変わるが康一くん、イギーはどこに向かっているんだい? 」
露伴先生は、自分のスタンドが使えなくなってもいいのだろうか。
僕にはとても考えられない。先生は……どうして平静としていられるのだろう?
「……康一くん? 」
「えっ……あ、ハイ。靴のムカデ屋です。
あそこなら仗助くんたちの家からも、駅からも同じくらいの距離ですから、そこを拠点にしようと思ってます。
僕とイギーは、あそこで一度、一緒に隠れていたんですよ。だからイギーにとっても馴染みのある……」
「ちょっと待ってくれ。……まさかこの後、仗助の家にも行くのか? 」
「ハイ。だって先生の負傷です。仗助君に治してもらうのがやっぱり一番てっとり早いですよ。
それに最初に僕が、僕の家に行こうって提案してのに、"それは困る”って言ったの先生じゃないですか。
先生の家にも近いのに……何か行けない理由でもあったんですか? 」
「い、いやぁ〜〜そ、そうだった……スマナイ。まだスタンドを封じられたショックから立ち直れなくてね。ハハハ」
露伴先生は明らかにさっきより動揺している(かなり怪しい)。よほど自宅で何かあったに違いない。
でもそれは永遠に教えてくれないんだろうなぁ……。
そして、露伴先生をよそに、僕はあの時のことも思い出していた。
露伴先生からスタンドを奪った奇妙な二人組み……一人はリキエル、もう一人は『シンプ』様って呼ばれてたっけ。
『シンプ』と聞いて真っ先に思いつくのが『神父』だけど……
この名簿に載ってる「エンリコ・プッチ神父」がそうなのかな?
そしてこの人のすぐ側に「リキエル」という名前がある。
あの二人は互いに知り合いだったみたいだし、この名簿の並びは、知り合いほど近くに載っているのだろうか。
僕の名前の側に仗助くんと億泰くんの名前があるように。
ジョースターさんと承太郎さんが離れたところに記載されているのも、何か理由があるのかな。
ひょっとしたら……ジョースターさんと、承太郎さんの前後に載っている名前の人は信用できるってことなのかな……?
- 93 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 22:48:03 ID:Wh0eZVfE
- 「康一くん、イギーの動きが止まったよ……どうやらムカデ屋に着いたようだ。だが……」
露伴先生に呼ばれて、僕は一緒に『亀』から外の世界をのぞいた。
確かに『靴のムカデ屋』の看板がギリギリ見える……ここは、店の正面からみて左側の壁らしい。
イギーは壁にもたれながら、顔を少しだけ出して入り口を見ている。
困ったことに先客がいたようだ。店の入り口の前でしゃがみこんでいる。
かなりガタイのいい……男の人だ。これは困った。
イギーは、僕と露伴先生の命令を2つ、忠実に守っている。
それは「僕たちを守る」事と「ムカデ屋に行く」事。
でもこれじゃあ袋小路だ。
店の前にいる人物の素性がわからない以上、迂闊には近づけない。
かといってこのままじゃあ店には入れない。
「……康一くん、ムカデ屋はあきらめようか。このままじゃあラチがあかない。
イギーは、あの男に気づかれるか気づかれないように、隠れているとはいえ……
あの男の素性がわからない限りは、接触は危険だ。何をされるかわからない」
露伴先生が僕に耳打ちをする。
確かにその通りだ。何もこの店に固執しなくてもいい。
また拠点を決めなおせばいいんだ。
僕たちはやむを得ず、その場を去ることにした。
――のだが
「生命反応が『二つ』……おい、お前たち。そこに隠れているのはわかっているぞ?
出て来い。言っておくが、この私から逃げよう等とは考えるなよ」
ああ、僕たちはなんて運が悪いんだろう……。
- 94 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 22:49:56 ID:Wh0eZVfE
- ※ ※ ※
(露伴先生、バレちゃってますよ!? )
(落ち着け康一くん。イギーを『亀』にしまうんだ)
僕、岸辺露伴はこの状況を冷静に分析する。
なぜ、奴は僕たちのことがわかったのか――――奴は探知系のスタンド能力者なのか?
「店の壁にもたれていたのが命取りだったな。
貴様らの呼吸の波が、同じく壁にもたれていた私の体を伝って、この水の入った容器に現れていたぞ」
呼吸の『波』? どういうことだ……?
だとしても、なぜ『二つ』なのか―――呼吸をしていたのは僕、康一くん、イギーと『亀』の4つじゃあないのか?
だが本当に4つ中2つしか、奴のセンサーに反応していないのなら……これは間違いなくイギーと、『亀』だ。
この二匹が壁にもたれていたんだからな。
どういうわけか知らないが……『亀』の中に入っていた僕たちはカウントされてないらしい。
つまり……これをふまえれば、奴の前に姿を出す者はイギーじゃなくてもいいって事だ。
(康一くん、率直に言おう。僕か君のどちらかが、『亀』を持って奴と会うんだ)
(えっ……イ、イギーじゃあダメなんですか!? )
(ヘブンズ・ドアーが使えない今、アイツは僕たちの切り札だ。
動物のスタンド使いがいるなんて、ましてや『二匹』いるなんて普通思いつかないさ)
(でも、露伴先生はスタンドも無いし、重傷じゃないですか! )
(そんな事は問題じゃあないんだぜ康一くん)
(問題ですよ! ……わかりました。僕が行きます。この状況じゃあ最初から僕しか出ようがありませんよ)
康一くんが少ししれっとした目で、こっちを見てくる。
おいおい……別にそんなつもりで言ったわけじゃあないんだが。
- 95 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 22:51:47 ID:Wh0eZVfE
- ※ ※ ※
ムカデ屋の入り口に立つ。
あくまで顔は向けない。意志表示は、姿を現すだけで十分だよね。
さて、この人は一体どうやって僕たちに気づいたのか。
そして何者なのか。
「ほう……まさか小僧と亀が出てくるとは……この町にも生き物がいたのか」
……生き物を初めて見ただって? ……そういえば僕も見てないな。なんでだろう。
どういう事だろう? 僕たちが最初の遭遇者なのか?
何も言ってこないということは、やっぱりこの人はイギーの姿を『見た』わけじゃあないんだ。
……さっさと用件を聞こう。
「あ、どうも初めまして。僕は広瀬康一と言います。こっちはペットのココ・ジャンボです」
「こちらも自己紹介しよう、我が名はダイアー。お前に聞きたいことがある」
ダイアーさん、か……イマイチ掴みどころの無い人だな。
まぁこんな状況じゃあ自分の素性をペラペラ喋るのは危険過ぎるもんなー。僕も名前だけしか言ってないし。
『亀』には何も触れてこないから……やっぱりイギーには気づいてなかったのかな。
「はぁ、どうもダイアーさん……それで、話はなんですか? できれば簡潔にお願いします」
「よかろう。単刀直入に言うが、お前はスタンド使いか? 」
「はい。そう、ですけど…………」
- 96 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 22:54:27 ID:Wh0eZVfE
- 空気が凍りついた。わかる。確実に。
何故だかわからないけど……ダイアーさんが、微妙なオーラを出している。
う〜ん……なにかマズかったかな。
でも、これで気を悪くしたのならチャンスだ。適当に悪態を付いて別れる口実になる。
「何か気に触る事でも言いましたか? 生憎僕は故郷であるこの町で、最後の思い出作りをしてる途中なんです。
あなたに危害を加えるつもりはありませんし、もう誰とも関りたくありません。
できれば……ほっといてもらえんませんか? 」
「……そうか。すまなかった。もういい……行ってくれ」
僕はずかずかと、ダイアーさんに背を向けて歩き出す。
ごめんなさい。仗助くんだったら一緒に行動してくれたんだろーけど……
今の僕は、とてもじゃあないけど人間不信になってます。
あなたは見た目も強そうだし……僕が一緒になくても大丈夫ですよ、ね?
「そうそう……言い忘れていたが……」
うわあ……関わらないでって言ったのに……聞こえないフリ聞こえないフリ。かまったら負けだよね。
「相手が意味の分からん事を言ったら、普通……聞き返すよなぁ」
…………………………………………!?
その時、僕は(おそらく他のみんなもだが)ドス黒いオーラをダイアーさんから感じた。
これは紛れも無い……漆黒の『殺意』ッ!
僕は慌てて振り返る。
ダイアーさんは既にこっちに向かって飛び蹴りを放っていた。
この緩いスピード……エコーズACT2でも十分防御できる!
- 97 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 22:56:27 ID:Wh0eZVfE
- バシィィィーーーーーーーz_______ッ!!
「……え? ぼ、僕の両手が……ダイアーさんの足にくっついて動かないッ!? 」
「かかったなアホが! ただの飛び蹴りと勘違いしたのが運の尽きだ……喰らえ、必殺! 稲妻空烈刃! 」
ズドンッ!!
※ ※ ※
フッ……決まった。
角度、スピード、威力、共に申し分ない。
私の「稲妻空烈刃」の手刀が小僧に炸裂する。
全く嘗められたものだ。このダイアー、容赦せん!
平静を装う度胸は上出来だったが、爪が甘かったな。
ちゃんと礼節を弁える者が、何の気遣いも無く、他人を見捨てるようにその場を去るのは、不自然であろう。
まあ、貴様が『スタンド使い』とわざわざ名乗った時点で貴様の命運は尽きていたがな。
本当に接触をさけようとしているだけなら、それまでだ。もう用は無い。
だがコイツが何か隠し事をしているとしたら……捕まえて吐かせる必要がある。
「小僧ッ! 威力は抑えてある。何か隠しているなら洗いざらい喋ってもらおうか」
「……いえ、喋る必要はありません。だって、もう出てきてしまいました」
小僧の顔はちっとも引き攣っていない。恐怖に喘いでもいない。
何故? 何故だ? 確かに私はこいつの体に自慢の手刀を……ん?
私の体に……砂!? 『亀』の背中から……砂が出ているのか!?
「既に砂があなたの体に絡み付いていました。もう動けませんよ」
- 98 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 22:57:26 ID:Wh0eZVfE
- ヌオオオオ……体が言う事を聞かぬ。この『亀』もスタンド使いだったのか!?
炎を操るスタンド使いの次は砂を操るスタンド使いか。
己ェ己ェ……どこまでもこの私を舐めおって。これは予定変更だな。
「刻めッ! 我が血液のビートッ!」
バリバリバリバリバリッ!
「アギャギャギャッ!? 」
「ああッ! イ……イギィィィィィィィィィーッ!? 」
ム!? 『亀』の中から『犬』が飛び出して来たぞ。
全く次から次へと……この小僧は何を企んでいるのだ!?
この犬が、私の波紋で痺れているのはわかるが、何故こいつに効果が……!?
アヴドゥルは『スタンドのビジョン』と『本体』にしかダメージは与えられないと言っていた。
しかし砂に流れた波紋の衝撃は『亀』には伝わっていない。
つまりこの砂は操作されたものじゃあなく、この犬のスタンドその物なのか?
この小僧の慌てようを見ると、その可能性は高い。
「大丈夫かいッ!? 早く隠れるんだッ! 」
「アギャギィッ! 」
小僧が犬を『亀』の中に仕舞おうとするが、犬は小僧の手を振り払う。
犬は砂を寄せ集め、異形の獣に姿を変える。
創りられた化け物は拳を振り上げて、私に殴りかかった。
なるほど……その『獣』こそが貴様のスタンドの正体か。砂を操るのではなく、砂に変化できるのだな。
犬コロの癖に参加権が与えられているだけはある……実力も相当なものだろう。
「だが貴様の砂は私には効かん。『はじく波紋』ッ!」
拳を弾かれたスタンドをやり過ごし、私はありったけの力を込めて犬の顔面を打ちのめす。
- 99 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 23:00:34 ID:Wh0eZVfE
-
「キャインッ!! 」
犬は大きく吹き飛ばされ、そのまま地面にバウンドした。
小僧が青ざめて、犬に駆け寄る。動揺のあまり戦闘意欲もすっかり削がれたか。
匿ったはずの仲間に、庇われる図は見てて滑稽だな。私の波紋で……自分の浅はかさを噛み締めるがいい。
ついでだ……ここらで、ダメ押しをしてやろう。
「フッ……その犬はもう助からん。実は攻撃と同時に、口に毒を仕込んでやったからな。
それも威力としては申し分ない"青酸カリ”だ! 今のうちに別れの言葉をかけておけ……。
そして冥土の土産に貴様らにも教えてやろう。
我が名はダイアー。チベットはヌー川の上流に住む師・トンペティの下で修行を積んだ『波紋使い』だ! 」
「は……波紋……ジョースターさんが使えるっていうあの体術……」
「そうだ。厳しい修行の果てに会得した技で、超人に近づく術だ……
ポッと出の超能力を使う、貴様らスタンド使いとは格が違うのだよ! 」
うむ。自分で言うのもあれだが、中々気持ちがいい。
小僧の顔色には絶望が見える……まあそうだろう。
己の未熟さで同胞が死んでいくんだからな。
こいつらは精神的動揺を来たした……今はこちらが絶対的優位。
さて、遊びは終わりに……?
「ウウウウウウガァァァァァァァァァァァッ!! 」
犬と小僧と、亀の周りに砂嵐が舞い上がる。
砂はどんどん勢いを増して、私の視界を奪っていった。
しまった……うっかり調子に乗りすぎた。
まんまと逃げられてしまったかッ……!?
- 100 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 23:02:18 ID:Wh0eZVfE
- ※ ※ ※
「こ……ここは…イ、イギー! また砂で安全なところまで運んでくれたの!?
君って奴は……酷い怪我なのに……ウッ……無茶して……エグッ」
康一くんがイギーを抱きかかえて泣いている。顔も鼻水でぐしゃぐしゃだ。
……いずれこうなることはわかっていた。
『僕と康一くんを守る』……そう僕に書き込まれた瞬間から既に決まっていたんだ。
イギーという犬の運命は、この僕が、死なない限り……忠実に命令の従うのみ。
「イギーッ! しっかりするんだ……そうだ応急処置を…… まだ諦めるには早いよ!
露伴先生、何か知ってませんかッ!? 毒物に対する応急処置ですッ! ……アンタ漫画家だろッ! 」
「……知っているともさ。 だが今すぐここではできない。 適切な処置を施さないと……病院に行くんだ康一くん! 」
「ハイ! イギーごめんね。病院に行くまでこの『亀』の中に入ってて」
- 101 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 23:04:20 ID:Wh0eZVfE
- イギーを『亀』に戻し、康一くんは病院に向かって走り出す。
康一くんは涙を拭いながら、先へ先へと進んでいく。大切な仲間を失いたくない気持ちで一杯なのだろう。
だが……正直に言うと、これは徒労にしかならない。
青酸カリを服用して、何もしないまま放置された患者の猶予時間は……実際ほんの数分だ。
ここから病院は遠すぎる。
かといって100%濃度の酸素を初めとした、治療に必要とする物質はそこにしかあるまい。
くそッ……こんな時、僕のヘブンズ・ドアーがあれば……!
「露伴先生! 何ボーッとしてるんですか。イギーをちゃんと見ててくださいッ! 」
「あ、ああ……すまない。」
僕は蹲って動かないイギーに近づく。
イギー、まさか死んでな………………?
ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド
…………イギー………………………………お前って奴はッ!!!
- 102 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 23:06:55 ID:Wh0eZVfE
- ※ ※ ※
このダイアー、波紋の戦士として誇りを持っている。
波紋を操り、屍生人、吸血鬼、悪人を裁くことが生きがいだ。
そんな私の目の前に現れた未知なる存在――スタンド使い。
精神が本体の守護者となり、本体の代わりに戦闘をこなす種族……。
最初は私も『スタンド』への興味を持ち、その粋に恋焦がれていた。
だが……先で知り合ったスタンド使い達は自分本位で、スタンドを持たぬ私をこき下ろすばかり。
だから私は決心した。
全てのスタンド使いを亡き者とし、波紋使いこそが最強だという事を示してやると。
最初に殺した虹村億泰は、実にとるに足らない男だった。
スタンドが無ければ、ただの青年。
卑怯な手とはいえ、私の奇襲に成す術も無く絶命した。
あの時の爽快感は忘れられない。スタンド使いにもピンキリがあるのだと知った。
だが……それではまだ足りぬ。私はもっと知りたい。
敵を知り、己を知らばなんとやらだ。
こいつらから完全なる勝利を勝ち取るために、私は更に上へ進まねばならない。
「……逃げずにここに残った行動は評価するが、
その行為は見境の無い『ノミ』と同じく……『勇気』とはいえんな。
犬コロとはいえ、貴様もスタンド使い。一瞬であの世に送ってやろう! 」
STEP“2”だ。『死に体とはいえ、真っ向から挑んでくるスタンド使いに、勝つ』――――ミッションスタートだ。
- 103 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 23:07:47 ID:Wh0eZVfE
- 「死ねェィッ!」
「『愚者』! 」
互いの攻撃が交差する。
私の拳は犬を頬をかすめ、犬のスタンドの掻撃が私のデイバッグを裂く。
口を開いた鞄が、だらしなく中身を吐き出していくが、そんなものはお構いなしだ。
間髪いれずに振り向き、互いの撃が、再びかち合う。
しかし双方の攻撃はすき紙を通すが如く、直撃しない。
地面では、私と犬の武闘によって踏み荒らされた日用品が、舞踏している。
くやしいがこの犬の戦闘センスは……非凡のようだ。
しかしッ!
「『ズームパンチ』ッ!!」
長き格闘も、私の渾身の一撃で遂に幕間を作る。
波紋で射程を伸ばした腕は、獣を捕らえて殴り飛ばしたのだ。
今までの攻撃は、リーチを相手に刷り込ませる為の伏線よ。
貴様はまんまと、急にリーチが変わった私の一撃に、敗れたのだ。
- 104 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 23:08:34 ID:Wh0eZVfE
- 「さぁ……貴様の命はあと僅かだッ! このまま文字通り“負け犬”になるかッ!? 」
「フッ……ギャウウウゥゥゥ!!」
犬は私の発破に答えるように大きく吼える。
すると……奴のスタンドの砂が、私の周りを取り囲む。
砂は瞬く間に形を整え……ドーム状になって、私を閉じ込めてしまった。
外は全く見えない。完全に包まれている。
「……一体何を考えているのだ。酸欠にして私を窒息させるつもりか?
残念だよ。根競べというものは、同じステイタスの者同士がやってこそ意味があるのだ。
それに貴様の砂は、私の『はじく波紋』で簡単に打ち破ることができるのを忘れたかァァァ!!
喰らえ必殺!『はじく波…… 」
――――――――――――フッ……―――――――――――――
…………笑った、だと?
そういえばさっきあの犬は……笑っていた。
なぜだ? 奴は何故あの時笑ったのだ?
犬が『笑うこと』に気になったというより、犬が『笑った理由』が……気になる。
何が可笑しい!? 何があの犬を微笑ませるッ!?
- 105 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 23:10:29 ID:Wh0eZVfE
-
ピチャ……
ピチャ……
ふと、私は自分の足元から液体が滴る音を聞いた。
砂ではなく、『水』。なぜ、こんな時にこんな音が?
この砂のドームのどこに水分が?
私は足元に視線を移した。
謎の音の正体は……なんだ、これか。
ただ、私のデイバッグからばら撒かれていた、『容器』から液体がこぼれていただけだ。
全く、とんだ………………………………………
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ……………………
この容器は……なんだ。
他の容器とは違い、これだけ『材質』が異なる。
厳重な雰囲気を感じさせるそれは……まるで宝石を守る為に作られた宝箱のような、ビン。
これに入ってたものは、水ではない。水の入ってた容器ではないのだ。
私自身、このビンにはとても見覚えがある。
そんな……まさか!
この液体は全て『支給された飲料水ではない』のか!?
奴は……最初から『これ』を狙って……!?
馬鹿な! あの犬は、私の荷物の中身を散在させるフリをして…
- 106 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 23:13:26 ID:Wh0eZVfE
-
『青酸カリ』入りのビンを割ったのかッ!!
……昔、何かで読んだことがある。
毒物というものは、その三態の如何で致死量が大幅に変容する、と。
つまり種類によっては液体の状態よりも、気体の状態のほうが何倍も威力を持つ……という事だ。
今、砂のドームの中には私と散らかった荷物と、底に広がる液体の溜まりのみ。
奴はこのドーム内で、青酸カリを蒸発して充満させ……私を中毒死させるつもりかッ!
しかもこの密閉された空間では迂闊に呼吸が出来ないッ! 既に青酸カリが気化しているやもしれん。
ゆえに波紋も練れぬのだッ! これでは『はじく波紋』で砂をはじいて脱出することが出来ないッ!
私に出来る事は、あの犬がくたばってこの束縛から解放されるのをただ待つしか……信じられん。
いつの間にか、このダイアーが『根競べ』の壇上に上げられているッ!?
気化に必要な時間、致死量、応急処置……私が青酸カリの詳しい性質を知っていればこんなことには!
……いや待て。知っていたしても、おそらく無駄だろう……でなければ奴がこんな『捨て身の賭け』をするはずがない。
波紋の性質を知っていても、到底踏み込めぬ英断だ。
犬……いやイギーよ。
貴様のような戦士と合間見えたことを心より感謝する。
この私と、本気の勝負だ。
波紋戦士は呼吸を操るのが基本。
私の息止めを……嘗めるなよッ!
※ ※ ※
- 107 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 23:17:03 ID:Wh0eZVfE
-
ハァ……ハァ……ちくしょー……ハァ……苦し…い……
頭が……痛ぇし……めまいもする……意…識が……やべぇ……
せっかく治りかけてたコブも……更に酷くなっちまったっつーの……
思えば…ここに来てからずっとそうだ………
コーイチや……ロハンを守るのに精一杯で…………
他の……事、なんて考え……られなかった……
まったく……オレって…………奴は……何やってんだか…………
何のトラブルもない……人生を……送るはずだったのに……
ちくしょう……ミスったぜ……
※ ※ ※
- 108 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◆fk8qEzlLPk :2007/05/07(月) 23:18:15 ID:Wh0eZVfE
-
サラサラサラ……サラサラサラサラ……
崩れる砂粒の山、巻き上がる旋風。
拷問部屋は終に跡形もなく消え去った。
どうやら長いようで短い戦いが終わったようだ。
「ゴホッゴホッ…………ハァ……」
危なかった。このダイアー、久々に死を覚悟したぞ。
気体が完全にドームに溜まっていたら、確実に『痛みわけ』をしていた。
しかし……ドーム内で溜まる毒は私だけを苦しめない。
イギー、貴様の砂のスタンドも触れていたのだ。
スタンドのダメージは本体のダメージ……即ち貴様もドーム内に体と入れている事と同じになるのだよ。
そして、私は皮膚呼吸もコントロール出来る……だから結果的に、私の限界がにお前の限界を上回ることとなったのだ。
貴様だからこそ出来たこの戦法は、貴様だからこそ、そのまま敗因に繋がったんだ。
だがこの勝負は……私の完全なる勝利と言うには程遠い。
さて、奴は一体どこに……なッ!?
「…………おい、お前……もう許さないぞ……ッ!! 」
ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド
- 109 :参加するカモさん:2007/05/07(月) 23:24:37 ID:ZhZ6cU8M
- 規制かな?支援
- 110 :参加するカモさん:2007/05/07(月) 23:33:09 ID:ZhZ6cU8M
- 規制とかバーボンならしたらばに上げたら代行するよ
- 111 :参加するカモさん:2007/05/07(月) 23:35:36 ID:StimMYcR
- wktk期待
- 112 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◇fk8qEzlLPk(勝手に代行):2007/05/07(月) 23:37:49 ID:ZhZ6cU8M
- いつ……戻って来たのだ……私は……気配を感じなかったぞ……!
イギーは、大事そうに抱えられてる……私が最初に命を奪おうとした『広瀬康一』の胸にッ!
こ、こんなことが…………これが……奴の真の狙いだったのかッ!
わざわざ時間稼ぎの為に、主人が戻ってくる為に、自分の命を『捨て鉢』に……!
いかん、呼吸が乱れて、は、波紋が……!
「イギー……お疲れ様……後は……僕に任せて……くらえ! エコーズACT2! 」
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーッ!! 」
………………………………………………………………?
な……な……なぜ……なにも……なにもしてこない?
私は恐る恐る両目を開く。
「……なんだと」
ありのまま、起こったことを話そう。
助けに来たはずのイギーの主人が、砂のように崩れて。
ボロボロになった主人は、抱えていたイギーを落としながら風に流され散っていった。
そうか、私は……最後の最後に一杯食わされたんだ。
イギーは最後の力を振り絞り……主人を象って、さも、たった今そこに到着したかのように、私を錯覚させたのか。
これは……『もし本当に主人が来ていたらお前はここで死んでいる』……という意思表示のつもりなのだろう。
- 113 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◇fk8qEzlLPk(勝手に代行):2007/05/07(月) 23:38:25 ID:ZhZ6cU8M
- 「ニヤリ……グッ…………」
イギーが血反吐を出して倒れる。今度こそ息絶えたか。
私には奴の死に顔が笑顔に見える。
今にも『やりィ! 騙されるなんて頭悪ィぜぇ〜ヘヘ〜〜ッ』と言いそうな顔だ。
フッ……死ぬ間際まで相手を上回ろうとする、その往生際の悪さ。
やはりスタンド使いは……貪欲な愚か者ばかりだ。
この勝負、結果は日を見るより明らかだな。
勝利への貪欲さで……私の負けだ。
このままでは……私もいつか必ず敗北する。
成長せねばなるまい……完全なる勝利への道を、もっと渇望するのだダイアー。
卑しく飢えた『獣』ではなく、気高く飢えた『波紋戦士』として!
※ ※ ※
- 114 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◇fk8qEzlLPk(勝手に代行):2007/05/07(月) 23:39:12 ID:ZhZ6cU8M
- 僕の目の前で瀕死になっていた『イギー』が崩れ去った。
崩れた『イギー』は小さな砂の山になり……二度と動かなくなった。
つまり……完全に制御を失ったのだ。
……本当に逝っちまったんだな、イギー。
奴がこの数十分で行った作戦はこうだ。
まず、ダイアーから僕たちを少し離れた場所まで運ぶ。
そしてその場で、砂で作ったもう一人の『イギー』を残しておき、自分はダイアーの所まで戻る。
動かないお前を心配した僕たちは、もう一人の『イギー』を連れて勝手に安全な場所へ行く。
それだけこの『砂で作った偽のイギー』は良く出来ていたな。
一方自分は、『主人』を守りながら戦う必要が無くなり、全力でダイアーの相手をすることが出来る。
良くて相討ち。しかし悪くても足止めには充分。
確かに『露伴と康一を守って』いる。
予定は滞りなく進み……今こうして僕と康一くんは、砂の塊を心配しながら先へ進んでいる。
康一くんは……イギーが偽者だと気づいていないのかな?
いや、ひょっとしたら……気づいていない『フリ』をしているのかもな。
まあいいさ。もうすぐ放送が流れる。
嫌でも現実に引きずられるんだから、今は黙っておこう。
それにしても……なんという事を考えるんだ。
確かに僕は「守れ」とは書き込んだけど……何もここまで律儀にやる必要はないんじゃあないか……?
ここまで頭の回る犬なら、最初から書き込まなくても良かったのかもしれないな。
奴はもともと康一くんと行動していたのだから、裏切るような真似はしなかっただろう。
すまない、イギー。埋葬ぐらいなら……後でやってやるよ。
- 115 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◇fk8qEzlLPk(勝手に代行):2007/05/07(月) 23:40:08 ID:ZhZ6cU8M
- しかし……なるほどね……どうりで『神父』が『僕のスタンド』を抜き取るわけだ。
これは『天国』の『神様』が僕に下した『天罰』なんだよ。
だってそうだろう?
奴の優秀さは間違いなく荒木打倒の一員に持って来いだったんだ。
だが僕は奴の『運命』を弄んだ挙句、死に至らせてしまった……。
そんな男に……『天国への扉(ヘブンズ・ドアー)』を開く資格は無い。
フフフ……実にスゴイ体験だなあ……こんな体験、滅多にできるもんじゃあないよ。
『天罰を実際に受ける』……これを作品に生かせば……いいネタになる。
今の時点では全て妄想に過ぎないのが残念だが、これからも僕には『試練』がやってくるだろう。
そしてその『試練』は、きっとわくわくするような『体験』に違いないッ!
康一くんには申し訳ないが……ちょっぴり荒木に感謝しなければいけないなあ〜〜。
勿論……一番すべきことが何かはちゃーんとわかってるつもりさ。
わかってる……わかってるよ……?
フフフフフフ…………ハハハハ…………アハハハハ………!
【靴のムカデ屋前(F-4)/一日目/昼】
【ダイアー】
[能力名]:波紋
[状態]:軽い疲労。
[装備]:なし。(閃光弾はアヴドゥル戦で使い切り、青酸カリもイギーとの戦闘で使い果たされました)
[道具]:支給品一式(億安のものと合わせ二人分、ただし水こぼれてしまったのでありません)
[思考・状況]
1)スタンドよりも波紋が上という事を証明するためゲームに乗る(殺すのはスタンド使い優先)
2)その為にもっと勝利を渇望する。
3)ツェペリに会った時はどうしよう
4)自分を嘗める者は許さん
- 116 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◇fk8qEzlLPk(勝手に代行):2007/05/07(月) 23:40:44 ID:ZhZ6cU8M
- 【市街地(E-5)/一日目/昼】
【岸辺露伴探検隊】
【広瀬康一】
[スタンド]:『エコーズACT1・ACT2』
[状態]:疲弊/混乱
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、シャボン液、ココ・ジャンボ
[思考・状況]:
1)『亀の中にいるイギー』を急いで北の病院(C-4)か東の病院(E-6)に連れて行く。
以下、全て(1)が終わってからの優先事項です。
2)露伴の負傷を治すために仗助君を探す。
3)露伴のスタンドを取り返すためにプッチ神父を探す。
4)もっと力がほしい
5)襲ってきたアナスイへの怒り
6)打倒荒木。けど本当にできるのか不安
- 117 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◇fk8qEzlLPk(勝手に代行):2007/05/07(月) 23:41:16 ID:ZhZ6cU8M
- 【岸辺露伴】
[スタンド]:『ヘブンズ・ドアー』(プッチにDISCとして奪われた)
[状態]:重症(左脚・肋骨骨折、打撲多数、頭も打っている)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、イギーの形をした『砂』の塊(崩壊寸前)
[思考・状況]
1)自分に軽く酔ってる。(ヘブンズドアーは取り返せても、取り返せなくてもいい)
2)ヘブンズ・ドアーを奪った奴(プッチ神父)への怒りは完全に冷めました。
3)でも怪我は治したい(くそったれ仗助に治してもらうのは気が進まないが)
4)康一の荒木打倒に協力する(あくまでこっちを優先するよ? ……多分、ね)
5)漫画のネタ探しのために、荒木や『未来人』に『取材』したい
6)余裕があればイギーを埋葬したい。
[捕足1]:露伴と康一の持ち物は全て『亀』の中です。
[捕足2]:『亀』の中にいるイギーが偽者だと、康一が気づいているかどうかはわかりません。
[補足3]:プッチがヘブンズ・ドアーを盗った為に、露伴はスタンドが使えません。
[補足4]:露伴はヘブンズ・ドアーを盗られましたが、アナスイ、シュトロハイムへの命令は消えていない可能性があります。
【イギー 死亡】
【残り33人】
- 118 :Stooge(ストゥージ)は誰だ!? ◇fk8qEzlLPk(勝手に代行):2007/05/07(月) 23:42:24 ID:ZhZ6cU8M
- 行数オーバーだったんで
>>115の【靴のムカデ屋前(F-4)/一日目/昼】の上の一行を消させていただきました
あと>>116-117を2つに分けました
◆fk8qEzlLPkさん、最高に「乙」ってやつだァッ!面白かったです
- 119 :参加するカモさん:2007/05/07(月) 23:43:55 ID:StimMYcR
- ラッキーリアルタイムで投下に出会えたぜ。
乙です
- 120 :参加するカモさん:2007/05/07(月) 23:46:33 ID:bEPR/D5Z
- イギーカコイイ!!GJです
- 121 :参加するカモさん:2007/05/08(火) 00:37:08 ID:1CngBqoU
- イギー・・・
- 122 : ◆yxYaCUyrzc :2007/05/08(火) 06:32:02 ID:B6oah37e
- 投下乙&GJです!
イギーは原作のようなカッコイイ散り方でした。。
時間も放送の直前と言うことでそろそろチームの動きが固まってきましたね
放送の内容も書き手相談スレで始める頃合でしょうかね?
- 123 :参加するカモさん:2007/05/08(火) 15:52:08 ID:bxveuIhT
- 噴上・アヴドゥル・ワムウ組はこのまま放送直行でもいいかもね。
>>43の残りは全部放送直前の繋ぎだろーしなー。
徐倫とか空気杉。
- 124 : ◆C9UOxHGVmM :2007/05/08(火) 21:48:00 ID:2DzRvylz
- ◆fk8qEzlLPkさん、代行さん
乙で…す、イ、イギィィィィ〜〜〜〜ッ!!!
俺って何時もそうなんだ。
失って初めて解る…
にしても、何このダイアーさんw
悪の3巨頭(DIO、ディアボロ、プッチ)軒並み乗り越えた
ロワ最大のマーダーになってるしw
- 125 :参加するカモさん:2007/05/09(水) 17:58:06 ID:ni7VTGGt
- 82話までの地図
ttp://www.uploda.org/uporg803436.jpg.html
これで合ってる?
- 126 :参加するカモさん:2007/05/09(水) 18:56:56 ID:F8VbMjrC
- >>125
うおおおお超乙です!でも億泰はダイアーと同じ場所だったと思います。【F−5】の廃ビル8階で殺されたんだし。
- 127 :参加するカモさん:2007/05/09(水) 20:49:10 ID:ni7VTGGt
- >>126ありがとう。
ttp://www.uploda.org/uporg803599.jpg.html
ブチャチームの状態表、全身打撲ってブチャの方だっけ?
- 128 :参加するカモさん:2007/05/09(水) 20:58:49 ID:F8VbMjrC
- >>127
乙です!
「策士策に絡めとる」ではブチャが全身打撲になってますが、これは形兆の間違いかと。
カーチェイスの時に全身打撲になったんだし。「オレが生まれるためだけに」では形兆になってますよ。
- 129 : ◆fk8qEzlLPk :2007/05/10(木) 04:29:55 ID:JjeXV7qJ
- 【アナスイ】予約します。
- 130 : ◆fk8qEzlLPk :2007/05/13(日) 02:32:20 ID:pCHW3WA0
- 投下します
- 131 :幸か不幸かの「世界」 ◆fk8qEzlLPk :2007/05/13(日) 02:33:32 ID:pCHW3WA0
- ××月××日午前8時30分
小さめの帽子は、被るというより乗っけている、というべきか。
全身に纏う網目模様が一流モデルのようなプロポーションをよりエロティックに見せる。
歩く度にしゃんと揺れる長髪は、すれ違う人々なら一度は振り返ってしまうだろう。
左手には戦利品、不幸(UNLUCK)が刻まれた『幸運の剣』。
意志は、この場にいる全ての者の殲滅。
想いは、愛する人のために。
自称・空条徐倫の婚約者……名はナルシソ・アナスイ。
(【D-4】……もうすぐ【D-2】に着くぜ。狙い目は単独行動をしていて、かつ隙だらけな奴だ。
禁止エリアから脱出して、ホッと一息吐いている奴を一網打尽にしてやる。あー……痛ってぇな畜生)
負傷した右手に気をかけながら、先へ先へと闊歩する。
気分は優れないようだが、その足取りに迷いはない。
朝方に出会った岸辺露伴たちへの憎悪は、もう収まったのか……。
今は他の参加者の抹殺の為に、エリア【D-2】への移動で頭が一杯らしい。
そして時間は過ぎ、彼が【D-3】と【D-4】の境に近づいた頃……それは現れた。
(何だあれは……『支給品』の『ディバッグ』が……『二つ』!?)
アナスイの足元にある、二つの落し物。
それはどこからどう見ても支給されたバッグだ。
「こいつは実に『奇妙』だぜ……ダイバー・ダウン! 慎重にな」
- 132 :幸か不幸かの「世界」 ◆fk8qEzlLPk :2007/05/13(日) 02:34:33 ID:pCHW3WA0
-
スタンドを潜行させてバッグを隅から隅まで調べる。
一体何故バッグがここにあるのか、アナスイは知らない。
ほんの少し前に、噴上裕也が狂気に溺れて捨てていった事を。
安全を確認したのか、アナスイはバッグを開け、改めて中身を確認する。
食料、地図、水の入ったペットボトル、双眼鏡、『球』のないアイアンボールボーガンetc……
まさに、宝の山だった。
(……どうやら本当にただのバッグみてぇだな。罠でも仕掛けられていると思ってたんだが……。
このボーガンは『球』無しかよ……軟弱な武器だぜ。この折れた右腕の添え木代わりにはなるかもな)
一頻り品定めを終えたアナスイは。
ボーガンを分解し、バラバラのパーツにする。
そして穴の開いた壁に注ぐコンクリートのように、パーツ自分の右腕に埋め込んでゆく。
『改造』された右腕は、通常の機能を取り戻し、正常に筋肉を働かせているようだ。
(痛みは残るがガマンしよう。普段どおりに動かせるだけマシってなもんだ)
※ ※ ※
××月××日午前9時30分
前方に広がる雄大な湖。
風のざわめきが湖面に波を起こす。
だがナルシソ・アナスイにはこの自然の演奏が目に入らない。
彼の注意力は全て目の前に男に奪われてしまったようだ。
「こんな所で眠るなんて……どんな神経をしてるんだ? イカれてやがる」
- 133 :幸か不幸かの「世界」 ◆fk8qEzlLPk :2007/05/13(日) 02:35:14 ID:pCHW3WA0
-
湖のほとりに聳え、太陽の恵みを一枚一枚の葉で受け止めている菩提樹。
樹齢は短いであろうその守り神の根元で、眠りこける銀髪の男がいた。
すやすやと寝息をたてており、全く微動だにしない。
「双眼鏡から見た時はなんの冗談かと思ったぜ。どうぞ殺してくださいと言ってるようなもんだ」
アナスイは呆れてため息をつく。
午前9時から禁止エリアになる【D-2】からやってくる参加者を、
ハンティングしようと目論んでいた彼にとって、
そこに眠っている男(ポルナレフ)の存在はここで待ち伏せする無意味さを表していたからだ。
男がここで眠っているということは、少なくとも誰もこの【D-2】を通っていないことになる。
自分のような殺人鬼ならば容赦なく彼を殺しているはずであり、
仲間を募ろうと考えている奴なら彼を見殺しにはしないのだ。
「おそらく……俺が、最初にここでお前を見つけた人間なんだろな。
ま、恨むならお前さん自身の運の悪さと、無神経さを恨めよ」
アナスイは持っていた剣を握りしめ、寝ている男の喉元に向かって突き立てる。
剣は男の喉を掻っ捌いて、血を撒き上げ……
- 134 :幸か不幸かの「世界」 ◆fk8qEzlLPk :2007/05/13(日) 02:36:06 ID:pCHW3WA0
- 「おおッ!? グッ……ど、どうなってんだこれは!? 」
……る事はなかった。
剣の切っ先は男の喉元を外れ、反転しアナスイの足に傷をつける。
突然のことにアナスイは思わず尻餅をついてしまう。
青冷める表情を見るからに、かなり動揺しているようだ。
呆然としていたアナスイは、ハッと我に返るとすぐさま剣を振り上げて目の前の獲物に襲いかかる。
しかし、当たらない。
どれほど斬りかかろうとしても、突き刺そうとしても、剣は空を裂き、寸での所で動きを止めてしまう。
「な、何故殺せないんだ? 『殺せない』……これがこいつの『スタンド』なのか!?
いや、待て……まさか……これは岸辺露伴のした『書き込み』のせいか!? 」
アナスイはもう一度剣を掲げると、ゆっくりと男の体に当てた。
今度は何事も無く剣で『触れる』ことが出来る。
次に、アナスイは木に斬りかかる。
斬撃はそのまま自分に返ってきたようだ。
「……殺意を持たなかったらこいつに触ることが出来た。で、いざ斬ろうとすると……剣が弾かれる。
でも、木を斬ってもダメージが自分にいっちまう……だがこの寝てる男はダメージを受けねぇ。
つまりこの木は『スタンド』じゃあない。少なくともこの男のな。だが傷つけた俺自身はダメージを受ける。
……断言は出来ねぇが、ヤッベ! マジヤッベ! ……なんてふざけてる場合じゃあねえな。
洒落にならねー……『ダメージが跳ね返る』ように『書き込み』されちまったのか……?
いや待て……ならさっきのボーガンはどうして分解できたんだ……?
あ〜〜わっかんねぇ……!
とにかく……とりあえず……こいつはマジでここで寝てるってことか。……へヴィすぎるぞ」
- 135 :幸か不幸かの「世界」 ◆fk8qEzlLPk :2007/05/13(日) 02:37:33 ID:pCHW3WA0
-
アナスイは頭を掻きながら舌打ちをする。
『殺し』がしたい、でも出来ない――そんなジレンマが彼を苦しめる。
苦悩の末、アナスイは眠っている男、ポルナレフが持っているバッグを勝手に調べ始めた。
だが出てくるものは、何者かの首輪や、自分が持っている備品と同じ物ばかり。
あってもいいが、なくてもいいものばかりだった。食料は既に事足りている。
アナスイは夢にも思わなかっただろう。
そこにジョルノが蔦に変化させたスレッジ・ハンマーがあったことを。
傷つけた菩提樹が、ジョルノの『G・エクスペリエンス』によって作られた為に、ダメージが跳ね返ってきたということを。
露伴の書き込みはあくまで『殺人が出来ない』のみだということ。
「フン……菩提樹に救われたな。次に会う時にゃてめーが死体になってる事を祈ってるぜ」
捨て台詞を吐きながら、殺人鬼ナルシソ・アナスイはその場を後にした。
大樹の側で眠りこける『奇妙』な男を背にして。
※ ※ ※
××月××日午前11時40分
まもなく、第二放送が流れる。
ナルシソ・アナスイはこの6時間何をしてきただろうか。
喧嘩を売って、返り討ちにされ、落し物を見つける幸運に出会えば、
殺しが出来なくなったかもしれない、という不運に悩まされる。
果たして彼は自分の意思どおりに行動をしていたのか? 答えはNOだろう。
胸を張って前に進む事がすっかり出来なくなってしまったのだ。
- 136 :幸か不幸かの「世界」 ◆fk8qEzlLPk :2007/05/13(日) 02:38:19 ID:pCHW3WA0
- 「なぁ……こんな時お前たちならどうするんだろうな」
ある建物に向かって彼は、聞こえるか聞こえないかのトーンで語りかける。
彼にとって嘗て共に戦った仲間も、もはや敵同然だ。
真っ向から、背後から、いつでも殺せる覚悟は出来ている。
だが、動けない。
自分に絡む恐怖という呪縛が彼を立ち止まらせる。
もし、本当に今の彼が岸辺露伴のせいで殺人が出来ない状態だったとしたら、返り討ちにされるのは明白だろう。
「俺が本気で殺しにかかったら、お前たちは迷わず俺を『殺してくれる』。きっとそうだ」
しかし彼にとってはそれは耐え難いことだった。
今死ねば、彼はもう徐倫に尽くすことは出来ない。
徐倫を生き残らせることも出来ない。
そして……そんな彼が今、最も悩んでいること。
この建物に入るべきか、それとも立ち去るべきか。
仮に建物に入ったとして、一体何が出来るか。
苦悩し続けるナルシソ・アナスイの気持ちを代弁するかのように……彼の目からは水滴が流れ落ちていた。
「俺は随分と腑抜けになっちまった……もう……どうすればいいかわかんねぇ。
どうせ殺そうとしたって、きっとそれは失敗に終わっちまうんだ。
なぁ……こんな時お前たちならどうする?
- 137 :幸か不幸かの「世界」 ◆fk8qEzlLPk :2007/05/13(日) 02:39:27 ID:pCHW3WA0
- 教えてくれ………………………………………………………ウェザー…………! 」
しとしとと降り続ける雨を浴びながら、アナスイ建物に向かって嘆く。
その建物とは、【F-3】に位置する、杜王駅を南に下った先にある民家だった。
それはウェザー・リポート、エルメェス・コステロ……荒木打倒に燃えるアナスイの仲間たちが集う場所。
D-2とD-3の境目にある菩提樹を後にしたアナスイは、これまでずっと線路の西側を下っていた。
だが【F-3】まで進んだとき、彼は運が良いのか悪いのか、目に入ってしまったのだ。
空が晴れ模様なのにも関わらず雨が降る……『奇妙』な民家を。
彼は即、この謎を解いた。
間違いなくこれはウェザー・リポートが雨を降らしているのだ、と。
仲間を集めるためか、敵やプッチ神父をブチのめすためなのか彼にはわかる術もないが、
少なくともアナスイは……その民家に引き寄せられるように接近してしまったのだ。
アナスイは窓から中を覗く。
(中に……ウェザーがいる! エルメェスもだ! 倒すべき……俺の仲間がいる。だが……!)
雨は相変わらず降り続けている。
アナスイの目からも相変わらず雨の水滴が流れている。
そこに悲しみの涙が混ざっているのかは、彼にしかわからない。
出会ってしまった事を悲しむ涙が流れているのかは、彼にしかわからない。
(大人しく取り入るか、逃げるか……それしかないのかよ!? )
- 138 :幸か不幸かの「世界」 ◆fk8qEzlLPk :2007/05/13(日) 02:40:04 ID:pCHW3WA0
- 時はもうすぐ正午。
太陽は頂点に登ろうとしている。
日光は人工的に降らされている雨と触れ合い……空に虹を映していた。
【杜王駅近くの民家(F-3)/一日目/昼(放送直前)】
【ナルシソ・アナスイ】
[スタンド名]:ダイバー・ダウン
[時間軸]:対プッチ戦終盤、徐倫がプロポーズをOKした瞬間
[状態]:右前腕骨折治療完了(痛みはありますが普段通り動かせます)、精神的動揺
[装備]:『幸運?』の剣 (柄に由花子の髪が絡みついて離れない。髪の下に「UN」の血文字が隠されている)
※右腕にアイアンボールボウガンをバラバラに分解したパーツを埋め込んで補強しています。
[道具]:支給品一式×5(自分、由花子、ブラフォード、噴上、ジョナサン)。ただしバッグは一つです。
[思考・状況]
1)徐倫を護るため、あえて『殺人鬼』になる
2)徐倫以外を全て殺した後、自分も死ぬ。
3)ウェザー達のいる民家に入るのか、それとも逃げるのか考え中。
4)ウェザー達を殺すことに迷いはないが、返り討ちにされるのは間違いない。困った。
5)露伴の書き込みにより『殺人はできない』
※アナスイはとにかく『相手に殺意の攻撃が出来ない』と認識しています。
6)(本人の意識には上ってないが、なんでも分解してしまう癖が再発中)
- 139 : ◆fk8qEzlLPk :2007/05/13(日) 02:40:45 ID:pCHW3WA0
- 投下完了しました。それでは失礼します。
- 140 : ◆yxYaCUyrzc :2007/05/13(日) 12:07:30 ID:sbKpq9Wv
- 投下乙です。そしてGJ!
ダイバーダウンも一種の回復役なんですねぇと思いましたよw
今後の展開に期待出来る作品でした!
- 141 :旋頭歌 ◆6zsldeDOfM :2007/05/13(日) 12:23:20 ID:LAbqLnMt
- 投下乙でした。DDをそう使うとは・・・
- 142 :参加するカモさん:2007/05/14(月) 03:01:20 ID:bVkUaqSq
- 乙。
これは放送後が楽しみな流れ。そしてアナスイ荷物多いな。
- 143 :参加するカモさん:2007/05/15(火) 17:13:28 ID:D1mv0FDY
- 乙です。
そっか、ヘブンズドアの影響で、アスナイはヘタレになるのだ。
妙に納得。頑張れアスナイ!
- 144 :参加するカモさん:2007/05/16(水) 03:29:12 ID:BUr3b+NJ
- 残りのメンバーで第二放送までに描写が必要そうなのは
徐倫、ミドラー→ドッピオが出会った二人組みがプッチ&リキエルじゃなくてこっちだったら描写はもうイラネ。
シュトロハイム→誰もいない南東を突っ走ってるから独り言のSS一つはさめばおk。
ツェペリ→多分露伴の家の周りでウロウロしてるらしい(BYリサリサ)
噴上→混乱してD-4から東に。これも独り言ですむか?
ワムウ組→あえてSSを作るならタルカスが目覚めるか、ミキタカがワムウに喋りかけるか?
- 145 : ◆yxYaCUyrzc :2007/05/16(水) 18:42:20 ID:na9tELxb
- 独り言SSで良いのなら自己リレーになる噴上以外のキャラは出来るだけ書こうかと思います。
まだ具体的なことは未定ですので正確に決まり次第予約、投下していきたいと思います。
- 146 : ◆C9UOxHGVmM :2007/05/16(水) 20:48:20 ID:ZOgoaqrI
- >>127,128
亀ですが、全身打撲はブチャであってます。
「リゾットの攻撃による全身打撲〜」
と書けば良かったですね。
>>139
乙です。
ウェザーはアナスイに、
(少なくとも家の外に誰か居る事には)気付いていそうですね。
>>145
貴方の繋ぎSSは個人的に好きなので、
今からwktkです。
- 147 :参加するカモさん:2007/05/17(木) 21:32:01 ID:63ppPjqg
- そろそろ第二放送ですが、荒木が持ってるDIOの支給品をどうするべきでしょうか?
例えば一例として
・DIOに支給する
・ある場所の設置する(荒木が放送でそれを教える、A-1のどこか、など)
・次の第三放送までに最も殺害数の多い人物にわたす。
・支給品を持って荒木参戦(第四放送から1時間とか、限定で出没)
・バッグに教会への招待券を入れて適当な場所へ放置(参加者に探させる)
・取り敢えず第二放送時は様子見
こんな感じに。意見よろしくです。
- 148 :参加するカモさん:2007/05/18(金) 19:15:17 ID:XXK+/JCY
- >>147
したらばに書き手相談スレがあるのでそちらでお願いしたいです
こっちで書くとネタバレになっちゃうんで
- 149 :参加するカモさん:2007/05/19(土) 22:47:06 ID:xNZFibuA
- 地図が最新版に差し替えられてないんだけどWIKIに乗らないの?
- 150 :参加するカモさん:2007/05/21(月) 02:37:12 ID:0joogTql
- >>149
管理人さんしか載せられないっぽい。
最新版の地図は流れやすいろだにあげられたから取り損ねたのかな?
- 151 :参加するカモさん:2007/05/21(月) 16:24:45 ID:3K+6IkG2
- >>150
そうみたい
あんなに早いとは思わなかった。ごめん
84話 >>138まで
ttp://kasamatusan.sakura.ne.jp/cgi-bin2/src/ichi91086.jpg.html
- 152 : ◆C9UOxHGVmM :2007/05/21(月) 21:10:42 ID:myyI1hUD
- 前置き無しに投下。
此の頃斯う云うパターン多いなぁ。
- 153 :無敵の仲間にして、最悪の敵 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/21(月) 21:12:05 ID:myyI1hUD
- タタタタタッ…
ドサッ
「…っ!……ハァ…ハァ」
リキエルから逃げ出した俺は、そのまま脇目もふらずに走り続けた。
その間、誰かに遭遇していたら俺は殺されていただろう。
だが、運良く誰にも会う事は無かったようだ。
何かにつまずいて転ぶ、この時まで。
- 154 :無敵の仲間にして、最悪の敵 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/21(月) 21:14:35 ID:myyI1hUD
-
こ、ココは…ココはどこだ!?
辺りをキョロキョロと見回す。
と、見覚えのある家が目に入った。
この家は…康一の家だ。
「うおっ」
それに気付いた瞬間、俺はその場から逃げ出そうとする。
恐かったのだ、康一に会うのが。…康一に“殺されるのが”。
俺はジョナサン・ジョースターを殺した。
つまり、康一の仲間であるジョセフ・ジョースターの家族を殺したってワケだ。
そんな俺が康一や仗助に会ったら、再起不能にされちまう。
だから俺は逃げようとしたのだ…が、
立ち上がろうとして地面に手を付いた瞬間、
「痛っ」
掌に痛みが走った。
どうやら転んだ時に、小石か何かで手を切ってしまったらしい。
「ちくしょ〜」
泣きっ面に蜂だ。さっきからろくな目に遭わねぇ。
兎に角、殺されないようにさっさとおさらばしないと…
と、ここまで考えて気付いた。
もしかして、康一は家に居ないんじゃないか?
居たらとっくに姿を現しているだろうし。
念のため、ハイウェイ・スターで康一の家をざっと探る。
やはり家には誰も居なかった。
なら…
俺は康一の家へ入った。
- 155 :無敵の仲間にして、最悪の敵 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/21(月) 21:15:25 ID:myyI1hUD
-
ガチャリ
家に入り、先ずは全ての扉、窓の鍵を締めた。チェーンロックも忘れない。
これで誰も入って来れない筈。ドアや窓をぶち破って入って来ない限りは。
そして、康一の家で隠れる事が出来そうな場所を探す。
台所の棚、冷蔵庫の中、ベッドの下…
どこも隠れ場としては良くない。
これならば誰かが入って来た途端逃げ出した方が良さそうだ。
どうやら水も電気も通っていないようだ。
やはりこの町全体が水、電気の供給を止められていると考えるべきだろう。
「…と」
その時、救急箱を見つけた。
ついでなので、先ほど切った掌の応急処置をする。
「そうだ」
手当てをしている間に俺は思いついた。
今の俺は身一つ。ならば失ったディバックの代わりに、ココで食糧等を補給した方が良いだろう。
という訳で、俺はバッグを探し始めた。
丁度、康一の部屋に手頃なリュックサックがあったので、
救急箱の中から特に入り用のものを抜き取り、まとめてリュックの中へ入れる。
次に、リュックを持って居間へ行き、タオル数枚を手にして、後数枚をリュックの中へ。
そして再び台所へ向かう。今度は隠れる場所を探すためじゃない。食い物探しだ。
丁度、床下の貯蔵庫に食糧と非常用の水があったので、腹ごしらえをする事にした。
走ったせいか喉が渇いていたので水を飲み、鮭缶等を開けてもそもそと食べる。
味気ねぇ。が、贅沢はいってられねぇ。空腹が満たされるだけでも十分だ。
- 156 :無敵の仲間にして、最悪の敵 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/21(月) 21:16:47 ID:myyI1hUD
- その後、残りの食糧(主に缶詰)と水(1ℓ程度)をリュックに詰めた。
そしてリュックを居間へ置き、残りの水とタオルを持って風呂場へ向かう。
使用出来る水の量は限られていたが、歯を磨いて体を洗っておきたかったのだ。
歯ブラシは、丁度洗面台の下に未使用のがあったので、有り難く頂戴する事にした。
こんな事している内に誰かが来るかも知れないが、それとこれとは別問題。
控え目にいってもミケランジェロの彫刻のように美しいこの体は、汚れに敏感だからなぁ。
歯を磨き終え、軽く体を洗い流す事にする。
ちっ。安っぽい石鹸使ってんなぁ、康一は。
まぁ、仕方ねぇ。今はこれで我慢するか。
体を洗い流している内、恐怖は身を潜め、俺の頭はずいぶん回るようになってきた。
そしてすっきりした所で、居間に戻る。
リュックの中身はこれ位で良いだろう。これ以上詰めると、逆に重過ぎて動きにくくなるだろうしな。
地図や名簿を失ってしまったのは痛いが、手ぶらよりは大分マシだ。
取り敢えず、ココに誰かが近付いた時に逃げる準備は出来た。
後は、これからの事をどうするか考えねぇと。
俺は外から覗かれない位置に座り、考え始めた。
しかしその結果、身を潜めた恐怖が再び頭をもたげる事になる。
- 157 :無敵の仲間にして、最悪の敵 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/21(月) 21:17:48 ID:myyI1hUD
- 俺は今2人、いや、2つのチームから命を狙われている。
1つはジョースター一族。
ジョナサンを殺してしまった事で、その一族や、彼らの仲間を敵に回してしまった。
はっきりいって、こいつら相手に生き残れるはずが無い。
そして、リキエル達。
一度奴から逃げ出した以上、向こうは俺の事を既に仲間と思っていないはずだ。
朦気だが、逃げる俺に向かってリキエルが怒鳴りつけていた記憶すらある。
つまり、奴らに会っても殺される。
そんな俺はどんな行動をとれば良いのか。
@このゲームに乗り、1人で全員を皆殺しにして優勝する
Aジョースター達の仲間になる
Bリキエル達の仲間になる
Cその他のチームの仲間になる
@はありえねぇ。こんなのは自殺以外の何者でもない。
Aは難しい。俺がのこのこ姿を現して、あいつらは許してくれるだろうか。
俺だったら、絶対許さねぇ。殺されたのがアケミ達だったら、絶対に敵を討つ。
Bはもっと難しい。記憶こそあやふやだが、リキエルの最後の言葉は、俺を殺すとかそんなニュアンスだったはずだ。
そんな奴らの前に姿を現せば、殺されるのは目に見えている。
という事は、Cか。
しかし、どうやって見つける?
下手にうろつけば、俺を殺そうとしている奴らに鉢合わせしちまう。
そもそも知らない奴に会って、そいつが仲間になるという保証をどうやって得るってんだ。
俺はただ生き残りたいだけなのに、それが一番難しい。
- 158 :無敵の仲間にして、最悪の敵 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/21(月) 21:19:13 ID:myyI1hUD
- 何で、何でこんな事になっちまったんだ。
一度は冷静になりかけ、正確に状況把握しようとした頭も、やはり張子の虎だった。
考えはネガティヴになり、死の恐怖が常に付いて回る。
「どうしよう」
そして不安が口を吐いて漏れた時、頭は再び錯乱し始めた。
「〜〜〜〜〜〜っ」
両腕で膝を抱え込み、震える体を押さえ込む。
こわい、コワイ、怖い、恐い。
もう誰にも会いたくねぇ。
頼む、俺をそっとしておいてくれ。
こんな馬鹿げた殺し合いは、俺の知らない所でやってくれ。
無関係でいたいんだよ、俺は。
あぁ、でも1人で居るのは怖い。
誰か仲間が欲しい。
このまま1人で居たら、俺は恐怖の余り気が狂うかも知れねぇ。
誰か助けてくれ、
誰か―――!
- 159 :無敵の仲間にして、最悪の敵 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/21(月) 21:20:00 ID:myyI1hUD
-
* * *
此の時、噴上裕也は1人だった。
彼の言う通り、仲間と呼べる人間は、確かに誰1人居なかった。
併し、一時的にとは云え、彼はとんでもない化け物を仲間にしていたのだ。
其れを仲間にすれば、どんなスタンド使いも敵では無い。
荒木すらも、この仲間の前には無力と化す。
其れ程の強大な仲間を。
―――人は其れを、“運命”と呼ぶ。
- 160 :無敵の仲間にして、最悪の敵 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/21(月) 21:20:55 ID:myyI1hUD
-
* * *
よく耳にする言葉に、“運命を変える”と云う言葉がある。
一例を挙げると、“予め未来を知った人間が未来を変える”と云った類であろうか。
併し、此れは未来を変えた事に過ぎず、真の運命からは逃れていない。
そして其の事実に気付いていないだけなのだ。
運命は
変えられないからこそ運命なのだ。
変えられる其れは、最早運命と呼べる物ではない。
いや、“見せ掛けの運命”或いは“偽者の運命”とでも呼ぶべきか。
先程の例であれば、変えられた未来は運命では無い。
“未来を知った人間が未来を変えたと云う事実”こそが運命。
詰まり、“運命を変えた事”こそが真の“運命”なのだ。
よく耳にする言葉に、“運命を変える”と云う言葉がある。
併し、此れは偽の運命を変えた事に過ぎず、真の運命からは逃れていない。
そして其の事実に気付いていないだけなのだ。
- 161 :無敵の仲間にして、最悪の敵 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/21(月) 21:22:27 ID:myyI1hUD
-
そして、今杜王町に運命を察知出来る人間が居る。
名をリキエル。
リキエルが指し示す運命は、変えられてしまう偽者の運命の時もあれば、真の運命である時もある。
どちらであるかはリキエル自身分からない。
何しろ、リキエル自身区別が付いていないのだから。
ただし、リキエルが逃げる噴上に掛けた言葉
『次に会う時は敵だ!』
此の一言は………計らずも“真の運命”だった。
激情に駆られた口から出任せでも無く、回避出来る偽の運命でも無く、
必ず噴上に訪れる、逃れられない運命だったのだ。
だからこそ噴上は…
“リキエルに再び会う迄死ねない運命”にあった。
実際、噴上は運命により何度も死を免れていた。
リキエルから逃げ出した時、走る方角が少しでも南へ寄っていたらダイアーに遭遇していた。
康一の家の前で転ばなければ、其のままDIOの潜む吉良吉影の家へ無意識に突っ走っていた。
そして今、康一の家から出て再び東へ向かおうとしていたら、
10歩と進まない内に禁止エリアへ足を踏み込んでいた。
常に紙一重で、噴上は死を逃れている。
“噴上は、再びリキエルと相見える迄死なない運命”。
此れはリキエルにも云える事なのだが、今は噴上に話を絞ろう。
今の噴上は無敵だった。
リキエルに出会う前に噴上を殺そうという輩が居たら、そいつは運命を敵に回す事になるからである。
運命が味方している以上、噴上に死は無いのだ(敗北はあるかも知れないが)。
併し、当の本人に其の自覚は、オインゴ兄弟やチャカ戦で承太郎を助けたイギー並に無い。
- 162 :参加するカモさん:2007/05/21(月) 21:46:55 ID:vwMr210U
- 支援・・・かな?
- 163 :参加するカモさん:2007/05/21(月) 21:50:45 ID:9HcfVNIV
- 支援してほしいならその旨したらばに書いたらこの板の他のスレに書き込んで支援する 規制なら代行も承る
- 164 :無敵の仲間にして、最悪の敵 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/21(月) 22:02:08 ID:myyI1hUD
- そして噴上の無敵の“仲間”は、同時に最悪の“敵”でもあった。
運命は、同時にリキエルと再び会う事も決定していたのだから。
此れは、康一の家に隠れる位で回避出来る物ではない。
それどころか、噴上がどれだけ拒んでいても、どのような行動をとっても、
何れリキエルと再会し、殺し合う事は決定しているのだ。
そして、運命が噴上の命を保障するのは、正に其の、リキエルと出会う時迄である。
リキエルとの対峙を終えた時噴上が此の世に留まっていられるかどうか、
そして噴上がゲームを生き残れるかどうか、
運命は其の答を誰にも示唆していない。
もしかしたら、運命も未だ、其の決定をしていないかも知れない。
* * *
「俺を…放っておいてくれ…。誰か…助けてくれ…」
- 165 :無敵の仲間にして、最悪の敵 ◆C9UOxHGVmM :2007/05/21(月) 22:03:38 ID:myyI1hUD
- 【広瀬康一宅 (D-05)/一日目/昼】
【噴上裕也】
[スタンド]:『ハイウェイ・スター』
[状態]:健康。掌に僅かな傷(処置済)。錯乱
[装備]:無し
[道具]:康一のバッグ(中身:水1ℓ入ペットボトル、缶詰4個、パン2枚、タオル2枚、救急セット)
[思考]:
1)死への恐怖
2)誰にも関わりたくない。殺し合いとは無関係でいたい。一方で、1人は怖い。誰かに助けて欲しい
3)自分を敵と見做す人間(ジョースター及びリキエル一味)には会いたくない
[補足]:
1)思考2)は完全に矛盾していますが、噴上が錯乱状態であるため思考がまともで無いのが原因です。
- 166 :参加するカモさん:2007/05/21(月) 22:05:17 ID:9HcfVNIV
- 乙
でも正直リキエルと噴上が運命で守られてるってのは面白くないなと思った
因縁の闘いが遂げられるずに死ぬのも醍醐味、もちろん世代を超えた戦いとかも燃えるわけだけどね
- 167 : ◆C9UOxHGVmM :2007/05/21(月) 22:05:40 ID:myyI1hUD
- 投下完了です。
規制が…
規制がああぁぁ!!!
- 168 :参加するカモさん:2007/05/21(月) 22:14:24 ID:vwMr210U
- やっぱここもSS執筆中の支援が必要だな
- 169 : ◆aB.QAyN2wk :2007/05/21(月) 22:37:47 ID:Iktjrvq+
- シュトロハイム予約します
- 170 :参加するカモさん:2007/05/21(月) 23:33:36 ID:nNXNYcsA
- 乙です。
だけどこの内容はまずいと思います。
墳上の運命の話だけど、これはもう伏線というレベルを超えて
この後の書き手さんたちの書く話の内容を縛ってしまっています。
なので修正希望します。
- 171 :参加するカモさん:2007/05/21(月) 23:53:49 ID:qd8moA0D
- まずいよなぁ。発想は面白いんだけど。「運命」は一貫して重要なキーワードだったしね。
- 172 :参加するカモさん:2007/05/22(火) 00:04:01 ID:bdxdTPSQ
- 自分も期間限定でも生存フラグは邪魔だと思うので
修正希望です
- 173 :参加するカモさん:2007/05/22(火) 00:24:18 ID:zorrmXFS
- まとめの中の人です。
地図更新しておきました。
遅れてすいません。
>>151さんに感謝!
- 174 :参加するカモさん:2007/05/22(火) 00:39:09 ID:V8Rzl4sR
- 俺はこれでもいいと思う。本来なら書き手スレではなすべきことだが…
「運命」によって守られてる(都合のよすぎる偶然がたびたび重なる)にもかかわらず、ジョナサンに関わりのあるものが執念で敵をとる、みたいにすれば。
実質死亡フラグじゃね?マーダーにやられる可能性は減ったが
- 175 : ◆yxYaCUyrzc :2007/05/22(火) 06:38:03 ID:Bcz10bhK
- まずは◆C9UOxHGVmM 氏乙です。
俺はこのままでいいのではと思う。
もっとも俺が噴上をこういう無茶な状況にしてしまったのが問題かもしれないけど
原作のリキエル・徐倫戦のように「より強い運命が」の話で行けばいいのではないでしょうか?と。
てかしたらばでも毒吐いたけど、書いてもらってるんだから内容云々の前に乙くらい言ったらどうだ
- 176 :参加するカモさん:2007/05/22(火) 12:38:26 ID:G1mWnqFt
- 乙です。
しかしこの話は修正すべき
もし噴上がリキエルに会う前に死ぬ話が書かれたとすると
その話は「伏線を回収しなかった」「フラグを折った」ではなく
「前の話と矛盾してる」ってなるんだよ?
- 177 :参加するカモさん:2007/05/22(火) 14:29:56 ID:8oULQEcW
- 投下乙です。
話の流れは非常に面白かったです。
他の方がおっしゃってる“運命”についてですが、
「リキエルと噴上がいずれ必ず対峙する運命」というのをもっとぼかして「とにかくロワに巻き込まれる運命」に修正すればいいと思います。
噴上がどんなに嫌がっても、いずれロワに関わってしまうのは間違いないのですから。
噴上の行動や話の流れ自体に問題がない分、それだけ気になってしまったかな。
- 178 : ◆yxYaCUyrzc :2007/05/22(火) 20:13:56 ID:Bcz10bhK
- 修正云々は読み手さんと書き手さんに任せます。
俺のほうは【徐倫・ミドラー・ドッピオ】を予約します。
- 179 : ◆C9UOxHGVmM :2007/05/22(火) 21:01:08 ID:dlp3Gq/F
- レス有難う御座います。
次の書き手さんの枷になるという意見が多いようですね。
ただ、読み手の皆さんに知って頂きたい事として、伏線は書き手を縛り付けるだけの物ではありません。
実際、リキエルが南へ向かう、そして再び噴上と会う予言をしていた伏線があったからこそ、
自分は「奪われたスタンド」「頂点に立つものとして」「無敵の仲間にして最悪の敵」を
作る事が出来ました。(最後のは余計かも知れませんがw)
伏線無くして、これ等の話は生まれていません。
今回の件も、このような伏線があるからこそ、例えば
「噴上とダイアーが遭遇し、ダイアーに殺されそうになった所に偶然植木鉢が落ちてきて、
『ホントに運命が護ってるよw』」と云った話等を作れます。
読み手の皆さんも、「伏線だ。今後の書き手さんが縛られる」と考えるだけで無く、
「伏線だ。今後の書き手さんがどう生かすのか楽しみだ」と考える事も出来る事を御理解下さい。
自分も書き手の端くれですので言わせて貰うと、
書き手は伏線に縛られるだけの存在ではありません。
伏線を上手く生かす発想も、書き手の才能(と云ったら大袈裟ですが)です。
まあ、それらも程度問題である事は理解しているつもりです。
ですから、今回の件が度を越しているものなのか、
書き手スレで他の書き手さんに尋ねる事にします。
今回の伏線が度を越した束縛かどうか決めるのは読み手さんではなく書き手さんだと思いますから。
・書き手さんが許してくれた ⇒ このままで
・書き手さんが許さなかった ⇒ 修正or破棄
と云う形を取りたいと思います。
- 180 :参加するカモさん:2007/05/22(火) 21:19:46 ID:Dz8VTcEV
- ……そう言われて「破棄しろ」って言える書き手はいるのか……?
- 181 :参加するカモさん:2007/05/22(火) 21:38:00 ID:271Cp+Zz
- >>180
正当なツッコミはするだろうさ。
頭ごなしではなく、ちゃんと理論立てて意見が述べられるのならいい。
「ここがNGだから破棄だ!」「これぐらい目を潰れ!」なんて意見じゃアレだがね。
- 182 : ◆yxYaCUyrzc :2007/05/22(火) 22:32:20 ID:Bcz10bhK
- 徐倫・ミドラー・ドッピオの投下開始します。
- 183 :疑心暗鬼 ◆yxYaCUyrzc :2007/05/22(火) 22:35:10 ID:Bcz10bhK
- ど〜もさっきからおかしいのよねぇ〜。
え?何がおかしいのかって?記憶よォ、キ・オ・ク。
それがねぇ〜変なのよォ。アタシさぁ、いつの間に口の中に角砂糖入れたの?
ずっと角砂糖の入った袋を手に下げてブラブラ振り回してたけど・・・
アタシが食べるときはいつも徐倫にも「食べる?」って聞くのにね。
――まぁさっきアタシが言った事に動揺してるのか、徐倫も考え事してるみたい。
そりゃあそうよねぇ〜、自分の父親が自分のことを知らないかもしれないんだから。――
・・・とにかく、考え事をしてるせいで1テンポ反応は遅れるけど徐倫はそれでもアタシの漫才に付き合ってくれるしィ。
なのにアタシが徐倫に聞かないで食べたし、徐倫も「またミドラーの野郎がアタシに聞いてくる」みたいな表情してないもの。
どうも徐倫のほうもどっかの記憶が飛んでるみたいねぇ・・・
なんかこう・・・う〜ん、十秒くらいかな?あたしの記憶が抜けてるところ。しかも・・・飛び飛びに抜けてるみたいなのよね。
もっとも、記憶が飛んでるところが分からないんだからそれさえも曖昧なんだけど・・・
しかも今までずっと誰にも出会わないでここまで順調に来たってのに急にこの感じ。
誰か新手のスタンド使いが近くにいるのかしら?徐倫にはそんな能力なさそうだし。
そんな便利な能力もってたらとっくにアタシに攻撃するもんね。アタシならするもん。
――ふぅ。よくよく考えたらアタシ徐倫の能力マトモに知らないのよねぇ〜。まっ、別にいいんだけどさ・・・ん?
今そこの木陰から出てきたのは誰かしら?こっち見てるけどアタシの知らない顔ね・・・
なんかあの前髪は―――そう、承太郎の仲間の・・・カキョーインだっけ?あんな感じだけど。流行ってるのこの髪型?
でも別人かしら?本当はアタシの女教皇で探りを入れたいんだけどさ、ほらさっき記憶の操作されたばっかりでしょ?
なんかいやな予感がしてね。あんまり迂闊には近づかないわよ。野生の勘ってヤツかしらね?
まぁコイツの事も上手く利用できるかしら?なんか徐倫よりも動かしやすそう。正直言って弱そうだもん。アハハッ。
* * * * * * * * *
- 184 :疑心暗鬼 ◆yxYaCUyrzc :2007/05/22(火) 22:36:30 ID:Bcz10bhK
- ずっと考え事をしていたあたしでも木陰に誰かいるのはわかってた。
誰か、までは分らないしあたしの知ってる人じゃあない。だってソイツは“隠れて”るんだもの。
そりゃあ「殺し合いに乗ったから奇襲でもかけてやろうか」なブッ飛んだ奴か、
それとも「殺されたくないから仲間を探して安全にいこう」な策士か。このどっちか、と言えるんじゃない?
ソイツがこっちに出てくる。何も言わないけどミドラーもどうやら気付いてはいたみたい。こっちに声はかけてこないけどね。
え?声掛けてきたら殴るだろって?そりゃあそうだけどこの状況だもの、とりあえずコイツをどうにかやり過ごすまでは仲間割れはしないわよ。
「あの〜すいませェん」
・・・なんだこの弱々しい声。お前男だろ?もうちょっとシャキッとした話し方しろよなぁ。そんなんで水族館に入ったら身も心もタカられてボロボロになるわよ。
ったく、これじゃあエルメェスのほうがよっぽど男らしい感じがする。エルメェスには口が裂けても言えないわね・・・ってミドラー?
「なに?アタシはミドラー、こっちは徐倫よ」
――まさかとは思ったけど、テメェ勝手に話進めてんじゃねェよッ!こいつは仲間か敵かもわからない状況だぞッ!名前まで名乗りやがってッ!!
・・・まぁ、紹介されたんだ。いきなり相手の目の前でミドラーを殴らなくてもいいだろう。あたしも口を開く。
「・・・よろしく。―――あなたは?」
「あ、すいません。僕の名前はドッピオといいます。で、いきなりですいませんが僕仲間を探してずっと歩きまわってたんです。
誰か一緒にいてくれる人がいないと心細くて・・・僕と一緒にいてくれませんか?」
なるほどね。仲間探しか・・・あたし達みたいに誰か特定の人を探してないってところが少し気になるけど・・・誰も仲間とかいない訳?
ドッピオというその男が少し近づいてくる。ミドラーは何も言わなかったけどなんだか余裕を見せた表情で立ってる。この男を騙して動かそうってのか?
でもミドラーの事だ、下手したら“弾よけ”に使うかも知れないな・・・まぁ、人数がいれば次に誰か遭遇した時にもいきなり攻撃されることはないだろう。別に断る理由も・・・
――――――!!!
- 185 :参加するカモさん:2007/05/22(火) 22:36:41 ID:ZhSbSJKo
- 支援
- 186 :疑心暗鬼 ◆yxYaCUyrzc :2007/05/22(火) 22:37:29 ID:Bcz10bhK
- なんだ・・・コイツの“袖”は!?
こいつの服の右手―――その袖のところにほんの少しだけ血のようなシミが出来てる?
そう、右手そのものには血が付いてないし、服にも血なんて全然付いてないのに・・・なんで袖だけ?もしかして・・・洗ったの!?
って事はこいつはあたし達に会う前に誰かと殺り合ったのか!?だとすればコイツは「今危険な奴に追っかけられて逃げてきた」のか・・・「今さっき誰かを殺してきた」のか・・・!?
まさか・・・そうしたら今さっき何回かあった“ある時間の記憶がなくなる能力”の持ち主はもしかしてコイツ!?
どっち道ヤバいってことには変わりなさそうね――危険な奴がコイツを追っ来てるのならあたし達にも危害は及ぶし、コイツが殺して来たってのなら尚更ヤバいッ!
あたしは“水族館”にブチ込まれてから“ヤバい奴”ってのは大体の感じ―――『におい』みたいなもので何となくわかる。
まぁ・・・水族館にいた頃はどんな時、どんな場所でもあたしに近づいてくる奴らはみんなしてヤバい奴らだったけど・・・
とにかくコイツに心を開いてはマズい“ヤバい奴”だし―――もちろん、ミドラーにも。
どうしよう・・・サッパリわからない。てっとり早く二人ともブチのめすか!?でも・・・誰かに見られたりでもしたら正当防衛だとしてもあたしは“ゲームに乗った”と言われるかもしれない・・・
いや、そもそも・・・下手したら2対1になるこの状況であたしの『ストーン・フリー』に勝算はあるの?しかもコイツが推測どおり“記憶を消せる奴”だったら・・・?
どうにかしてコイツを敵か味方か判別する方法は・・・―――
あたしはどうしたらいい・・・?教えて、誰か・・・ウェザー――――オヤジ・・・
- 187 :疑心暗鬼 ◆yxYaCUyrzc :2007/05/22(火) 22:39:34 ID:Bcz10bhK
- 【杜王町南、川沿いの道(H-4)/1日目/昼(放送数十分前)】
【ドキッ! 女だらけの承太郎捜索隊】
【空条徐倫】
[スタンド]:『ストーン・フリー』
[時間軸]:『ホワイトスネイク』との初戦直後。エルメェスがスタンド使いだとは知らない。
[状態]:健常
[装備]:自動式拳銃(支給品)
[道具]:道具一式
[思考・状況]
1.コイツ(ドッピオ)をどうする?※必要ならブチのめすか?
2.ミドラーと町を移動する。
3.父親に会う。(ジョースター一族の星のアザの影響でなんとなく位置がわかるらしい)
4.ミドラーを警戒し、ミドラーの『秘密』を探る。
- 188 :疑心暗鬼 ◆yxYaCUyrzc :2007/05/22(火) 22:42:45 ID:Bcz10bhK
- 【ミドラー】
[スタンド]:『女教皇(ハイプリエステス)』
[時間軸]:DIOに承太郎一行の暗殺依頼を受けた後。
[状態]:健常
[装備]:無し
[道具]:道具一式、角砂糖(大量。手提げ袋に入っている)、テキーラ酒
[思考・状況]
1.コイツ(ドッピオ)をどうする?※手駒として動かしたい。
2.徐倫と町を移動する。
3.生き残る。
4.徐倫の信頼を得て、手駒として動かしやすくする。
そのため違う時代にいた自分達がここに存在する謎を話したが、スタンドを彼女に明かした以上に使うことは極力避ける。
5.今のところはこれ以上徒党を組む必要性を感じていないが、好みのタイプである承太郎は別。
6.程良いタイミングで徐倫を殺害し、放送で徐倫の名前が呼ばれた12時間後に『トラサルディー』へと戻る。
※徐倫は『女教皇(ハイプリエステス)』の能力を「物体に潜る事ができるだけ」だと思っています。
※徐倫・ミドラーともお互い話し合ってはいないですがキング・クリムゾンの能力を「記憶を消す能力」だと思っています。
※徐倫・ミドラーともお互いの能力を完全に理解しているわけではないですが時を消す能力の持ち主でない、と言う確信はあるようです。
- 189 :疑心暗鬼 ◆yxYaCUyrzc :2007/05/22(火) 22:47:15 ID:Bcz10bhK
- 【ディアボロ・ドッピオ(現在ドッピオ)】
[スタンド]:『キング・クリムゾン』
[時間軸]:リゾットに勝利後、ローマに向かう途中
[状態]:健康
[装備]:DIO様の投げナイフ、ミスタの拳銃
[道具]:支給品×2、またプロシュートの支給品から食料等をゲット
[思考・状況](ドッピオの思考):
1.ボスの指示通り、近付いて来る相手の素性の確認
2.向こうが僕を殺す意思が無いのなら、取りあえず行動を共にする
3.こいつらがボスの支配出来る人間かどうかを確認
4.支配出来る人間なら、共に荒木打倒を考える。無理なら機を見て殺害
[補足1]:ディアボロの思考1…ブチャラティ、ジョルノ、ナランチャ、ポルナレフ、リゾットの始末及び空条承太郎を警戒
[補足2]:ディアボロの思考2…支配される者達の探索
[補足3]:ディアボロの思考3…荒木の打倒。その後自分が支配者となる
※ドッピオは徐倫が袖口の血を見ていることに気付いていません。
- 190 :疑心暗鬼 ◆yxYaCUyrzc :2007/05/22(火) 22:49:13 ID:Bcz10bhK
- 以上で終了です。規制にかかりそうでしたが無事ここで投下完了。
以前ここに書いてくださった方で「ドッピオが出会ったのがこの2人なら描写はいらない」とありましたが、
放送前にここまで話がないのもどうかと思ったので書かせていただきました。
ドッピオがこの2人組に取り入るかどうかは次の書き手さんにお任せします。
その際必要ならしたらば、書き手相談スレで伏線(正直無いですがw)等々もお話します。
徐倫組の情報が少なかったのでかなりの部分が想像になってしまいましたが内容に矛盾等ありましたらご指摘お願いします。では。
- 191 :参加するカモさん:2007/05/22(火) 22:52:53 ID:LKNVDxks
- 乙
ちょっと短い感じもしたがドッピオと顔合わせの場繋ぎの場面だししかたないな
地味だけどこういう繋ぎがしっかりしてるからこそクライマックスが生きると思う 面白かったよ
- 192 :参加するカモさん:2007/05/22(火) 23:33:32 ID:271Cp+Zz
- 乙〜ドッピオと出会ったのがこの二人なら〜って書いたものだけど本当にこうなるとはw
次に誰に会うかで大きく運命が左右されそうだな。徐倫たちは空気化脱出かね……?
- 193 :参加するカモさん:2007/05/22(火) 23:56:04 ID:AtM35P8Q
- 投下乙です。
しかし、ラストでの徐倫の回想で『ウェザー』の名が出てくるのは、
時間軸から考えるとおかしいのでは?『ホワイトスネイク』との初戦直後では
徐倫はまだウェザーのことを知らないはず…
- 194 : ◆yxYaCUyrzc :2007/05/23(水) 06:27:24 ID:O5IRac5/
- 皆さんレスありがとうございます。
徐倫達が空気化してて話は長く書けなかったのですがまぁ繋ぎってことで。
>>193氏の意見を参考に最後の一文は修正して今日か明日にはしたらばに投下したいと思います。
ホワイトスネイクとの初戦をずっとサヴェジガーデン作戦の時と勘違いしていたもので・・・
- 195 :参加するカモさん:2007/05/23(水) 16:51:29 ID:m1iygVHn
- 「噴上はリキエルと再開するまでは死にません」
リレーの原則がどうとかはさておき、読み手の立場からするとネタバレになってるのが問題だと思う。
噴上・リキエルが同時に予約・投下されるまでは、読む前から絶対に噴上が死なないとわかってるわけじゃないですか。
リレー小説の醍醐味である、どうなるかわからない面白さが奪われるのは読み手として辛い。
- 196 :参加するカモさん:2007/05/23(水) 17:25:13 ID:NsFMePXC
- >>195
死なないってだけで
再起不能(リタイア)にならないって訳じゃないから別にいいと思うがね。
ぶっちゃけ、神父にスタンドを取られ、両手両足もぎ取られた状態で生殺し放置されても
最後にリキエルと会えれば矛盾はしないわけだし。
- 197 :参加するカモさん:2007/05/23(水) 17:31:20 ID:a7DF7gcT
- ジョジョの奇妙な芸人
http://www.tv-asahi.co.jp/ametalk/vote/index.html
- 198 :参加するカモさん:2007/05/23(水) 17:39:25 ID:M22PC0LP
- >>196に同意。
ってか、>>195の意見は
とにかく噴上SSを否定したい後付けの理由に聞こえる。
読者として辛いっていうけど、
それ位は我慢できるレベルじゃね?
- 199 :参加するカモさん:2007/05/23(水) 17:47:29 ID:NsFMePXC
- 所で、「スタンドは一人一体」が原則だが
神父のdiscを使えばその原則破れたりするん?
原作でも、神父が「部屋を溶かす幻覚をみせるスタンド」を使用したり
FFに「水が熱湯になるスタンド」を追加してたりするが。
- 200 :参加するカモさん:2007/05/23(水) 19:05:01 ID:UGk0FHmC
- >>195に同意だな
おまけに死ねないのは墳上だけじゃなくてリキエルもだな
それに墳上・リキエルを死なせたいと思ってる人はどうすればいいわけ?
その時の状況的に死ぬような状況に持ってけないんじゃなくて
死ぬような状況に持っていっても「運命」のせいだけで死なせられないってのはおかしいだろう
- 201 :参加するカモさん:2007/05/23(水) 19:10:16 ID:Zu6mGt+7
- 最悪、「○○(殺害者、死因物)の運命は、墳上のそれよりも強かった」で良くねえ?
>>180
論理として筋が通っていても、「○○が破棄させた」(○○がいなければ通っていた)って事実は変わらないわけで。
- 202 :参加するカモさん:2007/05/23(水) 19:11:40 ID:Zu6mGt+7
- ミスった>>181だorz
- 203 :R-0109 ◆eVB8arcato :2007/05/23(水) 21:32:11 ID:6/YSW5sR
- ドッギャ――z__ン
どうも、初めまして
パロロワ交流所のほうでオラオラジオをやっているR-0109と申します。
現在「パロロワ企画巡回ラジオツアー」というのをやっているのですが、そこで来る5/26の21:00からここでラジオをやらせて頂いても宜しいでしょうか?
実況スレッドとラジオアドレスは当日こちらに貼ります。
交流所はこちらになります。
ttp://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1179546165/
- 204 :参加するカモさん:2007/05/23(水) 21:37:32 ID:LVYR8wPZ
- 硬派なジョジョロワwとしてはやるとしたらせめて避難所がいいと思うんだがどうだろうか
- 205 : ◆C9UOxHGVmM :2007/05/23(水) 21:45:20 ID:NEDGCfFH
- シーザーの話を投下しようと思っていたのですが、
あまりの逆風っぷりに尻尾巻いて逃げますw
一応予約を。
【シーザー】
噴上SSは、179の結果を待って下さい。
問題ばかり吊り上げられていては、
自分のする道は破棄しかありません。
- 206 :参加するカモさん:2007/05/23(水) 22:04:31 ID:UGk0FHmC
- >>205
一応言っておきますけど、書き手は書き手スレにいる人だけとは限らないんですからね
あと修正案も出ていますが、修正の道はないんですか?
- 207 :参加するカモさん:2007/05/23(水) 22:17:33 ID:qxEbjJ4r
- >>203
感電氏乙です。
可能な限りラジオへ向かおうと思います。
- 208 :参加するカモさん:2007/05/24(木) 03:54:59 ID:TJEh1t/l
- >>206
そんなこと言うんだったら書き手スレにとっとと書き込んでくれよ。
念の為言っておくが書き手スレは読み手の書き込みもOkなんだからな?
>>203
遂にこの時が来たな……w
僕は君の行動に敬意を表するッ!
- 209 :参加するカモさん:2007/05/24(木) 04:57:11 ID:TJEh1t/l
- 連レスだが、ぶっちゃけ>>201の言うように「○○の運命は噴上達の運命より強かった」でもいいんだよなー……。
- 210 :参加するカモさん:2007/05/24(木) 10:46:06 ID:D/j7KSjK
- >>208
前に書き手スレに名無しで書き込んだらスルーされたから
- 211 :参加するカモさん:2007/05/24(木) 18:21:25 ID:09roxVpP
- 支給品がボインゴの漫画本で、それに今後の運命が描いてあるとかだったら受け入れられるんだが。
あれなら解釈次第でどうにでもなるし。
- 212 :参加するカモさん:2007/05/24(木) 19:08:48 ID:fRBcIcyv
- >>210
スルー=無視とは限らなくね? その意見を参考にして書き手さんが意見したかもしれんし。
書き込む事自体は無駄じゃあないだろう。
>>211
実はリキエルの支給品がまだ分かってない件。
それでいけなくもないけど噴上のSSを通して支給品決めるのは順序が逆のよーな……。
支給品のアイディア的には問題ないのになぁ。
- 213 :参加するカモさん:2007/05/25(金) 20:32:06 ID:6w3vf6NQ
- 169 : ◆aB.QAyN2wk :2007/05/21(月) 22:37:47 ID:Iktjrvq+
シュトロハイム予約します
書き手さん今何%くらい出来てますか?期限の3日を過ぎていますのでご一報を。
- 214 : ◆aB.QAyN2wk :2007/05/25(金) 21:20:41 ID:7gAHOwdR
- ちょっと予定と用事ができてしまいまして。
今後も書けそうにありません。
- 215 :参加するカモさん:2007/05/26(土) 16:59:05 ID:H2x5xQPl
- 今日はラジオ放送の日か……楽しみだぜ
- 216 :参加するカモさん:2007/05/26(土) 21:01:02 ID:JCqaOAdL
- http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5008/1180180757/
http://121.112.183.56:8000/
この書き込みを見て振り向いたときお前は
- 217 :参加するカモさん:2007/05/26(土) 21:08:25 ID:N4Q3hKcn
- ら じ お を き い て い る
- 218 :参加するカモさん:2007/05/26(土) 21:09:31 ID:v/S+Mrxn
- イギーの鼻にも私の探知機にも反応は無いようだが……?
- 219 :参加するカモさん:2007/05/27(日) 14:35:30 ID:QBQrtggI
- 地図に禁止エリアいれてみた。
ここ変とか、こうしたら見やすいとかあったら言ってくださいttp://www.uploda.net/cgi/uploader4/index.php?file_id=0000013814.jpg
どっかいいろだないかな
- 220 :参加するカモさん:2007/05/27(日) 15:04:10 ID:DWAYv0po
- >>219
乙です。いい感じだと思う。
個人的には時間表記の所に何日目なのかも加えたほうがいいと思う。
1日目・7:00〜みたいな感じにすればもうそこを地図を作る度に直さなくていいと思うんだ。
- 221 :参加するカモさん:2007/05/28(月) 01:38:11 ID:wOuZ+odz
- wiki書いてる人毎度乙です。
- 222 :参加するカモさん:2007/05/28(月) 16:13:20 ID:xVVYc7Tm
- ジョジョスレUPローダ
ttp://vblave.hp.infoseek.co.jp/
- 223 :参加するカモさん:2007/05/28(月) 22:37:45 ID:xhXS4eBS
- 何時も楽しみにしてるから書き手の人頑張ってくれww
- 224 :参加するカモさん:2007/05/29(火) 12:08:47 ID:/v0uSC6N
- まとめサイトの
三行で知りたいキャラの状況、
セッコにワロタwwwwww
- 225 :参加するカモさん:2007/05/29(火) 12:53:29 ID:R8vDeDkM
- wikiまとめ乙!
俺もセッコワロタ
- 226 :参加するカモさん:2007/05/29(火) 20:05:10 ID:A/dyp/OM
- wiki久しぶりに見てみたらなんてカオスなことになってるんだw
シンプルのかけらも無いなw
- 227 :参加するカモさん:2007/05/30(水) 01:20:53 ID:ro9XnZ9w
- ◆C9UOxHGVmMさんが議論中の噴上のSSを破棄して避難所の臨時SS投下スレに新たなSSを投下されましたので代理投下します。
- 228 :断末魔のエコーズ ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 01:24:40 ID:ro9XnZ9w
- イギーに会い、F・Fと一悶着起こし、露伴に会い、アナスイに襲われ、露伴が負傷し、
続け様にプッチ神父との戦闘になり、リキエルの参入により神父を取り逃がし、
露伴のスタンドが出現しなくなり、
更にダイアーに襲撃され、イギーの捨て身の行動により助けられ、イギーは命を失った。
このゲームが始まってから、康一にとっては苦難の連続であった。
そして、イギーとの出会いから始まった康一の小さな旅も、
次の邂逅を最後に、終焉を迎える事になる。
- 229 :断末魔のエコーズ ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 01:25:50 ID:ro9XnZ9w
-
* * *
僕は手の中の砂を握り締め、涙を堪えていた。
イギー…
ゴメンね。
僕は君を護ろうと、ずっと君の傍に居たのに、
今までの事を振り返ったら、君にはずっと護って貰ってばかりだった。
そして僕は、君の事を一度も護れなかった。
それどころか、僕や露伴先生の都合で君を危険に晒してばかりだった。
こんな事なら、僕は君と一緒に居ない方が良かったのかも、って思う。
そうすれば、君は今頃死なずに居る事が出来たかも知れないから。
僕は…
「康一君、気付いているかい?」
突然、頭上から露伴先生の声がした。
- 230 :断末魔のエコーズ ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 01:28:17 ID:ro9XnZ9w
- 「え?」
僕は驚いて顔を上げる。
重症だから余り歩かせないよう、露伴先生は亀の中に入って貰っていたのに。
「そんなに俯いてばかりでは、周りの事が分からないだろ?」
露伴先生に指摘されてはっと気付く。露伴先生の言う通りだ。
僕がこんな状態では、何時敵に襲われるか分からない。
もっとしっかりしなくちゃ。
「ホラ、あそこに居る、…確か、噴上といったか?
君は奴にも気付いていなかったんじゃないか?」
「…あ」
露伴先生の指差す方向には、確かに誰かが居た。
肩で息をしながら、壁に手を突いてひざまづいている。
まるで何かから全力で逃げて来たかのようだ。
彼の事を知っているらしい露伴先生に、彼が何者か訊ねる。
「露伴先生の知り合いなんですか?」
「今の君は知らないだろうけど、僕より君の方が親しいぜ。
アイツの名は噴上裕也。
最初は敵だったけど君を助けるため仲間になり、君と仗助の奴を自分の身を犠牲にして助けた事もある奴だ」
「そうなんですか」
そんな人なら、警戒する必要も無いだろう。
というよりも、多分仲間になってくれるんじゃないか。
- 231 :断末魔のエコーズ ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 01:30:24 ID:ro9XnZ9w
- 「で、どうする?」
そう訊ねてくる露伴先生に対し、当然僕の答は1つ。
「勿論、会いに行きますよ。噴上君…でしたっけ・
彼がダイアー達に会ったら危険じゃないですか」
「まぁ、そうなんだがな」
「?何か不満そうですね」
「いや、アイツが最初の頃、未だ敵の頃の噴上裕也だったら危険だと思ってね」
あ、そうか。それも判断つけずに近付くのは危険だ。
「どうにかして判断出来ませんか?」
そう露伴先生に訊ねると、あっさり答が返ってきた。
「噴上が康一君の名前を知っていれば仲間だ。
奴が康一君の名前を知るのは、仲間になった頃だからな」
そう教えてくれる割には、露伴先生はぶすっとしている。
「露伴先生。まだ何か問題が?」
そう訊ねる僕の視線から目を背け、露伴先生は呟くように言った。
「…僕は一度、あいつに負けているからな」
成程ね、渋る訳だ。
でも、露伴先生も噴上君に会う事自体は賛成らしい。
もしいやなら、いつものワガママで強引にこの場を離れる筈だ。
それに僕は、知らない人に会うと100%の確率で問題が起きたり攻撃されていたので、
(今の僕は知らないけど)友達と会えるというのが嬉しかった。
そして僕と露伴先生は一度顔を合わせ、お互い無言で頷き、2人で噴上君の下へ向かった。
- 232 :断末魔のエコーズ ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 01:33:08 ID:ro9XnZ9w
-
* * *
「ハァ、ハァ」
闇雲に走った俺は、走り疲れて遂に地面に膝を突いた。
今、何処に居るのか分からねぇ。
何処をどう走ったのかも分からねぇ。
どこかの道を曲がったような気もするし、真っ直ぐ進んだような気もする。
ただ1つだけ確かなのは、俺は未だ逃げなくちゃいけないって事だ。
ココはまだ安全じゃない。
安全な所へ、俺が死なずに済む所へ逃げないと。
ココじゃ、まだ俺を殺そうとする奴が追いついて来る。
奴らの魔の手から逃れないと。
地面に突いていた手は、いつの間にか顎を弄っていた。
「噴上君」
その時だった。
俺に声が掛けられたのは。
「!!!」
驚いて顔を上げると、そこには広瀬康一と岸辺露伴が居た。
- 233 :断末魔のエコーズ ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 01:35:13 ID:ro9XnZ9w
- 「広瀬、康一…、と岸辺、露伴?」
「あぁ良かった。露伴先生の言う通りだった」
2人が近付いて来る。
「顔色悪いけど、どこか怪我でもしたの?」
ジョセフのナカマであるコウウイチとロハンがこっちへムかってクる。
「でも、大丈夫だよ。一緒に仗助君を探そう」
ジョナサンノカタキヲウチニ、チカヅイテクル。
「………う」
オレヲコロシニ ヤッテクル
「うわああぁぁぁぁ!!!」
* * *
突然噴上君は叫び声を上げた。
何か怖い事でもあったのだろうか。
僕は取り敢えず噴上君を落ち着かせようと、近付いて声を掛け…
「噴上君!?どうし…」
「近付くなあああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜っ!!!」
ドン!!!
「………たの?」
声を掛け終える前に、お腹に強い衝撃を感じた。
- 234 :断末魔のエコーズ ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 01:36:40 ID:ro9XnZ9w
- 「え?」
視線を噴上君から腹部へ下げる。
僕の胴は、噴上君のと思われるスタンドの腕に貫かれていた。
これって、どういうことだ?
僕は、噴上君に、殺される?
ちょっと待って。彼は仲間じゃなかったのか?
露伴先生、どういう事なんですか?
僕は腹を貫かれたまま首だけ後ろに回し、露伴先生の方を見る。だが、
「康一君!!!」
露伴先生は、僕の下へ駆け寄ろうとして、
「来るなあああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!!
来ないでくれえええぇぇぇ〜〜〜〜〜〜っ!!!」
噴上君が、叫び声を上げながら僕の体からスタンドの腕を引き抜き、その手刀で露伴先生の首を
………断ち切った。
『露伴先生!』
そう声を上げたつもりが、声が全く出ない。
吹き飛んだ露伴先生の首は、血を撒き散らしながら僕の頭上を越え、路上にごろりと転がる。
僕の下へ駆け寄ろうとしていた露伴先生の胴は、まるで首が無い事に気付いていないかのようにそのまま踏み出し、
その足が地に着いて初めて………崩れ落ちた。
露伴先生が、噴上裕也に、殺された。
迂闊だった。コイツ、ゲームに乗っていたのか!
くそっ…!
だが、致命傷を負った僕は、自分の身を護る事も、露伴先生の仇を討つ事も出来ない。
今の僕に出来るのは、噴上裕也を睨みつける事くらいだった。
- 235 :断末魔のエコーズ ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 01:37:47 ID:ro9XnZ9w
- 「ハァ…ハァ…」
返り血を浴び、呆然としながら荒い息を吐く噴上裕也。
そして、僕は“それ”に気付いた。
噴上裕也のあの表情。あれは…怯え!?
「………う」
顎を弄りながら焦点の合わない目でキョロキョロと辺りを見回していた彼は、
「!!!」
僕と目が合い、
「うわああぁぁぁぁ!!!」
…逃げ出して行った。
140 :断末魔のエコーズ ◆C9UOxHGVmM:2007/05/29(火) 20:11:22
!
そうか、そういう事だったのか。
ドサツ
地面に倒れこみながら、僕は噴上裕也の表情と、僕達が殺された理由に気付いた。
彼はゲームに乗った訳じゃない。
恐怖の余り錯乱しているんだ。
致命傷を受け地面に伏しながらも、僕は未だ辛うじて生きていた。
とはいっても、それは未だ死んでいないというだけ。
そう遠く無い先、僕は死ぬ。
でも、だからといって全てを諦めてこのまま目を閉じる訳にはいかなかった。
僕には死んで欲しくない大切な友達、仲間が居るんだ。
仗助君、億泰君、承太郎さん…。
みんなにはこのゲームを生き残り、杜王町を救って欲しい。
僕が今まで会った人間、アナスイ、プッチ、リキエル、噴上。
彼らは全員危険だ。
特に噴上裕也に仗助君や億泰君が会ったら、僕と同じ目にあってしまう!
そのために僕に出来る事は…
- 236 :断末魔のエコーズ ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 01:39:29 ID:ro9XnZ9w
- 「エ…コー…ズ………act.…1」
僕はエコーズact.1を呼び出す。
ゴメンね、act.1。僕はもう助からない。だから君も…。
ホントにゴメンね。
でも、最後に力を貸してくれ。仗助君や億泰君を護る為に。
141 :断末魔のエコーズ ◆C9UOxHGVmM:2007/05/29(火) 20:11:55
エコーズact.1。僕の全生命力を使って構わない。
この危険を皆に知らせてくれ!
そしてエコーズact.1は、僕の全生命力を使用し音を出す。
「アナスイ!プッチ!リキエル!噴上はゲームに乗った!」
町中を轟かしたのではと思える程の大音量。
死の淵の人間でも、全生命力を使えばこれほどの音が出るのか。
余りの音の大きさに、音源付近にいた僕は吹き飛ばされたような感触がした。
既に目も良く見えないし耳も余り聞こえない状態なので、本当にそうなったかは分からないけど。
でも、少なくとも鼓膜は確実に破れてる。
噴上裕也が余り遠くまで逃げていないのなら、彼の耳も只では済んでいないかも知れない。
それほどの大音量だった。
それに、いつもは1単語位しか音を発する事が出来なかったのに、長い文を音に出来た。
厳密には噴上裕也はゲームに乗った訳じゃないと思うけど、
流石にそこまで詳しく音には出来ないので、ああ簡略化したが、
それでも最後に皆へ伝えたい事は言えた。
act.1。有難う。
音を出したのを最後にピクリとも動かずに消滅していったエコーズに、胸の中でお礼を言う。
- 237 :断末魔のエコーズ ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 02:05:37 ID:ehp0EFSG
-
とにかく…。
コレで…仗助君達に伝わってくれれば…良い。
仗助君…億泰…君…。どうか…生き………
あぁ、もう考える…気力も…なくなっ…て………きた。
イ…ギー…。……の世…で…会え…ら
僕……君に…謝……た…い
………………
………
…
142 :断末魔のエコーズ ◆C9UOxHGVmM:2007/05/29(火) 20:12:32
* * *
広瀬康一の魂は眠りに就いた。
第二放送が始まったのは、其れから10秒もしない内である。
紙一重の差で康一と露伴は第二放送を聴く事が出来なかった。
併し、其れは康一にとってはせめてもの救いだったのかも知れない。
第二放送を聴いていたら、康一は億泰の死と云う更なる絶望に追い遣られていただろうから。
こうして広瀬康一の小さな旅は終わりを告げた。
- 238 :断末魔のエコーズ ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 02:09:18 ID:ehp0EFSG
- 【市街地 (E-05)/1日目/昼(第二放送直前)】
【噴上裕也】
[スタンド]:『ハイウェイ・スター』
[状態]:無傷。疲労。全身に返り血。錯乱
[装備]:無し
[道具]:無し
[思考]:
1)死への恐怖
2)特に、ジョースター一味やリキエル達に出会い、殺される事への恐怖
[補足]:
1)噴上の走り去る方向は不明です。
2)エコーズの音に耳がやられたかどうかも不明です。
【市街地 (E-05)/1日目/昼(第二放送直前)】
【岸辺露伴探検隊】全滅
【広瀬康一 死亡】
【岸辺露伴 死亡】
代理投下完了しました。したらばの>>140より前は改行規制に引っかかったので
少し勝手にブツ切りして投下させていただきました
- 239 :参加するカモさん:2007/05/30(水) 02:47:02 ID:9RWdEHKV
- ケチを付ける様で悪いんですが、ハイウェイスターじゃ腹をぶち抜いたり、首を手刀で切るなんて真似は出来ないんじゃないですか?
対エニグマ戦ではシュレッダーを破壊する事も出来なかったんですよね?
- 240 :参加するカモさん:2007/05/30(水) 03:17:30 ID:ehp0EFSG
- 自分で投下しといてなんですが、まずはGJでした。
>>239
ケチをつける前に乙かGJの一言もないのは駄目ッスよ。それは失礼というもの。
それにコミックス読み返したらシュレッダーは壊れてないけど殴られた部分はべコベコにへこんでるし、破損もしてる。
そんな威力で人間の腹を殴ったり首を攻撃したら……普通死ぬわ。
- 241 : ◆yxYaCUyrzc :2007/05/30(水) 06:30:20 ID:Q13rlwok
- 乙です。内容はかなり面白かったですのでGJと言わせてもらって構いませんね!!
ハイウェイスターの能力ですが、噴上の精神が錯乱していて制御できなかった暴走状態、とか
作中では出てきてないけどホワイトスネイクの「この距離なら100%の〜」の原理か
そういう理由なら大丈夫なんじゃないでしょうか?
特に後者なら3部の1番最初に出てきた時のハイエロファント戦で「この力は女のものじゃねぇ」と言うくらい強かったりとかありましたし。
これもまた議論の必要がありそうですがずっと破棄し続けるのも良くないと思います。
- 242 :参加するカモさん:2007/05/30(水) 06:42:38 ID:G2PS763A
- 乙です!!これはまたいいフラグがたちましたね
- 243 :参加するカモさん:2007/05/30(水) 07:01:55 ID:r9vq6N/c
- 手元にある『JOJO-A-GOGO!』のスタンド名鑑を見てみた。
ハイウェイスターの基本能力は、破壊力C(人間並み)・スピードB(スゴイ)とある。
これに則って考えるなら、[人間並みのパワー]×[人間以上のスピード]で、胴体貫通や頚部切断が可能な鋭さの手刀が可能か否か……が問題になるのかな。
「てめーは俺を怒らせた」や、マン・イン・ザ・ミラーが、パープルヘイズのパンチを止めた時の様に、
スタンド使い本体の精神状態次第で基本能力以上の力を発揮できると解釈できる場面もあるが、錯乱してのパワーアップは苦しいかも……。
修正を入れるなら、「斬首は無理でも頚動脈は傷つけられる」&「貫通は無理でも内臓までは届く」としても致命傷にはなると思う。
ストーリー自体は良かったので描写の修正のみで、展開の変更は不要だと思います。
- 244 :参加するカモさん:2007/05/30(水) 08:52:56 ID:gvdWxEN8
- 投下、代行さんも含めて乙。
>>243
だから乙くらい言えってw
JOJO-A-GOGOは参考程度にした方が無難。
>>240が言うように、シュレッダーを一撃でへこますのは人間業じゃないし、
同じ「パワーC」のゴールドエクスペリエンスが、
チョコラータの7ページ無駄無駄をしている。
あんな事出来る生身の人間を俺は知らん。
このままでいいだろ。
- 245 :参加するカモさん:2007/05/30(水) 10:29:30 ID:ehp0EFSG
- >>243
確かにマン・イン・ザ・ミラーはフーゴを殴ったとき体中の骨をバキッボキッと骨折させる程度なんだが……。
同じパワーCなのに内部からとはいえ、いきなり人体を突き破って飛び出すシーンがあるアクア・ネックレスのケースもあるんだよねぇ……。
あんまり細かく気にしすぎなくてもいいんじゃないかな? どうするかはもう書き手さん任せでいいだろう。
展開には全く問題はないんだし。
- 246 :参加するカモさん:2007/05/30(水) 10:41:31 ID:fCwP7T83
- 乙です!!あまりにもあっけない露伴の最後が逆にゲームの恐ろしさを強調しててGood!!
後、ハイウェイスターの強化自体は墳上の『死にたくないッ!!』が強く作用してると考えるのはどうでしょう?
死の恐怖を乗り越えてるわけじゃないから、どちらかと言えば半暴走状態なのかも知れませんが…
この状態で次にJOJOの系譜に出会ったら…完璧に精神逝きそうな墳上…これから彼はどうなるんだろう…
- 247 :参加するカモさん:2007/05/30(水) 11:54:47 ID:6ADwZKLQ
- それにしても友達死にまくって大変だな仗助
- 248 :参加するカモさん:2007/05/30(水) 12:12:00 ID:ehp0EFSG
- >>247
ジョセフを埋葬してようやく立ち直った矢先にこれだからな。
アナスイ以上に不幸街道まっしぐらだw
- 249 :参加するカモさん:2007/05/30(水) 13:19:18 ID:0dAHKfZF
- そういえば仗助ってウェザーの顔写真付名簿を見てなかったんだっけ
- 250 :参加するカモさん:2007/05/30(水) 18:56:09 ID:gvTYGKfz
- >>249
78話の「悲劇」を読む限りまだ見てないっぽいです。
- 251 :参加するカモさん:2007/05/30(水) 20:52:51 ID:XBbGmwWi
- ニアミスだとは思いますがマーダー存在暴露に『ダイアー』が入っておりませんが…
イギーが殺された相手だけに康一が忘れている可能性は低いと思うのです。
- 252 : ◆yxYaCUyrzc :2007/05/30(水) 22:09:07 ID:Q13rlwok
- ハイウェイスターの破壊力もダイアーの名前も小さなミスだと思いますので、
そういう小さなところを修正していけばかなりいい話になると思います!
俺もそろそろ何か書かないとまた読み手に逆戻りしてしまうorz
- 253 :死せる者の為死せる者に縋る希望 ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 22:11:10 ID:gvTYGKfz
- ◆C9UOxHGVmMさんがシーザーのSSをしたらばにまた投下されたので、また今日もおせっかいな俺が代理投下しますよっと
- 254 :死せる者の為死せる者に縋る希望 ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 22:12:13 ID:gvTYGKfz
- 暫く俺は、トリッシュの事以外何も考えられなかった。
あれだけつれない態度をとり、俺との関わり合いを避けようとしていた少女は、
最後に俺を護って死んで行った。
…解っていたさ。
トリッシュが俺と常に距離を置こうとしていた理由は。
彼女は、彼女自身の身に及んでいる危険に俺を巻き込みたく無かったって事を。
だが、だからこそ俺は、その危険からトリッシュを護ろうと決意した。
なのに、その結果は…
トリッシュ。
俺は君を護れなかった。
だからこれからは、
君の為に闘うよ。
- 255 :死せる者の為死せる者に縋る希望 ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 22:22:08 ID:gvTYGKfz
-
その時だった。“ソレ”が俺の下へ戻って来たのは。
バササササッ
鳥の羽ばたく音に顔を上げると、サヴェジ・ガーデンがこちらへ向かって来る。
!!!
サヴェジ・ガーデンが戻って来たという事は、
やはりJOJOは生きていて、俺に返事を寄越して来たって事だ。
俺の考えは正しかった。
JOJOの奴、やっぱり荒木を出し抜いて死んだ振りをしてたって訳だ。
トリッシュの死に打ちひしがれていた俺は、俺の考えが正しかったという事と、
何よりJOJOが生きているという事実に救われる思いがした。
分かっていた事とはいえ、こうやって確証を得られると安心する。
待てよ。
荒木を煙に撒くほどの悪魔的な頭脳を持つ奴だ。
トリッシュの件をJOJOに相談すれば、妙案が出て来るかも知れないのではないか。
案が出て来なければ、俺の考えをJOJOに伝え、俺かJOJOが優勝するだけだ。
そう、別に俺が優勝する必要は無いのだ。
俺と意志を共にしてくれる仲間が居るのなら、その内誰か1人が優勝すれば良い。
そして、優勝した奴が荒木に蘇生を頼めば良いのだ。
『このゲームで失った仲間を蘇生させてくれ』と。
問題はJOJOが案を思い浮かばず、俺の考えにも賛同しなかった場合だが、
その可能性は限りなく低い気がする。
そもそも、下らない考えだけはポンポンと思い付くあの男が何も対策を見つけられないという事自体
先ずありえない話なのだから。
それでも万が一があった場合は、
合流して行動を共にし、御互い知恵を出し合うしか無いだろう。
そして、俺が掲げた手にサヴェジ・ガーデンは舞い降りた。
封筒を開けると、一通の手紙が入っている。
さて、JOJOの返事は…
………………
………
…
- 256 :死せる者の為死せる者に縋る希望 ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 22:28:34 ID:gvTYGKfz
-
「何だ?これは」
手紙を読み終えた後、俺は思わず間の抜けた声を発してしまった。
だが、それも仕方無い。
書いている内容が余りにも予想と掛け離れていたのだから。
先ず、返事を返してきた人間はJOJOでは無かった。この時点で十分変だ。
「おい」
俺は、手の甲から肩へ移り休んでいる鳩に向かって話し掛ける。
「クル?」
何?とでも言いたげに小首をかしげるサヴェジ・ガーデン。
「御前、本当にJOJOの下へ向かったんだろうな」
サヴェジ・ガーデンは特に反応を見せない。
まあ、鳩相手に意思の疎通を図れる筈が無いか。
とはいえ、任務をロクに果たせない鳩相手に、つい愚痴の一つも零れてしまう。
「お前、実はちゃんと相手に届ける事が出来ないんじゃないか?」
俺がそう言った途端、サヴェジ・ガーデンは肩に止まったまま思い切り羽ばたいた。
まるで俺の言葉に抗議しているかのようだ。
「分かった!分かったから!」
暴れる鳩をなだめすかし、又羽ばたかれるのも鬱陶しいので肩から地面へ下ろした。
そして再び手紙へ視線を向ける。
…俺の頭に羽毛がこびり付いていた。
- 257 :死せる者の為死せる者に縋る希望 ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 22:30:08 ID:gvTYGKfz
- ともあれ、一番気になっている部分は
『ジジイの身内』
これだ。
ジョースケという男、JOJOの身内と書いてあるが、何故JOJOをジジイと呼ぶ?
JOJOをジジイと呼ぶ身内とくれば、すぐに思い当たるのはJOJOの孫って所だろう。
という事は、JOJOは5歳位の時に子供が出来て、
そいつも5歳位の時に子供が出来た。
そして生まれたジョースケは今5〜10歳…
「そんな筈あるか!」
バシッ
「クルッ」
「………あ」
つい叩きつけた手紙が、運悪くサヴェジ・ガーデンに直撃してしまった。
「…」
奴の背後に怒りのオーラを感じる。
人間だったら、こめかみに青スジ立てているといった所か。
そして…
「クルルル!」
鳩の襲撃!!!
髪の毛をついばまれ、顔を引っ掛かれ、後頭部に体当たりされる。
波紋で大人しくさせるのは容易いが、如何せん非が自分にあるためにためらいが生じてしまう。
「悪かった!悪かったって!」
暫く平謝りする俺に容赦無く攻撃を加えるサヴェジ・ガーデン。
何てアグレッシブな鳩だ。
普通、鳩ってのは人間に攻撃を加えられたら逃げようとするモンじゃ無いのか?
そう考えながら俺は、サヴェジ・ガーデンの成すがままにされる。
そして気の済むまで俺を突っつき回したサヴェジ・ガーデンは再び地面に降り、休憩し始めた。
俺は手紙を拾い上げ、読み直す。
…俺の顔は傷だらけになっていた。
- 258 :死せる者の為死せる者に縋る希望 ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 22:31:17 ID:gvTYGKfz
- とにかく、やはりJOJOに孫が居るとは考えにくい。
そして読み返して気付いたのだが、
この手紙、実はジョースケが呼ぶ“ジジイ”がJOJO、つまりジョセフ・ジョースターの事だと書いていない。
という事は、ジョースケのいう“ジジイ”とは、JOJOとは別人と考える事が出来る。
どういう勘違いをしたのか知らないが、
ジョースケはJOJOと別の人間(ジョースケの祖父)を間違え、俺にこんな返事をよこした。
そう考える事が…
「…駄目だ」
そこまで考え、俺は頭を振る。
無理無いか?この考え。
どんな勘違いをすれば、JOJOと“ジジイ”を混同してしまうというのだ。
ジョセフ・ジョースターという名の人間が複数いるのなら解らない事も無いが、
名簿を見ても、明らかにジョセフ・ジョースターは1人だ。
やはり、本当にJOJOの身内である可能性も捨て置けないな。
その場合を考えよう。
ジョースケがJOJOの身内なら、JOJOの、そして俺の仲間となってくれるかも知れない。
ジョースケには
ニジムラ・オクヤス、ヒロセ・コーイチ、キシベ・ロハン、フンガミ・ユーヤ
という仲間が居るらしい(合流は出来ていないようだが)。
そうすれば、俺の計画も実現する可能性が高くなる。
仲間が多ければ多いほど、その内の1人が優勝する可能性は高くなるのだから。
つまり、俺のやる事は…
“ジョースケが何者か確認する”。
- 259 :死せる者の為死せる者に縋る希望 ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 22:32:21 ID:gvTYGKfz
- さて、ならばこの鳩をどうするか考えないと。
まあ、思いつく事といえば“再度JOJOへ送る”“ジョースケへ送り、合流する”のどちらかだろう。
暫く考え、俺はもう一度JOJOへ手紙を送る事に決めた。
ジョースケの事もJOJOに訊けば良いし、
ジョースケの現況はある程度把握しているが、JOJOの方は何も分かっていないから
此方を優先で知っておきたい。
だがもしかしたら、またジョースケの方へ間違って飛ぶ可能性がある。
その為、万が一ジョースケの下へ行ってしまった場合も考え、ジョースケ宛に一言付け加える事にした。
その所為でやや長い文となってしまったが、まあ、仕方無いだろう。
- 260 :死せる者の為死せる者に縋る希望 ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 22:33:04 ID:gvTYGKfz
- 『ジョセフ・ジョースター。
シーザー・アントニオ・ツェペリだ。今I-5に居る。
この、指定した相手へ手紙を送る事が出来る伝書鳩を用いて、お前へ手紙を送った。
お前が死んだ振りをして荒木をだまくらかしている事は、俺には解っている。
お前の作戦に俺も一口乗るぜ。
封筒に返信用の紙を入れているから、お前の現状(現在地や仲間)と考えを教えてくれ。
返信用の紙に書いて鳩を飛ばせば、俺の元へ辿り着くようになっている。
後、何故か1回目にお前にこいつを飛ばした時、
“ヒガシカタ・ジョースケ”というお前の身内を名乗る者の元へ辿り着いた。
お前をジジイと呼ぶ“ジョースケ”とお前の関係を、俺に教えてくれ。
最後に、お前に訊きたい事がある。
この町で会った俺の仲間、トリッシュ・ウナが何者かに殺された。
俺は、この娘を甦らせたい。
マヌケだ、なんて言うなよ。俺は本気だ。
そのためにはどうすれば良いか、お前も考えてくれないか。
シーザー・アントニオ・ツェペリ
万が一、再びジョースケに届いてしまった場合は、君の居場所を教えてくれ。
俺は君とも合流して、色々相談したい 』
- 261 :死せる者の為死せる者に縋る希望 ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 22:38:23 ID:gvTYGKfz
- 「今度はしっかりとJOJOに届けろよ」
そう一言告げ、俺はサヴェジ・ガーデンを空に放った。
バササササ…
「…?」
サヴェジ・ガーデンの飛び立った方角を眺め、俺はとある事に気付いた。
もしかして…
そう考え、バッグから地図を取り出す。
現在地がココで、サヴェジ・ガーデンの飛ぶ方角を考えると…
やはりそうだ!
サヴェジ・ガーデンは霊園、G-1へ向かっている。
ということは、JOJOはG-1を動いていないのでは?
つまり、こういう事だ。
1回目、俺が飛ばした時、JOJOはG-1に居た。
しかし、サヴェジ・ガーデンがそこに辿り着く前に、近くに居たジョースケに捕まってしまった。
そしてジョースケは俺へ返事を返した。
今、改めてJOJOに手紙を出したが、G-1を動いていないJOJOの下へ、サヴェジ・ガーデンは再び飛び立った。
そう考えるのが一番自然ではないか。
(ジョースケがG-1から動いておらず、サヴェジ・ガーデンが再びジョースケの下へ飛び立った可能性も無くは無いが、
ジョースケは町を移動すると手紙に書いてあったから、可能性としては低い)
そしてこの考えが正しければ、JOJOは何らかの理由でG-1を動いていない。
JOJOの居場所が判っているのなら、わざわざ返事を待つまでも無いだろう。
此方から出向けば良いのだ。
これからもずっと留まっているという保証は無いが、
闇雲に街中を歩くよりはずっと効率的だろう。
それに、移動中のジョースケに会える可能性もある。
「良し」
ならば向かおう、G-1へ。
そして俺は、サヴェジ・ガーデンを追って西へ向かった。
- 262 :死せる者の為死せる者に縋る希望 ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 22:41:08 ID:gvTYGKfz
- 【杜王町南(J-6)/1日目/昼】
【シーザー・アントニオ・ツェペリ】
[能力]:波紋法
[時間軸]:ゲスラーのホテルへ突入直後
[状態]:健康(鳩による傷は無視出来るレベル)。決意による精神力の安定
[装備]:無し
[道具]:支給品一式。伝書鳩サヴェジ・ガーデン(現在ジョセフの元へ飛行中)。専用の封筒残り6枚(使い捨て)。
[思考]:
1)トリッシュを生き返らせる。其れこそが彼女を死なせてしまった償いだ
2)ジョセフの下へ行く
3)彼女を生き返らせる為の方法を模索(ジョセフなら妙案が思い付くのでは?)
4)自分か、自分と考えを共にする者の優勝を目指す。其の為の仲間探しをする
5)ジョースケの素性を知りたい(ジョセフに訊くか、本人に会うか)
[補足1]:
シーザーが仲間(の可能性あり)と認識している人間は、
ジョセフ、リサリサ、シュトロハイム、祖父ツェペリ、仗助、億泰、康一、露伴、噴上
です。トリッシュから聴いていない為、ブチャラティ達の事は知りません。
徐倫達の事も、仗助がエルメェスから聴く前に鳩を飛ばしてしまったので知りません。
- 263 :死せる者の為死せる者に縋る希望 ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 23:08:03 ID:gvTYGKfz
- 【サヴェジ・ガーデン(支給品)】
サヴェジ・ガーデンは専用の封筒の宛名欄に書かれた人物に手紙を届けます。
手紙を届けた後送り主の下に戻ってくるかどうかも封筒に書く事によって指定可能です。
“手紙を届ける事”のみに関しては、天候その他どんな不測の事態にも影響を受けません。
手紙を送る事が出来る人物は此のゲームの参加者のみであり、同時に複数の人物に手紙を送る事は出来ません。
郵送時間は場所に因りますが封筒には小物程度なら何でも入ります。
首輪を探知し相手の下へ向かう為、届け先の相手が死んでいても手紙を届けます。
首輪が爆発している場合は、手紙を届けません(届け主の下から飛び立とうとしません)。
[補足]:
1)サヴェジ・ガーデンは現在ジョセフの首輪を探知して飛行中。到着迄目算2〜30分程度
2)封筒使用状況:使用済2枚、使用中1枚(ジョセフ宛)、残り7枚(返信用仕込み1枚 シーザー手持ち6枚)
156 : ◆C9UOxHGVmM:2007/05/30(水) 20:20:25
投下終了です。
どなたか代行御願い致します。
157 : ◆C9UOxHGVmM:2007/05/30(水) 20:23:19
そしていきなり見つかる間違い。
手紙ではI-5といっておきながら、
状態表では現在地J-6。
間違ってるのは手紙ですね。
他にも修正箇所出そうなので、
纏めて修正します。
- 264 :死せる者の為死せる者に縋る希望 ◇C9UOxHGVmM(代理投下):2007/05/30(水) 23:20:38 ID:gvTYGKfz
- 投下完了〜
それでは代理はクールに去るぜ
- 265 :旋頭歌 ◆6zsldeDOfM :2007/05/30(水) 23:47:26 ID:sWkuvDPR
- 2人とも乙ー
- 266 :参加するカモさん:2007/05/31(木) 04:53:28 ID:CSXs39KB
- 投下乙
鳩につつかれるシーザーかわいいなw
- 267 :参加するカモさん:2007/05/31(木) 18:23:54 ID:5yQK/u5d
- 乙です!
シーザー空回りしてるなww
でも西には徐倫組とドッピオがいるし……ちゃんと鳩を追いかけてる途中にバトルしそうな予感。
- 268 :参加するカモさん:2007/06/01(金) 08:02:16 ID:gHBdXEW+
- otsu otsu otsu・・・ oh my god!
代理さんも乙。
- 269 :参加するカモさん:2007/06/01(金) 18:52:12 ID:2SwJl2ux
- ◆C9UOxHGVmMさん、代理さん乙です。
地図遅くなってすみませんでした。
ttp://www.uploda.net/cgi/uploader4/index.php?file_id=0000014073.jpg
>>219の修正です。
- 270 :参加するカモさん:2007/06/01(金) 23:58:57 ID:9Yv3S6QO
- >>269
いつの間にか地図職人さんキテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
仕事ハヤスww
Wikiにも既に掲載されてるみたいだし、修正乙でした!!!
- 271 :参加するカモさん:2007/06/02(土) 14:54:51 ID:67BOgFTs
- 地図乙。
ジョルノは?と思ったが、よく考えると荒木が移送したんだよな。
何処にあるか明らかでない教会に・・・
- 272 : ◆yxYaCUyrzc :2007/06/03(日) 05:50:28 ID:4K+S/nBV
- 久しぶりに予約します。
【予約】空条承太郎、ウィル・A・ツェペリ
投下はおそらく今晩中になると思います
- 273 :参加するカモさん:2007/06/03(日) 14:13:51 ID:MJGcKpgB
- これは期待。ツェペリさん久々の予約ktkr
- 274 : ◆yxYaCUyrzc :2007/06/03(日) 20:41:04 ID:4K+S/nBV
- 投下開始します。
- 275 :意気投合 ◆yxYaCUyrzc :2007/06/03(日) 20:43:05 ID:4K+S/nBV
- 放送を間近に控えた昼。このD−4エリアに二人組がやってきた。
いや、正確にいえば1人と1匹だろう。人間のほうは名を空条承太郎、ペット――だろうか、人間とは思えない容姿をしたその生き物――はヨーヨーマッと言った。
彼らは自分の曾祖母からの情報を頼りに、このD−4のどこかにいるであろうウィル・A・ツェペリという男を探しにやってきたのだ。
情報によれば「彼は未だに崩れた家のあたりをうろついている筈」との事だった。
エリア内を少し歩けば、承太郎のスタンド、スタープラチナの視力を持たずとも通りに面したところで崩れている一軒の家を見つけ出すことは容易だった。
そして・・・・・・承太郎はツェペリの容姿をリサリサから聞いていたので、その家の折り重なった瓦礫に腰かけている男をすぐにツェペリだと認識できた。
その右手には水の入った小さなショットグラスが、そして、少し下がった左手には・・・メガホンが握られている。
- 276 :意気投合 ◆yxYaCUyrzc :2007/06/03(日) 20:44:12 ID:4K+S/nBV
- 「旦那様、おそらくあの男が先ほど曾御婆様がおっしゃっていられたツェペリという方なのでは・・・?」
ヨーヨーマッが沈黙を破る。どうやらまだ声はツェペリには聞こえていないらしい。承太郎は低い声で答えた。
「・・・ああ。そうだろう。だが―――俺はまだお前に喋っていいという命令はしていない。良いと言うまでマスクの中のその口を開けるんじゃあねえ」
ヨーヨーマッは申し訳なさそうにうなだれたが、そのマスクの奥の表情はわからない。承太郎は続けて、
「――俺が一人であの男と話をする。お前は何もするな。この位置に立っていろ。一歩も動くんじゃあねえ」
とだけ言い、ひとり瓦礫の山に近づく。ツェペリは何か考え事をしているのだろうか・・・グラスの中の水をぼんやりと眺めている。
相手との距離が縮まり、承太郎はツェペリの腰掛ける瓦礫のすぐ下のあたりから彼の後姿を見上げるような位置に立ち止まる。そして・・・口を開いた。
「ウィル・A・ツェペリだな?」
ツェペリが驚いたようにこちらを振り返る。当然だろう。背後から聞き覚えのない声で自分の名を呼ばれたのだから。
そして・・・・・・その振り返る時の勢いのよさと、バランスの悪い足元のせいで――――転んで瓦礫の奥にひっくり返っていった。
承太郎はあっけにとられたようにその一部始終を見ていたが、ハッと我に返り、その瓦礫に走り寄る。
「おい、大丈夫か?手を貸してやるから上がって・・・―――!!」
いない。本来ならそこにあおむけに倒れ、腰だの頭だのをさすっているであろう筈の男が姿を消したのだ。
コイツはスタンド使いなのか、とも一瞬思ったがリサリサの情報で『それはない』という結論がすぐに浮かぶ。なら一体どこへ――?
- 277 :意気投合 ◆yxYaCUyrzc :2007/06/03(日) 20:47:06 ID:4K+S/nBV
- ・・・・・・―――!!
急に背後に気配を感じた承太郎は、勢いで殴りかかろうかとでも言うような速度でバッと振り返る。
そこにはさっき自分の目の前で転んだはずのツェペリが立っていた。
その服には一切の土埃もなく、その手に握られたグラスからは・・・一滴も水はこぼれてはいなかった。
ツェペリ目はじっと承太郎の目を見つめていたが、その輝きの中には警戒心こそあれど、殺意は感じられなかった。不意にツェペリが喋り始める。
「そういう君は何者だね?どうして私の名を知っている?」
「・・・質問はひとつずつにしてもらえないか。」
承太郎のそっけない答えにツェペリは「もっともだ」というような表情をして少し笑ったが、承太郎の目にはその顔がどことなく寂しさを感じさせるように見えていた。
自分の答えで沈黙を作ってしまった承太郎は、慌てるようなそぶりはしなかったが、その場を取り繕うように、
「まぁ、良いだろう。まずは俺の名だな。俺は空条承太郎。そして、お前の名はリサリサという女から聞いた。」
と続けた。この時、承太郎にしては珍しく探りを入れるようなことを口にしなかった。その必要はないと判断したからである。
そして、その予想通り、ツェペリはその目を大きく見開き、やや興奮気味に質問を投げかけてきた。
「おぉっ、君はリサリサに出会ったというのかッ!?して、彼女はどこへ?君はなぜここに来た?・・・と、すまない。質問はひとつずつだったの。」
一気に喋り終わった後のツェペリの冷静さに承太郎は関心した。仮に・・・そう、アブドゥルやポルナレフのような『アツくなるタイプ』ならこう上手く話は進まないだろう。
- 278 :意気投合 ◆yxYaCUyrzc :2007/06/03(日) 20:48:44 ID:4K+S/nBV
- 「いや、気にしなくていい。だが答えるのはひとつずつだ。そして、すべてに答え終わってから次の質問を聞く。それまでは話を中断しての質問はなしだ。
・・・まず、俺はここの南西、E−3でリサリサにあった。そして、リサリサと出会い、情報を交換した。そこで聞いた話じゃ、俺は血縁上リサリサの曾孫にあたるらしい。
まぁとにかく全ての情報を交換し、今お前らが三手に別れて病院を襲撃する、という計画を持っていることも聞いた。で、俺はリサリサのババアに協力を頼まれた。
ババアは俺と別れ一人で別の方角・・・南へ仲間を探しに行った。その時俺はババアにこの家に寄ってから東に行くという旨を伝えた。ババアも了承したので、俺はあんたと接触しようと思ってここに来た。
・・・と、これですべての質問に答えられたかな。さあ、なにか質問は?」
一度に話し切り、承太郎が息をつくのを見とどけ、ツェペリは質問を開始した。
「ふむ・・・それなら空条承太郎・・・面倒な名前じゃな。条承、ジョウジョウ・・・・・・ジョジョじゃな。ジョジョがここに来た理由も納得がいくわい。じゃあ、質問させてもらおう。
リサリサから聞いたと思うがわしは『スタンド使い』というものではない。ジョジョはスタンドとやらを持っているのか?これが一つ目の質問じゃ。
後は・・・そうじゃな、二つ目の質問――いや、とりあえずはこれで最後かの。・・・今後の具体的な予定は何かあるかの?
わしは1度この家を離れようと思ったんじゃが、ここまで派手に壊れた家なら、このままここにいれば立ち寄る者も多いのではと思い返しここに戻って来たんじゃが。」
承太郎も、ツェペリに言い、そしてツェペリがそうしたように全ての質問が終わるまでその声に耳を傾けていた。
- 279 :意気投合 ◆yxYaCUyrzc :2007/06/03(日) 20:49:52 ID:4K+S/nBV
- 「・・・じゃあまず一つ目の質問だな。確かに俺はスタンド使いだ。スタンドは『スタープラチナ』と呼んでいる。能力は特にないが精密な動作、スピード、そして攻撃力には自信がある。普通スタンド使いでないあんたには見えないと思うんだが・・・見えるか?」
承太郎は自分の横に寄り添い立つような形になるようにスタープラチナを発現させた。『時を止められる』という能力は、承太郎自身もはっきり「出来る」と言い切れる自信がないので口にはしなかった。
「・・・おお!ジョジョ、君の横に大柄な男の像が現れたぞ!これが『スタンド』というものじゃな!シュトロハイムからその存在と特徴は聞いておったが・・・」
ツェペリが納得してくれたようなので承太郎はスタープラチナを引っ込める。これにもツェペリは驚いたが、どうやら質問をしなくてもこの驚きは自分自身で解決できたようだ。出したモノは引っ込んでいく。当然だろう。
「――で、二つ目の答えだ。俺はこの後東に向かうとは言ったが、具体性はほとんどない。ただ、俺には何人か信頼できる仲間がいる。そいつらを探し・・・全員で病院の襲撃を協力しようと思っている。」
「ふむ。納得じゃわい。・・・と、今気付いたんだが、あそこにいる人形は何かわかるかの?」
ツェペリは承太郎の背後のほうに視線を向ける。その方向を向いた承太郎は・・・深くため息をつき、ツェペリに答えた。
「あれは俺の支給品だ。ヨーヨーマッと言う、あれもスタンドだ・・・おい、こっち来い。ただし、喋るな。一切を口にするんじゃあねえぞ。
・・・俺の召使いだと本人は言っているがほとんど役立たずだ。死ぬ条件は色々とあるんだが、普通に殴っても蹴っても死にやしない。コイツのマヌケな言動のおかげでこの腕も折れちまったしな・・・」
動かない左腕を指差してもう一度ため息をついた承太郎が話し終わる頃には、待ち構えていたかのようにすばやく歩いてきたヨーヨーマッが承太郎の横にたち、少し礼をしていた、ように見えた。
おそらく、承太郎が喋るなと命令していなければ自己紹介と―――タルカスの時のような挑発ついでの尋問でもしていただろう。
「・・・ほう、面白い支給品じゃな。そしてジョジョ、君は今その腕を骨折していると言ったね?どれ、わしが直してやろうか。」
言い終えるなり、ツェペリは承太郎の腹に拳を・・・いや、正確にいえば拳から一本だけ立てた小指を叩き込んだ。
- 280 :意気投合 ◆yxYaCUyrzc :2007/06/03(日) 20:50:48 ID:4K+S/nBV
- 不思議と承太郎は防御しなかった。なぜか『平気だ』という確信があったのだ。ツェペリに向かって飛びかかろうとしたヨーヨーマッをスタープラチナで蹴り飛ばし、一歩も動かずに立ち尽くしていた。
呼吸こそできなかったが、何か体内に不思議な力が湧き上がってくるように感じていた。
「はじめのうちは少し苦しいが・・・すぐに君の“呼吸”がその痛みを消すだろう。どれ、ついでにこの火傷も少し手当てしたほうがいいじゃろ」
ツェペリは苦しみの表情を浮かべながらも立ち続ける承太郎の胸のあたりに今度は軽く掌をあてた。すると、先程まであった火傷の傷がほとんど目立たなくなっていったのだ。
「・・・っく、ハァ、ハァ・・・・・・ああ。確かに痛みがなくなった。礼を言おう。この力が、俺がババアから聞き、俺のジジイ、ジョセフ・ジョースターが使った“波紋”なのか?」
苦しみも少なくなり、手が自由になったのを腕を振りながら確かめ、承太郎はそう聞いた。
「その通り。察しがよいの。――…とにかく、これで準備は整ったの。後はいかにしてわしやジョジョの仲間を探して歩くか、じゃな。」
ツェペリの返答、そしてその提案は承太郎が切り出そうとしていた内容と全く同じだった。
「そうだな。それも、出来るだけ早いほうがいい。」
短く答える承太郎に対し、ツェペリはもう一度同じセリフを口にした。
「そうなんじゃが・・・やはり効率よく仲間を探したいものじゃろ?それをいかにして・・・・・・?」
先程までの覇気や調子の良さがどことなく抜けている気がするその口調に、承太郎は、
「そのメガホンを使えばいいんじゃあないか?」
と視線を促す。そこには承太郎の腹に小指を叩き込むためにツェペリが置いた拡声器が転がっていた。
- 281 :意気投合 ◆yxYaCUyrzc :2007/06/03(日) 20:51:47 ID:4K+S/nBV
- 「あれが使えるのか?さっきはあれから荒木とか言う男放送の声が聞こえたもんじゃから、てっきりそのための道具かと思っておったわい。
・・・しかし、あぁ、そうじゃったな。リサリサも放送が聞こえてくる前に『これは声を大きくする機械』と言っとったの。」
ツェペリが調子を取り戻し、拡声器を拾い上げる。だが承太郎はもう一言、
「そうだ・・・・・・だが、それは自分たちの居場所を相手に伝えちまうようなもんだ。」
と付け加えた。それは分りきっていた事だ。ツェペリからは、
「・・・うむ。この道具をうまく使うことさえできればのう・・・」
と言う短い返事が返ってきた。少し物思いにふけり―――何かいい手段を考え込んでいるような口調だった。
「ああ。だが・・・そうやって俺達が拡声器で居場所をさらして『殺してくれ』と言うような行為に走らなくてもいいんじゃあないか?」
あくまでも一般論だが、と付け加えようとする承太郎を遮るように、
「そうなんじゃが、だからと言ってここで黙っているわけにも・・・―――――!!」
ツェペリが言いかけ、何かひらめいた様だった。
「そうじゃ!!この手がある!!」
- 282 :意気投合 ◆yxYaCUyrzc :2007/06/03(日) 20:53:54 ID:4K+S/nBV
- 承太郎からリサリサの名前を聞いた時と同様の興奮した口調でさらに続ける。承太郎は黙って聞いていた。
「コイツじゃよ!ジョジョ、君の“召使い”に頼めばいいんじゃあないのか?さっき君は『コイツはスタンドで、死なない』と言ったじゃろ!?それを利用するんじゃよ!」
―――もっともな意見だった。承太郎は、自分がうっとーしいとしか思っていなかった奴にこんな使い道があるとは思ってもみなかった。コイツなら背後から撃たれても死にはしないし、さらに自分達が攻撃した奴の背後をとることも出来るのだ。
「・・・そうだな。たしかにコイツに放送をさせて俺達は少し離れた所に隠れていれば俺達が攻撃される心配は無いな。」
そう答えた承太郎は振り返る。すでにヨーヨーマッも頷いている。まるで『そうですよ旦那様、こういう時こそ私を使ってください』とでも言うような表情で。
「なら・・・そうだな、ここで第2放送・・あと五分くらいか。それを聞いた後にこいつに何をどう話させるか決め、ある程度放送するのに適した場所に移動すればいいだろう。」
承太郎がそう付け加えるとツェペリも、
「そうじゃな。下手にリサリサ達の名前を出すと彼女たちも狙われかねん。わしら3人で何を話すかよく考えようじゃあないか。」
と意気込んでいる。しかし承太郎は今の発言の一つだけ引っかかる点を、
「いや、こいつは今までに1度、俺のために情報を聞き出すとか言って敵を挑発し、プッツンさせたことのある奴だ。話し合いを聞くことはいいが参加させるべきではないと思う。」
とだけ修正した。自分の方がこの野郎との付き合いは長いからな、と付け加えるとツェペリもそれなら、と納得して承太郎の修正を了承した。
「・・・とにかく、今後の方針が決まったんじゃ。少しここいらで身を落ち着かせて、放送を待とうじゃあないか。」
ツェペリが切り出す。
「そうだな。・・・ああ、そうだ。あんたの事はツェペリ、と呼ばせてもらう。よろしくな。」
承太郎は返事とともに右手を差し出した。
「おう、よろしくな。ジョジョ。」
ツェペリがその手をがっしりと掴む。
そしてこの三人組・・・いや、二人組と一匹は崩れた家の・・・大通りから死角になる位置に向って歩き出した―――――。
- 283 :意気投合 ◆yxYaCUyrzc :2007/06/03(日) 20:55:19 ID:4K+S/nBV
- 岸辺露伴の家の前(D−4)/一日目/昼、第2放送5分前】
【波紋の達人と幽波紋の達人】
【ウィル・A・ツェペリ】
[能力]:波紋
[時間軸]:双首竜の間で、天地来蛇殺の鎖に捕らえられた瞬間。胴体を両断される直前。
[状態]:今までの傷はほぼ全快。 ジョナサン達を失ったことへの悲しみはあるが新たな希望によりやや興奮。
[装備]:ショットグラス×2、 水入りペットボトル(共通支給品だが、波紋カッターや波紋センサーに利用可能)
[道具]:支給品一式×2、拡声器(スポーツ・マックスの支給品) 、薬草少々(ツェペリと分けました)、岸辺露伴の手紙
[思考・状況]
1)放送を聴き、その後拡声器で話す内容について承太郎と会議をする。
2)4回放送までに病院(C−4)襲撃の為の仲間を探す。特に岸辺露伴、リサリサの知り合い。
2)参加者の中にいる吸血鬼・屍生人を倒す。
3)ジョースター卿が屍生人になっているかどうかを確かめる。もしかしたら違う?
4)スタンドの存在を自分の目で確認。疑惑は少なくなった。
[備考]:ツェペリは、荒木が『時空』に関わる力を持っているのかも、と考えましたが自信ゼロ。
これについても放送後に承太郎と検討したいと思っています。
- 284 :意気投合 ◇yxYaCUyrzc さんの代理:2007/06/03(日) 21:02:40 ID:UESNrG/s
- 【空条承太郎】
[スタンド]:スタープラチナ
[時間軸]:ロードローラーが出てくる直前
[状態]:傷はほぼ全快(動かすことに支障はない)。冷静(荒木、DIOに対しての怒りはある)
※ツェペリに「パウッ」されましたが波紋は使えません。あくまでも治療でした。
[装備]:なし
[道具]:デイパッグ
[思考]:
1)放送を聴き、その後拡声器で話す内容について承太郎と会議をする。
2)放送で仲間を募りたいが、下手に名前を出すのはまずいとも考えていて少々不安。
3)ヨーヨーマッを利用する(まさかこんな使い方があるとは。でもやっぱりウザい)
4)荒木を倒す、DIOを殺害する。駅にいた奴ら(ワムウ達)はとりあえず無視。あとでツェペリと検討したい
5)『過去の人物の名』にやや疑問
[補足1]:承太郎とリサリサが家に入る時に聞こえた音は、康一とプッチの戦闘の音です。
[補足2]:承太郎にとってリサリサは曾祖母ですが、『曾ババァ』と呼ぶのが面倒なので、承太郎から見て年取ってる人間と云う意味で『ババァ』と呼んでいます。
[補足3]:承太郎はツェペリに「ヨーヨーマッが敵を挑発した」と言いましたが敵の名がタルカスということは言っていません。後の会議で話題に出そうと思っています。
【ヨーヨーマッ(支給品)】
[現在の主人]空条承太郎(主人変更の命令があれば主人は変わる。ただし変更対象人物の同意が必要。
主人変更の命令をされた時、次の主人候補がヨーヨーマッの視界に入っていなければ命令は無効化される)
[装備]:マスク
[持ち物]:なし
[任務]:
1)承太郎を“助ける”
[補足]:
1)ヨーヨーマッは攻撃出来ない。能力も完全に封じられている(主人がヨーヨーマッ自体を利用して攻撃というのは可能かも知れない)
2)主人の命令には絶対服従。しかし、命令を曲解して受け取ることもあるかも知れない。(ヨーヨーマッを殺すような命令には従えない)
3)ヨーヨーマッは常に主人の半径20メートル以内に居なければならない
4)ヨーヨーマッの主人が死んだ時又はヨーヨーマッが規則を破ったならヨーヨーマッは消滅(荒木によってDアンGの首輪が爆破される)
5)ヨーヨーマッの思考は『やっと喋れる&主人の役に立てるでうれしい』でいっぱいです。
- 285 :参加するカモさん:2007/06/03(日) 21:03:53 ID:UESNrG/s
- 最後の最後の規制だとしたらばに投下しておりましたので代理で書き込ませていただきました
たぶんレス規制だからイベ板の適当なスレに何件か書き込まれれば治るはず
とりあえず乙です
- 286 :参加するカモさん:2007/06/03(日) 21:06:13 ID:O6ZAVLUh
- 乙!
これは、グッドなコンビが結成されたかな。
マーダーホイホイの拡声器がどのような展開をもたらすか
期待できるSSでした。
- 287 : ◆yxYaCUyrzc :2007/06/03(日) 21:12:20 ID:4K+S/nBV
- 代理さんありがとうございました。
このSSの時間軸では「康一の遺言(断末魔?)」の前ですので、
『この町の中ででかい声を出すと言う行為がどういうことか』について次の書き手さん、読み手さん等々の意見を仰ぎたいと思ってます。
俺自身初の三人称でのSSなので内容もそうですが文章的な面での指摘もありましたらお願いします。では
- 288 :参加するカモさん:2007/06/03(日) 21:26:20 ID:O6ZAVLUh
- 俺は拡声器は使ってもいいと思うな。
マーダーを呼び寄せてしまう拡声器をあえて使う展開も面白いかもしれん。
うまく行けば仲間を呼び寄せることも出来るし、
マーダーを呼び寄せてしまったためにこのコンビが削られる展開もいいと思う。
- 289 :参加するカモさん:2007/06/04(月) 11:31:45 ID:0UXxrKnq
- 問題としてはヨーヨーマッにしゃべる事を伝えたとしても、絶対に湾曲させそうで怖いw
何処かの建物から紙とペンあたりを回収して、しゃべる事書かないとえらい事なりそうだw
今の地図状況からすると『プッチ組』『墳上』『シュトロハイム』『ポルナレフ』
当たりがもっとも早く来る可能性が高いのかな?
何はともあれGJ&乙でした!!
- 290 :参加するカモさん:2007/06/05(火) 16:57:39 ID:K6tNbv1d
- 乙です。代理さんも。
いや〜読み易かったです。
1人称の文の方が書きやすいってのもあるけど、
3人称の方が場の雰囲気とか出てます。
最初の1〜2文で良い文章だと思いましたよ。
- 291 : ◆fk8qEzlLPk :2007/06/05(火) 23:10:45 ID:IUSNNwin
- 第二回放送を投下します。
- 292 :参加するカモさん:2007/06/05(火) 23:12:03 ID:eDr4DCim
- 期待=支援!
- 293 :ゲドー開催者〜第2回放送〜 ◆fk8qEzlLPk :2007/06/05(火) 23:12:37 ID:IUSNNwin
- 例えば、平凡な生き方を歩んでいる人がいるとする。
しかしその人には非凡と言えるほど、色々な出会いがあったはずなのだ。
ただ、その人が気づいていないだけで。
出会いは、全ての人に大なり小なりの影響を与えている。
本人が気づいていないとしても……人は毎日、海千山千の出会いを作っている。
人、物、環境、状況……対象への定義はない。
己の死を受け入れたとしても、出会いはある。 牢屋の中に閉じ篭っていても、出会いはある。
学校の級友に馴染めなくても、出会いはある。 肉親の復讐に立ち上がっても、出会いはある。
調査のために宇宙から来ても、出会いはある。 組織に絶対の忠誠を誓っても、出会いはある。
不器用な父親と仲が悪くても、出会いはある……
そして今、この瞬間にも出会いは生まれようとしている。
主催者と参加者を紡ぐ『放送時間』という名の『出会い』が……。
喉の調子は、相も変わらず『良好』のようだ。
鼻からこぼれる唄声が、上機嫌ぶりを奏でている。
まるで……玄関にある郵便受けから……朝刊を取りに行くように……日常の何気ない習慣のように……。
―――――――――男は、放送を流す。
- 294 :ゲドー開催者〜第2回放送〜 ◆fk8qEzlLPk :2007/06/05(火) 23:13:23 ID:IUSNNwin
- * * *
あーあー……テス、テス。
えーっと、皆聞こえてるよね? 第二回放送……始めちゃっていいかい?
ちゃんと放送が流れていないと困るんだけど……まぁいいか。
今回の放送も前回と同様に話すのでヨロシク。
まずは、日の出から正午までの6時間で死んだ参加者の名前から……発表するね。
死亡したのは――――
イギー
広瀬康一、虹村億泰、岸部露伴
ジョルノ・ジョバーナ、トリッシュ・ウナ、リゾット・ネェロ
……7人か。ちょっとペースが減ったかな。
でもこの調子でいけば……日没までには、生存者は全体の半分になるだろうね。
皆どんどん殺しあって欲しい。
お次は禁止エリア。今回新しく加えられるエリアは、また『3つ』だよ。
よーく聞いててね。該当するエリアは――――
- 295 :参加するカモさん:2007/06/05(火) 23:13:30 ID:eDr4DCim
- ああ、そんなのあったね(支援)
- 296 :参加するカモさん:2007/06/05(火) 23:14:48 ID:eDr4DCim
- このSSを支援したいんですが、構いませんねッ!
- 297 :ゲドー開催者〜第2回放送〜 ◆fk8qEzlLPk :2007/06/05(火) 23:14:50 ID:IUSNNwin
-
まず13時、つまり午後1時からG-1
次に15時、つまり午後3時からH-7
次に17時、つまり午後5時からE-8
わかったかな? G-1、H-7、E-8の3つ。
ハイ、もう言わないよ。
ちなみに。
首輪は禁止エリアに入ると爆破する仕掛けになってるんだけどさ。
実は、禁止エリアを参加者に教えてくれる機能もあるんだ。
……といっても勘違いしないでね?
あくまで『今、自分がいる場所が数分後に禁止エリアになる』時のみだからね。
警告サイレンみたいなもんかな。
それと。
君たちは私に一泡吹かせようと色々考えているみたいだけどね……!
あまり私を怒らせないほうがいいぞ。
あんまり調子に乗られると、私自身が手を下さなければならなくなるんだ。
こちらとしても、君たちへ罰を与えたという「報告」は今回限りにしたい。
『ジョルノ君は僕の元へ辿り着き、果敢に立ち向かった結果、天へ召されました』……なんて「報告」はねッ!
31人の参加者のみんな、ここまでよく残ってくれた。
次の放送は6時間後の夜だよ。
その時に、また私の声が聞けるといいね―――
- 298 :参加するカモさん:2007/06/05(火) 23:16:16 ID:eDr4DCim
-
- 299 :参加するカモさん:2007/06/05(火) 23:17:09 ID:eDr4DCim
- 支援
- 300 :ゲドー開催者〜第2回放送〜 ◆fk8qEzlLPk :2007/06/05(火) 23:17:14 ID:IUSNNwin
-
* * *
『出会い』は終わった。次に出会いは予定通りならば、6時間後。
それまで……彼以外の人物には、一体幾つの出会いが生まれるのだろうか。
男は手を後ろにまわしながら、伸びをしている。
ひとしきり体をほぐすと、彼は視線を『あれ』に向けた。
こざっぱりしたディバッグ。持ち主は、いない。
「DIO君の支給品……出番があるとしたら、次の放送かな? まだ使い時じゃあない気がする」
【教会(?-?)/一日目/昼】
【荒木飛呂彦】
[スタンド]:バトル・ロワイヤル?
[時間軸]:???
[状態]: 健康、ちょっと暇。
[装備]: ???
[道具]: ???
[思考・状況]
1:みんな私に逆らわないで欲しい。困るから。
2:DIOくんの支給品は次の放送でどうにかしよう。
3:参加者を観察し、ゲームを楽しむ
4:優勝者に『プレゼント』の存在を示唆。
- 301 :参加するカモさん:2007/06/05(火) 23:19:09 ID:eDr4DCim
- 支援するんだよぉーーー!!ジョジョォ!
- 302 : ◆fk8qEzlLPk :2007/06/05(火) 23:19:17 ID:IUSNNwin
- 投下完了しました。それでは失礼します。
- 303 :参加するカモさん:2007/06/05(火) 23:21:52 ID:eDr4DCim
- ひとまず乙。
優勝者のご褒美も明確にした方がいいかな、と思ったが
それはまたの機会でも大丈夫かな。
- 304 : ◆fk8qEzlLPk :2007/06/05(火) 23:25:19 ID:IUSNNwin
- 追伸。支援してくださった方ありがとうございました。
>>303
迷いましたがまだ二回目なので……後回しにさせて頂きました。
- 305 :参加するカモさん:2007/06/06(水) 03:41:34 ID:1ZpF0yMB
- 投下乙!
4・5部勢が一気に死んだな・・・
3部からは初の死亡者か?>イギー
- 306 : ◆yxYaCUyrzc :2007/06/06(水) 06:28:49 ID:p5+uYJav
- 乙でした!
DIOの荷物も、優勝のご褒美も、ちょっと話題に上がってた時間限定で荒木自身も参加するってのも
とりあえずは第3放送でいいと思います。
- 307 :参加するカモさん:2007/06/06(水) 07:15:52 ID:gNCKn6TW
- 乙です!ただ、海千山千はしたたかなやつって意味です
- 308 :参加するカモさん:2007/06/06(水) 07:24:27 ID:sAOQesST
- 乙です。タイトルに少し笑ってしまったw
- 309 :参加するカモさん:2007/06/06(水) 09:08:21 ID:IVTaipeB
- 乙です!
それにしても荒木め!テメーがジョルノを呼んだんだろ!
(言うまでも無いけど感想です)
- 310 : ◆fk8qEzlLPk :2007/06/06(水) 19:53:34 ID:Oan2HhvP
- >>306
了解しました。この調子でいくと次の第三放送は
本格的にDIOやワムウが参戦可能になるので祭になるでしょうねw
>>307
指摘ありがとうございます。これは知らなかった……修正させていただきます。
- 311 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 08:11:29 ID:LwM1gLhD
- 第二放送投下乙〜♪
今地図の確認をしたら霊園へ入ることが出来なくなるんだな…
死んだ人間の首輪が、爆破発動するのかどうかが非常に気になる所だ…
- 312 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 16:00:41 ID:TBs2W2b6
- ヴァニラやられてるじゃん最初にw
- 313 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 16:03:26 ID:TBs2W2b6
- >>312は>>305について
- 314 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 16:08:28 ID:KKc4JrBY
- http://ime.nu/www.tv-asahi.co.jp/ametalk/vote/index.html
ジョジョ芸人企画ッ!投票してくれッ!
- 315 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 18:43:19 ID:edlYlNsm
- だが断る
- 316 : ◆yxYaCUyrzc :2007/06/07(木) 19:22:45 ID:PHsVml2j
- 首輪は禁止エリアになったら作動しないでいいと思います。
禁止エリアで爆破って話がありにしてもそれを書けるのはジョセフ(とシーザー)くらいですし。
- 317 : ◆C9UOxHGVmM :2007/06/07(木) 21:42:53 ID:pc8kk7Kr
- 第二放送キタ――――――!!!
>>302乙です。
で、投下と予約します。
投下 避難所へ
予約 【ブチャラティ、形兆】
- 318 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 22:07:41 ID:Ag2GSerm
- 乙!
嗚呼!!ダイアーさんに死亡フラグ!?
ダイアーさんが改心したのは勿体なかったけど
ツェペリさんとの対決はかっこよかった。
いいSSだったんじゃないかな
- 319 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 22:11:58 ID:AgR1sDXp
- >>318
なにかと思ったら制限かw
乙は代理投下されてから言えよwネタバレされちゃったじゃないか
で、代理投下はどなたがするんだい?
- 320 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 22:22:45 ID:sJZSCBuG
- すまん、代行しようとしたらエラーが出て出来ない。
多分俺の知識不足だと思う。誰か頼む。
- 321 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 22:37:13 ID:AgR1sDXp
- 第二放送を聴き終え、ツェペリと俺は打合せを始めていた。
「儂の仲間で生き残っているのはリサリサ、シーザー、シュトロハイム。
お主の仲間は花京院、ポルナレフ、アブドゥルか」
「…あぁ」
ツェペリの言葉に上の空で返事する。
其れを敏感に察知したツェペリは、
「なんじゃ、気の抜けた返事をしおって」
と言って来た。
「………」
「…第二放送の死者の名に、お主の知り合いの名があったのか?」
鋭い所を突いてくる。
とはいっても、第二放送でいきなり態度が豹変しているなら、考えられる事は1つしか無いが。
「ハイ。実はイギ「テメェは黙ってろ」
又も許可無く口を開くヨーヨーマッを遮り、ツェペリに向かって話す。
「仲間の名が、1匹あった」
「そうか…」
ツェペリは押し黙る。
「のう、ジョジョよ」
暫くして口を開くツェペリに、俺は顔を上げた。
「お主のような年端もいかぬ子供には酷な話かも知れんが、悲しむのは後回しにしよう。
悲しんでいる間にも…」
「他の仲間が窮地に晒されているからかも知れないから、だろ?
解っている…」
ツェペリが皆まで言う前に言葉を引き継いだ。
ツェペリは驚いたような表情をする。
こんな所もジジィに似ているのかも知れねぇな。
ババァの言う通りだ。俺にはジジィ譲りの部分が多いらしい。
「分かっとるなら儂は何も言わん。」
「それで、後話す事は?」
- 322 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 22:37:57 ID:AgR1sDXp
- 「あぁ。今後の方針と、実は荒木について儂の思う所がある。
荒木の能力を儂なりに推察した」
「それは後回しだ」
「?」
いきなり話の腰を折られた事にイヤな顔一つせず、何故後回しなのかを純粋に訊ねるようにツェペリは首を傾げた。
「荒木については仲間と合流してからで良いだろう。
それよりも一刻も早く仲間と合流したい」
「確かにお主の言う通りじゃな。で、どうやって仲間を捜すかは考えたのかね?」
「あぁ、その拡声器を使って、仲間を呼ぶ」
「しかし、其れでは仲間以外の者も呼び寄せる事にならんか?」
ツェペリの疑問は至極当然の事。だが、それについては既に織り込み済みだ。
「だから、仲間にだけ解る合図を送る事にした」
「?」
「コレをヨーヨーマッに喋らせる」
そう言って、俺はツェペリにヨーヨーマッに喋らせる内容を記した紙を渡した。
『私は承太郎の支給品、ヨーヨーマッです。
花京院、ポルナレフ、アブドゥルに連絡です。
承太郎は4時から5時まで
運命の車輪戦の休憩所、テレンス・ダービー戦の戦場に居ます』
「…意味が解らん」
紙を見たツェペリの返事はそれだった。
「それなら俺の狙い通りって事だ。3人以外に解らない内容にしたんだからよ」
「説明をして貰って良いかのう」
「俺達は運命の車輪と闘った時、カフェで休憩した。
そしてテレンス・ダービーとカフェで戦った。
この町でカフェは1箇所しかねぇ」
「カフェ・ドゥ・マゴか」
ツェペリの言葉に肯く。
「コレをヨーヨーマッに叫ばせながら町をうろつく。
そして4時までにカフェ・ドゥ・マゴに戻り、3人を待つ」
- 323 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 22:38:44 ID:AgR1sDXp
- 「うろつくって、どこら辺をじゃ」
「此処から東へ向かうつもりだ」
俺の返事に、ツェペリは何故俺が東へ固執するのか疑問に思ったようだ。
「なぁ、お前さん。さっきから東に向かいたがっているようだが、其れは何故じゃ。
特に何か有っての事じゃないんじゃろ?」
と訊いてきた。
勿論、意味も無く東へ向かおうとしている訳じゃない。
さっきツェペリに言った通り明確な目的がある訳じゃないが、理由はある。
それをツェペリに説明する。
「何もねぇからだ」
「?」
俺の意図が見えないらしく首を傾げるツェペリに向かって、俺は地図を開く。
「今、俺達が居る場所はこの町の大体北西部に位置する。リサリサは南西部へ向かっている。
シュトロハイムとかいう奴は南東部へ向かったんだろ?」
「そうじゃ。…成程、然う云う事か」
「解ったようだな。俺達が探索していない部分は北東部のみになる。
だから俺がこのまま東へ進めば、一応町全域を探索する事になる。まあ、かなり粗いがな」
「フム。お主の言う通りじゃな。分かった。東へ向かう事に…
………!」
その時だった。ツェペリの様子が突然変わったのは。
態度が豹変した訳じゃない。まるで、何かに警戒するかのような…
!
そういう事か。
少し遅ればせながらも、俺も“ソレ”に気付いた。
ツェペリはそのまま、俺に向かって話し掛ける。
「…1つだけ用事を済ませたら、東に向かおう」
「用事?」
まあ大体の予想はついているが、念の為訊ねる。
「先程の、第二放送が始まる前の声は覚えているな?」
「あぁ。確か、アナスイ、プッチ、リキエル、ダイアー、噴上がゲームに乗ったと言ってた、あれか」
「その中に、お主の知っている名は?」
「無いな」
- 324 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 22:38:50 ID:hf3cCmLP
- 支援いる?
- 325 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 22:39:28 ID:AgR1sDXp
- 「…そうか。儂には居た。ダイアーと云う名を」
そうか。この、ダイアーという男が…
「敵か誰かか?」
俺の質問に、ツェペリは答えるのを躊躇っていた。
だが、意を決するように口を開く。その答えは
「いや、儂の………兄弟弟子じゃ」
!
流石にこの返事にはちと驚いた。
当然湧き上がる疑問を口にする。
「どういう事だ?お前の仲間はゲームに乗るような奴なのか?」
「そんな事は断じて無い!何か訳があるんじゃ。
誰かに操られたか、声の主が誤解をしたか、何か訳が…」
「それを本人に訊ねようってのか?」
「あぁ」
そこまでツェペリは俺と話し合った後、
「なぁ、ダイアーよ。お主はゲームに乗ったのか?」
そう訊ねた。
…俺達の背後に潜む男に向かって。
* * *
その姿を目にした時、俺に湧き上がる感情は非常に複雑なものだった。
師、トンペティの下で共に修行を行なったツェペリ。
御互い生きて彼と会えた事に喜びを感じない訳では無い。
だが、ツェペリに対する処遇を決めかねている内に、彼を発見してしまった。
どうするべきか。
暫く悩んだ俺は、結局ツェペリの前に姿を現す事無く、この場を去る事を決心した。
幾ら何でも、盟友を此の手で殺すのは忍びない。
だからといって、奴と一緒に行動する気も無い。
此のゲームで優勝出来るのは1人。
ツェペリと行動を共にしていたら、いずれは死合わねばならない。
- 326 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 22:40:18 ID:lZxGt2mk
- 支援ッ!!
- 327 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 22:40:41 ID:AgR1sDXp
- ならば、此の遭遇は無かった事にしよう。
そう考え、俺は気配を悟られないようにしながら踵を返した。
その刹那、
「なぁ、ダイアーよ。お主はゲームに乗ったのか?」
俺の背に、ツェペリから声が掛けられる。
気配は消していたつもりだったが、気付かれていたか。
ならば仕方ない。
俺は大人しく、物陰から姿を現した。
* * *
「久し振りだな。ツェペリ」
背後から掛けられる声に、儂は振り返りながらもう一度訊ねる。
「第二放送が始まる直前に聴こえて来た声はお主も聴こえていたな。
お主はあれの説明が出来るか?」
其の質問に、ダイアーはあっさり返事を返してきた。
「あの声は、恐らくスタンドで発したものだろう。
“スタンド”というものについて、お前は何か聞き及んでいるか?」
「あぁ」
「俺の推測では、あれは康一という人間のスタンドだ」
康一。
確か第二放送で其の名が挙がっていたな。
あれはダイイング・メッセージだったか。
其処から1つの仮説が導き出される。
出来れば当たって欲しく無い勘なのだが、確かめざるを得まい。
儂は、其の仮説を口にした。
「康一を殺したのは、お主か?」
ダイアーがこのゲームに乗っている事を認めたくなかった。
殺人を犯しているなど信じられなかった。
だから、ダイアーに否定して欲しかった。
そして、ダイアーの返事は…
- 328 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 22:41:26 ID:AgR1sDXp
- 「いや、違う」
其の返答に儂は心から安堵した。
そうか、やはりあの声は何らかの誤解があったのか。
しかし、其れも一瞬。続くダイアーの言葉は儂の希望を完全に掻き消した。
「殺そうとしたのだが、逃げられてしまった」
* * *
俺の返事を聴いたツェペリの反応は、俺の予想通りだった。
「お主は…!」
何か言おうとするツェペリの発言を遮る。
「お前の質問に答えたのだから、お前も俺の質問に答えろ。
お前はスタンド使いの事をどう思っている」
「???」
俺の質問の意図を計りかねたらしい
「どう云う意味じゃ」
と訊き返してきた。
「そのままの意味だ。お前がスタンド使いをどう思っているか」
「それは俺の事か?」
突然、帽子をかぶった奇妙な格好の男が口を挟んできた。
今の口ぶりから察するに…
「お前はスタンド使いか?」
「そうだ」
男の返事を聴き、俺は確信した。
ツェペリはスタンド使いと一緒に居る。ならば…
そして、続くツェペリの言葉が決定打となる。
「スタンド使いを一括りに見る事は出来んが、
少なくとも其処にいる男、ジョジョは仲間だと思っておるよ」
…全てはこの一言で決まった。
ツェペリに対する俺の最後の迷いは、他ならぬツェペリ自身が断ち切った。
- 329 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 22:42:09 ID:AgR1sDXp
- 「…そうか」
「質問は終わりか?」
「あぁ」
「なら儂の質問に答えてくれ、お主は…」
俺に何かを訊ねようとするツェペリ。
併し、俺はそれに答える気が無かった。
俺が奴にする事は唯一つ。
スタンド使いを仲間などとほざくコイツを………殺す!!!
「貴様の質問に答える必要は…無い!」
そして俺はツェペリに飛び掛かった。
* * *
突如、襲い掛かってくるダイアーに、儂は完全に虚を突かれた。
いや、その表現は正しくないかも知れない。
ダイアーの行動は十分予測出来たのだ。
予測は出来た。ただ、信じる事が出来なかった。
ダイアーがゲームに乗ったなどとは、ダイアーと死合わねばならないという事が。
其の為、迎撃態勢が一瞬遅れ、次の瞬間
…ダイアーが吹き飛んでいた。
「!?」
何時の間にか、儂とダイアーの間にジョジョが割り込んでいた。
何というスピード。
儂の目でも追う事が出来なかった。
「コイツが敵である事がよく解った。ちと再起不能になってもらうぜ」
儂の方へ目を向け、確認するように呟くジョジョ。
一方、ダイアーは
「邪魔立てするか。ならば2人纏めて相手してやる!」
と、立ち上がりながら叫んでいた。
- 330 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 22:43:13 ID:AgR1sDXp
- 「やれやれだぜ」
そう言ってダイアーに立ち向かおうとするジョジョの肩に、儂は手を置いた。
「?」
振り返るジョジョに向かって告げる。
「此処は手出しせんでくれ。儂がコイツに引導を渡す」
「だが…」
「この男がダイアーでなくお主の仲間だったら、お主は儂がそいつと戦うのを見ていられるか?」
「…」
「ジョジョは予定通り、拡声器を使って仲間に呼び掛けてくれ。
其の間に、儂はダイアーと決着を着けとるよ」
ダイアーを警戒しながらも、儂の目を見据えるジョジョ。
そして1つだけ条件を付けてきた。
「テメェが奴に勝つ以外の結果は認めねぇぞ」
「安心せい。儂も認めん。先に東へ向かってくれ。儂も直ぐに後を追う」
其の返事を受け、軽く口元を緩めたジョジョは、ヨーヨーマッに拡声器を持たせた。
「先に行く」
そう言って、ジョジョは先に東へ向かった。
* * *
ジョジョと呼ばれる男はこの場を去って行った。
直ぐにでも斃しに行きたいが、ツェペリがそれを許してくれそうに無い。
ならば、先ずは目の前の相手に全力を傾けよう。
俺はツェペリに向かって突進した。
対するツェペリも既に戦闘態勢に入っている。
互いの攻撃が届くまでに間合いが近付いた時、同時に拳を繰り出した。
バチイッ
互いの拳が触れ、相手の波紋に弾かれる。
「むっ」
「ぐっ」
- 331 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 22:43:56 ID:AgR1sDXp
- 態勢を立て直したのは僅かに俺の方が先。
だが、先に2撃目を放ったのはツェペリの方だった。
ドガガガッ
く、こいつ…
波紋を込めずに拳だけで攻撃して来ている!
波紋のように、一撃で相手を昏倒させられる威力こそ無いが、
溜めが不要なので、途切れないラッシュが襲い掛かってくる。
波紋の一撃を喰らわそうと一瞬でも溜めようものなら、
その隙を突かれて、拳の乱打に巻き込まれる。
こうなったら、俺も応戦だ!
ツェペリの攻撃の一瞬の間を突いて、逆にショートストレートをかます。
丁度ツェペリの顔面にカウンターを叩き込む形になり、ツェペリは仰け反った。
ダメージを与える攻撃にはならなかったが、其処により生じた隙を俺は見逃さなかった。
「ウオオオォォォ!!!」
ツェペリに向かって放てるだけの拳を放つ。
「ぐっ」
ツェペリは吹き飛び、俺は奴に止めを刺すべく拳に波紋を練る。
そして地面に倒れたツェペリに向かって波紋の一撃を喰らわそうと突進し、
ドゴッ
「ぐはっ!」
俺の腹にツェペリの足が食い込んでいた。
寝た状態で放ったツェペリの蹴りが、カウンターで入ってしまった。
急所は外れたものの、呼吸が乱れてしまった。
其処へ、ツェペリが起き上がりながら拳を繰り出し、
俺もツェペリに向かって再度攻撃をし…
「「波紋疾走!!!」」
ドガッ!!!
ツェペリの拳が俺の顔面に、俺の拳がツェペリの胸部に叩き込まれ、
2人は共に後方へ弾き飛ばされた。
ツェペリは不安定な態勢とダメージの為、俺は乱れた呼吸の為、互いに決定打を与えるには至らなかった。
- 332 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 22:45:28 ID:lZxGt2mk
- 意外ッ!それは支援ッ!
- 333 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 22:47:55 ID:3w9W1YlU
- 支援
- 334 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 22:51:02 ID:3w9W1YlU
- 支援
- 335 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 22:51:27 ID:Ag2GSerm
- ネタバレして申し訳ございませぬ支援。
- 336 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 22:51:28 ID:hf3cCmLP
- 支援
- 337 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 22:52:07 ID:Ag2GSerm
- かかったな!支援が!
- 338 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 22:53:22 ID:3w9W1YlU
- 支援
- 339 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 22:53:24 ID:Ag2GSerm
- 支援するのは俺の書き込みだッ!
- 340 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 22:53:54 ID:AgR1sDXp ?2BP(52)
-
* * *
起き上がりつつダイアーの方を見ると、ダイアーも起き上がろうとしている所だった。
「ハァ…ハァ…」
「ゼィ…ハァ…」
互いに呼吸は乱れ、波紋もベスト・コンディションの時と比べると、殆ど無力とも云える効果しか得られそうに無い。
但し、間合いが離れる事で互いに手の出しにくい状況となった。
此れを機に、ダイアーに訊ねる。
儂にとって最も重要な疑問を。
「…なぁ、ダイアーよ…。お主は何故その手を血に染める」
「…言った筈だ。…貴様の質問に答える必要は…無いと」
にべも無く回答を拒否するダイアー。
併し儂は、ダイアーの返答を諦める訳には行かなかった。
何故ダイアーがこんな事をしているのか、どうしても其の原因を知りたかったから。
「儂の知るダイアーは…、このゲームに乗るような人間では無い。
何か…理由が有るのじゃろう?
たった1つの質問じゃ…。此れだけは…答えて欲しい」
「…」
荒い息を吐いたまま暫く押し黙っていたダイアーは、やがて口を開いた。
「…億泰、アブドゥル、スタンド使いの奴らは波紋を愚弄した」
「愚弄?」
「人間を吸血鬼から護る為、師、トンペティが編み出した波紋を、
護られている奴らが見下したのだ」
「…」
「スタンドなどという天賦の才に溺れ、ロクに自らを高める努力をしない。
それでいて、人を護る為にそれこそ死ぬ思いで修行をし、吸血鬼との死闘を繰り広げる我々を愚弄する。
その様な者共を捨て置けるか!」
- 341 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 22:55:09 ID:Ag2GSerm
- 支援しますッ!御主人様!
- 342 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 22:55:25 ID:AgR1sDXp ?2BP(52)
- 其処まで話を聴いて、儂は全てを理解した。
成程。ダイアーは目を曇らせていたのか。
納得は出来ないが、理解は出来た。
ならば儂のする事は1つ。ダイアーの目を覚ますのみ。
儂はダイアーに向かって語り掛けた。
「…自分で言って、気付かんのか」
「何?」
「波紋は何の為に生み出された?
人を護る為じゃ。人を殺める為のものではない。
今おぬしがやっているのは、波紋戦士の教えと対極に位置するじゃろうが」
儂の一言に明らかに動揺するダイアー。
「…っ!違う!
俺は奴らに波紋を侮辱されたから…」
「お主の誇りの高さは良く知っておるよ。
しかし、『バカにされたから殺す』など、子供でもせんぞ、そんな事。
だからこそ、お主に忠告しよう。
波紋戦士としての真の誇りを取り戻せ。
波紋が、手当たり次第人を殺める様な陳腐な能力で無い事を思い出せ」
「う、うるさいうるさい!
波紋を愚弄する輩を見逃せというのなら…
貴様も粛清する!」
* * *
ツェペリの話を聴くたび、俺の頭は混乱していった。
これ以上、奴の話を聴いてはいけない!
乱れた呼吸は整った。今なら最大の波紋を込め、奴を殺せる!
併しツェペリは喋り続けた。
「成程、儂を殺す気か。併し、お主に儂は殺せんよ。
何故なら…」
- 343 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 22:56:28 ID:Ag2GSerm
- 俺が支援した…「9秒」の時点でな…
そして書き込みできた…やれやれだぜ
- 344 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 22:56:47 ID:AgR1sDXp ?2BP(52)
- 「!!!」
ツェペリが何を言わんとしているのか、俺は気付いた。
併し、それを口にさせる訳にはいかない。
その前に、口を封じねば…!
「だ、黙れ…」
奴が言おうとしているのは…
「お主の其れは、只の殺人拳。其れは決して…」
…俺にとって最大の侮辱。
「波紋では無い!!!」
「黙れと言ってるんだあああぁぁぁ!!!!!!」
ドガッ!!!
渾身の力を込め、最高の波紋を練った拳を、ツェペリの額に叩き付ける。
今までの俺の中で、間違いなく最強の拳だ。
死んだ!!!
俺はそう確信した。
なのに…
「………っ」
「なっ!!!」
ツェペリはよろけながらも、その場に踏み止まった。
「ば…馬鹿な」
俺の全身全霊と最高の波紋を込めた俺の最強の拳を、ツェペリは耐えた。
何故だ?何故耐えられる?
ツェペリの額に叩き込んだままだった俺の腕は、力が抜けてだらんと垂れ下がる。
額から血を流しながらも、ツェペリは直立不動の態勢を崩さない。
そして静かに口を開いた。
「ダイアーよ。お主の拳には渾身の力が込められていた。最高の波紋も練れていた。
併し、只1つ抜け落ちていたものがあった。其れが何か、分かるか?」
- 345 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 22:57:30 ID:Ag2GSerm
- 愛=支援!!
- 346 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 22:58:09 ID:AgR1sDXp ?2BP(52)
- 「…」
「心じゃよ」
!!!
ツェペリの其の一言を耳にした時、俺の最強の拳をツェペリが耐えた理由に漸く気付いた。
答はこの上なく単純だった。
“あの一撃は、俺の最強の拳ではなかったのだ”。
「黄金の精神をその身に宿す者にこそ、波紋は真の力を開放する。
心を失ったお主の波紋は、紛い物じゃ」
そこまで話し、ツェペリは拳に波紋を集中させ始める。
だが全てを悟った俺は、この拳をよけようという気がなかった。
気が抜けた訳じゃない。寧ろ逆だ。
俺は理解したのだ。今からツェペリが放つのは、俺の目を覚ます為の一撃。
波紋戦士としての真の誇りを取り戻す為、俺はこの一撃を受けなくてはならないという事に。
「その身に刻み込むが良い。そして思い出せ。
此れが師の教え…」
ツェペリは一旦拳を引き…
「此れが波紋じゃあああぁぁぁ〜〜〜っ!!!」
真の波紋の一撃を、俺に叩き込んだ。
力、波紋、そして心も込めたその一撃を受けた俺の体は、宙に舞った。
あぁ…
…思い出したよ。
* * *
- 347 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 22:59:04 ID:Ag2GSerm
- 薔薇入りの支援は痛かろう…
- 348 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 22:59:15 ID:AgR1sDXp ?2BP(52)
- 「私は承太郎の支給品、ヨーヨーマッです。
花京院、ポルナレフ、アブドゥルに連絡です。
承太郎は4時から5時まで
運命の車輪戦の休憩所、テレンス・ダービー戦の戦場に居ます」
「もっと大きな声を出せ」
「私は承太郎の支給品、ヨーヨーマッです!
花京院、ポルナレフ、アブドゥルに連絡です!
承太郎は4時から5時まで
運命の車輪戦の休憩所、テレンス・ダービー戦の戦場に居ます!」
「もっとだ」
「私は!!!承太郎の支給品!!!ヨーヨーマッです!!!
花京院!!!ポルナレフ!!!アブドゥルに連絡です!!!
承太郎は!!!4時から5時まで!!!
運命の車輪戦の休憩所!!!テレンス・ダービー戦の戦場に居ます!!!」
コレ位の声なら、結構な距離聴こえるだろう。
「そのまま予定通り東へ向かうぞ。テメェは言われた事以外の事は何もするな」
―――そう言って、ヨーヨーマッの20m後ろを東へ向かって歩き始めたのが30分ほど前。
そして今、そのまま何事も無く、この“広瀬康一の家”まで辿り着いた。
この先は禁止エリアだ。
取り敢えずヨーヨーマッを静かにさせ、どうしようか迷っている所へ、
「少々遅刻気味じゃったかな。申し訳ない」
と、後ろから声が掛けられた。
声を掛けられる前から気配には気付いていたが、
何だかんだで無事合流出来た事に安堵した。
「無事だったか」
そう言って振り返ると、ツェペリはあのダイアーとかいう男を担いでいた。
「おい、その男どうした?」
「ちょいと目が曇っていたようなのでな、喝を入れてやった。
命に別状は無い」
- 349 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 22:59:59 ID:lZxGt2mk
- 支援!特異点!ジョット!特異点!
- 350 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 23:00:02 ID:AgR1sDXp ?2BP(52)
- 「目を覚ました途端襲って来るなんてのはゴメンだぜ」
「大丈夫。儂が保証する」
ツェペリがそう言うなら信じよう。
そんな遣り取りをしている内、
「………う」
ダイアーが目を覚ました。
「目が覚めたか」
「ツェペ…リ?俺は………」
呆けた表情で呟いていたダイアーは
「!」
ハッと飛び起き、
「ツェペリ!済まない!!!」
いきなりツェペリに謝った。
どうやらツェペリの言う通りだったようだ。
「儂は構わんよ。間違いに気付いたのなら、これからやり直せば良いだけの事じゃろ?」
ツェペリがそう言っても、ダイアーの顔は腫れなかった。
そしてダイアーは、懺悔をするかのように呟く。
「しかし、俺は2人、いや、1人と1匹を殺してしまった…。
この罪は購える物では…」
ダイアーのその言葉を聴いた時、俺は“それ”に気付いてしまった。
「ダイアー」
俺が声を掛ける事で、奴は漸く俺の存在に気付いたようだ。
「何だ?」
そのダイアーに向かって、俺は杞憂であって欲しい疑問を口にする。
「お前が殺した奴の名を教えろ」
俺の質問に、ダイアーは躊躇いつつ答える。
多分、自責の念がそうさせているのだろう。
「億泰と…」
出来れば外れて欲しい勘。だがしかし…
「…イギー」
「!!!」
- 351 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 23:00:45 ID:AgR1sDXp ?2BP(52)
- 現実は残酷だった。
瞬時に抑え切れないほどの怒りが湧き上がる。
「おや、旦那様の仲…」
ドガッ!!!
ヨーヨーマッの耳障りな発言を無言で吹き飛ばす。
「モット、モットォ〜〜〜」などと悶えるヨーヨーマッを無視し、ダイアーの胸倉を掴む。
「…お前の仲間を殺したのか、俺は」
「口を開くな」
今の俺は、目の前の男の全てが気に入らなかった。
口を開けばそれに殺意が湧くし、黙ったら黙ったで癇に障る。
「いいか、テメェが殺したのは俺の仲間だ。
俺はイギーの敵を討ちたくてたまらねぇ。だが、今は辛うじて堪えられる。
その時の過ちにお前は気付いたようだし、テメェの命を奪った所でスッキリする訳でもねぇからな」
俺の言葉に、ダイアーは胸倉をつかまれたまま無抵抗に耳を傾ける。
「だが、このやり場の無い怒りがいつ爆発するか分からねぇ。
だからテメェは何もするな。
今の俺は、テメェが口を開きゃ耳障りだと殺しかねないし、身動きすりゃ目障りだと殺しかねねぇ。
俺が怒りを抑えられそうになるまで勝手に動くんじゃねぇ。分かったか」
俺の命令に、ダイアーは無言で肯いた。
俺の命令に、ダイアーは無言で肯いた。
「旦那様。早目に殺「黙ってろ!!!」
ドガアァッ!!!
ヨーヨーマッをありったけの怒りを込めて吹き飛ばす。
最悪の召使いは、2部屋ほどぶち抜いて吹き飛んで行った。
「ジョジョよ。ならばお主とダイアーは別行動をとった方が良いのかも知れんぞ」
ツェペリの提案は、言われるまでも無く考えていた事だ。
下手にこいつにうろつかれたら、いつダガが外れてコイツを殺すか分からねぇ。
「そのつもりだ。だが、その前に情報を聴かなくちゃならんからな」
「そうか…」
俺の返事に、ツェペリはそう一言返す。
俺は漸くダイアーの胸倉を掴んでいた手を離し、こいつを解放した。
- 352 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 23:01:23 ID:Ag2GSerm
- 支援
- 353 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 23:01:26 ID:AgR1sDXp ?2BP(52)
-
* * *
儂達はそのまま一先ず近くの家(康一の家)に入り、ダイアーの話を聴いた。
ダイアーの話を要約すると、アブドゥル、億泰と行動を共にし、億泰を殺し、アブドゥルに手傷を負わせた、
その後、康一とイギーに会い、イギーの捨て身の行動により康一を逃がした。
そして儂達に会った、とこのような経緯を辿って来たらしい。
「で、お主これからどうする気だ?」
「波紋戦士としての役割を果たす。
タルカスやDIOといった吸血鬼を斃す」
「そうか。目を覚ましてくれたか。ならばジョジョ、儂はダイアー共一緒に行動したいと…」
「…」
「ジョジョ?」
暫く黙ったままのジョジョを不思議に思った儂は、ジョジョに呼び掛けた。
最初はダイアーへの怒りを抑えているのかと思ったが、どうやら違うようだ。
なにやら深く考え込んでいる。
「ジョジョ」ともう一度儂が呼び掛け、ジョジョは漸く顔を上げた。
「ん?あぁ、ちょっとダイアーに聴きたい事がある」
「何だ?」
「アブドゥルはF-5に居るのか?」
「恐らく居ない。あの時アブドゥルは逃げ出した筈だが、その方角までは解らなかった」
「もう一つ。タルカスという奴は、DIOと同じ吸血鬼なのか?という事は、DIOの仲間なのか?」
「吸血鬼だ。DIOの配下だな」
「…」
「ジョジョ。どうかしたのか?」
儂の質問に、ジョジョは意外な返答をした。
「タルカスなら、今は駅に居る」
「「何っ!!!」」
ジョジョの発言内容に、ダイアーと2人で驚いてしまった。
「それは確かなのか!?」
息巻いて訊ねる儂に、ジョジョは肯く。
- 354 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 23:02:07 ID:AgR1sDXp ?2BP(52)
- 「あぁ。今も動いていないのなら、その場に留まっている筈だ」
「その心配は無い。太陽光により灰になる奴らが移動する手段は無い筈じゃ。
ダイアー。一刻も早く駅前に向かわねば。
夜になったら奴らは動き始める筈。其の前に倒すぞ」
儂の言葉にダイアーは目だけを向けて同意する。
肯かないのは、ジョジョとの約束を護っている為じゃろう。
「ジョジョ、儂はダイアーと其処へ向かう事にする。4時にカフェ・ドゥ・マゴで落ち合おう」
そう言って儂は立ち上がった。
その時、
「待ちな」
ジョジョに呼び止められる。
「何じゃ」
振り向く儂達にに掛けられた申し出は、又も意外なものだった。
「俺も行く」
「!」
「良いのか!?」
まさかの提案に、又も2人して驚く。
そんな儂達に、ジョジョは帽子を被り直しながら説明する。
「これ以上東に行こうにも、ココから先は禁止エリアだからな。
アブドゥルの居場所も分からんし」
「…」
「それに駅には2人居た。もしかしたら他にもいるかも知れねぇ。
だからこっちも人数が必要だろう。
…ダイアーの事も、少しは怒りが収まって来たしな」
ジョジョなりに色々と思う所があるようだ。
まあ何にしても、儂にとってはジョジョの申し出は願っても無い事。
タルカスを討つ為に、ジョジョは貴重な戦力になる。
「解った。ならば一緒に行こう。ダイアーも構わないな?」
「…」
儂の確認に、ダイアーはやはり目線だけで肯定の意を返してきた。
- 355 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 23:02:16 ID:Ag2GSerm
- いいぞッ!新たな支援が湧いてくるッ!
- 356 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 23:02:49 ID:AgR1sDXp ?2BP(52)
- 「よし、じゃあ此れから3人で駅前へ急ぐとしよう」
「あぁ。ヨーヨーマッ!」
「ハイ。何でしょう、旦那様」
「俺は目の前の道を禁止エリアぎりぎりまで近付くから、お前は禁止エリアに入って更に20mばかし東へ行け。
そこから東に向かって、ありったけの声で…そうだな、このボヨヨン岬に届く位の声が出れば理想的だ。
取り敢えずそれだけの声でさっきと同じく拡声器で紙の通り叫べ。
それを終えたら、今度は俺の許可が出るまで何も喋るな」
「了解しました、旦那様」
そしてジョジョとヨーヨーマッは家を出て行った。
そして、外から声が聴こえてくる。
『私は!!!承太郎の支給品!!!ヨーヨーマッです!!!
花京院!!!ポルナレフ!!!アブドゥルに連絡です!!!
承太郎は!!!4時から!!!5時まで!!!
運命の車輪戦の休憩所!!!テレンス・ダービー戦の戦場に居ます!!!』
其の時、ダイアーがポツリと呟いた。
「…俺は、あの少年にどう償えば良いのだろう」
まるで独り言のようだが、そうではない。明らかに儂へ向けられた言葉だ。
だから儂はこう返事をする。
「おぬしが考え、出来る事をせい」
「…」
儂の返事が答えになるか答えにならないかはダイアー次第。
儂の言葉を噛み締めるように、ダイアーは暫く黙っていた。
そして、
「…そうだな」
と一言だけ、やはり呟くように言った。
!
其の時のダイアーの表情を目にした時、儂はえも知れぬ不安に駆られた。
「まさか、お主…!」
不安を口に仕様とした其の時、玄関の扉が開きジョジョ達が戻って来た。そして
「行くぞ」
と儂達を促す。
- 357 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 23:03:34 ID:Ag2GSerm
- お先に支援!
- 358 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 23:03:39 ID:AgR1sDXp ?2BP(52)
- ダイアーは無言で立ち上がった。
続いて儂も立ち上がる。
だが、ジョジョとヨーヨーマッが家を出て、ダイアーが続こうとした時、儂は其の肩を抑えた。
「?」
振り向くダイアーに、儂は不安をそのまま口にする。
「贖罪の為に命を捨てようなんて真似は、儂は認めんぞ」
「…」
ダイアーは殺人を犯した。其れは許される事の無い事実だ。
しかし、どんな理由があるにせよ、ダイアーに死に走って欲しくなかった。
ダイアーは暫く無言で儂を見つめていたが、暫くして儂の手を払い、再び前を向いて
「そんな事はしない」
と言った。
しかし、儂の不安は拭える事はなかった。
何故なら、ダイアーは儂に背を向けたまま斯う付け加えたのだから。
「贖罪の為に命を賭けるだけだ」
- 359 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 23:04:22 ID:AgR1sDXp ?2BP(52)
- 【波紋の達人と幽波紋の達人】
【広瀬康一宅 (D-5)/1日目/午後】
【ウィル・A・ツェペリ】
[能力]:波紋法
[時間軸]:双首竜の間で天地来蛇殺の鎖に捕らえられた瞬間。胴体を両断される直前
[状態]:軽傷(打ち身と額の傷)、処置済み。
[装備]:ショットグラス×2。水入りペットボトル(共通支給品だが、波紋カッターや波紋センサーに利用可能)
[道具]:支給品一式×2。薬草少々(リサリサと分けました)。岸辺露伴の手紙
[思考・状況]:
1)承太郎、ダイアーと共に駅へ向かい、タルカス達を倒す。
2)承太郎とダイアーの事を懸念。
3)病院襲撃の為の仲間(リサリサの仲間、承太郎の仲間)を捜す。
4)参加者の中に居る吸血鬼、屍生人を斃す。
5)荒木の能力について自分なりの見解の説明や、御互いの情報の交換(タルカス打倒優先の為後回し)。
【ダイアー】
[能力]:波紋法
[時間軸]:次の書き手さんヨロ
[状態]:ツェペリとの闘いによるダメージ、処置済み。
[装備]:無し
[道具]:支給品一式×2(但し、水は無し)
[思考・状況]:
1)ツェペリ、承太郎と共に駅へ向かい、タルカス達を斃す。
2)波紋戦士としての使命を果たす(吸血鬼の殲滅)。
3)自らの過ちにより2名の命を奪ってしまった事への贖罪
4)1)〜3)の為に、此の身を盾にする事に躊躇いが無い。
- 360 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 23:04:47 ID:Ag2GSerm
- 支援
- 361 :師の教え(前編)〜兄弟弟子の再会〜 ◇C9UOxHGVmMさんの代理:2007/06/07(木) 23:05:35 ID:AgR1sDXp ?2BP(52)
- 【空条承太郎】
[スタンド]:『スタープラチナ』
[時間軸]:ロードローラーが出て来る直前
[状態]:ほぼ無傷(左腕は動かす事に支障は無い)。ダイアーへの怒り(プッツン寸前)
[装備]:無し
[道具]:支給品一式。拡声器(ツェペリから譲り受けました)
[思考・状況]:
1)ダイアーへ怒り心頭だが、2)以降を優先すべきである為、抑えている。
2)ツェペリ、ダイアーと共に駅に向かい、タルカス達を斃す。
3)ヨーヨーマッと拡声器を用いて仲間へ呼び掛ける(まだ仲間の捜してなさそうな場所優先)。
4)3時30分にカフェ・ドゥ・マゴへ行き、仲間を待つ(待ち合わせの10分前到着は基本。余裕を持って30分前)。
5)打倒荒木、DIO。
【ヨーヨーマッ(支給品)】
[現在の主人]:空条承太郎
[装備]:マスク
[持ち物]:無し
[任務]:
1)承太郎を“助ける”
[補足]
1)ヨーヨーマッは攻撃出来ない。能力も完全に封じられている(主人がヨーヨーマッ自体を利用して攻撃というのは可能かも知れない)。
2)主人の命令には絶対服従、しかし命令を曲解して受け取る事もあるかも知れない(ヨーヨーマッを殺すような命令には従えない)。
3)ヨーヨーマッは常に主人の半径20m以内に居なければならない。
4)ヨーヨーマッの主人が死んだ時、又はヨーヨーマッが規則を破ったならヨーヨーマッは消滅。
5)主人変更の命令があれば主人は変わる。但し変更対称人物の同意が必要。
6)主人変更の命令をされた時、次の主人がヨーヨーマッの視界に入っていなければ命令は無効化される。
[補足1]:承太郎の言う『ババァ』とは、リサリサの事です。
[補足2]:承太郎は怒りは治まったといってましたが、全くの嘘です。
[補足3]:承太郎のダイアーへの怒りは殺意ではありません。
- 362 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 23:06:32 ID:Ag2GSerm
- 支援ッ!
- 363 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 23:08:43 ID:AgR1sDXp
- 支援サンクスですが確かイベ板内ならどこに書き込んでも適用されたはずです(仕様変わってなければ)
適当なスレにsageで書き込むのもいいかもしれません 落ちるのが遅くなりますがイベ板はそんなこと気にするほど活発じゃないんでw
あと途中からBe入れましたが実は…その…ふふ…「株主優待」を忘れてしまっていてね…支援はいらなかったかもしれません
持ってて良かった株用モリタポ
とにかく作者さん乙です
- 364 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 23:08:50 ID:lZxGt2mk
- 支援しえーん!!
- 365 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 23:11:11 ID:Ag2GSerm
- >>363
そうっすか、他のロワスレの影響で支援するクセがついてまして。
あと先走って感想スミマセン。
仮投下→本投下という流れになるということを読んでませんでした。
- 366 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 23:23:40 ID:lZxGt2mk
- 書き手さん&代理投下GJ!
ダイアーさんがここで改心するのが意外だった。またまた最強チーム結成だな。
それと最後のヨーヨーマッの放送……まさかDIO様にも聞こえてないか?
あれ?これやばくね?てかヨーヨーマッうぜえ。
- 367 :参加するカモさん:2007/06/07(木) 23:37:57 ID:Ho3/aq9y
- >>366
DIO様に聞こえていても…あの方は午後6〜7時過ぎるまでは本活動は出来んだろう
(季節がいつか分らないけど、完全な日没時間を考えればこの位だろう)
さらにDIO様に聞こえているならジョージ一家(w)にも聞こえているだろうしなw
…問題は勘違いアブドゥルがどれほど暴走するかだな…ただでさえダイアーがチームに入ってるからな…
- 368 :参加するカモさん:2007/06/08(金) 07:38:26 ID:nls6xMgy
- 書き手さん、代理さん乙。
でもちょっと気になったんだけど、
ツェペリの一人称って「わたし」じゃなかった?
あとカフェで戦ったのは兄のダニエル・ダービーだったと思う。
間違ってたらごめん。
- 369 :参加するカモさん:2007/06/08(金) 16:24:41 ID:K5Jb7pGs
- >>368
最初は「わたし」だったけど途中から「わし」に変わってる
- 370 :参加するカモさん:2007/06/08(金) 18:01:36 ID:+/5VCofP
- >>369
そうなのか、ありがとう。
3巻の最初の方しか見てなかった
- 371 :参加するカモさん:2007/06/09(土) 00:29:09 ID:WEVCsGiP
- 乙です。
せっかくツェペリに改心させられたダイアーが
承太郎のせいでコロッとマーダー化するかとドキドキしたが。
あと、テレンスは弟さんの方でしたね。
お兄さんの時はダービーだけでしたから、言われてもピンと来なかったけど。
- 372 :参加するカモさん:2007/06/09(土) 13:10:49 ID:hAK3HTZz
- 久々に見に来たら露伴がズガンされとる…orz
- 373 :参加するカモさん:2007/06/09(土) 13:28:14 ID:dprKbIfg
- スタンドも体術も人間を越えた生物でもないただの一般人に露伴はなったからなぁ…
ただあの場に置かれたココ・ジャンボを拾うのが誰かは気になるな
使い方次第ではココ・ジャンボはかなり強力な支給品だし
- 374 : ◆C9UOxHGVmM :2007/06/09(土) 20:34:08 ID:amfViF19
- 皆さんレス有難うございます。
&代行さん乙です。
そろそろ修正が溜まってきたので
纏めて行おうと思うのですが、
皆さん修正箇所に気付いていたら教えて下さい。
今の所
【師の教え】
・ダニエル・ダービー
・状態表 「日中」
【断末魔】
・エコーズの叫びにダイアーの名が抜けてる
【頂点】
・北から ⇒ 西から
【悲劇】
・スミナセン ⇒ スミマセン
【策士】
・状態表 「路上」
【激戦】
・「ちょっと待って下さい」が抜けてる
位ですが、他にあるでしょうか。
ブチャ形投下は修正後に。
- 375 :参加するカモさん:2007/06/09(土) 20:38:14 ID:Ky0NtlMo
- >>374
第二回放送について作者さんが修正依頼してる
157 名前: ◆fk8qEzlLPk 投稿日: 2007/06/09(土) 14:21:30
第二回放送のSSの冒頭を次に差し替えてください。よろしくお願いします。
例えば、平凡な生き方を歩んでいる人がいるとする。
しかしその人には非凡と言えるほど、色々な出会いがあったはずなのだ。
ただ、その人が気づいていないだけで。
出会いは、全ての人に大なり小なりの影響を与えている。
本人が気づいていないとしても……人は毎日、数多くの出会いを作っている。
人、物、環境、状況……対象への定義はない。
- 376 :参加するカモさん:2007/06/09(土) 23:03:30 ID:Et/kKptu
- >>374
チェックと言うと言い方が悪いけど見つけたぜ。
【激戦】の中篇で「徐倫」が「除倫」なってる所が2つあるのと、
【激戦】後編の最後で「ジョージ」が「ジョセフ」に。「ポルナレフ」が「ポスナレフ」になってる所があるぜ。
あと「【策士】の路上」ってのはH-5がGー5の間違いってことでおk?
- 377 : ◆C9UOxHGVmM :2007/06/10(日) 21:48:19 ID:6TqjMnSW
- >>375
スミマセン。説明不足でした。
自分の投下したSSの修正を行うので、
自分の気付いてるもの以外で修正が必要そうなところがあったら
教えて下さいと云う意味です。
>>376
チェックサンクスです。
路上は
虹村宅 ⇒ 路上
と云う修正でして、H-5で正しいです。
- 378 :参加するカモさん:2007/06/11(月) 12:55:32 ID:GyCqp0dA
- http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1027.zip.html
- 379 :参加するカモさん:2007/06/11(月) 21:47:15 ID:B7MeU9d/
- >>378
これは一体何のzipファイル?
- 380 :参加するカモさん:2007/06/12(火) 00:45:10 ID:SGAaDztn
- >>379
SFCのジョジョゲーのBGMの音楽ファイルだった
- 381 : ◆yxYaCUyrzc :2007/06/13(水) 18:30:48 ID:axC4nTmA
- > 317 : ◆C9UOxHGVmM :2007/06/07(木) 21:42:53 ID:pc8kk7Kr
> 第二放送キタ――――――!!!
> >>302乙です。
>
>
> で、投下と予約します。
>
> 投下 避難所へ
> 予約 【ブチャラティ、形兆】
>
これは3日・・・どころかもう1週間しますが、
予約延長その他どうしますか?
もっと早くに気付けばよかったんですが・・・
- 382 :参加するカモさん:2007/06/13(水) 18:41:29 ID:KxlJvmJw
- 作者さん本人の延長無いんだし破棄でいいだろ
もっかい予約して1週間待たすとかやったらブーイングの嵐だろうから
作者さん見てるならほぼ書き上げて投下する時間を確保してから予約してその日中に投下するのが望ましいと思う
その間に予約取られても自業自得
- 383 :旋頭歌 ◆6zsldeDOfM :2007/06/13(水) 19:33:49 ID:Lw9inQcm
- まぁそんな喧嘩腰にならんでも
- 384 :参加するカモさん:2007/06/13(水) 19:58:27 ID:ezUEgHEM
- ひょんなことからHIPHOP板からやってきました
ただいま(おそらく)すべて読ませていただきましたが、
今現在の最新は90話『師の教え〜後編』でよろしいでしょうか?
ここで聞くべきじゃなければスレ誘導お願いします
長くなりましたが最後に、作者&支援の方々乙。
- 385 :参加するカモさん:2007/06/13(水) 20:04:45 ID:ZeMq6Yrr
- >>384
ようこそ男の世界へ。
そうです。今最新は90話の師の教えが最新作です。
全然スレチじゃないのです。むしろOKです。これからもよろしくです。
- 386 : ◆C9UOxHGVmM :2007/06/13(水) 21:08:06 ID:PZNKqyYq
- じゃ、投下します。
例によって、避難所に投下しますので、代行宜しく。
- 387 : ◆C9UOxHGVmM :2007/06/13(水) 21:18:45 ID:PZNKqyYq
- 投下完了しました。
ご迷惑お掛けして申し訳ありません。
今後はちゃんと中間報告を入れるようにします。
- 388 :形兆死亡〜覚醒〜 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/06/13(水) 21:20:48 ID:KxlJvmJw
- 代理投下します
- 389 :形兆死亡(前編)〜覚醒〜 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/06/13(水) 21:21:43 ID:KxlJvmJw
- 放送を聴き終え、暫くの間は御互い無言だった。
第二放送の死者の名にそれぞれ思う所があったのだ。
トリッシュが殺された。
片鱗を見せたとはいえ、スタンドも何も無い、普通の少女と何ら代わりの無いトリッシュが、
このようなゲームに巻き込まれ、そう長い間無事で居られる筈が無かったのだ。
直ぐにでも保護すべきだった。
悔恨の念が湧き上がるが、時既に遅し。もう、手遅れなのだ。
トリッシュ、済まない。
そして、ジョルノ…。
アイツが死んだ?
『謎を解けるんですね?御願いしますよ』
常人離れした知識と発想を持ち、
『ここを動くべきでないと思います』
常に大局を見据え、
『このジョルノ・ジョバーナには夢がある』
常に其の身に黄金の精神を宿していた、誇り高き少年が…
死んだ、だと?
しかも、荒木に殺された?
心の底から怒りが湧き上がる。
今直ぐにでもジョルノの仇を討ちたい。
荒木の下へ向かい、スティッキー・フィンガーズを叩き込みたい。
併し、唇を噛み締め、ぎりぎりの所で感情に振り回されるのを押さえる。
口元から血が流れている様だが、そんな事はどうでも良い。
此処で考え無しに暴れ回っても、何にもならないのだ。
ジョルノは唯死んだ訳では無い。荒木の下へ辿り着いたと言っていた。
つまり、ジョルノは荒木への道を切り開く事が出来たのだ。
- 390 :形兆死亡(前編)〜覚醒〜 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/06/13(水) 21:22:30 ID:KxlJvmJw
- 荒木の下へ辿り着く事が出来る。ジョルノは身をもって其れを証明してくれた。
ならば荒木打倒の為に俺のすべき事は、
“ジョルノがどうやって荒木の下へ辿り着いたか調べる”“荒木を斃す算段を考える”
此の2点だ。
怒り、悲しみをぶつける前に、俺にはすべき事がある。
其れに何より、悲しいのは俺だけでは無い。
第二放送で大切な人を失ったのは俺だけでは無いのだから…。
「億泰は…」
第二放送後、ずっと黙っていた形兆が、呟く様に声を洩らす。
億泰とは、恐らく第二放送で死亡者の名に上がっていた“虹村億泰”の事だ。
やはりそうか。
その名を聴いた瞬間から形兆の様子がおかしかったが、姓が同じ事を考えても、多分血縁者なのだろう。
家族の1人を失ってしまったのだ、形兆は。
形兆は話を続ける。
「とにかく頭が悪くて、俺が居ないと何も出来ない奴だった。
物事を決めさせようとする時は、大抵『兄貴に任せた』とか言って、考える事を放棄してよ。
何時だったか、『ちっとはテメェで考えろ』っつったら、
『俺、考えると頭痛がするんだよ』って言ってきた事があったな。その後ぶん殴ったが」
「………」
本来なら、こんな思い出話をしている暇は無い。
併し、今の形兆にそう言う事が出来なかった。
感傷的になっている間に敵の襲撃があるかも知れない、其れは十分に解っているのだが、
其れでも尚、俺は形兆の話を聴いてやりたかった。
「そんな億泰が、何度も俺に言っていた事があるんだよ」
「…」
「俺は今まで沢山の人間を殺して来た。
そんな俺に『このままじゃ兄貴もロクな死に方しねぇ。罪は巡り巡って兄貴自身の身に降り掛かる』って」
「!」
- 391 :形兆死亡(前編)〜覚醒〜 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/06/13(水) 21:23:21 ID:KxlJvmJw
- 流石に此の言葉には驚いた。
確かに此の男には凡人とは異なるオーラ、云うなれば業のようなものを背負っているように見えたが、
まさか殺人を重ねているとまでは思わなかった。
何故かは解らない。
だが、一つだけ云える事は、形兆の殺人は殺人鬼の其れとは全く異なるものだと云う事。
俺の職業柄、殺人鬼やその類の人種は何度もお目に掛かった事がある。
だが形兆は、ややどす黒い一面こそ感じられたものの、俺達ゴロツキほどじゃ無い。
少なくとも、俺はコイツをゲスで無いと断言出来る。
形兆の告白は続いていた。
「俺も、それは解ってたんだ。俺はいつか誰かに殺される。
因果応報で、俺のような殺人鬼に殺されるかも知れないし、
俺が殺した人間の遺族が、無念を晴らしに来るかも知れない。
散々人殺しをしておきながら、自分だけ大往生しようなんて都合の良い事は考えてねぇ。
解っていたんだ………だが」
あぁ、そうなのか。
コイツは殺人を自分の手で行い、弟である億泰には…
「億泰は違った!
『いつか兄貴が殺されるから』と、俺が人を殺すのを止めようとしてたんだ!
俺自身引き返せない所まで来てたのが解っていたのに、
アイツは俺が普通の生活を送れるといつまでも信じていた!
そしてアイツは誰一人殺さなかった!
なのに、その億泰が何で殺されなくちゃならねぇんだ!
死ぬのは俺じゃ無かったのかよ!!!」
堰を切ったように叫び出す形兆の言葉を、俺は地平線を見ながら聴き入れていた。
形兆へは目を向けなかった。目を向けると其の姿を見てしまう事になるから。
そして形兆は、其の姿を見られたくない筈だ。
声で解る。
………今、形兆は涙を流している。
- 392 :形兆死亡(前編)〜覚醒〜 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/06/13(水) 21:24:03 ID:KxlJvmJw
- 「…済まねぇ。少しだけ時間が欲しい」
暫く聴こえていた嗚咽がやがて止まり、不意に形兆が静かにそう言って来た。
「あぁ」
俺は形兆に背を向け、辺りに異変が無いかどうかを確認した。
俺の目でしか確認出来ないが、どうやらこの付近に近付いて来る輩は皆無の様だ。
とは云え、スタンド使いの跋扈するこの街で、人間の目による安全の確認では心許無い。
だが、本来なら形兆に、『そんな時間は無い。周囲を警戒しろ』と言うべきなのだが、俺には出来なかった。
少しだけ時間を与えてやりたかった。
この男に、弟を想って泣く時間を…。
それにしても。
行動を共にしている内、少しずつ形兆と云う人間が見えて来た。
何らかの理由で殺人を執り行わなければならない時、形兆は自分で汚れ役を担い、弟に手を汚させなかった。
自分の罪に罰が下る事をしっかりと認め、覚悟していた。
そして今、億泰の死に涙を流している。
其処から分かる事。其れは…
こいつは人の痛みが分かる男だ。
そして、大切なものの為に鬼になれる男だ。
今、俺は形兆から、出会った当初感じていたコイツの中のどす黒い雰囲気は億泰の死を聴いた瞬間から成りを潜め、
代わりに崇高なオーラを纏い始めたのを感じた。
恐らく形兆は、億泰の死を通じ、吐き気のするような邪悪を許さないと云う気高い精神を覚醒させた。
俺は其れを単純に喜ぶ事は出来ない。
其の為に形兆は大切な者を失い、抑え切れない程の悲しみを背負ってしまったのだから。
形兆の覚醒の犠牲は余りにも大き過ぎると云うのに、何故其れを喜ぶ事が出来る?
だが、巻き込まれて以来碌な事が起きていないゲームだが、それでも少なくとも1つだけは良い事があった。
なぁ、形兆。俺は
お前に出会えて良かったと、そう思うよ
- 393 :形兆死亡(前編)〜覚醒〜 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/06/13(水) 21:24:57 ID:KxlJvmJw
- 俺はディバッグから地図を取り出す。
俺は“勝負”に出る事にした。
最初は行動を起こすのはミキタカ救出後にしようと思っていたのだが、現状を考えると一刻を争う。
実は、今迄の情報から、俺はと或る可能性に気付いていた。
其の盲点を突けば、“奴”の鼻を明かす事が出来る。
逆に、俺が“其れ”に気付いていると“奴”に感付かれたら、此の手は打てなくなる。
その前に行動を起こしておかねば、手遅れになってしまう。
犠牲を抑える為に、今こそ勝負に出よう。
負けたら“死”。
併し、勝てば………。
俺は地図の裏に書き込み始めた。
* * *
億泰。
お前はいっつも足手まといだったぜ。
俺の事をあ〜だこ〜だ言う癖して、自分の事になるとボーっとしてやがるから大抵皺寄せは俺に来る。
俺が尻拭いしてやらなきゃならない時も何度もあった。
今回もそうだったんじゃ無いのか?
考え無しの行動を取っちまって、死んじまったんじゃ無いのか?
大体の所は解るさ。
いつまで経っても成長しない奴だよ、お前は。
そう、解っている。
………億泰は決して殺されるほどの事をした訳じゃねぇ、って事は。
俺にはもう護らなきゃいけない人間は居ない。
だからどんな手を使っても俺が優勝すれば良い。
- 394 :形兆死亡(前編)〜覚醒〜 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/06/13(水) 21:25:55 ID:KxlJvmJw
- …そのつもりだったんだが、どうやら軌道修正しなきゃならないようだ。
俺は決心した。
俺はこのとち狂ったゲームを止める。
はっ。こんな考えが頭をもたげるとは、俺もヤキが回ったか。
その原因は億泰と、他でもねぇ、このブチャラティとミキタカの所為だ。
俺を救う為に鎖に化けたり、俺が確実に敵を斃せるよう体を張ったり、
その、身を以って仲間を救うこいつらの行動に、俺も感化されちまったようだ。
だから俺は思う。ブチャラティやミキタカを、俺と同じ目に遭わせたくない。
この2人に死んで欲しくないし、仲間を失って悲しませるような事にさせたくない。
そして、その為の最短かつ確実な方法は…
「ブチャラティ」
さっきからずっと紙に何かを書いているブチャラティに向かって、俺は声を掛ける。
「何だ?」
顔を上げるブチャラティに向かい、俺は告げた。
「俺は許さなねぇ。億泰を殺した奴も」
「…」
ブチャラティは聡い。口にせずとも解っている筈だ。
『億泰を殺した奴も』の後に続く名を。
そして俺は決意を口にした。
「俺はそいつらを生かしてはおけない。だから殺す。必ず」
此れは事実上、
―――荒木への、宣戦布告だ。
- 395 :形兆死亡(前編)〜覚醒〜 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/06/13(水) 21:26:57 ID:KxlJvmJw
- 「…」
ブチャラティは俺を見つめていた。
その目を見返す。俺は目で訴えた。
『力を貸して欲しい。億泰を殺した奴を、そして荒木を斃すために』
俺の真意を正確に読み取ったのであろう、
ブチャラティは
………静かに頷いた。
不意にブチャラティが紙を寄越してきた。
何かと思いブチャラティへ顔を向けると、口元に人差し指を当てている。
“喋るな”という事か。という事は、荒木に気付かれては困る内容だな。
紙を受け取ると、そこにはびっしりと文字が並んでいた。
紙に書かれた文を読んでいる所へ、ブチャラティが声を掛けてくる。
「お前は『億泰を殺した奴を殺す』と言っていたな。
その言葉に嘘は無いか?」
「あぁ」
紙に書かれた文に目を落としながら返事をする。
そんな俺に質問を続けるブチャラティ。
「お前が数々の人を殺してきた事も本当なのか?」
「…!!!」
そういう事か!
ブチャラティの真意に気付いた俺は紙から顔を上げ、奴を見つめる。
だが、俺の答えは一つしか無い。
俺は、運命の一言を口にした。
「…あぁ」
肯きながら、俺は立ち上がる。
そしてブチャラティから離れる様に2、3歩後ずさった。
既にブチャラティが何をしようとしているか分かっていた俺は、間合いを取る必要があったのだ。
「ならばお前がこのゲームで再び殺人鬼となるのを、俺が防ぐ」
俺に続くように、ブチャラティもゆっくりと立ち上がる。
その一言で、俺は確信した。
- 396 :形兆死亡(前編)〜覚醒〜 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/06/13(水) 21:27:50 ID:KxlJvmJw
- やはり俺の考えは正しかった。
「物は言いようだな。結局の所、俺を殺そうってんだろうが」
「そうとも云う」
「正気か?貴様」
「勿論だ。俺も第二放送で仲間を2人失った」
「!!!」
正直、この一言は予想していなかった。
ブチャラティも俺と同じだったのか。
そんな素振りは全く見せなかったというのに。
それでも悲しみを耐え、それどころか俺の慟哭を静かに聴いてくれていたブチャラティに対し、
一瞬攻撃を躊躇しそうになる。
しかし思い直す。やらなければやられるのだ。
今、俺のやるべき事は…。
「お前の様な輩を生かしておいては更なる犠牲者が出ると云うのなら、俺のやる事は一つ」
その間も、ブチャラティは俺に話し続けていた。そして…
「悪は元から絶つ!」
ブチャラティのスタンド、スティッキー・フィンガーズが奴の背後に現れる。
本気で“やる”気か。
ならばとことん付き合ってやろうじゃねぇか。
最後の確認をしながら、俺もバッド・カンパニーを出現させる。
「本当に俺がこのゲームに乗ると思っているのか、と訊いてるんだ」
「…愚問だ」
ブチャラティの返事に、俺は小さく溜め息を吐き、呟いた。
「そうか。ならココでチーム解散」
「だな」
そして互いに戦闘態勢を取り、
「「行くぞ!!」」
…俺達は、殺し合いを始めた。
- 397 :形兆死亡(後編)〜覚醒〜 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/06/13(水) 21:28:31 ID:KxlJvmJw
-
* * *
一気に間合いを詰める俺に対し、間合いを取ろうとする形兆。
御互い、自分のレンジに持って行く事が勝敗の鍵を握ると解っている。
先程の話し合いの時に少しずつ離されていた為、今は形兆の攻撃が一方的に届く距離。
バッド・カンパニーの攻撃を凌ぎながら、俺は何とかして近付かなければならない。
「バッド・カンパニー、構えっ!」
俺から形兆自身を護るように隊列を成す奴のスタンドに対し、
「スティッキー・フィンガーズ!」
俺はジッパーで地面を割る。
地面に生じた亀裂は形兆の方へ向かうが、
奴に届く前に形兆は、バッド・カンパニーごと脇へ避けた。
「ぬう!」
そして形兆は俺の攻撃で乱れた隊を整え、再び一斉掃射を仕掛けて来ようとする。
!!!
これは…。
見つけた。形兆の弱点を。
バッド・カンパニーの弱点では無い、“形兆自身の弱点”を。
形兆が攻撃を仕掛ける前に俺は壁をジッパーで円状に刳り抜き、
バッド・カンパニーの攻撃から護る様に俺の目の前に置いた。
「そんなもの、バッド・カンパニーの砲撃で打ち砕いてくれる!一斉掃射ァ!!」
形兆の攻撃に、壁はあっけなく吹き飛ぶ。
しかし、そんな事は最初から分かっていた。
だから俺は…。
「なっ」
形兆の驚き声が聞こえる。
動揺しているのだ。
壁を吹き飛ばし、その先に居る筈の俺が消えてしまった事に。
- 398 :旋頭歌 ◆6zsldeDOfM :2007/06/13(水) 21:40:56 ID:Lw9inQcm
- 旋頭歌
- 399 :参加するカモさん:2007/06/13(水) 22:01:39 ID:nRV2LUTm
- ザ・ニュー支援!
- 400 :形兆死亡(後編)〜解放〜 ◇C9UOxHGVmM()(代理投下):2007/06/13(水) 22:05:29 ID:nRV2LUTm
- * * *
一瞬、俺には何が起きたのか解らなかった。
壁を砕いたら、その先に居るはずのブチャラティの姿が見当たらなかったのだ。
何処に行った!?
予想外の事態に一瞬動揺するが、ふと、と或る可能性に思い当たる。
スティッキー・フィンガーズはジッパーを取り付けて切開するスタンド。ならば…
ブチャラティの居なくなった付近を斥候が調べる。
そして地面についたジッパーが目に入った。
何だ、そういう事か。
ブチャラティは地面をジッパーで開け、潜ったのだ。
「ちっ」
地面に向かって攻撃すべきかどうか迷う。
俺のスタンドの威力を考えると、
ブチャラティが浅い所にまで留まっていれば攻撃する事が出来るが、
地面深くにまで潜り込まれると、俺の攻撃は届かない。
下手に攻撃を仕掛けると逆に俺の周りの状況を把握しにくくなり、奴が近付く隙を与える事になる。
下手に攻撃を仕掛けるのは危険だ。
その内、ジッパーは完全に閉じて消滅した。
「………」
バッド・カンパニーを全方位に配置し、ブチャラティの出方を窺う。
奴は間違いなく地面から攻撃を仕掛けて来る。
それは解っているが、この場を動く事はしない。
下手に建物や端に移動し、地面から直接攻撃出来ないような場所に移動しても、
スティッキー・フィンガーズは建物自体を攻撃し、俺の足場を奪う筈。
ならば何処に居てもやる事は変わり無い。
俺がすべき事は1つ。
ブチャラティの攻撃の瞬間を狙い、バッド・カンパニーを叩き込む。それだけだ。
じっと足元を見据える。
残念ながらバッド・カンパニーの隊員に地中に潜れる者は居ないが、地面の振動から何処に居て何をしているかを予測する事は可能。
そして俺は、バッド・カンパニーに地面の様子を探らせた。
- 401 :形兆死亡(後編)〜解放〜 ◇C9UOxHGVmM()(代理投下):2007/06/13(水) 22:06:52 ID:nRV2LUTm
- ………?
コレは…。
地中でブチャラティは何かの作業をしているようだ。
地中を幾度も切開する振動が、俺(バッド・カンパニー)に伝わってくる。
そして“俺の居る位置からどんどん離れて行く”。
まさか、逃げるのか?
ほんの一瞬、そんな考えが持ち上げかけたが、完全に疑心となる前にその考えは打ち消される。
今までのブチャラティの行動から、それだけは決して無いと俺には解っていた。
奴は俺にスティッキー・フィンガーズを叩き込むのが目的。
今奴が行っているのは、その為の布石といった所だろう。
だが、ブチャラティが何故地中を切開しているのか、ソレが俺には解って…。
* * *
ズバッ
ズバッ
地面に潜り込んだまま俺は更に地面を裂いていた。
どうやら形兆は、俺の動きを探っているらしい。
地面の振動から俺の動きを読み取っているようだ。
つまり形兆は、俺が地下から接近して来るタイミングを計り、十分に引き付けた所で俺に攻撃を喰らわそうと考えていると云う所か。
実際、その考えは正しい。
地上ほど俊敏に身動きを取る事が出来ない地中からの接近では、奴の下に辿り着く前にバッド・カンパニーの餌食となる。
だが、俺の狙いは別にあった。
- 402 :形兆死亡(後編)〜解放〜 ◇C9UOxHGVmM()(代理投下):2007/06/13(水) 22:08:43 ID:nRV2LUTm
- ズバッ
ズバッ
只管地中を切り裂き、道を作る。
作る道は希望への道。
俺が“奴”に勝つ為の下準備だ。
「!」
突如、光が差し込んだ。どうやら外に通じたようだ。
外はH-7の橋の下辺りらしく、丁度外からは見えにくい部分に出来ていた。
知っている人間以外、先ず気付く事は無い位置に。
狙い通り。
“其れ”は完成した。
此れで俺の思惑通りなら、“奴”の裏をかく事が出来る。
一縷の望みを胸に、俺は道を戻る。
そして再び形兆の前に姿を現した。
- 403 :形兆死亡(後編)〜解放〜 ◇C9UOxHGVmM()(代理投下):2007/06/13(水) 22:10:00 ID:nRV2LUTm
-
* * *
「!」
意外だった。
ブチャラティは俺から数mほど離れた所に姿を現した。
何を考えているんだ?この距離なら…
「この距離なら俺の攻撃は届かず、ただバッド・カンパニーの餌食になるだけだ」
不意にブチャラティが口を開く。
その内容は、正に今俺が考えている事だ。
「…と、考えているな?」
「あぁ」
実際その通りだ。この距離では奴が俺に攻撃する術は無い。
しかし、俺はもう一つ解っている事がある。
ブチャラティは、何の策も無く姿を現すような奴ではない。
何かがあるのだ。
それが解ってるからこそ、奴への攻撃が躊躇われる。
ブチャラティの狙いが解らない限り、迂闊な攻撃は逆効果だ。
いや、この場合“解っているからこそ”迂闊に攻撃出来ないのだが。
逡巡している俺に語り続けるブチャラティ。
「攻撃が届くんだよ。お前の弱点を突く事で」
「!?」
- 404 :形兆死亡(後編)〜解放〜 ◇C9UOxHGVmM()(代理投下):2007/06/13(水) 22:11:34 ID:nRV2LUTm
- 俺の弱点だと?
「冥土の土産に教えてやる。バッド・カンパニーではない、お前自身の弱点を」
もう良い。このまま膠着状態が続き、動揺を誘われる位なら、俺から攻撃を仕掛けてやる。
「面白い。そんなものが有るなら教えてくれ。但し、その前にお前が死んでいなければな。
バッド・カンパニー!」
「甘い!」
バッド・カンパニーが攻撃態勢に入ると同時に、スティッキー・フィンガーズが地面を叩く。
その直後、俺の足場が崩れた。
さっき地中に潜っていた時、既に俺の足場に工作していたか!
だが、この程度は十分に予測出来た事。
一足飛びで後退し、バッド・カンパニーも退く。
そして隊列を直し、攻撃態勢を整えようとして…
「それがお前の弱点だ」
ドガッ!!!
…俺は、ブチャラティの拳を喰らった。
- 405 :形兆死亡(後編)〜解放〜 ◇C9UOxHGVmM()(代理投下):2007/06/13(水) 22:15:49 ID:nRV2LUTm
-
* * *
片腕にジッパーをつけて飛ばし、遠く離れた相手を殴る。
今までの闘いで何度も用いた方法を、形兆にも使った。
殴った拳で形兆を掴み、そのまま腕を元に戻して形兆を引き寄せる。
そして形兆の胸倉を掴むような形で語り掛けた。
「“几帳面過ぎる”それがお前の弱点だ。
お前は隊列を整えて攻撃する場合、攻撃を受けて一旦隊列が乱れると、反撃する前に隊を再整列させずには居られない。
しかし、それは致命的な隙を生む。
几帳面さが生む隙を克服しない限り、お前は勝負に勝つ事など出来なかったのだ」
「………く」
意識は飛んでいなかったらしい形兆は、ただ俺を睨みつける。そして…
「バッド・カンパニー…」
闘志は萎えていないようだ。最後の気力を振り絞る形兆のスタンドの照準が、俺に向けられた。
しかし、形兆が攻撃を仕掛ける前に…
「アリアリアリアリアリアリアリアリ!」
ドガガガガガガが!!!
形兆に叩き込まれる無数のスティッキー・フィンガーズの拳。
怒涛のラッシュに、バッド・カンパニーは攻撃出来ずに消滅する。
拳を叩き込まれた腕が、足が、首が、胴が、ジッパーにより切り離され、
形兆はフィレンツェ行列車の戦いでの俺の様にバラバラになり、俺が先程開けた地面の亀裂へ落ちて行く。
そして、俺と形兆の対決は幕が下りた。
- 406 : ◆yxYaCUyrzc :2007/06/13(水) 22:17:03 ID:lEXrae46
- 支援!
- 407 :形兆死亡(後編)〜解放〜 ◇C9UOxHGVmM()(代理投下):2007/06/13(水) 22:19:18 ID:nRV2LUTm
- 後やる事は1つのみ。
俺は地面の亀裂の中を確かめ、“ジッパーを閉じた”。
地面の亀裂はジッパーと共に消滅し、
最後に残っていたのは2つのディバッグと鳥から外した首輪、そして形兆に付いていた首輪だけだった。
「アリーベ・デルチ」
俺の呟きは誰に届く事も無く、風により掻き消された。
全ては俺の計画通りに終わった。
此の“勝負”、俺の勝ちだ。
“死なずに済んだ事”が、勝利の何よりの証。
俺は“奴”の裏をかく事が出来た。
今回の一連を踏まえ、荒木打倒のイメージの輪郭が少しずつ鮮明になってきた。
突き進もう。荒木打倒に向けて。
だが、其の前に…
「さて、ミキタカ。遅くなって悪かったが、今から一直線にお前の下へ向かう事にする。
必ず助けてやる。だから心配するな」
此れからの行動方針を敢えて口にする事で、決心を確固たるモノとする。
今の俺にとっての最優先事項は“ミキタカの救出”だ。
第二放送でミキタカの名が呼ばれなかったのは、俺にとって数少ない朗報だった。
もう寄り道せずに助けに向かおう。
ジョルノやトリッシュのように手遅れになる前に。
そして、俺は血痕を調べに向かった。
- 408 :形兆死亡(後編)〜解放〜 ◇C9UOxHGVmM()(代理投下):2007/06/13(水) 22:23:25 ID:nRV2LUTm
-
* * *
目覚めた時、俺は洞窟に居た。
真っ先にそれを確認すべく、首元に触れてみる。
そこに首輪は………………………………無かった。
そうか。“アイツ”の計画は成功したという事か。
この後の計画は、“アイツ”の指示通りだ。
つまり、ここで“奴”に気付かれないように身を潜める。
今俺が居る場所はH-7の地中。15時になれば禁止エリアに指定される場所だ。
首輪の無い俺にとって、禁止エリアこそ最も安全なのだ。
俺だって、ただ自分だけ安全な場所に居れば良いと思っている訳じゃない。
助けたい奴が居る。埋葬してやりたい奴が居る。斃したい奴が居る。
だが、今の俺にそれは許されないのだ。
………荒木を斃す為に。
だから俺は、“アイツ”を信じよう。
荒木の居場所を突き止めた“アイツ”が知らせに来るのを、今は待っていよう。
荒木の居場所さえ分かれば、首輪の無い俺ならば荒木を暗殺する事が出来る。
その時が来る迄“アイツ”を信じ、待つのが今の俺のすべき事だ。
荒木の支配から逃れた俺こそが、荒木を斃す唯一の可能性なのだから。
- 409 :形兆死亡(後編)〜解放〜 ◇C9UOxHGVmM()(代理投下):2007/06/13(水) 22:27:53 ID:nRV2LUTm
- 【ギャングと軍人と宇宙人(但し現在、宇宙人行方不明)】チーム解散
【路上 (H-6)/1日目/午後】
【ブローノ・ブチャラティ】
[スタンド]:『スティッキー・フィンガーズ』
[状態]:無傷(かすり傷は無視出来るレベル)。右腕の袖がズタズタに引き裂かれている
[装備]:無し
[道具]:支給品一式×2(1つは地図無し)。フォーク。首輪×2
[思考]:
1)ワムウ達を、日光も利用して彼らを倒す。2人に捕らわれているミキタカも救出する
2)1)の為に血痕を調べ、血痕の跡を辿る
3)機会があれば仲間と合流
4)なるべく多くの人を救う
5)荒木の打倒。其の為の秘策アリ???
6)『ゲーム』に乗った参加者を淘汰した後、回収した首輪の内部構造を調べる
[補足1]:ブチャラティはトリッシュがスタンドを使えた事を知りません
[補足2]:ディバッグの1つ(形兆が所持していた分)は、亀裂の中に落ちて行きました。
- 410 :形兆死亡(後編)〜解放〜 ◇C9UOxHGVmM()(代理投下):2007/06/13(水) 23:06:29 ID:R8KeMbY4
- 【??? (?-?)/1日目/午後】
【虹村形兆】
[スタンド]:『バッド・カンパニー』
[時間軸]:仗助と康一が始めて虹村兄弟と遭遇する直前
[状態]:???
[装備]:???
[道具]:???
[思考]:
1)???
[補足1]:少なくとも第三放送で、形兆の名は呼ばれます(荒木は首輪の反応等から形兆が死んだと思っている為)。
代理投下完了。
- 411 :形兆死亡〜状態表〜 ◇C9UOxHGVmM 代理投下:2007/06/13(水) 23:06:50 ID:lEXrae46
- 【??? (?-?)/1日目/午後】【虹村形兆】[スタンド]:『バッド・カンパニー』[時間軸]:仗助と康一が始めて虹村兄弟と遭遇する直前[状態]:???[装備]:???[道具]:???[思考]:1)???[補足1]:少なくとも第三放送で、形兆の名は呼ばれます(荒木は首輪の反応等から形兆が死んだと思っている為)。
- 412 :参加するカモさん:2007/06/13(水) 23:09:40 ID:R8KeMbY4
- >>411
正直スマンカッタorz なぜか自分は規制から解除された?みたいなんです。
せっかく書き込んでくださったのに申し訳ありません。
- 413 : ◆yxYaCUyrzc :2007/06/13(水) 23:11:04 ID:lEXrae46
- うわ同時に代理orz
さて、改めて乙でした。
個人的には一応刑兆の状態表も欲しいかと
状態:死亡 とかで。
・・・最後に、なんだか俺が予約引っ張り出して来て急かすような行動に出てしまって申し訳ないです。
- 414 :参加するカモさん:2007/06/13(水) 23:49:01 ID:ezUEgHEM
- >>385
今後よろしくです
リアルタイム爆撃が嬉しくてたまりません
- 415 :参加するカモさん:2007/06/14(木) 00:49:05 ID:kDfblfvF
- 某の春子みたいにならんでよかったよ
職人さん乙!
- 416 :413 ◆yxYaCUyrzc :2007/06/14(木) 06:40:14 ID:Gvy5jZBZ
- 413は俺がトリップ消して(携帯から)コピってかいたんで
412氏のほうの状態表がいいですね。
と思ったらもうwikiにのってる!
書き手さん、代理さん、wiki職人さんみなさま乙です。
- 417 : ◆yxYaCUyrzc :2007/06/14(木) 06:41:43 ID:Gvy5jZBZ
- 連投すいません
アンカーミスです。411が俺、410氏のを使用、ですね
- 418 :参加するカモさん:2007/06/14(木) 16:47:31 ID:zyB0/rsY
- 職人さん+代理さん+支援さん乙!
形兆とブチャの信頼関係の構築され方が良いです。
あ〜本気で戦う振りしてんだなぁ、と思いつつ
それが良い意味で解るっていう良いSSです。(ヨイヨイが多いヨイ)
- 419 :参加するカモさん:2007/06/14(木) 19:13:54 ID:DR7poMh4
- 朗報でーす
535 名前:たにし ★[sage] 投稿日:2007/06/14(木) 17:56:39 ID:???0
一株でも持っていたらプチ優待にすっか
samba = 1/2 とか、
566 名前:たにし ★[sage] 投稿日:2007/06/14(木) 18:41:07 ID:???0 ?S★(515621)
株優プチ
バイバイさるさんスルー
samba24 = 1/2 (最小15)
出来た気がする !!
http://bubble6.2ch.net/test/read.cgi/2chse/1181116453/535+566
- 420 :参加するカモさん:2007/06/14(木) 19:17:34 ID:DR7poMh4 ?2BP(52)
- 一応イベント板でもできてるかテスト
連投規制なくなって投下も早くできるようになったんで作品書かない分wiki追加とか後方支援がんばります
- 421 : 株価【40】 :2007/06/14(木) 19:26:48 ID:DR7poMh4 ?2BP(52) 株優プチ(event)
- 連投ごめんね イベント板にも実装され始めた模様
- 422 :参加するカモさん:2007/06/14(木) 19:58:47 ID:hKHfuoAC
- >>419-421
いやいや全然OKなんだぜ!?
君の命がけの行動……僕は敬意を表するッ!
- 423 :参加するカモさん:2007/06/14(木) 22:24:59 ID:08rAH3mB
- >>422
その通りだッッ!
まるでHBの鉛筆をベキッとへし折るかのごとくッッ!!
俺すべったorz
- 424 :参加するカモさん:2007/06/15(金) 13:35:45 ID:X+3ilwhK
- >>418
よっぽどの事が無い限りsage進行にしてくれ。
____ ______ _______
|書き込む| 名前: | | E-mail(省略可): |sage |
 ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
※もし知らないのなら右のところに半角でsageと入力するんだぜ……。
- 425 :参加するカモさん:2007/06/15(金) 14:51:05 ID:HyWxuuB8
- 私でした・・・申し訳ありません。
- 426 : ◆fk8qEzlLPk :2007/06/15(金) 20:01:18 ID:hpumMBdg
- 【ジョージ、花京院、ホルホース、ナランチャ、F・F、ジョンガリ、アヴドゥル、噴上】
予約します。
- 427 :参加するカモさん:2007/06/15(金) 20:05:22 ID:Tq/7JfEm
- 期待します
- 428 :参加するカモさん:2007/06/15(金) 20:06:06 ID:9S6zXhCg
- アブと噴上に期待!
- 429 : ◆yxYaCUyrzc :2007/06/15(金) 20:55:53 ID:4WwZY2C5
- ホテル組を動かすことで賛否ともあると思いますが頑張ってください。
期待です。
- 430 :参加するカモさん:2007/06/16(土) 01:53:03 ID:rZuF8GFX
- 感想遅れたけど、形兆VSブチャのSSの書き手さんマジGJ!
形兆の几帳面さをついたブチャの作戦は中々良かったな。
で、形兆が…………と考えていいんだよな?ww
あともう一つの予約の人もマジガンガレ。期待して待ってる。
- 431 :参加するカモさん:2007/06/16(土) 17:32:35 ID:tuN2FbCS
- 期待wktk
- 432 : ◆yxYaCUyrzc :2007/06/16(土) 21:02:37 ID:HkoFmbbb
- 予約云々ではないのですが、
タルカス・ワムウ・ミキタカについて
タルカスをそろそろ瓦礫の下から出してあげたいのですが、
彼の今後の行動理念をどうするか、皆さんの意見を多少仰ぎたいので。
別にその通りに書くわけじゃないですし、むしろ意見とは逆の内容で書くかもしれません。
例えば「ワムウと対立」という意見が多かったら「でもやっぱり従者」と書くなど。
承太郎組とブチャラティが駅に来る前に少し繋ぐ文章を書きたいんですがやはり書き手1人では限界があるんで・・・
何か希望、ご意見等ありましたらよろしくお願いします。
(先に予約する方がいましたらそちらを優先してください)
- 433 :参加するカモさん:2007/06/16(土) 21:38:25 ID:dKxhUuc2
- >>432
そういうことならタルカスを対立させろよ、絶対に対立させろよ
- 434 :参加するカモさん:2007/06/16(土) 21:52:02 ID:FTMHXtFF
- じゃあ書いちゃおうかな
プロットまとめきれたら予約する
- 435 :参加するカモさん:2007/06/16(土) 22:49:52 ID:JDj8a2W+
- そういやタルカス午前から埋まりっぱなしなんだなw
俺はタルカスが活躍すればどっちでもいいやw
>>433
ダチョウ倶楽部かよwww
- 436 : ◆vp3XBrpjZU :2007/06/16(土) 23:26:26 ID:lpAxu3zN
- 【ウェザー、セッコ、エルメェス、仗助、アナスイ】
で予約します。
- 437 : ◆yxYaCUyrzc :2007/06/17(日) 05:40:04 ID:48lssaT8
- >>433
書かれるのなら構いませんよ。
ただそろそろタルカス掘り出さないとミキタカの行方もわからないままだし
この状態で戦闘が始まったら、と思っただけですから。
繋ぎばっかり書くと「過疎の遠因だ」とサブカルの頃に叩かれたのを忘れてました。
今は私自身リアルの日常のほうが忙しいので当分の予約はないですし。
- 438 :参加するカモさん:2007/06/17(日) 06:02:41 ID:VeCtLVR9
- >>436
久々の予約ktkr!
これもマジ期待www
- 439 : ◆vp3XBrpjZU :2007/06/17(日) 20:38:48 ID:SSLYi4bj
- 投下します。
- 440 :イカれてるのさ、この状況で ◆vp3XBrpjZU :2007/06/17(日) 20:40:44 ID:SSLYi4bj
- 『死亡したのは――――』
* * *
ブチャラティの連中の新入り、ジョルノ・ジョバーナ!
ボスの娘、トリッシュ・ウナ!
そして暗殺チームのリーダー、リゾット・ネェロ!
グヘッ!グヘヒハホッ!
俺の脳裏に浮かんだのは、聞き慣れている、あの落ち着き払った、静かな――
しかし、その内に殺意への歓喜を、聞き心地の良いドス黒さを秘めた声。
『――弱い奴は、放って置いても勝手に死んで行く。
最終的に行き残るのは、我々強者のみだ――』
グヘッヘッ、ヘッ……チョコラータの言葉通り。
三人は、その弱さゆえに死んだ。弱ければ淘汰される。殺される。至極尤もな、当然の話だ。
エ―――ッと、何て言ったっけか……『弱肉ナントカ』って奴だ。グヘッ、ヘッ、実に愉快じゃねーかよ。
あの荒木のオヤジ、殺し合いの『ゲーム』なんて、実に愉快なアイデア実践してくれるよなァ。
野性味タップリ、殺意と殺意の真っ向勝負、俺にピッタリの舞台だ。
よし、俺も暴れまくるぜ。他の連中に負けてられネェ。『殺しまくって乗り切るッ!』
まぁ、今は角砂糖に目が離せねぇけどな……ああ、ウェザーはどうしようかな……。
ウェザーが死んだら角砂糖も食えないだんよな……?
角砂糖くれなくなったら殺すかな……。
ところで、リゾットって俺がこの街に来る前に、もう死んでなかったっけか……アレ……?
- 441 :イカれてるのさ、この状況で ◆vp3XBrpjZU :2007/06/17(日) 20:42:20 ID:SSLYi4bj
- * * *
あたし個人としては、今回の放送の中に特に気になる内容は無かった。
徐倫、F・F。あたしの仲間と言える人間の名前は、幸い一つも並ばなかったからな。
だが……私の横で、腕を組んで座っている東方仗助。
こいつは、どうやら……。
放送が終わってから、椅子に座ったまま、ピクリとも動きやしない。
珍妙な髪型が隠しているせいで、表情は窺い知れないが。
今の荒木のフザケた放送で、決定的な『誰か』を失った事は、その様子から嫌でも伝って来る。
奴に掛けてやる言葉を、あたしは持ち合わせていなかった。
仲間が死んだ奴に、どんな言葉を掛けろと言うんだ?
ただ、あたしは待つ事しか出来なかった。仗助が顔を上げ、どんな表情を見せるか。それを待つ事しか。
- 442 :イカれてるのさ、この状況で ◆vp3XBrpjZU :2007/06/17(日) 20:43:10 ID:SSLYi4bj
- ふと壁際を見ると、注意深くメモの内容を書き綴っていたウェザーがあたしに近寄って来た。
奴はあたしの後頭部に顔を寄せ、小声で囁く。
だが、その様子は、ウェザーの持つ癖の為のものでは無さそうだ。
つまり奴も、うなだれる仗助の心情を察していた、と言う事だ。
「……向こうの部屋で、少し話す事がある。来るんだ……」
あたしは視線だけでウェザーに振り向き、小声で奴に訊いた。
「放送のメモは終わったのか」
「……取り敢えずは、な。気になる事が幾つかある。いずれも重要な問題だ。検証をしたい……」
「検証? 何のだ?」
「……この状況、謎が多過ぎる。情報の整理をしたい。
仗助君も話に加えたかったが、あの様子を見るに……」
「ああ、分かったよ」
あたしは奥の部屋に向け歩き出した。ウェザーは周囲を一瞥する。
振り返ると、仗助はやはり机の上で微動だにしない。
多少心配だが、今はウェザーに従う事にする。
セッコの野郎は床に横になり、ガリガリ音を立てて角砂糖を貪り食っている。
他の物は全く眼中にナシって感じだ。
横にウェザーが製造した角砂糖が幾つか置いてある。これから時間を掛けて食い潰すつもりらしい。
『ここでじっとしていろ』と命令したウェザーに、奴は忠実に従っているのだ。
寝惚けた様な表情で、黙々と白色の物体を齧り続ける、奇怪なスーツに身を包んだ男。
それにしても、何て不気味な奴なんだよ……コイツは。
- 443 :イカれてるのさ、この状況で ◆vp3XBrpjZU :2007/06/17(日) 20:44:14 ID:SSLYi4bj
- 「で、何の話なんだ?」
部屋に入るなり、あたしは早速ウェザーに尋ねた。
だが奴は質問を質問で返してきた。それも、かなりイカレた質問で。
「唐突に思われるかも知れないが、最初に訊かせて貰う。
お前は“何年何月何日に荒木に連れて来られた?”」
その余りの意味不明さに、思考が纏まらない。
「は……?何言ってるんだ?」
「質問を変えようか。お前は“G.D.stに居たのか?”
まだ刑務所の中だったか?最後に戦ったスタンド使いは誰だ?」
さらに意味不明だ。こいつは何を言ってる?どうなってるんだ?
「そんな、当たり前の質問を――」
だが、あたしの言葉を遮る様にウェザーの口から出た言葉は、
驚愕に十分に足るものだった。
「俺は……既に脱獄している。俺がこの場に連れて来られたのは『脱獄後』だ」
もう訳が分からない。疑問がそのまま言葉になる。
「そんな、馬鹿な話が……脱獄、だと?」
「口ぶりから察するに……やはり俺の推測通りだ。
エルメェス、お前はまだ脱獄していないのだな。
まだ、徐倫と共に刑務所を出ていない時点」
「え……えッ!?」
あたしの反応と対照的に、ウェザーは落ち着いた口調で語り始めた。
- 444 :イカれてるのさ、この状況で ◆vp3XBrpjZU :2007/06/17(日) 20:45:15 ID:SSLYi4bj
- 「いいか。良く聞け。今、推測は確信に変わった。
俺達の時間軸はバラバラなんだ。荒木に呼び出された時間が、ズレている。
どういう事か? つまり、俺は『オーランドから、脱獄後に』お前は『刑務所から、脱獄前に』
この場所に連れて来られたと言う事だ。薄々おかしいとは思っていた。
既に死んでいる筈の『ジョンガリ・A』そして『スポーツ・マックス』。
何故この場所で参加者として存在しているのか、疑問だった。
『F・F』も、この街では生きているが……時間軸の錯綜で、全て説明が付く」
「今、何て言った……!?」
ウェザーはやはり淡々とした口調で語った。
「特に隠す理由も無いから、ハッキリと言わせて貰う。
俺が呼び出された時間軸……『脱獄後』の時点で、フー・ファイターズは既に消滅している」
「F・Fが――死んだだと!?」
「エンリコ・プッチ神父――『ホワイトスネイク』の手によってな」
「神父だと!? 誰だよ、そいつは!」
「これから順を追って話す。二人の時間の間隙を埋めよう。まずは、それからだ」
* * *
『未来人』ウェザーから聞かされた話一つ一つに、あたしは驚き、感心してしまった。
奴から話された話は、要約すればこんな所だ。
・二人がこの街に呼び出された時間軸は数週間程ズレている
・原因は恐らく荒木のスタンド能力
・死んだ筈の人間が存在しているのは『死ぬ前の時点』でこの街に連れて来られたから
・他の参加者が過去の人間、或いは未来の人間である可能性がある
・殺人鬼ナルシソ・アナスイについて
・『ホワイトスネイク』の本体、プッチ神父について
・懲罰房での戦闘とF・Fの死亡
・徐倫、エルメェス、エンポリオ少年、そしてウェザーとアナスイの脱獄
- 445 :イカれてるのさ、この状況で ◆vp3XBrpjZU :2007/06/17(日) 20:46:26 ID:SSLYi4bj
-
驚くべき事実を、淡々とした様で語るウェザー。
この沈着さは、奴が『記憶の無い人間』だから成せるものなのだろうか?
「大体、こんな所か」
ウェザーは一通りの話を終えたらしい。あたしは奴に頷いた。
「ああ、大まかだが、事情は分かったぜ。
F・Fは、本当に死んじまったのか。
『ホワイトスネイク』……プッチ神父か……許せねえ」
「“脱獄した”お前も、その考えだったろう」
ウェザーはデイパックから一枚の紙を取り出して、あたしに見せた。
「では、次だ。
言い忘れていたか? 俺に渡された特殊支給品は『顔写真付き名簿』。
先程の荒木の放送を真実と仮定し、死者のリストと照らし合わせる」
ウェザーは名簿を開くと、メモを片手にペンを走らせ、死亡者の名前の隣にチェックを付けて行く。
「エルメェス、この街に連れられてから、誰と知り合った?
今からこの名簿を見せるが、俺の知らない、お前の知人や受刑者の顔は無いか?
これは『名前だけの名簿』に書かれた、参加者全員の顔写真が掲載されている。
顔さえあれば、名前を知らない奴の生死が確認出来るし、偽名等の意味は無くなる。
この街で、お前が見聞きした事を全て話すんだ」
「そうだな……じゃあ、まずは……」
あたしは、荒木によって教会に呼び出されてからの出来事をウェザーに語った。
ドッピオとの出会い。謎のスタンド使いとの戦闘。
第一放送後にドッピオに攻撃され、逃げられた事。
仗助に傷を治され、彼の抱えていた男の埋葬を手伝った事。
ウェザーは死者の名のチェックを終えた名簿をあたしに見せる。
「『第一放送前に戦ったスタンド使い』、『仗助が背負っていた男』の名を調べるんだ。
後、間違い無く『ドッピオ』も偽名だ。そんな名は参加者名簿に存在しない」
- 446 :イカれてるのさ、この状況で ◆vp3XBrpjZU :2007/06/17(日) 20:47:42 ID:SSLYi4bj
-
「……そうだったのか」
迂闊だった。参加者全員に配られていた名簿。ドッピオの名を調べすらしなかった。
この突然の異常事態に、気が動転していたのだろう。
ドッピオ……あたしはあいつに致命傷を食らわされた。
仗助が居なければ、間違いなくあの場で死んでいただろう。
あいつは絶対に許せねえ存在だ。……しかも、偽名を名乗っていたとはな。
あたしは手渡された名簿上の写真を、一つ一つ入念に見ていった。
奴の、あのおどけた野郎の顔の在り処を見つけ出す為に。
最も期待する可能性は、奴の本名が先の放送で呼ばれている事だが……。
……しかし、事態は奇妙な方向へズレて行く。
名簿の写真を全てを確認した後に、
予想だにしない問題があたしに降り掛かって来たのだ。
「……あれ?」
「どうした、エルメェス?何か問題でも?」
ウェザーが訝しげな表情で尋ねて来る。
「おかしい……ぞ」
「全参加者に対応した顔写真が載っている事は既にチェックしている。
その名簿に不備は無い筈だ」
「いや、載ってねえんだ」
「何?」
「載ってねえんだよ。あたしを殺そうとして来た、ドッピオが。
奴の顔が、この名簿の何処にも無い」
- 447 :イカれてるのさ、この状況で ◆vp3XBrpjZU :2007/06/17(日) 20:48:56 ID:SSLYi4bj
- 「載っていない……だと?」
ウェザーが身を乗り出す。あたしは名簿を奴に返した。
「どうなってるんだよ、一体?
奴の名前が嘘でも、ここに顔写真はある筈だろ?
『ドッピオ』は一体、何者なんだよ?」
「待て……つまり」
ウェザーは飽くまでも落ち着いた表情で、思考を始めた。
額に手を当てて、呟くように語る。奴も相当、解釈に苦しんでいるらしい。
「これは俺の推測に過ぎないが……。
例えば、そいつ……ドッピオは『顔面を自由自在に変形できる』スタンド使いなのかも知れない。
変身能力ならば、この顔写真さえ無効になるな。
あるいは『ドッピオと言う少年自体が具現化したスタンド』である可能性。
つまり、奴は人間でなく、本体が別に存在していたと言う事だ。
何にせよ、この問題には更なる判断材料が必要だろう。
証拠無き確信は極めて危険だからな」
「成る程ね。確かに、お前の言う通りだな」
ドッピオ自身がスタンド、か……十分に起こり得る話だ。
この家にいる四人を見るに、街に集められた参加者はスタンド使いが少なくないらしい。
名簿から姿を眩ます方法なんて、幾らでもあるのだろう。
- 448 :イカれてるのさ、この状況で ◆vp3XBrpjZU :2007/06/17(日) 20:49:46 ID:SSLYi4bj
- ウェザーが間髪入れずに訊いて来る。
「他の二人はどうだ? 『夜間、お前とドッピオが出会ったスタンド使い』、
『仗助が背負っていた死人』の顔はあるか?」
「ああ……今、探す」
あたしはもう一度名簿に目を通した。
一人は――『第一放送前にあたしとドッピオを襲撃した奴』はすぐに見つかった。
名はプロシュート。既に第一放送時点で死んでいた。
あたしがこいつの能力に倒された時、あたしの身体はドッピオに抱えられ、奴から逃げ出したらしいが……。
本当はあの時点でドッピオが殺したんじゃないのか? あのガキの謎がさらに深まる。
あたしは『プロシュート』の名をウェザーに伝えた。
積極的に殺しに掛かる参加者であったとしても、
もう死人ならば害になる事も無い、とウェザーは語った。
そう、『プロシュート』なんぞ、大した事ではなかった。
次の衝撃に比べれば、全くどうでもいい話だったと言える。
「……!?」
『仗助が背負っていた男』の顔と、その名前を見つけた時、あたしは自分の目を疑った。
信じられない、嘘だ。そう思った。
だが、この名簿に掲載されている『それ』は、紛れも無い真実なのだろう。
あたしはウェザーに尋ねた。事態の再確認をする為に。
「ウェザー。参加者が連れて来られた時間軸は、それぞれズレている……。
確か、そう言っていたよな?」
「ああ。事実、俺とエルメェスの時間はズレていたんだ。
……それがどうかしたのか?」
「……ジョセフ・ジョースターだよ」
「何?」
- 449 :参加するカモさん:2007/06/17(日) 21:03:42 ID:yinL4g7i
- 支援
- 450 :参加するカモさん:2007/06/17(日) 21:04:26 ID:/OKlEQys
- ペロ、これは…支援!かな?
- 451 :参加するカモさん:2007/06/17(日) 21:09:52 ID:sqmzwZT/ ?2BP(52) 株優プチ(event)
- おせっかいやきのプチ株主が代理投下します
- 452 :イカれてるのさ、この状況で ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/17(日) 21:10:27 ID:sqmzwZT/ ?2BP(52) 株優プチ(event)
- あたしは判明した真実を告げた。
「……仗助の……親父だよ。
『仗助が背負っていた死人』の正体は」
「……何だと?」
「仗助は……仲間を失ったショックで、気が動転している、あたしはそう思っていた。
だが……あいつが言っていた事は本当だった。あの男こそが……ジョセフ・ジョースター」
ウェザーの語る時間のズレを、あたしは長くても数ヶ月程度のものだと解釈していた。
だが、あの青年は確かに仗助の父。
数十年の時を超えて、この場に招かれた人間だったのだ。
「話すのか?」
ウェザーは、唐突に訊いて来た。
「今の仗助君に、それを話すのか?
お前が背負い埋葬した男は、父親、ジョセフ・ジョースターの過去の姿だったと」
「それは……」
戸惑うあたしに向けて、ウェザーは――この男にしては――余りにも意外な言葉を放った。
だから、あたしは面食らってしまった。
「俺は、この事実は隠して置くべきだと思う。
知らなくても良い、知らない方が良い事が確かに存在する。
俺には過去の記憶が無いが、
戻らない方が本人に取って幸せであろう過去もあるとは思っている。
神父が俺の記憶を奪い取った理由も、
過去の忌まわしき悪夢を封印する為なのかも知れない。
……とにかく。話すべきでは無いだろう。少なくとも、仲間を失ったばかりの、今の仗助君には」
意外な程に情熱に溢れるウェザーの言葉に、あたしは驚いた。
そして、頷いた。
「ああ、分かったぜ。この事は、二人の秘密にして置こう」
- 453 :イカれてるのさ、この状況で ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/17(日) 21:11:02 ID:sqmzwZT/ ?2BP(52) 株優プチ(event)
- ウェザーは写真付き名簿をデイパックに戻した。
「……では、最後の話だ。
もう時間が無い。“奴”は、ここを観察している。
理由は分かりかねるが、こちらに来る様子が見当たらない。
情報交換するにも、襲撃するにも、近づく必要があると言うのにな」
「何を言ってるんだ?」
ウェザーは窓を仰ぎ見た。あたしもその側に視線を向ける。
窓の奥では、深い霧が外気を満たしていた。こちらまで届く、僅かな雨音。
「ナルシソ・アナスイが来ている。
この家の近くで……観察している」
* * *
白昼の街中、辺りを漂う不自然な濃霧。
一帯に降り続けたほんの微量の雨粒が凝結し、発生した靄。
進入したものを白に染め尽くすそれに埋まりながら、
ナルシソ・アナスイは、霧の中心部に位置する一つの民家の様子を伺っていた。
衣服が、新たに降注ぐ雨に濡れ続ける。
この場所には間違い無く、自分の仲間の一人がいる。
彼には、この殺人ゲームに参加する意思は無いらしい。
極力戦闘を避け、この街を脱出する為の、何かのチャンスを待ち構えている。
アナスイは行くべきなのか、決め兼ねていた。
数十分もの間、その場に止り続けていた。
彼を留めさせる原因は、漠然とした恐怖だった。
……この異世界にて仲間と出会った際に、
今の自分がそいつに対しどう行動すべきなのか、分からなかった。
- 454 :イカれてるのさ、この状況で ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/17(日) 21:11:37 ID:sqmzwZT/ ?2BP(52) 株優プチ(event)
- だが、決定を下さなければならない瞬間は着実に迫り来る。
白に染まった空間の奥より、一つのシルエットが浮かび上る。
大柄の影は自分を目指し接近していた。
別段急ぐ様子も無いらしく、その動きは遅い。
アナスイは、影が自分に語り掛けるのを待ち続けた。
互いが一定の距離まで近づいた時、
その明細な形が、アナスイの眼に映った。
――ウェザー・リポート。
何時も通りの無表情が、自分を見つめている。
「……!?」
その時にアナスイは始めて、ある矛盾に気が付いた。一つの疑問が浮上した。
名だけを参加者名簿で見た時には、大して気にも留めなかった。
しかし、今、眼前に本人が、生きた彼が存在していると知覚した際に、
その疑念は現れざるを得ない。違和感を覚えざるを得ない。
その理由は過去。その理由は記憶。
「ウェザー……お前……」
疑問を、口に出さずには居られなかった。
いとも自然と、しかし同時に喉の奥から声を搾り出すような苦悶を伴い、アナスイは問うた。
「何故、生きてるんだ?」
- 455 :イカれてるのさ、この状況で ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/17(日) 21:12:01 ID:sqmzwZT/ ?2BP(52) 株優プチ(event)
- * * *
「……!」
ウェザー・リポートは、家屋の陰から身体を覗かせたアナスイが発した言葉の意味する事実を、
数秒掛けて漸く理解した。
エルメェス・コステロの逆。アナスイは『未来』だったのだ。
数ヵ月後か、数日後か、それともたったの数時間後のものだったのか。
何時の事にせよ、この男はウェザーの『死』を知っているのだから。
合衆国、フロリダでの、もう一人の自分の、明確なる『死』を。
今は動揺して良い時ではなかった。
溢れ出る感情を必死に押し殺し、ウェザーは眼前の未来人の質問に対し、
冷静な態度を保ちながら応じた。
「――いいか? 良く聞け、アナスイ。この俺は、お前から見れば『過去の人間』だ。
お前が見た俺の死。ここにいる俺は、『それ』以前から連れて来られた」
アナスイは暫く考えていた様だったが、やがて理解に達すると言葉を返した。
「何を言ってるのか、良く分からんが……。
つまりお前は、死ぬ以前のウェザー、と言う訳か」
「そういう事だ」
頷くと、アナスイは鼻で笑った。
「ハッ。訳が分かんねえぜ。じゃあなんで『過去の人間』が俺の前に居るんだよ?
つーか、ココは何処だよ?
俺は神父と戦闘中だったってのに、どうなってやがる?」
ウェザーは確かに感じ取った――相手の語調には、自嘲の含みがあった。
霧の中で、二人の間で、冷たい風が吹き荒んだ。
鋭い光を帯びたウェザーの瞳が、アナスイのそれを射た。
アナスイは、憔悴し切っていた。
- 456 :イカれてるのさ、この状況で ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/17(日) 21:12:23 ID:sqmzwZT/ ?2BP(52) 株優プチ(event)
- 暫しの沈黙を破ったのはウェザー。
「お前はこれから、どうするつもりなんだ?」
アナスイは首を横に振り、問うたウェザーに対してでなく、
自分自身に言い聞かせる様に、語り始めた。
内に秘めた本心の吐露だった。
「さあね……。最初の頃は、張り切っていたんだがな。
彼女――徐倫――を優勝させる為に、実際一人殺した。
だがな……やっぱり、俺は駄目さ、ウェザー。
誰と戦っても、勝てる気がしない。すっかり怖気づいちまってるらしい。
おかしいだろ?こんな所で何十分も待って……震えてるんだぜ。
今の俺は、虫ケラ一匹も殺せない。こんな俺に……徐倫を護る資格が……」
「アナスイ」
ウェザーは強い語調で、相手の言葉を遮る。
「お前と、これから殺し合うつもりは無い。
荒木の語る『ゲーム』に乗る気も俺には無い。
今、あの家には三人の仲間がいる。
お前の能力は強大だ。俺達と共に行動しないか」
ウェザー・リポートは尋ねながら、答えを既に知っていた。
アナスイの様子から見て取れた。彼は、疲れ果てていた。
自分達と共闘する気力さえ、もう無いのだろう。
「いや、遠慮するね」
ぎこちない動きで、アナスイは振り返った。
一歩、また一歩。ウェザーより離れ、霧の奥へと消え去って行く。
「ククッ。なぁウェザー。俺はな……。
あんな切羽詰った状況で。お前が既に死んでいると言うのに。
徐倫に結婚を申し込んじゃったりしてな。クク、ハハッ……。
……イカれてるのさ、この状況で。承太郎さんが言っていた通りだ。
お前と出会えて良かったぜ。死人が」
- 457 :イカれてるのさ、この状況で ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/17(日) 21:12:45 ID:sqmzwZT/ ?2BP(52) 株優プチ(event)
- ナルシソ・アナスイの姿は、白霧より立ち去った。
デイパックを担いだその背中が完全に消失するまで、ウェザーは見据え続けていた。
* * *
家に戻ったウェザーを迎えたのは、エルメェスの焦燥した声だった。
「ウェザー! 仗助が、行っちまった!」
ウェザーがアナスイと会話する為に家から離れた後、
仗助は屋内に残ったエルメェスに、先の放送に三人の仲間の名があった事を告げた。
この場で待機しているだけでは、死人はこれからも増え続けるだけだと彼は言った。
家に留まり続ける事を拒んだ彼は、街の中心部――駅へと向かう準備を始めた。
エルメェスは全力で説得したが、既にその意志は強く、
半ば逃げ出す様にして仗助は行ってしまった。
……エルメェスはそう語った。
「……無理も無い話だ」
ウェザーはセッコに角砂糖を放り投げながら、猛るエルメェスに冷静に応じた。
「死者の中に、仲間は三人もいたのか。
一人、もしくは二人程度だと考えていた。
確かに人間が死んでいる――仗助君のその行動も、当然と言えるのかも知れない。
『あの事実』を伝えるまでも無く、彼は動き始めた訳だ」
「おい、ウェザー!」
エルメェスは納得が出来ない。
角砂糖をガリガリと齧り捲るセッコを、無表情に見下ろしているウェザーに向けて怒号を上げる。
「いいのかよ、あいつを追わないで!
外には、どんな敵が待ち構えてるか分からねえんだぞ!
危険な場所にみすみす行かせるってのか!?
仗助は、あたし達の仲間だろうが!?」
- 458 :イカれてるのさ、この状況で ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/17(日) 21:13:07 ID:sqmzwZT/ ?2BP(52) 株優プチ(event)
- ウェザーはエルメェスに視線を返す。強靭な冷徹さが宿る眼光。
「俺は、彼の感情を重んじたい。
干渉すべきではないし、止められるとも思えない。
少なくとも俺達は、まだここから動くべきではない」
「だからって、ウェザー、お前……!」
仲間との決別に感情が揺れるエルメェスを横目に、
ウェザーは新たな角砂糖の製造に取り掛かり始めた。
* * *
「……」
少々厳しい言葉を選んでしまったとは自覚している。
自分の気が立っている事も判っている。
内に留める激情の渦が、冷静な判断を奪っていた。
ウェザーは思考した。何処で。何故。どうやって。
――自分は、死んだのか。
アナスイに聞きたい事は、本当は山程あった。
多すぎて数が把握出来ない程に疑問は存在していた。
自分の記憶は結局、戻ったのか?
戻ったのなら、自分はどのような人物だったのか?
自分が死んだのなら、やはり神父に殺されたのか?
ならば、何故神父は記憶を奪っただけで自分を殺さなかったのか?
分からない。分からない。何もかも――。
ウェザー・リポートは、近い将来に絶命する筈だった自分が、
この街で戦い続ける意味があるのかと、自らの心に問うた。
- 459 :イカれてるのさ、この状況で ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/17(日) 21:13:29 ID:sqmzwZT/ ?2BP(52) 株優プチ(event)
- * * *
……ガリガリガリガリガリガリガリガリ。
なーんか、大変な事になってるみてェだな。
まあ、俺を殴って来やがったジョースケが居なくなるのは歓迎だし、
角砂糖さえ貰えれば、どーだって良いんだけどよォ。
グヘヘヘヘェッ。
……ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ。
- 460 :イカれてるのさ、この状況で ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/17(日) 21:13:59 ID:sqmzwZT/ ?2BP(52) 株優プチ(event)
- 【角砂糖同盟 Lv.2】
【杜王駅近くの民家(F-3)/一日目/日中】
【ウェザー・リポート】
[スタンド]:『ウェザー・リポート』
[時間軸]:ヘビー・ウェザー習得直前
[状態]:健康、スタンドによる降雨(小雨程度)、冷静を装っているが非常に動揺している
[装備]:簡易角砂糖、砂糖を入れた袋
[道具]:支給品一式・顔写真付き名簿・少量の塩・スーパーエイジャ(セッコからもらった)
[思考・状況]:
1)自分が死んだと言う事実に、深い衝撃を受けている。戦い続ける事に疑念
2)角砂糖作りを続ける。幾つかはストックしておき、セッコに気付かれないようにする
3)角砂糖を使ってセッコを利用・見張る
4)スーパーエイジャの真の持ち主ともいえるべき人物を探したい。(使用目的を聞きたい)
5)徐倫達を探す(角砂糖製造が終わり次第この家を出て動こうと思っている)
6)『雨』によって注意深い人物との接近、その人物との会話をしたいと考えている。(出来ればエイジャの情報を優先的に知りたい)
7)セッコと第四放送まで同盟
8)プッチ神父を警戒
9)打倒荒木
【セッコ】
[スタンド]:『オアシス』
[時間軸]:ブチャラティ達と闘う前
[状態]:右頬にエイジャの光線による切り傷(血は止まっている)
[装備]:オアシスのスーツ
[道具]:支給品一式
[思考・状況]:
1)取り敢えず角砂糖と遊んでくれる人がいれば、後はどうでもいい
2)ウェザーと第四放送まで同盟(今の所裏切るつもりはない)
3)ウェザーは(チョコラータ程ではないが)好き。とりあえず従っていれば問題ないだろう
4)ゲームで優勝する
5)あァ?石?どうでもいいぜぇ〜
- 461 :イカれてるのさ、この状況で ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/17(日) 21:14:26 ID:sqmzwZT/ ?2BP(52) 株優プチ(event)
- 【杜王駅近くの路上(F-3)/一日目/日中】
【東方仗助】
[スタンド]:クレイジー・ダイヤモンド
[時間軸]:四部終了時
[状態]:右太股にツララが貫通した傷(応急手当済み・ 歩行に少し影響)
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、小型時限爆弾、スコップ×2(エルメェスの『シール』で二つになっている)
[思考・状況]:
1)町の中心部(駅方面)に向かう。戦闘を止めたい
2)どこかに隠れているジョセフを探す
3)傷ついている参加者がいたら、敵味方関係なくとりあえず『治す』
4)シーザー、シーザーの仲間を探すのは後回し
5)打倒荒木!
【杜王駅近くの路上(F-3)/一日目/日中】
【ナルシソ・アナスイ】
[スタンド名]:ダイバー・ダウン
[時間軸]:対プッチ戦終盤、徐倫がプロポーズをOKした瞬間
[状態]:右前腕骨折治療完了(痛みはありますが普段通り動かせます)、疲労
[装備]:『幸運?』の剣 (柄に由花子の髪が絡みついて離れない。髪の下に「UN」の血文字が隠されている)
*右腕にアイアンボールボウガンをバラバラに分解したパーツを埋め込んで補強しています。
[道具]:支給品一式×5(自分、由花子、ブラフォード、噴上、ジョナサン)。ただしバッグは一つです。
[思考・状況]
1)徐倫を護るため、あえて『殺人鬼』になるつもりだったが、自信を失っている
2)徐倫以外を全て殺した後、自分も死ぬつもりだったが、気力は失せている
3)露伴の書き込みにより『殺人はできない』
*アナスイはとにかく『相手に殺意の攻撃が出来ない』と認識しています
4)(本人の意識には上ってないが、なんでも分解してしまう癖が再発中)
- 462 :イカれてるのさ、この状況で ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/17(日) 21:14:47 ID:sqmzwZT/ ?2BP(52) 株優プチ(event)
-
[補足1]:セッコは3)以降の思考は殆ど忘れてしまっています。
[補足2]:ウェザーは、エイジャに関してはあくまで真の持ち主から使用目的・方法を聞く事と、セッコの悪用を防
ぐ事を目的とし、実際にウェザー自身がエイジャを使って何か行動を起こすつもりではありません。
[補足3]:仗助は「荒木は自分たちの声を聞くことができる」と推測しています。(根拠なし)
[補足4]:仗助は、第一放送の禁止エリアについての情報を聞きましたが、メモは取っていないようです。
[補足5]:仗助は過去に名簿を見ましたが、ドッピオの名前の有無はいまは意識にありません。
[補足6]:仗助は埋葬した遺体がジョセフだとは気づいていません。
[補足7]:エルメェスは、ドッピオの二重人格に気付いていません。
[補足8]:ウェザー、エルメェスは『時間軸のずれ』を認識しています。
[補足9]:顔写真付き名簿に載っているのはディアボロの顔です。
[補足10]:ウェザー達、仗助、アナスイの座標は同じですが、それぞれ別の場所です。
[補足11]:露伴は死亡していますが、アナスイへの書き込みは持続しています。
しかしそれが彼の現在の心理状態を形成している訳ではありません。
- 463 :イカれてるのさ、この状況で ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/17(日) 21:15:41 ID:sqmzwZT/ ?2BP(52) 株優プチ(event)
- 以上、代理終了です。
書き手さん、お疲れ様でした!
ただ、行数の関係で>>460の一部の空白行を削らせていただきました
ご迷惑でしたら言ってください
- 464 :参加するカモさん:2007/06/17(日) 21:20:03 ID:/OKlEQys
- 乙!アナスイのヘブンズドアー効果は一生解けないのか?
ちょっぴりサラマンダー化しそうなアナスイがかわいそうに思えた
- 465 :参加するカモさん:2007/06/17(日) 22:13:27 ID:YfrCJxPP
- GJ!
本当に皆イカれ始めてねぇか……?まともなのはエルメェス兄貴だけだぜ!
それに状助がここで駅に向かうのが意外だった……
上手くいけば承太郎たちと接触できそうだけど状助の事知らない時代から来てるしマジカワイソスだな。
アナスイって「幸か不幸かの「世界」」でウェザーが生きてるみたいな事言ってなかったかなーと思ったけど。
今回のを見る限り単にイカれて混乱してただけっぽいなw
- 466 : ◆yxYaCUyrzc :2007/06/17(日) 23:22:27 ID:48lssaT8
- 乙&GJです!
エルメェスの状態表はしたらばでしょうか?
コレで駅に行く人が増えると戦闘の描写とか大変でしょうねぇ・・・
- 467 :参加するカモさん:2007/06/17(日) 23:53:08 ID:YfrCJxPP
- >>466
これだな。
【エルメェス・コステロ】
[スタンド]:『キッス』
[時間軸]:スポーツ・マックスとの決着後、体調が回復した頃(脱獄前)
[状態]:良好
[装備]:ライフル
[道具]:ドル紙幣等に加え、大量の石ころ
[思考・状況]:
1)ウェザー達と共に行動するか迷っている
2)家を出て行った仗助が気に掛かる
3)傷ついてる参加者がいたら、とりあえず助ける
4)徐倫、F・Fと合流したい
5)プッチ神父は倒す
- 468 : ◆/4V68E5Ojg :2007/06/18(月) 15:44:51 ID:xjK3K+jt
- 予約します
【ワムウ タルカス ミキタカ 仗助 プッチ リキエル】
- 469 :参加するカモさん:2007/06/18(月) 16:12:20 ID:tQ8O6cky
- 期待。
仗助ほとんどマーダーに囲まれてマジにやばそう
- 470 : ◆fk8qEzlLPk :2007/06/18(月) 20:36:11 ID:jin2Ll4v
- 予約の一週間延長を申請します。
現在50%ほど。今週中には投下します。
>>468
早くも仗助に動きがあったようですね……期待wktkです。
- 471 :参加するカモさん:2007/06/18(月) 21:31:55 ID:XOM95oNM
- >>462まで。最近予約多くてなんだか嬉しい。
ttp://www.uploda.net/cgi/uploader4/index.php?file_id=0000015042.jpg
- 472 :参加するカモさん:2007/06/19(火) 02:27:44 ID:9TWSHRQE
- >>471
蝶・乙!!
禁止エリアが取り囲むように出来てるな。
駅周りの密集率は相変わらずか……安全そうなのがDIO様しかいねえww
- 473 :参加するカモさん:2007/06/19(火) 11:51:59 ID:3SuX2H5h
- 暇なんで一気読みしてみた。「ありのまま」多すぎw何回使われてんだ?
書き手さんのくせもわかってきた。
例えば今予約しているfk8pEzlLPk氏。
この人のバトルはジョースター側に被害が出る。いま予約しているSSもジョージ側から死者が出てバトル終了となる。
他に、最近よく投下しているC9UOxHGVmM氏は主人公の扱いがずさん。この人が主人公のいるSSを投下するときは、主人公の活躍は期待できない。
くせ見抜けば、けっこう予想できるね。
- 474 :参加するカモさん:2007/06/19(火) 12:38:00 ID:jHuDeUn+
- >>473
こりゃひでえ
- 475 : ◆yxYaCUyrzc :2007/06/19(火) 13:04:02 ID:aBvtsEUU
- >>473
なら自分で書いて完璧なSSを投下しておくれ
期待wktkで待ってるから
- 476 :参加するカモさん:2007/06/19(火) 13:57:55 ID:3SuX2H5h
- >>475
やなこった。
これくらい、ジャンプロワじゃ当たり前だぜ?
- 477 :参加するカモさん:2007/06/19(火) 14:01:13 ID:l8EeYxBz
- 荒れてるジャンプロワからの流民ですか
あっちはそうでもこっちの流儀は違うの
書き手として充分な技量はあると思うよ
- 478 :参加するカモさん:2007/06/19(火) 16:07:06 ID:6qvGP/b+
- 何か妙なの来たな
職人さん達はこんなの気にしないで頑張ってくれ
- 479 :参加するカモさん:2007/06/19(火) 17:37:01 ID:wdCRSnt3
- >>473
流石ゆとり空気読めません
- 480 :参加するカモさん:2007/06/19(火) 18:31:55 ID:jHuDeUn+
- 最初に反応した自分が言うのもなんだけどスルーしようぜ
- 481 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:18:13 ID:FzARxYGj
- 投下します
かなり無茶しちゃった上に駄文ですので破棄覚悟でいかせていただきます
- 482 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:18:39 ID:FzARxYGj
- 億奏……康一……露伴……
億奏……康一……露伴……
億奏……
あいつ、アホアホバカにしてたけど、肝心な所では根性見せる奴だった…
なにより…いい奴だった……
康一……
始め会ったときは気弱な奴だと思ってたけど……勇気もある……
あの承太郎さんにも頼りにされてたしな……
露伴……
あのいけすかねえ野郎が死んだってよ…まだ俺の髪型をバカにされたときの恨みは残ってる…
一字一句覚えてるぜ…「君のそのヘアスタイル笑っちまうぞ仗助!」
「20〜30年前の古くさいセンスなんじゃあないの カッコイイと思ってんのかよお」
「こぎたない野鳥になら住み家として気に入ってもらえるかもなあ」
億奏……康一……露伴……
あいつらが死んだって…?そんなわけないだろ……億奏はガタイもいいし、度胸もあった……
康一はいざというときの根性なんて俺には真似できねえ……
露伴…認めたくはねえが自分を省みない奴だった……ひねくれてるけれどよォーッ!
あいつらが死んだなんて……そんなバカな話があるかよォーーッ!
- 483 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:19:12 ID:FzARxYGj
- * * *
ガラガラガラガラ…
瓦礫が崩れた音がする。崩壊した駅の一部の下から、屍生人タルカスが瓦礫を持ち上げた。
常人のレベルでは致命傷といえる傷であったかもしれない。
しかし、生前ですら77の輝輪の試練を越えた戦士であったタルカスにとっては、
無傷やかすり傷、ではないにしろ戦うのに不都合なほどのケガでもなかった。
「ほう、タルカスよ。無事であったか。さすが屍生人、というわけか。」
主人は、瓦礫の中から這い出てきたタルカスにややひねくれている誉め方をした。
しかし、タルカスは黙ったままであった。だが、ワムウさえも威圧を感じる目であった。
「なにか言いたいことでもあるのか?お前の戦いの邪魔をしたことを怒っているのか?」
超一流の戦士であるワムウにも、その気持ちは分からなくもなかった。
しかし、気をとがめている、ということではなかった。その程度でのことで、いや、
本当に戦いを汚されたと感じているのに言葉で歯向かう程度の器ならばタルカスを見捨てようと考えた。
しかし、タルカスの答えはそうではなかった。
「いいえ、違います。ですがワムウ様、一つ言いたい事があります。」
食料である吸血鬼、その手下という身分であるはずのタルカスの言葉。
普通ならば切り捨てていたかもしれない。しかしその目と雰囲気はワムウの軽い言動を封じるものがあった。
「なんだ、言え」
「ワムウ様、私は……」
カタン……
人間の耳では聞き逃してしまうような小さな音であったが、屍生人と柱の男の会話を止めるには充分であった。
「ほう、来客のようだ。タルカス、客の相手は俺がしておこう。その間に考えをまとめておくことだな」
- 484 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:19:33 ID:FzARxYGj
- * * *
この仗助様が男泣きかよォ〜ッ誰か見てなかったよなァ〜ちくしょう恥ずかしいぜェーッ
飛び出してきてよ、セッコはともかくエルメェスとウェザーには悪い事しちまったかなァ……
だけどよぉ……俺は一人でも多く「治す」って決めたんだ……もう俺みたいな奴が出ないようにな。
そのために……駅に行く。少なくとも誰かいると思うしな。
そういえば、名簿には俺の知り合いはあとどれだけ載ってるんだ?
手に握られている滲んだ名簿に目を通した。
まだ放送が流れていないのは……放送?そういえば、ジジイの名前が放送されたときに
色々聞き逃しちまったな、エルメェス達に聞いておけばよかったぜ……
で、俺の知り合いで今生き残ってるのは…
『空条 承太郎』……承太郎さんか。無敵のスタープラチナはそうやられることもないだろうし、大丈夫だろうな。
『山岸 由花子』……あの女か……殺されても死ぬようなタマしてねぇけど一応心配だぜ……
『噴上 祐也』……あのスケコマシか。憎めねー奴だけど案外骨のある奴だ、怪我でもしてなきゃいいが。
『ヌ・ミキタカゾ・ンシ』……あの宇宙人?はどうしてるんだ?結局なんだかわかんねーけど、ちゃっかり無事でいそうだな……
ん……虹村 形兆?ってあの形兆の兄貴か?死んだはずじゃなかったのか?ど、どうゆうことだ?
そういえば最初のときに出てきた重ちーも死んだはずだし……これが荒木の能力なのか?
仗助は少し考え、考えても無駄だと思い続きを読むのをやめ、名簿をしまい駅にむけて歩き出した。
なんにせよ、とにかく駅に向かうしかねぇな。
俺の知ってる奴らだけじゃなく、俺の知らない奴らでさえも、たとえそいつがどんな強面でも、
悪人面でも、ぶん殴ってきた奴でも「治す」。案外知り合いに出会えるかもしれねえしな。
治してやったらそいつも死んだあいつらのために祈ってくれるような人もいるかもしんねえしな……
あーあ、また名簿ぬらしちまった……
- 485 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:19:59 ID:FzARxYGj
- * * *
こ、こいつはヘヴィーだぜ……
駅は半壊、一部は崩れかけていた。
しかも、これは比較的被害の少ない西側。
破壊の度合いで東から崩れ始めていることは仗助にもわかったが、東側の被害は予想できなかった。
まさかッ!このゲームに乗った奴……奴らかもしれねえな、がここで戦闘おっぱじめたってことかァーッ!?
こんな目立つところでよくもここまでやりやがるぜェ〜ッ!
東側に周った仗助は、いつもとは違う駅の風景に更に唖然とした。
粉々。全壊。木端微塵。どの言葉を当てはめればいいかもわからなかった。
そして、スタープラチナ。ザ・ハンド。キラークイーン。仗助の知っているスタンド全てを思い出しても
ここまで破壊のできるスタンドはない、という結論に達した。
こ、こいつは、マジでヘヴィー……なんてもんじゃねーぜ……ど、どうやったらここまで建物を壊せるんだ……?
とりあえずここで戦闘、ないしはなにかが起きた事はコーラを飲んだらゲップが出るくらいに確実だぜぇ……
なにかが起きたってことは、誰かがケガしてるかもしれねえな……どれ、とりあえず入ってみるか……
粉々になったガレキの山、元駅の入り口であったであろう場所に近づく。
死んじまった者は助けれねぇけどよォ、こういうのを治すだけなら確実だぜ……
「クレイジー・ダイヤモンド!」
仗助のスタンド、クレイジー・ダイヤモンドは地面に転がっているガレキに拳を振り落とす。
すると、ガレキと化した駅の入り口は見る見る間に元の役割を果たせるよう入り口に戻っていく。
仗助は誰かが下敷きにでもなっていないか確認しつつ、この圧倒的破壊力を持った者を警戒しながらも
明かりがほとんどない、駅の中へと入っていった。
- 486 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:20:29 ID:FzARxYGj
- * * *
「「おーい、誰かいるかァーッ!」」
「「ケガしてるなら返事しやがれーッ!」」
仗助は未知なる敵がいることをわかりつつも、彼の性格、心象上ケガ人を探さないわけにはいかなかった。
もちろん、百戦錬磨、とまではいかないものの、それなりの数の修羅場を潜り抜けてきた
クレイジー・ダイヤモンドを常に出し、臨戦状態に似たような状態でゆっくりと歩いていた。
そして落ちている元々地面であっただろう破片を周りに投げ、音で暗闇でもどちらが行き止まりかわかるようにしていた。
だが、ここは仗助のホーム・グラウンド。細部まではさすがに覚えていないものの、大体の駅の内部は把握していた。
やれやれ……ここはT字型の道、突き当たりだったよなぁ……右か左か……どっちに行くかねえ……
奇襲にも気をつけなきゃいけないしよォ・・・・・・
バリンッ!
地面の砕け散ったガラスの割れる音!
な、なんだッ!?今の音はッ!方向は右のあたりの地面だ、少なくとも俺の出した音じゃないはず……
ということは……あの駅を木端微塵に破壊した「敵」か!?
仗助はT字の道の中央に荷物を置き、あたりを警戒しつつ見回す。だが、なにも見えない。
光はところどころにある木漏れ日だけだが、既に暗闇にはなれたはず。
しかしいくら目を凝らしても右の方向になにかを見つけることはできなかった。
気、気のせいだったのか……い、いや、違う……
なんとなく、勘、虫の知らせって言うのかな……気のせいじゃねーってことはなんとなく分かるぜ……
殺気、とは違う、でもビビっちまうような気配、こんなもんはどんな相手にも感じた事はねーぜ……
「誰だかしらねーが出てきやがれッ!こっちには戦うつもりはねーが、襲ってくるなら容赦しねーぜッ!」
- 487 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:20:58 ID:FzARxYGj
- 少し警戒し、クレイジーダイヤモンドを出しながら何歩か下がる。
しかしなにも起こらない、あれは足音だと思ったが、次の音は聞こえてこない……
地面からの音だ、これだけガラスや瓦礫だらけなら二歩目を踏み出す、いやそれ以前にそこまで来るのに
足音が聞こえないはずがない。
まさかもしかして気のせいだったのか…!?
ヒュウウウウ……
風を切る音。
ドガァァァァァッ!
なにかが仗助にめり込む。
うおおおお!?な、なんだァーーッ!
なにもないところから急に大男が現れ、仗助の胴体を襲った。
が、仗助はクレイジーダイヤモンドで大男を弾き、反動で少し吹っ飛ぶ。
「ほう、『なにか』でどうやったかは分からんが身を守ったか。人間も波紋だけではなく色々な進化をとげたようだな
だが、お前のセリフ戦うつもりはないが、襲ってくるなら容赦はしない……いつでもこんな人間はいるものだな。」
大男はややしわがれた声、だがその声には凄みがあった。
「な、なにもんだてめぇはッ!?」
こ、こいつ、『なにか』だって……スタンドが見えてるってことはこの破壊力はなんらかのスタンドによるものなのか?
「柱の男、我が名はワムウ……人間、貴様は不思議な能力を持っているようだな……パワーにも驚きだ……」
「は、柱の男だって!?」
- 488 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:21:30 ID:FzARxYGj
- そ、そういえば承太郎さんがそんなことを言ってた覚えがあるぜェーッ!
エジプトで戦った吸血鬼、DIOの話を聞いていたとき、
吸血鬼を作る『石仮面』を作ったのが柱の男達だって聞いたぜ!暗闇ならそいつらの本拠地みてーなもんじゃねーかッ!
なにが俺のホームグラウンドだってッ?調子に乗りすぎたぜーッ!
まともに戦ったら無傷じゃすまねえ、なんとか時間を稼いで逃げるしかねぇ……
仗助は後ずさる。
「我々を知っているのか……?その不思議な能力はなんだ?波紋の一種か?今の人間は皆使えるのか」
「さ、さあな」
見えてるのにスタンドを知らない?もしかして柱の男はスタンドが見えるのか?
スタンドが見えるのなら奇襲でラッシュもできない。くっそーッ、どーすりゃいいんだよォ〜ッ!
仗助が思考をめぐらせているとき、ワムウは大声をあげた。
「タルカスッ!少々前にお前が戦った奴らはそんな能力を持っていたのか?」
奥に大男の影がぬっと現れ、ワムウよりやや小さいが、萎縮してはいない声で返事をした。
「ハッ!詳しくはわかりませんが小さな機械を持った人間や小さな機械の群れを操っているようでした!」
お、奥にもう一人いやがるのかよォ〜ッ!しかし『小さな機械を持った人間や小さな機械の群れ』?
もしかして形兆の『バッドカンパニー』か……?形兆はやはり生きているのか?
だいたい、承太郎さんの話では波紋使いたちに柱の男達は全員倒されたって聞いたぜェ〜ッ!
ん?波紋使い?ってことはジジイも一枚噛んでたのか?
- 489 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:22:44 ID:FzARxYGj
- しかし、タルカスのもう一言が仗助の思考を飛ばした。
「しかしワムウ様が吹き飛ばした拍子にその人形どもも逃げていきましたッ!あと何人か乗っていたようですが
そいつらがどうだかはわかりません」
なんだとッ!ワムウという名前らしい、その大男、……まだよく状況はわかってねーが
あんな奴にぶっとばされたんじゃ無傷じゃすまねーだろうな……
「おい、ワムウという奴、そいつらをどこで吹っ飛ばしたんだ?」
「人間!ワムウ様にどういう口の利き方を……」
ワムウが手で制す。
「人間、聞きたい事があるなら……このワムウに見合うだけの戦士であることを証明してみせよッ!」
* * *
ま、また見えなくなりやがった……どこにいやがるんだ……
しょ、しょうがねーぜ……こうなったらあの奥の手を使うしかねえ……
じじぃがいつも言ってた手を使うのはしゃくだが、
生き残ってなんぼだからな……
「こういうときはな、逃げるんだよォ〜ッ!」
仗助は…………なんと!荷物に向かって走り出し、引っつかんで元の入り口へ一目散に走り出した!
- 490 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:24:26 ID:FzARxYGj
- その行動にやや落胆したワムウは、逃げる仗助より速く仗助に向かって走って突っ込む。
「どうやら貴様には!戦士の証明は無理だったらしいな!
このワムウでなかったならば見逃していたかもしれんが来客者をそのまま帰らすほどこのワムウは無礼ではないぞ!」
柱の男と、一般の学生。競争でどちらが速いかは一目瞭然である。その上、仗助は足をケガしているのだ。
そしてワムウは近づき、透明を解除する。
「逃げる……だってぇ?違うね。知り合いをボコったかもしれねえ奴が目の前にいて、
プッツン寸前だっていうのによぉ〜本当に、俺が逃げると思ったのか?だとしたら作戦成功だぜ」
仗助は姿を現したワムウにバッグを放り投げる。
「タイマーは『0』だぜッ!」
バッグの中に入っていた仗助の支給品「小型時限爆弾」を作動させるッ!
カチッ!
ドッゴォォォォォンッ!
バッグごと爆発させた爆弾。もちろんバッグの皮なんて薄いものッ!爆風はワムウに当たり、軽く吹っ飛ぶ。
そして仗助側だけバッグの皮を爆風が通るより先に治せばこちらには爆風は来ない。
そしてバッグを俺自身でつかむ。中身は『問題なく治す』ぜ。
- 491 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:24:53 ID:FzARxYGj
- しかし、この攻撃はワムウには決定的な打撃にはなりえなかった。
攻撃寸前、バッグを投げられたワムウは思いっきりのけぞることによってダメージを最小限に抑えたのだ。
爆弾の破片が少し刺さったままだったが、かすり傷は柱の男の治癒力で既にほぼ治っていた。
「人間……なかなかやるではないか……名をなんと言う……記憶の片隅に残しておこうぞ……」
「てめーみたいな相手に誰が名前を教えるか!まだ攻撃は終わっちゃいねーぜッ!」
地面に拳を近づけ、治す。
すると先ほどからバラまいていた地面であったガレキが飛んでくるッ!
行き止まり方向に投げてたんだから真後ろから飛んでくるッ!かわせるわけがねーぜッ!
ヒュンヒュンヒュンヒュンッ!
何個も投げていたガレキの破片が、元の地面に戻ろうとワムウを中継点に戻ろうとするッ!
パシッ!パシパスパスパシッ!
しかし、当たる前に全てのガレキはなにかによって軌道を変えられ、全て地面になった。
「言い忘れていたな。私の能力……流法(モード)は風。先ほどのように体から出した水蒸気を纏って蜃気楼のように、
体を見えなくすることもできる……もちろん石ころを弾くくらい造作はない、当たっても傷にはならんがな。」
ワムウは淡々と語りだした。
- 492 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:25:20 ID:FzARxYGj
- 「なぜこんなことをお前にバカ正直に言うか……それは、正直お前の戦い方に感服したからだ。まるでジョセ……」
「ごちゃごちゃ言ってんじゃねーッ!クレイジーダイヤモンドッ!ドラララララララララララララッ!」
ワムウのセリフが言い終わる前に仗助は正面からクレイジーダイヤモンドのラッシュを浴びせる。
しかし、柱の男であるがゆえに格闘性能は抜群である戦いの天才ワムウにはそれを防ぐことは造作もなかった。
ワムウは両腕で全て弾きクレイジーダイヤモンドのラッシュは止まる。
そして、『前ならい』に似た格好をし始めた。
「やれやれ、俺が話している途中で攻撃するとは礼儀がなっていない。だが、なかなかのパワーとスピードだな。
しかし、しょせんは人間、柱の男の能力(ポテンシャル)には敵わんのだよッ!」
「食らえッ!風の流法『神砂嵐』ッ!」
左腕を関節ごと右回転! 右腕をひじの関節ごと左回転!
そのふたつの拳の間に生じる真空状態の圧倒的破壊空間はまさに歯車的砂嵐の小宇宙!
仗助も負けずとラッシュを食らわせる。
「ドラララララララララララララッ!」
しかし、やはりパワーでは圧倒的な差があった。直撃は免れた物の荷物と一緒に仗助は吹っ飛んでいった。
- 493 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:26:16 ID:FzARxYGj
- * * *
(さ、さすが、化け物だぜ……あんだけ至近距離で爆風を食らったのにもうほとんど治ってやがる……
しかも見えなくなりやがったが、タネはわかったんだ。仗助クンの反撃開始だぜッ!)
人間、あのタイミングで後退ではなく攻撃、しかも一度ラッシュを終えたあとだというのに続けざまに放つとは。
判断力は伊達ではないようだな……だがッ!次こそは神砂嵐を直撃させッ!終わらせてやるッ!
……ん?奴の能力、「クレイジーダイヤモンド」と言っていたな。そのクレイジーダイヤモンドの拳を振り回している。
見えないから当てずっぽうで攻撃でもしようというのか、少し残念だ、その程度の策しかないとはな。
どこを攻撃しているかこちらには丸見え、敵のリーチの外から一気に突っ込めばよい。
サクッ……サクッ……
仗助にもワムウが近づいてくるのがわかる。音が大きくなる。
ワムウの足元地面が風のプロテクターで揺れるが、吸血鬼や屍生人でもいざしらず、暗闇の中で
一般の人間である仗助がそれを見破れるはずもなかった。
もうすぐ奴の間合いだな……少し慎重に行こうか……
スピードを落とす……仗助にもそれがわかる。近づいてくるので居る方向は少しずつ正確にわかってきていた。
しかし、当てずっぽうのラッシュでは先ほどと同じように弾かれて、今度こそ神砂嵐の直撃を受けてしまう。
サクッ……
ワムウが飛び込もうとした瞬間、ワムウの目の前をクレイジーダイヤモンドの拳が通り過ぎていった。
- 494 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:29:16 ID:FzARxYGj
- ガシュッ!
顔面に当たればワムウといえどもかなりのダメージを食らったであろうパンチは宙を舞うだけであった。
危ないところであった……この人間、恐ろしく勘がいいようだな……
だがッ!もうこれで終わりだッ!闘技『神砂……
「ドラララララララララララァッ!」
透明であったはずのッ!ワムウの体に正確にクレイジーダイヤモンドのラッシュがヒットした。
神砂嵐を放とうと構えようとしたワムウの体はまさか殴られるとは思っていない状態であり、スキだらけだった。
予想外の攻撃にワムウは動揺する。
「な、なぜッ!俺の居場所が 正確にわかったッ!」
「てめー、自分の体をよくみてみるんだな。」
ワムウの体の透明化はなんと!一部であるが解除されていた!
「あんたの能力……流法は『風』だってな?俺のクレイジーダイヤモンドの能力は『治す』。
あんたが言ったんだぜ、体から出した水蒸気を纏ってるってな。闇雲にただ殴ってたんじゃない、『治し』てたのさ。
あんたの出した水蒸気を治せば体の中に戻っていくよなぁ!そしたら透明は解除されるッ!」
「むぅぅうッ!だが、致命傷ではない 食らえッ!闘技『神……」
- 495 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:32:51 ID:FzARxYGj
-
「さっきのラッシュは、あんたにダメージを与えるためだけじゃないぜ」
「爆弾って言うのはよ〜手榴弾とかもそうなんだが、ケガしやすくするよう爆風より飛び散る破片でダメージを
与えるらしいぜ。あんたにも破片はまだささったままだ。そして、俺のクレイジーダイヤモンドがその破片を
『治し』たらどうなると思う?」
タイマー0の小型時限爆弾はバラバラになった破片と火薬を集めながらワムウに突進していく!
そして、ワムウにささった最後の破片がジグソーパズルのようにはまり、小型時限爆弾は完成した!
ドッグォォォォォンッ!
奥の男、タルカスが走って向かってくる。
「わ、ワムウ様ッ!」
「グオオオオオッ!タルカス、手出しは無用、この程度の攻撃が致命傷になるとでも……」
戦闘の天才というべきであろうか、ワムウは一瞬はやくガードを固めていた。
まずは……一旦こやつから離れねば……致命傷ではないにしろ、これ以上は危険すぎる。
だが、こいつが足をケガしているのは幸運であった。
ワムウは後ずさりし、透明化を更に始め後退していく。
そして仗助から一旦離れたところで、態勢を整えようとする。
後ろにジャンプで飛んで逃げようとした。
- 496 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:34:07 ID:FzARxYGj
-
しかし、なんとガレキの中から忍び寄っていた『石』が変化し、鎖になったッ!
そしてワムウの足に絡みつき、逃げるのを止めようとするッ!
鎖が話し出す。
「仗助さん、大丈夫ですか?」
「お、おめぇはミキタカか?無事でなによりだぜ」
「GUUUUUUッ!だが、まだ致命傷ではないッ!闘技……」
「おいおい、まだ『治す』のは継続中だぜ?
あんたが纏ってる水蒸気はまだ残ってる。これを更に『治す』ッ!」
爆風がワムウの体内へと吸い込まれていく。
「へへ、外側から駄目なら内側からだぜ」
ワムウの体内で更に軽い爆発音を発し続ける。
「SYAAAAAHHHH!!!!」
ワムウは叫び声を上げた。
そして、少しずつ、倒れていく……
どうみてももう戦えるような状況ではなかった。
しかし、喋るのも辛いだろうに、それでもワムウは声を絞り出した。
- 497 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:35:32 ID:FzARxYGj
- * * *
「手出しは……無用だ……死ぬ直前でも……私は……こんな戦士と出会えたことに……嬉しく思うよ……
もっとも、ジョセフ・ジョースターにやられて、2回目だがな……これだけは荒木に感謝しなくては……」
体中から煙を上げつつも絶え絶えに言葉を発する。
しかし仗助は違う点に目をつけた。
「ジョ、ジョセフ、ジョースター、じじいだって!?」
「じじいだと?お前の知り合いなのか?」
「し、知り合いどころじゃねえ……俺の父だ……放送では流れたようだが……シーザーって人によると
ジジイはまだ生きてて、隠れているらしい」
「シーザーだとッ!……あの戦士、あいつは死んだはずでは……それにしてもジョセフの父?どう見積もっても
ジョセフは若造も若造……人間年齢で見てもお前くらいの子供を持っている可能性はないはずだ……」
「若造だって?あのジジイがか?……もしかして、あんた何年ごろの記憶があるんだ?」
「人間どもの年の数え方はわからんな、だがナチスなどというところで20世紀などと言っていたな……
人間の寿命は短いくせに20しか数えてないとはアバウトな数え方よ……ふふ……」
「20世紀……ナチス……もしかして、俺達は……?」
「話していられるのももうすぐ終わりのようだ……波紋でないからそう簡単には死ねんが……最後に……聞かせてくれ
お前の名前を……」
「東方仗助、父はジョセフ・ジョースター、母は東方朋子。」
「そうか、『東方仗助』……さすがジョセフの息子と言ったところか……さて、最後くらい看取って……」
- 498 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:37:47 ID:FzARxYGj
- ストーン。
まぶたが重い。体が思うように動かない。体温が抜けていくようだ。
「リキエル、よくやった……ジョースター家の記憶を手に入れ、始末することに成功しそうだ。
急に言う事を変えだして驚いたが、お前の言葉を信じて駅に着てよかった……東口だけ治っていたのも運命だろうか。
では記憶DISCとスタンドDISCを奪い取らせて貰おうか……」
「クレイジー……ダイヤ……モンド……」
スタンドを出し、一撃殴ろうとするが、それは空振りに終わる。もう一撃を放つ余裕はないようだ。
ホワイトスネイクはクレイジーダイヤモンドに強烈な一撃を
「あとはDISCを抜き取るだけだ……フフ、あとはウドの大木と変身するスタンド使いのみ、
そいつらの記憶DISCをとっとと奪い取ってしまえば終わりだ……
ケガしている状態でこんなところに入るのは嫌だったが、やはり運命は私達に向いているようだ。
ホワイトスネイクが仗助に近づきDISCを抜き取っていく。
神父は背後から圧倒的な威圧感を感じた。
そこには、満身創痍だったはずのワムウが立っていた。
クレイジーダイヤモンドの攻撃は空振りではない。ワムウを治していたのだ。
- 499 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:40:29 ID:FzARxYGj
- 「仗助ッ!貴様なぜ、なぜ治した……決闘を侮辱するな……このセリフは……ハッ!」
「あんたには……殺されかけたのに奇妙だが
なんとなく『友情』みたいなもんを感じちまったのさ……なぜだかわかんねえけどな……
ジジイ……ジョセフにあんたはやられたんだろ?なんとなく、どうしたか……わかった気が…」
ホワイトスネイクが記憶DISCとスタンドDISCを抜き取り、神父に記憶DISCを挿す。
「ほう……ジョースター家の住人、あのすぐに死亡放送の流れた老いぼれのジョセフジョースターの息子か。
案外、ジョースター家など恐れるほどではないのかもしれないな……DIOも生きているようだしな」
「タルカス、お前と会ったとき、このゲームどうするかと聞いたな」
「ハッ……『戦士は戦いを愉しむ』とおっしゃっいました。」
「その件に付いて追加をしよう。お前もなにか考えていたようだが、この件に関しては断るのは許さぬぞ。」
「なにを追加するのでしょうか。」
「決闘を侮辱する者を完膚なきまでに叩き潰す。
まずは手始めに友人『2』人と決闘を侮辱したこやつらを完膚なきまでに倒してみせよう!そこの鎖にも協力してもらうぞ!」
「ハッ!ワムウ様、仰せのままに!」
(ブラフォード、なぜだかわからないが私も怒りを感じている。私の意思、運命に従ってみることにしよう。)
(ヒェェェエーッ!た、大変な事になってきましたァ〜
で、でも仗助さんを助けるにはまだよくわかりませんがあのDISCを取り戻せばいいんでしょうか?)
- 500 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:40:50 ID:FzARxYGj
- 【闇の重戦士チーム 宇宙人添え】
【杜王駅内部(E-3)1日目 日中】
【東方仗助】
[スタンド]:『クレイジー・ダイヤモンド 』(抜き取られ)
[時間軸]:四部終了時
[状態]:神砂嵐で全身に軽い打撲 、記憶DISCなし
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、(スコップは戦闘中にどこかに置いてしまったようです)
[思考・状況]:
1)昏睡
2)記憶DISCとスタンドDISCなし、スタンドDISCはまだ差し込まれてはいない様子
3)時間軸のズレに気付いたかもしれない?
【ワムウ】
[モード]:『風』
[時間軸]:首だけになり、ジョセフが腕を振り下ろした瞬間
[状態]:服が爆風でけっこう焦げたが体は治った
[装備]:手榴弾×6
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1)ジョセフと仗助、そして決闘を侮辱され神父とリキエルに対して怒っている
2)ミキタカに気付いた。
3)土壇場で邪魔されたミキタカに対してもちょっとご立腹だが、大局に影響はなかったのでまあよしとする
4)複数対複数だがミキタカは数に数えていないので2vs2だとして正当な決闘だと思っている
- 501 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:41:17 ID:FzARxYGj
- 【タルカス】
[種族]:屍生人(ゾンビ)
[時間軸]:ジョナサンたちとの戦いの直前。ディオに呼ばれジョナサンたちと初めて対面する前。
[状態]:軽い全身火傷と全身打撲。
[装備]:なし(爆発の拍子にミキタカを手放してしまいました)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]:
1)鎖がいきなり喋りだして少々驚いているが、ワムウに言われた例もあるためスルー
2)なぜか怒りを感じている。とりあえずの間ワムウに従う。
3)取り逃した虹村形兆、ブチャラティ、ミキタカへの僅かな執着心(ワムウの命に背いてまで追う気はないが)
【ヌ・ミキタカゾ・ンシ】
[スタンド?]:『アース・ウィンド・アンド・ファイアー』
[時間軸]: 鋼田一戦後
[状態]:【フック付きの長い鎖】に化けた状態。千切られそうになったのと、爆発事故の影響で体全体が痛い。
[装備]:なし
[道具]:ポケットティッシュ (支給品一式はブチャラティが持っています)
[思考]:
1)DISCを抜き取られたから仗助は気絶したのか?と考えている
2)ワムウ達は怖いがとりあえず仗助さんを助けるために組む。
3)仗助を助けた後、ブチャラティたちとの合流を図る
4)味方を集めて多くの人を救いたい。
5)仗助の話を一緒に聞いていたため、形兆ゾンビ説に疑問
- 502 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:42:04 ID:FzARxYGj
- 【エンリコ・プッチ】
[スタンド]:『ホワイトスネイク』
[時間軸]:刑務所から宇宙センターに向かう途中
[状態]:ホワイトスネイクの暴走状態:歩けるが走れない程度の負傷
[装備]:無し
[道具]:無し(ゾンビ馬は左耳の治療に使いました)
[思考・状況]:
1)無傷でジョースター家の一人を始末して少しハイ、残りはスタンド使いではないと
2)DIOに会いたい。そして、ディオ・ブランドーと話がしてみたい。(強い好奇心)
3)ジョースター家の抹殺。しかし、彼らの事を知りたいとも思う。(興味程度だが両方達せられたのでよしとする)
4)天国への道を探し出す。DIOを天国に連れて行き、そこに自分もついていく
【リキエル】
[スタンド]:『スカイ・ハイ』
[状態]:右手首を骨折(添え木&包帯で応急処置)。疲労は回復。感情の起伏が少ない。
[装備]:未確認飛行生物ロッズ(多数。呼べばいつでも来る)
[道具]:支給品一式×2、植物図鑑、ディアボロのデスマスク(シュトロハイムのランダム支給品)(リキエルの支給品は未確定)
[思考]:
1)神父へ出会えた運命に感謝
2)指し示す運命が変わったため西へ向かった。丁度戦闘後に来ることができ成功、ではないかと思っている。
3)神父の願いを叶える手助けをする。『運命』が神父を導くはず、と信じている
4)神父、あるいはDIOに対立するものを狩り、排除する(なおDIOへの敵対は神父への敵対、と判断)
5)噴上裕也の言動に動揺、落胆。(次にあったら殺し合いを宣言)
6)神父のために自分の感情を出す訳にはいかないと考えている
- 503 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:45:51 ID:FzARxYGj
- [補足1]ガレキに埋もれたミキタカは石やガラスに変身しながら少しずつ仗助に近づいていました
[補足2]運命が噴上裕也のマーダー化や駅周辺にジョースター家やその仲間が集まったため変わったようです
[補足3]仗助は放送でジョセフ死亡と言われた後はほとんど聞こえていません 禁止エリアはかろうじて聞いていたようです
[補足4]仗助は荒木の能力に気付き始めました
[補足5]吸血馬1頭+チャリオットは駅の中に置いたままです。
[補足6]杜王駅の東入り口は治されたため通行可能になりました。プッチ達はここから入った様子。
- 504 :T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ ◆/4V68E5Ojg :2007/06/19(火) 22:46:42 ID:FzARxYGj
- 補足作るの忘れてて遅れました。
投下終了です。書いといてなんだがいろいろ苦しいし長すぎたから削ったらかなり味が薄くなっちゃった感じが
- 505 : ◆yxYaCUyrzc :2007/06/19(火) 22:56:05 ID:F/Lgim5P
- 投下乙です。そしてGJ。
色々疑問に思う点はありますが
「ふと気付いたら結果が出ている」と言うのがジョジョっぽくってよかったです。
今後他の読み手さんなどの意見も聞きつつ修正してくださればいいSSになると思いますよ。
- 506 :参加するカモさん:2007/06/19(火) 23:47:15 ID:34zraCFz
- 乙です!読み応えアリです!バトルモードの仗助イイ!
ミキタカのサポートもニクいし、神父の絡み方もビックリ。
- 507 :506続き:2007/06/19(火) 23:49:23 ID:34zraCFz
- ただ、>>498 の、
>ストーン。
>まぶたが重い。体が思うように動かない。体温が抜けていくようだ。
の所が、読み進めて行くと仗助がプッチにディスクを取られた
ってのが解るのですが、いきなりすぎる気がしました。
>>497のワムウの最後のセリフに、仗助の背後に忍び寄ったホワイトスネイクに
ハッとする一言でも入れてはいかがでしょう。
この場で修正案をこちらから出して良いものかとも思いましたが、ご検討願います
- 508 :参加するカモさん:2007/06/19(火) 23:53:06 ID:xKIue/24
- とりあえずざっと見はGJ!!!
仗助とワムウの決闘はなんともかっこいい
問題点はあとでじっくり読んでSSを確認するか
- 509 :参加するカモさん:2007/06/20(水) 21:17:32 ID:G8T0o5F4
- GJだぜ! ワムウと状助の友情がイイッ!
時限爆弾の使い方とか水蒸気を元に戻すとかアイディアがいいね。
これに承太郎達が混じったらとんでもない事になりそうだwww
あと修正?ってわけでもないんだけど
>>484の
>ん……虹村 形兆?ってあの形兆の兄貴か?死んだはずじゃなかったのか?ど、どうゆうことだ?
>そういえば最初のときに出てきた重ちーも死んだはずだし……これが荒木の能力なのか?
吉良もそうじゃね? 第一放送で死んだから状助知らないっぽいし。
あと>>487の
>うおおおお!?な、なんだァーーッ!
これ「」が抜けてるような希ガス。
- 510 : ◆/4V68E5Ojg :2007/06/20(水) 21:23:15 ID:0lXIDuUo
- >>509
ご指摘ありがとうございます。
ああ、そうですね。吉良を忘れてました。
また>>487も忘れてしまっているようです。もう一度推敲をしなおした後それも含めて
したらばの修正スレに修正部分を投下させていただきます
- 511 :参加するカモさん:2007/06/20(水) 21:23:18 ID:ivSAwcA2
- >>484
由花子ももう死んでないっけ
- 512 :参加するカモさん:2007/06/20(水) 21:26:49 ID:fCJiU7LA
- >>511
[補足3]仗助は放送でジョセフ死亡と言われた後はほとんど聞こえていません 禁止エリアはかろうじて聞いていたようです
ジョセフのほうが先に呼ばれてるから、聞き逃してるだけじゃね?
- 513 :参加するカモさん:2007/06/21(木) 01:01:23 ID:vHPuAxWG
- >>507
ストーンのとこはスカイハイの能力かと
読み進めてって書いてるから分かってるかもしれないけど一応
- 514 :473:2007/06/21(木) 08:46:00 ID:EJEXpuz1
- やっぱこの程度か。
一人称と三人称の入り乱れるSSをGJだとは。
ジャンプロワなら即破棄だぜ?
俺の言ったことだって
叩くことはできても、反論できた奴はいない。
結局、俺の言ってることは正しいんだよ。
- 515 :参加するカモさん:2007/06/21(木) 08:54:51 ID:n72ioTx/
- ちょっと質問。
ワムウはシーザーを倒した後から来てるけどシーザーはワムウと戦う前の時代からつれてこられたんだよね?
- 516 :参加するカモさん:2007/06/21(木) 09:09:40 ID:ODP0vwtq
- >>514
さすが民度低いジャンロワ住民
空気を濁すことには冴えてますねw
- 517 :参加するカモさん:2007/06/21(木) 09:10:39 ID:ODP0vwtq
- >>515
うん、そういうことになってるよ
- 518 :参加するカモさん:2007/06/21(木) 09:21:32 ID:lFGxTJK8
- 一人称と三人称の入り乱れるラノベだってあるしいいじゃん
- 519 :参加するカモさん:2007/06/21(木) 09:23:25 ID:EJEXpuz1
- >>516
ほら、叩くことしかできない。
反論できない。
ごめんな。
俺の言うことが正しすぎて。
一言も言い返せない正論言っちゃって。
悔しいだろうな。
- 520 :参加するカモさん:2007/06/21(木) 09:40:30 ID:RZENwfS2
- なんだかんだ言いつつしっかり読んでる所に萌えた
- 521 :参加するカモさん:2007/06/21(木) 09:43:58 ID:EJEXpuz1
- と思ったら、反論きてた。
そうなんだ。
あるらしいいんだ。
でも、これは区別が付きにくいだろ。
/4V68E5Ojg氏が一人称と三人称の切り替えを段落変えることで分かりやすいようにしているのは上手いと思う。
でも、それなら無意味な段落替えすべきじゃないな。
- 522 :参加するカモさん:2007/06/21(木) 10:37:34 ID:365rtIG/
- 続きは非難所でね
- 523 :参加するカモさん:2007/06/21(木) 11:11:58 ID:EJEXpuz1
- いやだね。
どうせなら、図星つかれて言い返したくても言い返せず、叩くことしかできないお前が行け。
- 524 :参加するカモさん:2007/06/21(木) 12:36:19 ID:CzWBft5d
- 少し推敲が必要な文だとは思うが面白かったよ。乙
心理面を描写する為の一人称と状況を描写する為の三人称を使い分けるやり方は俺は好きだな
重箱の隅をつつくような叩きならいくらでもできるだろうが
少なくとも俺個人の感想としては「勢いがあって面白かった」
これからも頑張ってくれ
- 525 :参加するカモさん:2007/06/21(木) 13:12:26 ID:EJEXpuz1
- 何コレwwwwwwwwwwwwwwwww
お前、俺が一人称と三人称の話し持ち込まなかったら絶対こんなレスしなかっただろwwwwwwwww
俺へのあてつけはいいけどさ、そのための材料にされて素直な乙を言ってもらえない書き手がカワイソスだぜwwww
乙はあくまで俺に文句言うためのおまけなのがバレバレだからなwwwwwwwwwwwwwwww
ってか、このスレ面白すぎwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
あの手この手で俺を叩こうとして
「叩くだけで俺の言ってることに文句は言えないんだろ」
と言うと口つぐむ奴ばっかwwwwwwwwwwwwwwww
- 526 :参加するカモさん:2007/06/21(木) 13:25:53 ID:tRZiUMIy
- 皆…こういうときにとる行動はわかっているな?
- 527 :参加するカモさん:2007/06/21(木) 14:03:17 ID:hWdfQYAN
- >>521
>でも、これは区別が付きにくいだろ。
おまえの読解能力が低いだけ。原因を他所に押し付けるな。
- 528 :参加するカモさん:2007/06/21(木) 14:21:17 ID:m35xS2Db
- >>525
はいはいよかったね。おめでとう
- 529 :参加するカモさん:2007/06/21(木) 14:31:53 ID:EJEXpuz1
- 段落分けが一人称、三人称切り替え以外の無駄な時に行われてるんだぜ。
読みにくくて当然。
ついでに473も反論してくれないか?
ま、無理だがなwwwwwwwwww
>>528
よかったよ。ありがとう。
その調子でせいぜい叩いてくれ。
反論できないから叩くことしか出来ないお前の悪あがきっぷりがマジ楽しいwwwwwwwwwwwwwwwww
- 530 :参加するカモさん:2007/06/21(木) 14:34:13 ID:RZENwfS2
- >>526の言いたい事が分からないかな
- 531 :参加するカモさん:2007/06/21(木) 15:23:53 ID:mOjrMEfs
- 「荒らしはスルー」コレ基本。
どうしても我慢できない時は、したらばで愚痴る。それが大人の対応。
- 532 :参加するカモさん:2007/06/21(木) 15:27:43 ID:QmccsO+1
- …最近、暑くなって来たよね
- 533 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 00:34:56 ID:Yrrfnz7C
- 書き手さん乙
「放送内容をよく聴いてなかった」てのは興味深いな
思惑が交錯してこれからが楽しみになるぜ
- 534 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 01:52:51 ID:Qa66czw/
- 一人称、三人称とかどーでもいいしかなり神経質だなオマエwwww
きめーんだよwwwwww
- 535 : ◆yxYaCUyrzc :2007/06/22(金) 06:20:36 ID:wUhHMrPT
- 内容はどうあれ実生活の時間を割いてわざわざ書いてもらって、
投下してもらったのなら「お疲れ様でした、よかったですよ。」
と言うのがマナーではないか?
- 536 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 07:08:10 ID:hDk5Soch
- おまいらモチツケ。
- 537 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 08:52:40 ID:q+l8s2OS
- そっか。俺神経質か。
なら神経質らしいレスしてやんよ。
叩くことしか出来ないお前ら、まずは俺の言ってることが間違ってると照明してみやがれ。
473の俺の言い分に反論してみせろ。
ホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラ
ホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラ
ホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラ
ホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラ
あ、ごっめーんwwwwwwwwwwwwwwwww
反論できないから叩くことでごまかすしかできないんだっけwwwwwwwwww
ごめんな。
俺の言うことが正しすぎて。
一言も言い返せない正論言っちゃって。
悔しいだろうな。
- 538 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 10:15:40 ID:q+l8s2OS
- お前らなんとか言えよ。
537にくらい言い返せる所あるだろうが。
それとも俺に完膚なきまでに叩きのめされて負け認めちゃったの?
結局負け犬は去ってっちゃうの?
ま、確かに気持ちは分からんでもない。
473は反論できない俺の完全勝利wwwwwwwwwwww
521はちっとは骨のある奴がいたが、ちょっと言ってやるとすぐに黙るヘタレwwwwwwww
叩きはしょせんヘタレの叩きだから、俺に言い返されて負け犬として去ってくだけwwwwwwwwww
これだけきれいに惨敗しちゃ、もうレスできないかwwwwwwwwwwww
- 539 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 11:49:12 ID:Bzv/83LM
- レッドホットチリペッパーがあればなぁ…
そういえば今更なんだが…丈助のスタンド使って角砂糖って作れなかったかな?
砂糖の精製の途中で固形状態になっている状態があったと思うんだが…w
- 540 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 12:02:08 ID:Yrrfnz7C
- 角砂糖が砕けたり溶けたりした物を角砂糖に戻す事はできるだろ
元々粉砂糖だったやつを角砂糖にするのは無理じゃね?
- 541 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 15:41:06 ID:OcEPPKdV
- セッコが夢中なのは、あくまで「角砂糖」だからな。「固まってる砂糖」じゃない。
精製途中に固形状態があったとしても、あのサイズ・あの大きさにカットされてなきゃダメだ。
砂糖の工業的生産には詳しくないが、セッコが好む条件を満たす工程があるとは思えない。
- 542 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 18:02:46 ID:agAuH1Wn
- レッドホットチリペッパーもいいけどねぇ
電気のないところだと活動できないから
このロワじゃ行動が大きく制限されそう
- 543 : ◆fk8qEzlLPk :2007/06/22(金) 19:16:31 ID:rPvoqLlS
- 投下しますので支援をよろしくお願いします。
ちょっと長めなので、時間がかかるかもしれません。
- 544 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 その@:2007/06/22(金) 19:22:13 ID:rPvoqLlS
- 『その時に、また私の声が聞けるといいね―――』
……私、ジョージ・ジョースターはホテルのロビーにあるソファーに座っている。
どこから流れているのかわからないが、荒木による『放送』というものが終わったらしい。
なんという事だ。ここにいた者の3分の1が既に犠牲になっている……正気の沙汰ではない。
私はがっくりとうなだれる。
神よ……ここで死んでしまった全ての者に……安らぎを与えたまえ。
ひとしきり黙祷を終えると、私は隣に座っていたF・F君の方へ顔を向ける。
我々の中で唯一女性である彼女は、新たに加わった禁止エリアと犠牲者の欄にペンで斜線をいれていた。
知り合いの名前が挙がらなかった故か、実に落ち着いている。
花京院君の話によると、彼女は人間ではなくプランクトンという小さな生物が集まった生命体らしい。
何が何だかサッパリわからないのだが、おそらく未来の技術が使われているのだろう。
「……思いつめてもしょーがねぇーぜ、ジョージさん。アンタはなんでも背負い込み過ぎだ。
どんなに頑張っても全員を救うなんて不可能だよ……だからもうこれ以上『犠牲』は増やさない。
アタシ達がすべきなのはソコだろ? 赤の他人にまで一々反応してたら身が持たねぇ……。
こいつ……ジョンガリ・Aの野郎を見てみろよ。顔色一つ変えやしねぇ」
- 545 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 その@:2007/06/22(金) 19:25:59 ID:rPvoqLlS
- F・Fくんの言葉に私はハッとする。どうやら私の視線に気づいていたらしい。
彼女にありがとう、と一声かけて私はF・Fくんの隣にいるジョンガリ・Aという男へ視線をやった。
元軍人で、狙撃手。盲目だが体はガッシリしている。
F・Fくんの話によると。彼は気流で周りの様子を探ることが可能だそうだ。
今は危険人物ということで我々が拘束している。見れば見るほど不気味な男だが……見捨てるわけにはいかない。
F・Fくんにも再起不能にはさせないでくれと、約束させておいた。
なぜなら彼は我が息子ディオ・ブランドーの……いや、未来の世界のディオ・ブランドーの、部下の1人だからだ。
ディオやジョンガリ・Aにとって、ジョースターの血統である私は目の上のたんこぶらしい。
だから私は、彼らにこの身を捧げるフリをして接触する作戦をいずれ実行しようと思いたった。
皆に内緒でこの作戦を実行するうえでは、ディオの部下である彼がいたほうがよりスムーズに行くだろう。
「お〜い、旦那。屋上に行ったが、ホテル周りの道路には誰も見あたらなかったぜ」
「来たか……ポルナレフ……てめーちゃんと調べたのか? 」
「当たり前だろ……ところがどっこいで人っ子1人いなかったんだなこれが。
もしいたとすればの話だが建物の影に隠れてたのかもしれねーがな……」
「ハァ……やっぱり花京院かナランチャに頼むんだったぜ」
「ケッ、奴らがホテル内部の捜索に出たっきりだから俺に頼んできたのはどこのどいつだよ」
F・F君に悪態をつくこの男はJ・P・ポルナレフ。この世界で私と一番付き合いが古い男だ。
カウボーイのガンマンのような出で立ちで、拳銃使いらしい。何故か私のことを旦那と呼ぶ。
「ジョースター卿、今戻りました。ナランチャ君も一緒です」
「ああ、ご苦労だったね花京院君、そしてナランチャ君…………二人とも、大丈夫かね」
- 546 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 19:27:31 ID:cfLWKLkY
- あ
- 547 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 その@:2007/06/22(金) 19:29:20 ID:rPvoqLlS
- 私は最後に現れた二人の少年に声を出迎える。名は花京院典明とナランチャ・ギルガという。
……共に先程の放送で仲間を失った者同士だ。
私の問いに花京院君は黙ってうなづくだけだが、ナランチャ君は汗だくになって私に寄りかかった。
「ジョージさん……俺、怖いよ……ビビっちゃならねぇ、てのはわかってるんだが……正直アラキが怖ぇ。
ジョルノの野郎もトリッシュもそんなに仲良くなかったけどよぉ……仲間だったんだ」
「ジョルノ君は、荒木が直接始末したなんて言っていたね……君の悔しい気持ちは痛いくらいわかる」
「……ジョルノは15のガキだったけど頭はフーゴみたいに良かった。だからアラキに勝てる『何か』があったと思うんだ。
でも……死んじまった。そこがヤベェんだよ!
ジョルノが『何か』をやろうとしたって事は、今生き残っているブチャラティにだってそれが出来ると思うんだッ!
このままだとブチャラティもヤられちまうッ! そうなったら……俺は、1人ぼっちになっちまう」
「ナランチャ君、このままだと仲間が全滅してしまうだって?
それは君が『この世界にいる全ての者が荒木に絶対勝てない』と思っているからだよ。
逆に考えるんだ。『ブチャラティ君なら、ジョルノ君がやった「何か」でアラキを打倒出来る』と考えるんだ。
勝機は必ずどこかにある。私はブチャラティ君……そしてここにいる皆を信じるよ」
「ジョージさん………………」
ナランチャ君は私に抱きつき、むせび泣いた。
この一筋縄ではいかない状況……一刻も早く打破せねばなるまい。
- 548 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 その@:2007/06/22(金) 19:30:58 ID:rPvoqLlS
- * * *
ナランチャの野郎が泣き止んだ後、アタシ達6人はホテルを出た後の拠点について話し合った。
アタシとジョンガリが午前中に歩いた道が誰とも遭遇しなかった事を考慮し、
進行方向は比較的安全な西へ、拠点は中腹地点となる【E-5】が選ばれた。
ジョンガリは手と上半身を縛ったままにして、一緒に連れて行くことになった。
逃げられないように縄を持つ係りはアタシだ。
ホントは置き去りにしたかったんだが……ジョージさんの願いなら断れねぇしな。
まぁ第二放送前の30分くらいの尋問で全てを吐かせたとは思えねぇし。
早朝の時、アタシに言った事ばかり話しやがって……「ほとんど真実だ」なんて誰が信じるかよ。
こうして、方針が定まったアタシ達はホテルを後にした。
――そして今、アタシ達は突如現れた1人の男と対峙している。
「ごめん……まだCO2レーダーを発動させてなかった。見ようとしたら既にあそこにいたんだ」
ナランチャが申し訳なさそうに皆を見る。
だが皆はナランチャの方を見ようとはしない。それどころじゃねぇからだ。
あの男が何者で、何を企んでいるかは知らねーが……こうゆう睨み合いは目を逸らしたら負けだからな。
だが、そうこうしている内に、男が人型のスタンドを出してきた。野郎ヤる気かッ!
「法皇の緑!」「エアロスミス!」「フー・ファイターズ!」
「そして皇帝ッ!……おい、妙な真似しやがったら4丁の『スタンドの銃』がテメーを蜂の巣にするぜッ!」
「ポルナレフ君! さっき話しただろう。攻撃は最低限、防御はしっかり、だ。 余り挑発しないように」
- 549 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 その@:2007/06/22(金) 19:33:52 ID:rPvoqLlS
- こちら側も負け時とスタンドを出して構えるが、ジョージさんの言葉を危うく忘れる所だったぜ。
こっちからの必要以上の干渉は自重しなきゃな。
しかし……同じタイプのスタンドがこうも4つ揃うと、流石に壮観だな。
「ヒッ…ヒッ……! ヒィィィィィ……!」
男は流石に旗色が悪いと思ったのか、慌てふためいて逃げ出した。
花京院が逃がすまいと『法皇の触手』で男のスタンドを捕まえようとしたが、
男のスタンドは細切れになって一目散にいなくなった。一体何を考えてるんだ?
「や、止めろォ……来るなッ! もう、沢山だ……来ないでくれェーッ! 」
西部劇のゴロツキがわめくような捨て台詞を吐いて男も退散する。
アイツは何の罪もないただの一般人だったのだろうか……だとしたら悪い事しちまったな。
てっきり敵かッ!、と息巻いちまったぜ。ジョージさんも少し怒ってるようだ。
そりゃそうだよな。せっかく仲間に出来たかもしれねぇ弱者を助ける事が出来たかもしれねぇのに。
「み、皆……まだだ。まだ、レーダーが……1人探知してるッ!」
- 550 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 その@:2007/06/22(金) 19:35:02 ID:rPvoqLlS
- * * *
ナランチャ君の指示に従って、僕とポルナレフは慎重に足を運ぶ。
F・Fさんとナランチャ君はジョースター卿の護衛を任せている……今度は誰だ……誰が現れる!
出来れば同じ世界の知り合いのほうがありがたい……“本物のポルナレフ”がならば文句なしだ。
僕の隣にいる男、ホル・ホースにいい加減“ポルナレフ”なんて名乗らせるのは正直我慢の限界だからな。
とはいえ、贅沢は言ってられない。せめて先程の男のように躊躇して逃がす様な事は避けたい。
ゆっくりと……中国人のする太極拳の動きのように……進むんだ。
(そこの角を曲がった所にいるぜ花京院……影が見える。1、2の3で行くぜ)
ホル・ホースが建物の角から見える影を指差している。僕も相槌を打ちながら『法皇の緑』を構える。
さあ、行くぞ……1、2の3!
「オラァーッ!動くんじゃあねーゼッ……てウオオ!?」
「!……お前達か。ゾッとしたぞ花京院……そしてホル・ホース。何故お前達がここで……」
「わぁーッ! わぁーッ! ちょっと黙れアヴドゥル! 」
「や、止めろッ! 背中を見るんじゃあないッ! 」
……なんだろうか。せっかく仲間に遭遇出来たのに、この空しい気持ちは。
いい歳をしたムサイ男2人が慌てふためいて縺れ合っている。
イギーの死で受けた悲しみも色あせていくように感じた。すまない、イギー。
- 551 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 その@:2007/06/22(金) 19:37:59 ID:rPvoqLlS
- 「2人とも落ち着いてください。まずはアヴドゥルさん……ご無事で何よりです。
まず最初に言っておきますが、コイツの事は“ポルナレフ”と呼んでやってください。
理由はその内わかります。くれぐれも本名で呼ばないでやってください」
「……よくわからんがわかった。よろしくな、“ポルナレフ”。
あぁ、そうだ。こちらも説明したい事がある。理由はその内わかるが……私の背中を決して見ないで欲しい」
『いいよー見てッ! アヴドゥルの背中を見てくれ! ねっ!』
突然のことに僕とホル・ホースは互いを見合わせた。
何だ今の声は? アヴドゥルさんの背中の方から聞こえたぞ。
アヴドゥルさんはアヴドゥルさんで、背中を壁にピッタリくっつけて蟹のように僕達から離れてゆく。
『ハハハハーッねっ……アヴドゥルは背中を見せられないのさ……見せたら養分を吸い取られて死ぬんだからねっ!
これがボク、『チープ・トリック』のスタンド能力なのさッ! 最も、ボクはただ相手に囁く事しか出来ないけれどね。
あ〜そうそう……本体を倒そうなんて考えないほうがいいよ。取り憑いている人間こそがボクの本体なのさ。
つまりボクを背中から引き剥がそうとしたり攻撃しようものならダメージは全てこのアヴドゥルに返ってくるの。
だから一度取り憑かれたらもうアウトってわけ!ねっ! 』
僕は唖然として、アヴドゥルさんを見る。
この世にこんな恐ろしいスタンドがあっていいのか……背中を見られただけで再起不能どころか死亡してしまうなんて!
今まで色んなタイプのスタンドと遭遇してきたが……あまりにも、特殊すぎる。
『そうそう、背中を見られたらアウトって言ってたけど背中を見た奴もアウトだからねっ……なんでかって?
背中を見られた人間の養分を吸い取り終えたら、今度は背中を見た人間にボクは取り憑いちまうのさ。
つまりっ!対抗手段はただ一つ。ボクが取り憑いてる人間を殺せばいいんだよねっ!
そうすればボクはもう誰にも取り付けずに消滅しちまうのさっ……!』
- 552 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 その@:2007/06/22(金) 19:41:46 ID:rPvoqLlS
- ……ホル・ホースが少し僕達から距離をとり始めた。さすが普段逃げ足が早いだけある。お前は厄介事が嫌いだものな。
アヴドゥルさんは話す事を『チープ・トリック』に全部言われてしまったせいか、お手上げのポーズをするだけだ。
取り合えず事情はわかった。ともあれようやく心を置ける仲間が出来てよかった。
チープ・トリックがここまでベラベラと自分の能力を説明するのには違和感があるが、今は黙っておこう。
アヴドゥルさんは信頼できる仲間だからな。ジョージさん達を呼んでも大丈夫だろう。
* * *
どうやらレーダーに反応していた人物は花京院とポルナレフの仲間らしい。
背中にやっかいなスタンドが取り憑いちまってるみたいだけど、早速打ち解けている。
今はホテルで俺達がやった時みたいに、お互いの敵とか味方の情報交換をしてるな。
いいなぁ皆、知り合いがいてよ……そりゃ……今ここにいる奴らだって大事な仲間だけどな。
ジョージさんの言う事に異論はねえ。
でもよー……こうも見せ付けられちまうと……ちょっと、な。
俺にはもうブチャラティしかいねぇ。他の奴らには生きているかもしれない仲間もいるのに。
あのジョンガリ・AにだってDIOがいるし……なんだかなーって感じだぜ。
「なあ、そこの……ナランチャ・ギルガ君だったかな? モハメド・アブドゥルだ……少々不恰好な形だが握手しよう。
これから共に荒木を打倒するんだ、という誓いの下に!」
- 553 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 その@:2007/06/22(金) 19:50:22 ID:rPvoqLlS
- 俺の手を揺さぶった後、アヴドゥルさんはそのままジョージさん達とアラキの能力について色々話し合っている。
誰かの意見が出る度にオーバーなリアクションを取ったり……豪快に笑ったり……。
背中を見られたら死ぬかもしれないのに、随分テンションが高い。
花京院の話だと相当な修羅場をくぐってるらしいが……なんか暑苦しい人だな。
俺、こうゆうの苦手だぜ。
「ウワッハハハハー……」
楽しそうだよなぁ……俺も普段はあんな感じだったんだろうか。
フーゴ、アバッキオ、ミスタ、ジョルノ、トリッシュ……お前ら本当にアラキにやられちまったのかよ?
俺たちはそんなに弱っちぃのかよ? 修羅場なら……俺達だってそれなりにくぐり抜けてきたハズだぜッ!?
そうだ……俺は……俺達は、ギャングなんだ……ブッ殺すブッ殺す喚いてるチンピラとは違うんだッ!!
「ナランチャ君、そろそろ行こう。アヴドゥル君が自由に動けない以上……早く話していた拠点へ急ごう」
「え? 」
気がつけば、俺以外の全員が既に出発の準備を終えて先へ行き始めていた。
畜生、なんだよ……皆して置いてきぼりかよ。
「私は後から追いていきますよ……壁づたいに移動しなければいけませんからね。
なぁーに自分の身は自分で守れます。私のスタンドの強さは既に説明した通りです。ご安心を。
ジョースター卿とナランチャ君も急いで【E-5】に向かってください」
「さぁナランチャ君、我々も行こう」
- 554 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 20:37:54 ID:Fypwevph
- 支援
- 555 : ◆fk8qEzlLPk :2007/06/22(金) 20:46:20 ID:YwFjcE/t
- 規制されてしまいました。
避難所に一旦投下させてもらいましたので、どなたか代理投下をよろしくお願いします。
- 556 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 20:47:21 ID:Hgz7N+IO
- 支援
- 557 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 その@:2007/06/22(金) 20:57:23 ID:YwFjcE/t
- ――こうして、ジョージさんに連れられて俺もアヴドゥルさんに別れを告げた。
なんだか憂鬱だなぁ……確実に良い方向へ向かっているはずなのに。
何となくにレーダーを確認する。後方約数メートル……アヴドゥルさんの反応はちゃんとある。大丈夫のようだ。
それにしてもデカイ反応だな……豪快な性格の人は呼吸量もデカイのか?
CO2の量が半端な…………………………………
しまった……コイツ……こ の 野 郎 ォ…………!
「どうしたナランチャ君。後ろを振り向いて…………!?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
「我がスタンド『魔術師の赤』は炎を操る……『標的』は『スタンド使いではないジョースター卿』ッ!
スミクズになってもらおう……『C・F・H(クロスファイアーハリケーン)』ッ!! 」
「危ないナランチャ君ッ!」
「かばうのはアンタじゃねぇーーーーーーーーッ! 俺だッ!俺なん―――――」
ゴッバォンッ!
* * *
- 558 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 その@:2007/06/22(金) 20:58:37 ID:YwFjcE/t
- あ……ありのまま起こった事を話すぜ!
『爆音がしたと思って振り向いたらナランチャと旦那が倒れていた』
な……何を言ってるのかわからねーとは思うが俺も何が起こったのかわからなかった……頭がどうにかなりそうだぜ。
催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。
「ホル……いやポルナレフッ! アヴドゥルさんは周りにいるかッ!? 僕も法皇の緑で探しているが見つからない!」
「じょ……冗談じゃあねえ。お前が見つけられないのに俺が見つけれるかよ」
何をマヌケな返答してんだ俺は。これじゃポルナレフと変わんねーだろーがァッ!
旦那とナランチャは花京院たちに任せよう。今は周りの観察……もとい俺自身の安全の確保が先だぜッ!
クソッたれ……どうなってんだ? アヴドゥルの野郎があの2人をやったのか? 奴は最初から俺達を殺すつもりだったのか?
奴が次に狙ってくるのは俺か? それとも花京院か?
「もういいポルナレフ! お前もコッチへ来い。さもないと全てを皆に話すぞッ!」
チッ……ここぞとばかりに付け上がりやがって。だが、嘘をバラされるのはゴメンだ。
しょうがねぇ……アヴドゥルが何をしてくるかわからねぇ以上付き合うしかねぇな。
「…………で、どうなんだ。旦那とナランチャの怪我は」
「2人とも死んじゃあいねー。命に別状があるかどうかはわかんねーけどな。
それに火はもう消えてるしジョージさんは大丈夫だ。軽い火傷を負っただけ……アタシの治療でなんとかなる。
けど酷いのはナランチャだ……上半身……というより顔の表面がモロに火を被っちまってる……!
なんだってこんな厄介な火傷を負っちまうんだよ……皮膚は治療出来るかもしれねーが……。
目は……マブタも燃えちまってるから駄目かもしんねぇ……」
「なんだって……うげっ!」
- 559 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 その@:2007/06/22(金) 20:59:39 ID:YwFjcE/t
- 思わずゲロを吐いちまうところだった。ヒデェ……顔がグチャグチャにただれてるじゃねーか。
それにナランチャの目が……まるで腐った果物のように……おえっ。
F・Fのプランクトンが一生懸命治療しているが、こりゃ視力は手遅れかもな。
「う……む……」
「旦那!気がついたか!」
「わ……私は……ナラン……チャ君は……」
「旦那、あんたは大した事ねぇよ。だが……あんたをかばったナランチャが目をやられたらしい」
「わ、私を……彼が無理な体勢で私を庇った為に……こんな悲劇が……私のせいだ……」
旦那はすっかり滅入ってんな……そして花京院はまだアヴドゥルの野郎を見つけてないようだ。
周りの建物の中を移動してるから見つからないのか? 俺の『皇帝』は中距離だから役には立たねぇ。
こんな時こそ、ナランチャのレーダーがあれば一発なんだが…………レー……ダー……?
まさか、いくらなんでも……いや待てよ。さっき旦那達とアヴドゥルは仲良く喋ってたよな。
旦那はどこまで奴に話していた? まさか俺達のスタンド能力まで話してたんじゃあねぇよな!?
だから最初に『スタンド使いじゃあない旦那』と『二酸化炭素探知レーダーを持っているナランチャ』を叩いたのかッ!?
やべぇぜ……俺のスタンドは元々アヴドゥルに筒抜けだからいい。
だが『それ以外』はヤバイッ! 『今の俺達の戦力が全部』筒抜けなのがヤバイぜッ!
この仮定が事実ならば……やってくれたな旦那ァ…………ムカッ腹が立ってきたぜ!
- 560 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 その@:2007/06/22(金) 21:00:33 ID:YwFjcE/t
- 「オラッ! ナランチャッ! さっさと目を覚ましやがれッ! このボケがッ! 」
「怪我人をボコるんじゃねェェェェ治療中だぞォォォォォォポルナレフゥゥゥゥ!」
「うるせープランクトンッ! 花京院がアヴドゥル見つけられないのなら……コイツのレーダー使うしかねーだろがッ!」
「落ち着けポルナレフッ! 目を覚ました所でレーダーが使えるとは限らないだろうッ!」
「ごめん……駄目だ……レーダーはもう……使い物にならねぇ…………!」
……鶴の一声ってのはこうゆう事を言うんだろうな。
ここにいる全員が声を出そうとしねぇ。こいつに声を掛けようとしねぇ。
それだけ……ナランチャの一言は俺達に響いてるってことか。
俺がヤキ入れたから目を覚ましたとか、アヴドゥルの事とかがどうでもよく感じてしまう。
そんな気分にさせる位の現実が……コイツが視力を失ったという現実が……今、俺達を包んでやがる。
* * *
ナランチャの一言がアタシ達の心を揺さぶる。現実が突き刺さる。
畜生……こんなにも治療に全エネルギーを注いでるのに……治せないなんてアリかよ!
アタシの治療はそもそも薬でもなんでもねぇ。ただフー・ファイターズの一部詰め込むだけだ。
従来より人の回復力を高める効果はそれなりあるみたいだが……それはあくまで自然の治癒力を借りたものだ。
完璧に修復させるものとは決して言えねぇ……。
- 561 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 その@:2007/06/22(金) 21:02:31 ID:YwFjcE/t
- 「ナランチャ……お前、体は大丈夫なのか?」
「勿論痛ぇー……だが大丈夫だ。目は見えねぇけどな」
「そうか……すまねぇ。ここぞとばかりに役に立てねぇ能力で」
「F・Fさん……アンタは既に一回俺の傷を治してるじゃあねぇか。俺はあれで充分だぜ。
そんな事よりよ……なんか焦げ臭くねぇか」
そんな事、と言い返そうとしたアタシは周りの異変にようやく気がついた。
辺りが……一面火の海になってやがる! アヴドゥルの仕業か?このままアタシ達と火に飲み込むつもりなのかよ……!
「花京院、いつからこんな事になったんだッ!? 」
「いつから、なんて質問は無意味です。これがアヴドゥルさんの『魔術師の赤』。
……炎を操る彼にとってこんな事は朝飯前です。その気になったら一瞬でこの炎を消す事も出来ます」
「どうするよおめーら。あのブ男は間違いなく俺達を殺す気だぜ……旦那とナランチャを抱えて逃げ切れるだろうか」
「ポルナレフ……まるで二人が足手まといみてーな言い方だな。置き去りにするなんてアタシは反対だぜ」
「それなら二手に分かれるのはどうだ? 逃げ切れる確立がグッと上がるぜ」
「どうせジョースター卿を引き受ける代わりにナランチャを押し付けるつもりだろう……その手には乗らんぞ」
花京院とポルナレフが睨み合っている。なんなんだこの二人……仲間じゃあなかったのかよ。
まるで本当は仲が悪いみたいな雰囲気じゃあねーか。どうしちまったんだよ。
仲間ってのはこんな時こそ一致団結しなきゃいけねーんじゃねーのかよ……そうだよな徐倫?
「いいよ二人とも……俺が残る。ここに残って……奴とドンパチしてやるぜッ!」
- 562 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのA:2007/06/22(金) 21:05:22 ID:YwFjcE/t
- だが……そんなアタシ達のわだかまりを解いたのはまたしてもナランチャの一言だった。
皆は少し呆れたような視線を送りながら、ナランチャを説得し始めている。
流石に今回はアタシも賛同せざるえない。目が見えないのに……一体何を考えてるんだ?
「やってやるってんだよッ! 奴は背中を見られたら死ぬ……つまり建物に背を向けるか地面に寝なきゃいけねぇ。
そこを狙うッ! それに目が見えないから……今の俺は奴の背中を覗いても死なずにすむかもしれないぜ」
「ナランチャ君……止めてくれ。せっかく君は罪を悔い始めようとしていたのに……これ以上罪を重ねてどうするのだねッ! 」
「ジョージさん……俺さ、アンタに言ってなかったことがあるんだ。実は俺……ギャングなんだよ。それも下っ端の。
盗みや喧嘩なんてしょっちゅうだし……殺しもやってる。俺の仲間は皆は組織の関係者なんだ」
「ギャ……ギャング!? どうゆう事かねッ!? 君はまさか我々に嘘を付いていた……」
「違うッ! 俺が後悔していることは……『人を殺しちまったこと』じゃあねぇ。
――――――テメェェェェッ!『エアロ・スミス!』 喰らえぇぇぇぇ!」 ――――――――――――
『恐怖の余りに……本能で動いちまったこと』…… 、
――――――殺ると言ったら殺る!ブチャラティだろうがジョルノだろうがトリッシュだろうが関係ねえッ! ――――――
そして……『その恐怖で、仲間を殺っちまってもいいと思ってしまったこと』だ。
- 563 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 21:05:26 ID:orm+NF+H
- 支援
- 564 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのA:2007/06/22(金) 21:06:53 ID:YwFjcE/t
- ジョージさん。俺達ギャングは……普段は馬鹿みたいに争ったり命を賭けたりしねぇんだぜ。争いは馬鹿のやることだ。
だが!『侮辱する』という行為に対しては命を賭ける。殺人も神は許してくれると思っている!
あの男……モハメド・アヴドゥルは……ジョージさんの……いや皆からの『信頼を侮辱した』ッ! 」
「な……ならば私もここに残ろう。ナランチャ君、何も君がそこまでやる必要は」
「甘ったれた事言ってんじゃあねーぞッ!このクソジジイがッ! もう一遍同じ事をぬかしやがったらブン殴るッ!
俺はあんたのようなただの一般人でも裏路地で薬やってるようなゴロツキでもねぇ……。
手首を切り落とそうが銃弾を全身に受けようが……視力を失おうが決して敵を逃がしたりなんてしねぇ……。
『一度ヤると言ったらヤる』……それが俺達『ギャング』なんだッ! 」
……あのナランチャが……啖呵をきりやがった。アタシ達の仲で一番信頼していたはずの……ジョージさんに。
ジョージさんは……力が抜けるように座り込んでしまった。やべぇ、顔が凍っちまってる。
花京院もポルナレフもアタシも……多分同じ顔をしてるんだろう。
「……グッド。気に入ったぞ……ナランチャ・ギルガ。俺も残ろう」
* * *
僕ではない。ホル・ホースでもない。ジョースター卿でもない。F・Fさんでもない。ナランチャ君でもない……。
つぼみから開花させた花のように……そいつは喋り始めた。
名は、ジョンガリ・A。
縄で手を縛られ……ずっとF・Fさんの飼い犬状態だったコイツがなぜ?
- 565 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのA:2007/06/22(金) 21:07:59 ID:YwFjcE/t
- 「フッ……何を企んでいるんだ、とでも言いたげな顔をしているな。安心しろ。
俺はコイツ……ナランチャ・ギルガの誰かを守る為の殺人に拒否感は無いという『漆黒の殺意』を認めただけだ。
ただの17歳のガキだと思っていたが……とんでもない根性の持ち主っ……失明しても消え失せていない。
盲目であるこの俺が気圧されている……狙撃者魂に火を着けられている……どういう事かわかるな? 」
「……だからといって我々がお前を解放しようなんて思うなよ」
「気流の流れから判断するに炎の範囲はそれほど広くない。今ならまだ脱出可能だ。
我がマンハッタン・トランスファーなら、この程度の気流の変化なら読み切れる。
照準にいささかブレは生じるだろうが、一度に何発も発射できるナランチャのスタンドならそれをカバーできる」
「…………待て。なぜお前がナランチャのスタンド能力を知っている」
「ナランチャのスタンドは戦闘機タイプでいいんだろう?
そこのジョースターがアヴドゥルと話をしていた時以外にあるか? 」
それと念の為言っておくが……お前達をドサクサで暗殺するなんて不可能だぞ。
貴様ら3人の射撃から逃げ切れるはずがない。ナランチャが誤射したとしても俺のスタンドを狙えばいいんだからな」
「とはいえ……そんなに僕たちから離れたいか……? アヴドゥルさんに命乞いは通じないぞ」
「アヴドゥルと内通するつもりもなければ、お前達に取り入るつもりもない。
奴だってお前達だって、俺にしてみれば憎きジョースターの仲間なんだからな。
そんなに信用できないのなら、花京院……お前の『法皇の緑の触手』で更に俺を縛っておいたらどうだ?
その代わりマンハッタン・トランスファーに巻きついている『法皇の緑の触手』は開放してほしい。精度が鈍る。
なぁに、俺はナランチャの援護をするだけだ。それ以上の事もそれ以下の事もしない」
「………ナランチャ、君はどう思ってるんだ? 」
「……どうって事ねーよ。俺は俺だ」
「早くしろ花京院。貴様の鈍い決断力で全滅を招く気か」
全員がジョンガリの言葉に押し黙ってしまった。不本意だが……こんな状況ではやるしかあるまい。
この限りなく怪しいジョンガリ・Aの提案……吉と出るか、凶とでるか。
- 566 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 21:11:21 ID:YwFjcE/t
- * * *
私、モハメド・アヴドゥルはE−6の市街地にある一つの住居に身を潜めている。
全く……厄介な事になったものだ。本来ならば今頃私はジョースターさん達と共にDIOと戦闘をしていたはずなのだ。
しかし気がつけば、荒木という男の言うままに殺し合いをさせられている。
まぁ……とはいってもその正体は唯の虚構で出来た世界なのだ。
おそらく荒木はDIOも部下で、私をここに閉じ込めて始末するつもりなのだろう。
見れば見るほどよく出来た作り物だな。花京院やホル・ホースをあそこまで寸分無く再現できるスタンドがこの世にあるとは。
だが、なんてことはない。私が全てをブチ壊し、最後に荒木を始末すればいいだけのこと。
『ハハハハー奴らまんまと騙されたねっ! 上手くいってよかったねっ! 』
「うるさい。今貴様が声を出したら……バレてしまうぞ。隠れている事が」
しかし荒木も中々味なことをする。私が貴様の能力に気づいたとたん、こんな厄介なモノをプレゼントしてくれるとはな。
背中を見られたら死ぬ?……馬鹿馬鹿しい、そんな事があってたまるか。
一応ここは奴の作った世界だから注意しているがな……だがこれじゃあ私が真実に近づいていると言っているのに等しい。
これで私を縛り付けたと思ったら大間違いだ。ならばこっちはその分好き勝手にやるまでだ。
『おいアヴドゥル……エアロスミスが来たみたいだねっ! 』
チープ・トリックの呼びかけに答えるように、私は窓から外を覗く。
まさか……無事だったのか? そんなハズはない。私は確実にナランチャ・ギルガから視力を奪ったのだ。
わざわざジョージ・ジョースターと二人っきりになるタイミングまで作り、
ジョージを狙えば、ナランチャが庇うだろうと読んだうえでの完璧な作戦だったのだ。
- 567 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 21:12:39 ID:orm+NF+H
- 支援
- 568 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのA:2007/06/22(金) 21:12:43 ID:YwFjcE/t
-
『おおっあたり構わずブッ放してるねっ! こりゃスゴイ……この辺りの家の窓ガラスが全部破壊されてるねっ! 』
何だ?一体何を考えている? この辺り一帯の全ての窓を破壊するつもりか。
確かに……家の内部に入って調査するのだから侵入を楽にするという点では理にかなっている。
しかしあれは目が見えていないと自ら吐露しているようなものではないか。
あんな事をしたら……私が音に気づいて呼吸をしないように立ち去るとは考えないのか?
おっと危ない。こっちにも来たようだ。
バリバリバリバリンッ!
『ふぅ〜急に風通しが良くなングっ』
エアロスミスの弾丸が窓ガラスを粉々に打ち破る。チープ・トリックの口は一応『魔術師の赤』の手でふさいでおこう。
見たところ……まだ私たちにはまだ気づいていないようだ。どうやら本当に視力は失ったらしいな。
もし見えていたのなら、この家に侵入した時点で私のかすかな呼吸に気づくはずだ。
しかし気になるな。なぜここまで風通し良くする必要があるんだ?
こちらの方向にゆっくりと近づいているが……?
- 569 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのA:2007/06/22(金) 21:13:53 ID:YwFjcE/t
- * * *
「どうだジョンガリィ……奴はいたか?」
「北方より風速1.4mの風。お前の前方右30度に遮蔽物あり。中肉中背の成人男性に近い形をしている……ビンゴ。
逃げる素振りは見られない。お前の目が見えていないから……大丈夫だと油断しているようだ」
「よっしゃぁ!ブチまけやがれェェエアロスミスゥゥゥゥッ!!! 」
* * *
まずい……まずいぞ。もう少しで蜂の巣になるところだった。
どうやっているのかは分からんが……目の前にいるスタンド、エアロスミスは私を探知している。
完璧な探知をしているわけではないが……狙いが格段に良くなっている!
馬鹿な。確かに私は奴の視力を奪ったはず……それなのになぜ……?
『おいおいアヴドゥルよぉ〜家に出ちゃうの? もう諦めちゃえよ。あんた追い込まれてるよ。
ナランチャの視力がどうなってるかはわからないけどさっ……背中を見せて楽になっちゃえ。ねっ! 』
「うるさいぞチープ・トリック……私は予定を変更して『あそこ』に向かうだけだ」
- 570 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのA:2007/06/22(金) 21:15:32 ID:YwFjcE/t
- 私は背中を見られないように壁づたいに移動する。くそ……やはりこんなのは私のキャラではないッ!
エアロスミスは私の後から飛行し、ところ構わず銃撃しながら追いてくる。
冷静になって考えろ……まず奴(ナランチャ)の目は見えているのか? ……答えはNOだ。
私は背中を見せられない状況にあるのだからな……殺す気満々で襲った相手にとる行動とは思えん。
ならば誰かがナランチャに私の居所を教えているのか?……これはYESだろう。
確か縛られていた男……ジョンガリ・Aといったか……奴のスタンドが『気流を読む能力』だったはず。
しかし何故もっと正確にナランチャへ情報を伝えないんだ? 奴とてDIOの敵である私を殺したい筈なのに……。
* * *
「おいジョンガリッ! アヴドゥルは間違いなく俺の目の前にいるんだよな? 」
「ああいるとも。そろそろ角を右に曲がりそうだから注意しろ。右に曲がったらお前もシラミ潰しに撃ちまくれ」
「ジョージさん達は大丈夫なんだろうなッ? 」
「花京院とポルナレフがいるからノープロブレムだろう。
そもそも奴らはアヴドゥルの仲間……手の内は知り尽くしているはずだ。いいからさっさとやれ」
「任せときな……エアロスミスッ! 」
手首に着いているライク・ア・ヴァージンの子機が警報を鳴らしている。
音のレベルを聞く限りでは、F・F達とはそこそこ離れたようだな。
さて、どこから話せばいいのだろうか。
結論から言おう。とても損した気分だ。
- 571 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのA:2007/06/22(金) 21:16:38 ID:YwFjcE/t
- せっかく一丁前に吼えたから役に立つかと思ったのに……。
コイツ……ナランチャがここまで馬鹿だとはな。
まさか前方右30度と聞いて、思いっきり『真右』に銃撃するとは……。
奴曰く『え? 右30度って、右に30発ブチ込めっていう意味じゃあないのか!? 』だとよ。
この俺をナメてんのかッ! 右30度って言ったのに……なんでイコール30発になるんだこのド低脳がァーッ!
……だから俺はもう詳しい情報をコイツに伝えるのは止めた。
どんなに精密に伝えようが所詮馬の耳に念仏だ。その他の情報収集へのやる気も完全に失せたのさ。
だから今は『アヴドゥルの位置』だけしか探知していない。
コイツにあれこれ言っても頭がパンクするだけだろうし、
アヴドゥル以外の奴の安否なんて俺にはどうでもいいんだからな。どうせ奴らは上手くやってるだろ。
エアロスミスには、1人住まいの家の床の汚れを掃除機で吸い取るように……辺り一面隈なく銃撃させている。
アヴドゥルも照準の定まらない機関銃には迂闊にスタンドで攻撃も出来まい。
動きを止めて炎を出したらそれこそ相討ちになるのは目に見えているからな。
- 572 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 21:22:28 ID:b6Qmikj4
- wktk
- 573 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのA:2007/06/22(金) 21:24:57 ID:KE1OLkee
- 「おいジョンガリ! 全然手応えを感じねぇぞッ! 本当にあってるんだろうな!?」
「大丈夫だ。奴はさっきから『変な形の炎』を自分の胸元に出現させているんだよ……。
何の『おまじない』かはわからんが、自ら探知してくれと言わんばかりのな。
それにエアロスミスが今いる通りは他の道より広いんだよ。だからその分『掃除』に時間が掛かっているだけだろう。
気をつけろよ。そこの通りはこのまま進むと狭いL字路になっている。アヴドゥルは右に曲がるしかない。
エアロスミスの今のペースの飛行速度だと30秒後には角に着くからそこを狙え」
「そーか30秒ねッ!」
「(本当にわかってんのかコイツ?)
ああ、アヴドゥルの奴もL字路に気づいたのかちょっと前から道路中に放火し始めていた。
おそらく俺のスタンドが気流を正確に読み取れないようにしたんだろうが、どうって事はないな。
このまま突っ切って……角を曲がったら適当にブっ放せ」
ナランチャが大はしゃぎしている。何て単純な奴だ。
コイツまさか俺達の周りもまだ火の海(アヴドゥルのスタンドによる二次災害だがな)であるのを忘れてないよな?
とても視力を奪われた人間とは思えないタフさだ。
コイツは例え舌を引っこ抜いても、構わず攻撃してきそうだな……。
* * *
「おーおー派手にやってるねぇ……音がこっちまで聞こえてくら。
旦那、あの二人はあんたが思っている以上に上手くやってくれるかもしれないぜ」
- 574 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのA:2007/06/22(金) 21:25:42 ID:KE1OLkee
-
ホル・ホースが耳に手を当てながら、おどけている。
実に無神経な奴だ。ジョースター卿が思いつめているのを知らないはずがないだろうに……。
今、この花京院典明を含めた4人はナランチャ君たちと別ルートで【E-6】を進んでいる。
少し離れているが前衛にF・Fさんが、後衛にホル・ホースが、そしてジョースター卿の側に僕が立つ。
『アタシの手首にはライク・ア・ヴァージンの親機がついてる。
ホテルでライク・ア・ヴァージンの親機と子機について話したろ?
親機と子機が離れすぎると、どっちも激しく警報を鳴らすんだ。
距離が離れれば離れる程音は激しくなり……50メートル離れると子機が爆発する。
今はあんまり音がでかくないから大丈夫だが……これが原因で敵を呼び寄せちまったら意味がない。
だから皆から少し距離をおくよ。ま、ジョンガリの野郎がそんなヘマするとは思えないけどな……』
『後衛は俺に任せな。花京院は俺達の中で一番強いんだから旦那を守ってくれよ』
……F・Fさんの意見は最もだがホル・ホースの意見はいい加減過ぎて呆れてしまう。
確かに僕のスタンドが一番強いのは甘んじて受け入れるが、単に押し付けたいだけだろう。
アヴドゥルさんは……おそらくジョースター卿の殺害をまだ諦めていないだろうからな。
背中を見せる事が出来ないハンデを差し引いても、彼の『魔術師の赤』の能力はあなどれない。
あのポルナレフを難なく追い詰めた灼熱の業火と、スタンド使いとしての豊富な経験は脅威だ。
その上、僕はあの人の戦いをこの目でほとんど見ていない。実質ポルナレフとの一戦くらいだろう。
『法皇の結界』も迂闊には張れない……結界ごと焼き払われしまいそうだ。
- 575 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのA:2007/06/22(金) 21:26:45 ID:KE1OLkee
- 「ちょっといいだろうか花京院君」
! ふいに呼ばれた僕は振り返る。僕に声を掛けたのは当然ジョースター卿だ。
だが覇気が感じられない。すっかり憔悴してしまっている。ナランチャ君の一喝が相当応えているようだ。
「どうしましたかジョースター卿」
「……私は……ナランチャ君の心を……閉ざすような事を知らず知らずにやっていたのだろうか……」
なるほど、確かにあの時のナランチャ君の一変には僕も度肝を抜かれたが……当然アレは演技だろう。
ジョースター卿を守りきれなかった自分を戒める為に……
そして自分が傷つく姿を見てジョースター卿がこれ以上悩み苦しまないように……わざと悪態をついたのだ。
「……そんな事はありません。事実、彼の心を溶かしたのはあなたじゃあないですか。
気にする事はありません。あれは彼なりの愛情表現だったと僕は思っていますよ?
いずれ誤解が解ける時が来ます。僕たちは一刻も早く【E-5】を目指しましょう」
「う……む。そう、だな……」
余り褒められた行為ではないが……ナランチャ君の一喝は「別行動をとる」ことへの、卿の賛同を促す効果はあった。
ここは適度に安心感を与えておいたほうがいいだろう。
僕は最後に卿の顔に微笑みで返し、再び体をF・Fさんのいる方向に向けた。
そしてF・Fさんに声を掛けようとしたが――――
「やあ諸君、見つけたぞ……チッチッ♪」
- 576 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのA:2007/06/22(金) 21:27:27 ID:KE1OLkee
-
* * *
「「「「モハメド・アヴドゥル! 」」」
「YES! I AM! チッチ♪」
『俺もつられてチッチ♪だねっ!』
親指を立てて手首を小刻みに横に振り、私は相手に余裕を見せ付ける。
花京院、ジョースター、ホル・ホース、あと1人は……確かF・Fとだったな。
ンン……作戦成功だ。無事に『あそこ』……ジョースター達のいる場所に辿り付けて(追いついたと言うべきか?)良かった。
奴らを探すこと自体はさほど問題はない。私には『魔術師の赤』が生み出す『炎の探知機』があるのだから。
何も知らない人間からすれば、『変な形の炎』にしか見えないだろう。だが侮ること無かれ。
生物は勿論スタンドにも対応! 上下前後左右に出現した炎が完全探知なのだッ!
あとは……【E-6】内をうろついて、奴らが適当な場所に現れるのを待つだけだった。
フフフ……花京院典明……私は君たちがホテルから出てきたのも最初から知っていたぞ?
何せあのイケメン発狂男に襲わせて、君達を【E-6】に誘導したのは私なんだからなぁ〜。
アイツは実に扱いやすかったよ。
放送直後にいきなり襲い掛かってきたんで、ちょっと力の差を分からせてやったら簡単に言う事を聞いたぞ。
『頼む!来るなァ! 殺さないでくれぇ! 何でもするから助けてくれぇッ!』……とな。
「てめぇーふざけてんのかッ! 地面に仰向けになって姿を出すなんてよォーッ! 」
- 577 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのA:2007/06/22(金) 21:28:19 ID:KE1OLkee
- F・Fという奴が私に銃口を向ける。私との距離はおよそ7,8メートルはあるな。
一時はチープ・トリックの存在に気づき絶望していたこともあったが……。
諦めずに【E-6】へ移動し、エリア内を午前中に調査し尽くした介があったよ。
ここは過疎でもなく密集しているわけでもない住宅地……背中を見られないように戦闘が可能で、かつ炎が広がり易い。
つまり私のバトルフィールドにはもってこいなのだよ。
後はひたすらここで待ち伏せし……ここに迷いこんだ奴らは全員再起不能にすればいいのだッ!
「しょうがないさ。背中を見られたら私は終わりなんだからな……」
「ならここで終わりにしてやるぜェーッ! 」
「果たしてそうかな? 『魔術師の赤』ッ! 」
私は路地を挟んでいる住宅の外壁を、灼熱の炎でドロドロに溶かし素早く中へ侵入する。
その際に見えた奴らの表情は、私の行動に虚を突かれたように見えた。
良し、準備は整った……後は天に運を任せるのみだな。
* * *
「30秒たったぞナランチャ。被害がこっちに来るのは困るから俺のスタンドも解除した。思う存分やれ」
「良し……右を狙って撃てばいいんだなッ!? 」
「かなり狭い道だ……さすがに今度は奴も逃げ切れまい」
「ベネ(良し)! 行くぜオラァッ! 」
- 578 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのA:2007/06/22(金) 21:29:28 ID:KE1OLkee
- 結局俺の状況は……変わらず終いか。
これでアヴドゥルは逃げ切れずに再起不能になり、ジョースター達も無事に逃亡を成功させるだろう。
少しづつ【E-5】に向かっていた俺たちも無事に奴らと合流。哀れな狙撃手ジョンガリ・Aは捕虜に逆戻り、か。
「ブッ放せェェェエアロスミスゥゥゥ!!!」
チッ……当初はエアロスミスを上手く利用して奴らに一杯食わせようとしてたんだがな。
肝心のナランチャが馬鹿で、かつ思ったより早くアヴドゥルを追い詰めてしまうとは……。
ロクに作戦を練る暇も無く終わっちまったぜ……これじゃ危険な賭けに乗ったナランチャ以下じゃあないか。
「やりィィーー手応えありだぜッ! この感覚は間違いねぇ……」
つくづく俺は恵まれないな……パートナーとの出会いに。
* * *
怪我は……肩と腕、腹をかすった程度か。
銃撃が終わった後も死んだ振りをしといて正解だったな。
アヴドゥルの野郎はもう行っちまったんだろうか……多分そうだよな。
いつまでもここにいたらジョンガリに探知されちまうしな。
ハァ……やっぱりあの2人に任せるんじゃなかったぜ。
何が『ここに残って……奴とドンパチしてやるぜッ!』だよ。俺達までドンパチしてどーすんだッ!
ジョンガリがわざとやったのかナランチャが天然でカマしたのかはわからねぇが……冗談じゃあねぇ。
- 579 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのA:2007/06/22(金) 21:30:10 ID:KE1OLkee
- 「おい……皆大丈夫か」
ゆっくりと起き上がったF・Fが俺達に声をかける。
流石一番前にいただけにズタボロだ……ほとんどの被害を受けたみたいだな。
しかし本当に不死身の体だぜコイツは……奴の持ってるディバッグなんて完全に穴ボコなのによ。
「ぐ……う…………」
旦那も手を軽く振り挙げたが事切れちまった……いや気絶しただけか。
傷は……腹に一発、当たってるな……ってこれだけかよッ!?
スタンド使いじゃあないのにトコトンしぶてぇなぁ……。
ん? じゃあ旦那はどうやって弾丸の雨をしのぎ切ったんだ……………?
ああ……そうか……旦那と俺に行くはずだった弾丸を……代わりに庇った奴がいたってことだわな。
「花京院! しっかりしろォォォ花京院ンンンン!! 」
- 580 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 21:30:52 ID:KE1OLkee
- 「…………『法皇の緑』。自分の前に辺り構わず『触手の結界』を張り巡らせ……
網状にして絡めとり……弾丸の威力を激減させた」
「でも血だらけじゃねぇかッ! 全部防げなかったんだろ!? 急いで傷を埋めて……!? 」
F・Fの手が止まった。いや、俺が止めた。
治療の邪魔をするなと言わんばかりの顔。刺し殺されそうな鋭い視線が今にも俺を貫きそうだ。だが、退くつもりはねぇ。
「止めろ……もう手遅れだ。傷口を塞いだとしても……流れた血液は戻らねぇ。
コイツはお前と出会う前から負傷に負傷を重ねて来たからな……どのみち失血死するぜ」
「ちょっと待てよッ! 確かにアタシと人間の造りは違うけど……
アタシはこれまでどんなに酷い怪我をした奴も皆治療してきた。血液の代用が出来ていないとは限らねぇぞッ! 」
「じゃあ花京院の傷を全部埋めてる間に……こっちがどうなってもいいんだな」
俺は旦那を指差して、F・Fに詰め寄る。
「旦那はスタンド使いじゃあない……ただの人間だ。俺たちよりも脆い。
片や治る見込みの薄いスタンド使い、もう片やほっとけば危険な一般人……どっちを治すかは明白だろうがッ!
てめーだって酷い怪我なんだぜ? いくらプランクトンでもこれ以上『身を削る』って大丈夫なのかよ」
「一匹でもいれば『水』がある限りアタシは復活するぜッ! 」
「その『水』がないんだろうがよ……今ここにあるのは支給された『水』だけなんだぜッ!
まさか旦那や花京院の分の『水』を使うとか言いだすんじゃあねぇだろうな?
「何言ってんだ……アタシの持ってる水2つ分を使えば……ハッ!
そうだ……アタシのディバッグは…… さっきエアロスミスの銃弾を受けて穴ボコになっちまったんだッ!
やべぇ、やべぇよぉやべ―――――――――――――」
- 581 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 21:31:20 ID:+AoZJNBu
- 支援
- 582 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 21:31:33 ID:KE1OLkee
-
ドグォオ―――オオオオオオ―z___ンッッッ!!!
……泣きっ面に蜂ってのはこうゆう事を言うんだろうな。
慌ててバッグの所へ走っていくF・Fが光に包まれていく。
その光が……俺にはあの世からのお誘いにしか見えなかった。
それだけ……俺の精神も相当動揺してるってことか。
そんな気分にさせる位の現実が…………今、俺達を包んでやがる。
「熱……い……体が……焼ける………アタシのデェいバッグガァぁ……『火』を……吹いたァ……
まるで……爆、弾でモ……仕掛……けぇられ……てた……みてーに……なん……て、こ、た……
『ライク・ア・ヴぁーじん』………子、機が……4、コ入っ、てた……それが……えあろすみすの……銃、撃で
破、壊?……仕掛……け……られていた……爆、弾に……引、火……何と、かし、な、いと……皆…治せ、な……こ……
こ、こ、焦げ、るゥ……焦げ……こげ……
コゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲ……」
…………ナランチャ達も行方知れずだしよ……もう、駄目だな……このチームは。
完全解散だ……。
- 583 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 21:32:14 ID:KE1OLkee
- 「旦那、ちょっとの間我慢しててくれや……」
俺は旦那を担いでこの忌わしき路地を後にした。
向かう先は【D-6】の病院だ。回復役が死んじまった今……俺にはこれしか旦那を治す手段は無いからな。
悪く思うなよ花京院、F・F……これはてめーらの自業自得だぜ。
お前らを恨んでたわけじゃあねーがよ……だからと言って救う義理はねぇ。
ま、ここまで無事に生き残れたのは素直に感謝してるがな……。
それじゃあな。俺が地獄に行ったら、天国から祝ってくれよ。
……ん?
……何だ……この大声は……誰かがスピーカーかなんかで喋ってんのか……?
………………………承太郎!? 4時から5時だって!?…………場所は…………なるほどな。
大体……理解したぜ……なるほど仲間集めをしようって腹づもりか。
だが今は旦那を病院に連れていくのが先だ。どうするかはその後考えればいい。
次から次へと……神様は中々休ませてくれねぇな…………。
* * *
視界がかすんでゆく……肉体が崩れてゆく……。
――――どうしたのかね……花京院君。折り入って話がしたい等とは――――
――――放送までもう時間がありません。ジョースター卿、単刀直入にお話したい事があります。
…………ポルナレフの事です。奴の正体……奴の真意の全てをお話します……! ――――
- 584 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 21:35:28 ID:YwFjcE/t
-
ホル・ホースは……行ってしまった……ジョースター卿をつれて……。
――――……なるほど。彼もまた、DIOの腹心だったわけだな――――
――――僕はこれからF・Fさんやナランチャ君にもお話しようと思ってます。奴を野放しには出来ない――――
――――……花京院君、その必要はない――――
最初からわかりきっていた事だったのに……。
――――彼は……『J・P・ポルナレフ』だよ。正真正銘…………私達の仲間だ。
君が言っているホル・ホースという男とは別人だよ――――
――――……なぜ奴ををかばうんですかッ!? あいつは絶対に我々を裏切りますッ! ――――
――――私達が最も憎むべき敵は彼ではない……荒木だ。
今すべき事は……皆が一致団結して奴を倒すことなのだよ。それは彼もわかっているはずだ。
――――ジョースター卿……あなたはお人好しすぎます!! 奴は心の中であざ笑っている! あなたを! ――――
――――君がこれから……F・F君達にそんな事を言えば……彼らはポルナレフ君を問い詰めるだろう。
だが、それだけでは終わるとは思えない。一度そんな事が起こってしまえば……。
また誰かが誰かを疑い、問い詰め、争いを起こすやもしれん……。
私は……皆がお互いを信じられなくなるような関係にはしたくはない――――
僕は……止める事が出来なかった……。
- 585 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 21:36:59 ID:YwFjcE/t
-
――――……もうすぐ放送だ。私はこれから1階のロビーに行くよ。F・F君たちがいるはずだ。
花京院君も後でナランチャ君と一緒にロビーに来てくれ。勿論、ポルナレフ君の事は喋ってはいかんぞ――――
――――……ジョースター卿、あなたの考えはよくわかりました。この事は誰にも話しません――――
――――ありがとう花京院くん。君は本当に優しい青年だ――――
――――その代わりに約束してください……『1人で勝手にDIOに会わない』と。
――――なん……だと? 私が……DIOに?――
――――まさか気づいていないとお思いですか。あなたは……たった1人で奴と決着をつけようとしている。
DIOは僕達の共通の敵のはずです。1人で全部背負い込もうなんて無茶です。
僕達を巻き込きたくないから? ……ふざけないでください。
卿が僕達に内緒でやろうといている事は……卿のおっしゃる『信じていない』のと同義ではありませんか。
それだけは……止めると『約束』してください。絶対にッ!
僕達を信じたいのなら……僕達を裏切る行為は止めていただきたいッ! ――――
――――…………君には適わないな…………わかった…………約束しよう――――
F・Fさん…………治、療を……。
* * *
- 586 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 21:37:50 ID:YwFjcE/t
- 俺、ナランチャ・ギルガはアヴドゥルを始末した後もジョンガリ・Aと共にいた。
早くジョージさん達と合流したいところだが、ジョンガリ曰くまずはF・Fさんの捜索が先決らしい。
彼女の持ってる『ライク・ア・ヴァージン』の親機から離れてしまうと、
ジョンガリの手首についている子機が爆発するからだ。
確かに今コイツに死なれたら俺が路頭に迷っちまうからな……付き合うしかねぇ。
「なぁ……ジョンガリよ……F・Fさんは見つかったのか? あんまり黙られても困るぜ」
「お前は俺に縛られた縄をしっかり持ってればいいだろう……俺は自分でこれを外せないんだからな」
「っつっても」
「ムッ! 今何か聞こえなかったか!? 」
「な、何がだよ」
「耳を澄ませろ……これは……」
――……しは!!!承太郎の支給品!!!ヨーヨーマッです!!!
花京院!!!ポルナレフ!!!アブドゥルに連絡です!!!
承太郎は!!!4時から5時まで!!!
運命の車輪戦の休憩所!!!ダニエル・ダービー戦の戦場に居ます!!! ――
「い、今花京院とポルナレフって……」
「承太郎……空条承太郎か……我が心の支え……DIO様の宿敵……」
「おいおいジョンガリ…………?」
「…………花京院、アブドゥル…………これは……」
「おいジョンガリ聞いてんのかよッ! おめーまさかあの放送で言ってた場所へ行くんじゃあねーだろーなッ!? 」
「聞いてるぞこの腐れ脳みそ……F・Fの話を忘れたか? 全ては奴と合流してからだ」
- 587 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 21:38:32 ID:YwFjcE/t
- 「そ、そうかよ……後な、おめーが言わなくても今の話……俺はジョージさんに話すぜ」
「勝手にしろ。どうせこの大きさの音なら奴らも聞いているだろう」
……なーんか怪しいけど、俺もジョージさん達には早く会いたいし……。
まぁ、アヴドゥルの始末に色々と手助けしてもらったからな……さほど気にするまでもないか。
「おいナランチャ、ちょっといいか? 実は頼みがあるんだが……」
* * *
――……運命の車輪戦の休憩所!!!ダニエル・ダービー戦の戦場に居ます!!! ――
……花京院達との戦闘が終わった矢先にこのような“知らせ”を入れてくるとはな。
荒木……偽者の花京院の次は偽者の承太郎か? 【E-6】を根城にさせまいと私に餌を吊るしたつもりか。
片腹痛い。その手には乗らんぞ。せっかく汗水垂らして得た安息の場を捨てるはずがなかろう。
この【E-6】が見るも無残な景色になるまでは……私の背中が脅かされる環境にならない限りはここを動かん。
ナランチャ達は私がエアロスミスにやられたと勘違いさせたから、しばらくは安心だろう。
エアロスミスの銃撃による街の被害は小さくはないが、隠れる場所はまだいくらでもある。
天ぷらのカスが置かれたネズミとりのように……ここにやって来たネズミ共は確実に潰してやる。
「……なにかの間違いに決まっている…………何かの間違いさ」
- 588 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 21:39:12 ID:YwFjcE/t
- ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
……そう、意外とネズミという物は総じて鬱陶しいものだ。
何でも食べるいやしさ……、
場所を選ばず寝る浅ましさ……
ところ狭しと繁殖し続けるしぶとさ……
食う、寝る、子どもを産むの3つしか行動概念がない。
「ほら……しゃべり出すぞ……今にきっと目を覚ましてくれる……」
そのガツガツしたところが……自身が人間で良かったと私に気づかせてくれる。
やはりネズミはどこまで行ってもネズミだ。潰せる時に潰しておこう。
私と同じく、ヨーヨーマッという者の放送に導かれたネズミめ……これも定めか。
「アヴドゥルさん……そうでしょ?……荒木に操られているんでしょう?
し……正気に戻ってくれ! たのむ……アブドゥルさん!! 」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
「生きていたか花京院……いや、花京院典明の……まがい物が」
- 589 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 21:41:12 ID:YwFjcE/t
- * * *
「……再起不能にならなかったのか? エアロスミスの銃撃で」
僕の目の前に立つ男は……僕の死に驚くわけでもなく、相変わらず冷静だった。まるで他人事のように。
思えば彼とは数十日の間しかの付き合いしかない。だが、彼は真に気持ちがかよう人間の1人だった。
承太郎とポルナレフはどこにいるのだろう。ジョースターさんやイギーのことを考えると背中に鳥肌が立つのはなぜだろう。
それは彼らが目的の一致した初めての仲間だったからだ。DIOを倒すという……目的!
この世界でもそれは変わらない。荒木を倒すという……目的!
いずれは彼らとも気持ちがかよい合っていたはずだ。ジョースター卿、ナランチャ君、そして…………
「アタシが……花京院を治療したんだ。間一髪だったけどな。
ジョースターさんのおかげだ……あの人が自分に支給された水をこっそり置いていってくれたんだ。
花京院の分の水だけじゃあ…………『水分』が足りなかったぜ。マジで感謝してるよ………」
……F・Fさん。感謝しているのはこちらのほうです。
燃え尽きようとするギリギリの所で、あなたは自分の体の中にあるほとんどのプランクトンを僕に注いでくれた。
ただ……その突貫工事のせいで彼女は首だけになってしまった。
ライク・ア・ヴァージンの爆破の被害も重なって、もとあった彼女の体は水分ゼロの死体となり、
彼女の首輪もライク・ア・ヴァージンの爆発で誘爆してしまったらしい。
今、彼女の生首は……僕の胸部と融合している。自分の体にもう一つの顔があるのは実に奇妙な感覚だが……。
水分共有の為とはいえ……首輪が無くなった代わりに僕の体に寄生しなければならないとは皮肉なものだ。
- 590 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 21:42:33 ID:YwFjcE/t
-
「いくら命の恩人とはいえ……いや人ではなかったか。そんなにその生首が大事か? 」
せせら笑う友人を僕は黙殺し『法皇の緑』を出現させる。
状況が状況なだけに本来の威力でエメラルドスプラッシュを打ち込むのは難しい。
そして本体が両肩を負傷しているとはいえ、『魔術師の赤』の戦闘力には適うとは思えないからな。
だがやるしかないッ!一瞬だ……全ては一瞬で終わる。近距離で、高圧縮に高圧縮を重ねて!
『おいアヴドゥル。こいつらビビッてるねっ! せっかく背中のハンデがあるのにさぁ〜お前よっぽど強いんだねっ! 』
「黙ってろと言ったろうチープトリック。……花京院、貴様何か企んでいるな」
「答える必要はない! 」
背中から聞こえるチープ・トリックのヤジなんぞ気にしている場合じゃあない。
一歩ずつ距離を詰める……アヴドゥルさんは壁にもたれているから横移動しか出来ない。
彼が『法皇』の攻撃を左右に回避できるかどうかギリギリの距離まで、
つまり自分にとっては、彼の「C・F・H」が回避できるかどうかギリギリの距離まで……僕は詰め寄る。
そこに、合図などいらなかった。
「エメラルド・スプラッシュ!」
「C・F・H(クロスファイアハリケーン)ッ!」
* * *
- 591 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 21:44:22 ID:YwFjcE/t
- ……一つの闘いが幕を閉じた。
アタシはただ見てることしか出来なかったけれど……この二人の対峙は忘れないだろう。
徐倫の父親はこんな奴らと旅をしていたんだな。
「終わったな。花京院……アタシ達の勝ちだ」
花京院がホッと胸を撫で下ろしたのか、安堵の息がアタシの頭に吹きかかった。
『魔術師の赤』も動かなくなった。くちばし、両手、両足は完全に封じられている。
「『タイラップスネーク』……『法皇の緑』を糸状にして、『魔術師の赤』の手足とくちばしを縛り上げた。
これでもう炎は出せませんし、アヴドゥルさんは動けません。いつもより高密度の糸ですから千切られませんよ」
最初から『C・F・H』はよける気満々で本当の狙いは生け捕りだったなんてなー……てっきり殺すんだと思ったぜ。
花京院の足下では、当のアヴドゥルが間抜けなポーズで座り込んでいる。
背中が見えないように壁にもたれさせたのは、花京院なりの武士の情けかね。
「アヴドゥルさん……聞いてください。僕はあなたを殺すつもりはありません。
あなたが何故僕達を殺そうとしたかはわかりませんが、何か事情があるのでしょう。
しかし出来れば……アナタに協力してもらいたいのです。荒木、DIO打倒の手助けを」
……はあああ!? 何言ってるんだよ花京院ッ!? 依頼はともかく理由を言えーーッ!!
- 592 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 21:45:41 ID:YwFjcE/t
- 「あなたならきっと妙案を思いつくはず。
……この街は謎だらけです。あなたは何故生きているのか……?
そしてF・Fさんは首輪が破壊してもどうして何事もなく生きていられるのか……?
首輪なんて彼女には何の脅威にもならない事くらい荒木だってわかっていたはず。
とにかく……僕はあなたを僕達の仲間として改めて迎えいれたいのです……ナランチャ君は怒るでしょうけど」
もう……びっくりし過ぎて声が出ねえ……どんだけお人好しなんだよ……ハッ!
「もしジョースター卿がここにいたら……きっと僕と同じ事をしたと思うんです。
あなたは僕を信じていないかもしれませんが……僕はあなたを信じますよ。それが『仲間』でしょう?
全ては……そこから始まるんですかっ……ら」
……すげー……すげーよ花京院。お前のような奴を……本当の仲間っていうんだろうな。
過去にアタシと戦った徐倫を見てるみてーだ。あの時も……アタシはこんな感じで生首状態だったんだよな。
アヴドゥルは声には出してあいが、顔を見れば驚いていることがありありとわかる。
そりゃそうだよな。仲間のアタシだってびっくりしているんだから。
まぁ……これでひとまず一件落着ってところか。
アタシも本格的に回復しないと皆の治療は出来ないし、ジョージさん達も探してぇ(ポルナレフは後でボコるがな)。
「なぁ花京院……そろそろジョンガリにやった時みたいに『法皇の緑』を侵入させたらどうだ。
アヴドゥルの体内によ……今のお前じゃ運ぶ気力はねぇだろ? 」
- 593 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 21:47:39 ID:YwFjcE/t
- その時、アタシの頭にポタポタと何かが垂れてきた。雨……か?
こんな街でも雨が降るんだな。荒木が支配した世界だから常に晴れ模様だと思ったのに。
今のアタシは顔を見上げる事が出来ないから雨が見えないのが残念だが、これで完全回復が出来るぜ。
「なぁ花京院……アタシ達はマジで運が良いよなぁ……? 」
* * *
「お〜いジョンガリィ……どうだ? 色々とわかったかよ?」
「ああ、色々とわかった。これでお前のスタンドの基本性能は把握した。
弾丸のスピード、射程距離、破壊力……面倒をかけたな」
「別にいいって……しっかしジョージさん達襲いよなぁ……全然現れる気配がしねぇ。
やっぱり何かあったんじゃあねえか? その腕輪も警報鳴らさなくなったしよぉ」
「わからん……だがこの腕輪はF・Fと俺が近づきすぎると警報を鳴らさなくなるからな……」
ヨーヨーマッというスタンドからの放送を聴き終えた俺達は、しばらく【E-6】の端にいた。
ライク・ア・ヴァージンが爆発する様子もないし、いずれジョースター共がここに来るだろうと考えた。
そして奴らが俺達の所に来るまでの時間稼ぎの為……ナランチャに頼んでエアロスミスの性能を調べさせてもらったのだ。
だがこれは建前。
ナランチャにはまだ話していないが、我がマンハッタン・トランスファーは弾丸の進行方向を変える能力がある。
エアロスミスの弾丸が俺のスタンドでも運搬可能なのか……これが本当に調べたかった事実。
スタンドの発射する弾丸にそれが通用するかどうかは微妙な線だったが……どうやらこの世界では可能らしい。
嬉しいよ。これで俺はますますナランチャを利用できるんだからな。
ライフルの時のように一度に何発まで転送可能なのかはわからんがな……少なくとも転送は可能なわけだ。
- 594 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 21:55:08 ID:KE1OLkee
- しかし……てっきりジョースター共と一緒にいると思っていたのにな。
風の流れでお前達を発見した時は本当に感動したよ。
エアロスミスがアヴドゥルを攻撃して間もなく、俺の体に巻きついていた『法皇の緑』がほどけて消えた時……
まさかとは思ったが……よりによってアヴドゥルと行動を共にしていたとはな。……どうゆう風の吹き回しだ?
俺は風の流れを察知する。アヴドゥルは……仕留め損ねたみたいだな。ナランチャには黙っておくか。
これで二回もミスをしたことになる……チッ、久々の転送能力の使用で勘が鈍ったのだろうか……。
流石にもう一度狙撃したらバレるかもしれん……まあいい。弾丸は確実に頭部を破壊したのだからな。
誰も俺が暗殺をした事実に気づいてはいまい……弾丸を撃ったナランチャ本人ですらな……クックックック……
これでカリは返したぞ……………花京院典明!!
* * *
- 595 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 21:56:00 ID:KE1OLkee
- * * *
「うわああああああ花京院ンンンーーッ!!しっかりしろぉーーーッ!! 」
……何が起こったのかわからなかった。
私、モハメド・アブドゥルを説得していた花京院典明が……気がつけば頭から血を流し、脳漿を垂らしていた。
当然奴の体はそのままバランスを崩して地面に倒れ臥す……私を拘束していた『法皇の触手』もボロボロになって消えた。
今は……生首女が花京院に大声で叫び続けているが、返事はない……まさに一瞬だった。
生首女は時々私の顔を睨み付けるが、私は何も言い返すことができなかった。
私にも状況が理解できていないことは……向こうにもわかっているだろうがな。
「アヴドゥルッ!てめーの水をアタシに借せッ! てめーの水分を利用して花京院の傷を治療するんだ」
何を……馬鹿な事を言ってるんだコイツは。頭が吹っ飛んで脳が出ているんだぞ。治療もクソもない。
しかも私の体から水分を抜くだと……ふざけた事を言ってくれるな。
そんな言い分が通ってたまるか。ただでさえ私はコイツ……花京院のことを疑っているのに。
だが……気になるといえば気になる。偽者にしては……意外にも正義の意志を私は感じた。
それほどまでに……精巧につくられているのだろうか……昔戦った『審判』の土人形ですらここまでのレベルでは……。
――……この街は謎だらけです。あなたは何故生きているのか……?
そしてF・Fさんは首輪が破壊してもどうして何事もなく生きていられるのか……? ――
うーむ……反論したい事もあるが、確かにこの世界は不思議なことばかりだ。
荒木も一度私の炎をかき消しているし……一体全体どうなっているんだ?
- 596 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 21:57:42 ID:KE1OLkee
- 「おいッ! 時間がないんだよアヴドゥルッ! 水分ならなんでもいいんだよボケッ!
お前の体でもいいんだよォォ水分があればァァ……さっさとよこせよコン畜ショォォッ!? 」
「……調子に乗るなよ下等生物がッ! 頭部を破壊されて無事な人間がいるか……それとも何か?
この花京院は水をかけたらすぐ元に戻る土人形とでも言いたいのか?
確かにこいつが言っていた謎や仲間云々には一理あるが……だからといって偽者を治す義理はないッ!
第一何故この私が見ず知らずの貴様なんぞの頼みを受けねばならんのだ…………
プランクトン如きが偉そうな口ぶりで命令するんじゃあないッ! 」
下等生物を横目に私は花京院からディバッグを奪い取る。
そして私が合図を送ると、『魔術師の赤』は目の前にいるうるさい生物に炎を炸裂させた。
炎は段々花京院の死体にも広がっていき……一気に全てを焼き尽くしてゆく。
「うおぁぁぁぁぁぁぁぁみんなァァァァ徐リィィィィィィン………………」
奴が黒コゲを通り越し完全に消滅してゆくのを確認し、私はバッグの荷物を確認する。
肩が少しばかり痛むが我慢して調べてみるとそこには食料一式、アーミーナイフか。
食料意外、どれも私には必要のないものだな。ついでだ、こいつらもまとめて焼却処分してしまおう。
「ん?……何故だ? これは……CDか?それも二枚。何故だ?ナイフは黒コゲになったというのに……。
まるで壊れていない……これはいつからあったんだ? ……まあいいか。別にこんな物に興味はない」
- 597 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 21:58:29 ID:KE1OLkee
- ……こうして、新たな食料を手にいれた私は今、偽者の花京院との決闘の場を後にしようとした。
しばらくはこの【E-6】に潜伏しよう。街が崩壊して隠れる場所が無くなったらまた考えればいい。
ん?……そういえばチープ・トリックはさっきからずっと黙りっぱなしだな。まさか消えたなんてことは……。
『何こっちを見てんだよ……喋られたら困るんだよねっ? だから黙っててやったんだからねっ!
勿論……誰かとまた遭遇したら能力説明するんだけどねっ……』
やはり現実はそう甘くはないか。
こんな事だったら支給品をちゃんと確認しておいて、紙を誰かに開けさせるんだった。
……あの半狂乱のハンサム男とかにな。
* * *
ハアッ……ハアッ……冗談じゃあねぇ……冗談じゃあねぇよォ……。
広瀬康一……なんて事しやがるんだよォ……ゲームに乗ったとか、スタンドで言い触らしやがってッ!
畜生……耳が痛ぇ。
おかげでどいつもこいつも容赦無く俺を襲ってきやがるゥ……もう嫌だ、俺はもうゴメンなんだよォ。
仲間呼び集めたきゃ勝手にやっててくれよォ……そんなに人を殺したいんなら俺以外の奴を殺ってろよォッ!
あのブ男……『ホテルから出てきた奴らを襲うフリをしろ』とか無茶な命令しやがって……。
危うくこっちは死にそうだったんだぞッ!
火……火…火ィィィ……火なんかッ使うんじゃねぇよッッ……。
- 598 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 21:59:11 ID:KE1OLkee
- ああ……もう、限界だ………隠れよう……街の外れに……ひっそりと隠れよう……。
あそこがいいな……あの別荘地帯の辺りなら……流石に誰も来やしないさ……きっと……。
【別荘地帯への道(D-7)/一日目/日中〜午後】
【噴上裕也】
[スタンド]:『ハイウェイ・スター』
[状態]:無傷。疲労。全身に返り血。錯乱。耳が痛い。
[装備]:無し
[道具]:無し
[思考]:
1)死への恐怖 。康一のエコーズの断末魔が他の人に聞かれていないか不安。
2)特に、ジョースター一味やリキエル達に出会い、殺される事への恐怖。
※噴上の走り去る方向は北(別荘地帯)です。
※ヨーヨーマッの放送は聞いてました。
- 599 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 22:00:01 ID:KE1OLkee
- 【お人好し過ぎる司令塔をフォローする会(会員2名・非会員ジョージ他1名)※現在別行動】
【杜王町東の病院の近くの道(E-6)/1日目/日中〜午前】
【ジョージ・ジョースター1世】
[スタンド]:なし
[時間軸]:ジョナサン少年編終了時
[状態]:腹部に一発銃弾が被弾。未治療。
[装備]:レミントン2連装デリンジャー(予備弾あり)、トニオさんの包丁
[道具]:支給品一式(狙撃銃の予備弾、水はありません)ライター
[思考・状況]
1) 気絶?
2)【E−5】へ拠点を移し、今後の策を練る。
3)危険人物相手には実力行使もやむを得ないが、出来る限り争いは阻止
4)荒木の打倒
※『ホル・ホースの正体を花京院がバラさない』の交換条件として『第三放送後一人でDIOに会わない』に合意しました。
※ホル・ホースの正体に気づきましたが、知らない振りをしています。
※アヴドゥルが炎の探知機が使えることをしりません。
- 600 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 22:00:49 ID:KE1OLkee
- 【ホル・ホース】
[スタンド]:『皇帝』
[時間軸]:エジプトでディオに報告した後
[状態]:軽い怪我は全身にしているが、F・Fの治療により大体健康
[装備]:狙撃銃(フル装填)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1)旦那……しっかりしな。
2)病院へ行こう。アヴドゥル、ナランチャ達とはこのまま会えなくなってもいい。
3)第三放送後に杜王グランドホテルへ行く予定だが、あくまで予定。
4)ジョージを上手く利用してとにかく生き残りたい
※ジョースター卿が、DIOの父親ということはやっぱおかしいと思っています。
※DIOから『ジョナサン・ジョースター』の名を『肉体を奪った相手』という情報と、
プッチ神父がDIOの仲間だという事を忘れています。(ナランチャの伝言を聞いてもピンとこなかったようです)
※アヴドゥルが炎の探知機が使えることをしりません。
- 601 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 22:01:34 ID:KE1OLkee
- 【市街地(E-6)/1日目/日中〜午前】
【ナランチャ・ギルガ】
[スタンド]:『エアロスミス』
[時間軸]:ヴェネチア入り後
[状態]:失明(F・Fの処置により傷は塞いだが、視力は全く回復していない)
[装備]:ヌンチャク、ハート型の飾り(@DIO)
[道具]:支給品一式 ・拾ったガラスの破片
[思考・状況]
1)ジョージさん、F・F達と合流したい。
2)1の後、E−5へ移動する。
3)DIOは恐いが、DIOを恐れて人を殺すのはもっとイヤだ。
4)ブチャラティやジョージさん達に会いてぇ。まさか、俺みたいになってねぇよな?
5)色々ありすぎてこんがらがってきた。わけわかんねぇ。
※ナランチャは、マンハッタン・トランスファーの能力を『気流を読んで情報収集』だと思ってます。
銃弾の進路を曲げ、中継する能力をまだ知りません。
※アヴドゥルが炎の探知機を使えることを知りません。
※アヴドゥルは始末したと思っています。
※自分が花京院を殺したとは気づいてません。
- 602 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 22:02:17 ID:KE1OLkee
- 【ジョンガリ・A】
[スタンド]:マンハッタン・トランスファー
[時間軸]:徐倫にオラオラされた直後
[状態]:胴にF・F弾の傷(止血はして貰ったが、F・Fの治療は無し) 両手を縛られた状態。
逃げられないようにナランチャが縄紐をしっかり持っている。
[装備]:無し
[道具]:『ライク・ア・ヴァージン』子機(右手首装着)
[思考]:
1)F・F(『ライク・ア・ヴァージン』の親機)を探した後、【E-5】に行く。
2)ナランチャを利用して、ディオ以外の人物の抹殺。
3)DIO様の伝言は何か、ナランチャから訊き出す。
4)3の後、こいつらから逃れる術を見付ける。(ヨーヨーマッの放送も意味も気になる)
5)徐倫の名前が放送で呼ばれたら、その12時間後に『トラサルディー』へと舞い戻る。
※ジョンガリはアヴドゥルが炎の探知機を使えることを知りません。
[備考]:『ライク・ア・ヴァージン』子機×1
『ライク・ア・ヴァージン』は、優勝者が身につけていた場合、『荒木』が解除してくれます。
それ以外の方法では事実上『解除』は不可能に近く、親機から50m以上離れた子機は爆発します。
威力は手首を吹き飛ばすに十分なもの、下手すれば死ぬこともありえます。
また、爆発の前や親機から離れすぎると警報音が鳴り響きます
【E-6】のどこかに黒コゲになった親機がありますが、警報が鳴らなくなった理由はF・Fの首輪の破壊です。
これにより持ち主=死亡と誤認されたために機能凍結し、アヴドゥルが燃やした事により機能停止しました。
- 603 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 22:03:04 ID:KE1OLkee
- 【市街地(E-6)/一日目/日中〜午後】
【モハメド・アヴドゥル】
[スタンド]:『魔術師の赤』
[状態]:両肩破壊。両肩にダメージ。両腕が辛うじて動かせる程度
[装備]:背中に『チープ・トリック』
[道具]:支給品一式(食料のみ2人分)
[思考・状況]
1)『ゲーム』全てを自分の幻覚の世界だと思い込み、スタンド能力の本体である荒木を倒そうとしている。
2)登場人物は全て荒木のスタンドの一部なので、全員自分を騙し攻撃しようとしていると思い込んでいる
3)街が崩壊するまで【E-6】で潜伏。待ち伏せて敵を倒す。
※アブドゥルは『チープ・トリック』の存在に気づいています。
※花京院の言っていた言葉がちょっと気になっています。
・自分が生き返ったという花京院の意味
・F・Fの首輪に対する謎
※ナランチャは、マンハッタン・トランスファーの能力を『気流を読んで情報収集』だと思ってます。
銃弾の進路を曲げ、中継する能力をまだ知りません。
- 604 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 22:03:49 ID:KE1OLkee
- 【チープ・トリック(支給品)】
[現在の主人]:モハメド・アヴドゥル
[装備]:無し
[持ち物]:無し
[任務]:
1)宿主に囁き続ける。
[補足]
1)チープ・トリックは背中に取り憑く意外は宿主に話しかけるだけ。自我はあります。
2)チープ・トリックの宿主は背中を見られると死亡。
3)チープ・トリックは2)の時に背中を見た人物を新たな宿主にする。
4)チープ・トリックは宿主に認識された場合、能力を説明しなくてはならない
5)宿主が背中を見せず死んだ場合は、チープ・トリックも消滅します。
[補足1]:ジョンガリ、ナランチャはホル・ホースを『J・P・ポルナレフ』だと思っています。
[補足2]:戦闘の為、ナランチャはホル・ホースと花京院を嫌っています。(警戒はしていません)
[補足3]:『ライク・ア・ヴァージン子機×4』と『F・Fの持っていた支給品一式×2』は爆発で破壊されました。
[補足4]:ヨーヨーマッの放送は【E-6】【E-7】では聞こえたようです。
[補足5]:【E-5】で流れた広瀬康一のエコーズの断末魔は、ジョージ達には聞こえなかったようです。
[補足6]:ジョージ、ホル・ホース、ナランチャ、アヴドゥル、ジョンガリは
互いのスタンド能力、お互いの時代の『敵・要注意人物』と味方の情報交換をしました。
ただし5人が完璧に覚えているかどうかはわかりません。
- 605 :《UNLUCKY COMMUNICATIONS》 そのB:2007/06/22(金) 22:04:34 ID:KE1OLkee
-
※【E-6】の花京院の遺体とF・Fが燃えた尽きた物の側にはこれらが放置されています。
・アーミーナイフ(黒コゲ)
・フー・ファイターズのスタンドDISC(スタンド能力が使用可能になるかはわかりません)
・フー・ファイターズの記憶DISC
(体内に装備すると『F・Fがアヴドゥルに燃やされるまでの記憶』が見れる可能性があります)
※・『ライク・ア・ヴァージン親機』は【E-6】のどこかにありますが、
F・Fがライク・ア・ヴァージン子機×4の爆発に巻き込まれた為、黒コゲになっています。
【花京院典明 死亡】
【F・F 消滅】
- 606 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 22:05:17 ID:cfLWKLkY
- 乙カレー
- 607 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 22:07:16 ID:b6Qmikj4
- GJ!!
- 608 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 22:07:20 ID:KE1OLkee
- 投下終了イヤッホゥ
◆fk8qEzlLPkさん乙。あとブ男死ねようわあああ
- 609 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 22:08:32 ID:/5Dz3Z/7
- 乙!アブドゥルさん、某同人ゲーばりに嫌らしさ全開だなw
だが、それがいい!
そしてあそこでジョンガリが仕留めるとは…!
意外性にもGJ!!!
- 610 : ◆fk8qEzlLPk :2007/06/22(金) 22:13:44 ID:YwFjcE/t
- 皆さん支援、代理投下諸々ありがとうございました!
余談ですが>>605のスペースは間違って入ったものなので省いて結構です。
- 611 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 22:14:05 ID:90+8UFt6
- 乙です。いやぁとても面白いかったです
- 612 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 22:17:43 ID:Yrrfnz7C
- 大作乙でした
アヴドゥルすっかりマーダーになったな
ヨーヨーマッの呼び掛けも偽物判定下したみたいだし
…詮無いことだが花京院には聞こえていたんだろうか
- 613 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 22:51:43 ID:Qa66czw/
- >>538
>521はちっとは骨のある奴がいたが、ちょっと言ってやるとすぐに黙るヘタレwwwwwwww
521はテメーの書き込みだろーが自分で自分を貶めるってどんだけ馬鹿なんだよwwwww
あと投下乙です。
- 614 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 23:15:47 ID:XM1p2u90
- GJです!
三手に分かれた先の読めない大混戦、素晴らしいSSでした!
ナランチャという武器を持ったジョンガリが恐ろしいです。
F・FのDISCを利用する者は現れるのだろうか。
- 615 :参加するカモさん:2007/06/22(金) 23:46:29 ID:uPKqXCnL
- 乙です
ブ男がかつてのダイアーさん以上にむかつきます
- 616 :参加するカモさん:2007/06/23(土) 00:01:42 ID:51IzaKvY
- ダイアーさんは改心したのにブ男ときたら……
- 617 :参加するカモさん:2007/06/23(土) 00:28:21 ID:qRtL5Uo9
- 投下乙!
本人無自覚のマーダーとはまた始末の悪い
F.F.のCDと一緒に遺された所持品とかF.F.が感じた雨とか
何よりアヴドゥルさんこれからどうする気なんだとか
これが「頭が固い」という奴かッ!とか
色々これからが気になる読み応えある作品だったよ GJ!
- 618 : ◆fk8qEzlLPk :2007/06/23(土) 00:34:26 ID:Rl3ETjWk
- >>617
念の為補足させて頂きますと……F・Fの感じた雨は「花京院の頭から垂れた血と脳漿」の事なんです……。
雨は降ってません。紛らわしい表現のようで申し訳ないですorz
- 619 :参加するカモさん:2007/06/23(土) 00:41:54 ID:qRtL5Uo9
- >>618
なるほど!そういう訳でしたか>血と脳漿
読み取り不足でしたね。申し訳ないです
- 620 :参加するカモさん:2007/06/23(土) 01:44:56 ID:rWq6keKJ
- うわあぁぁぁぁぁあああ
最後の良心FFと花京院がああああぁぁぁぁぁぁ
- 621 :参加するカモさん:2007/06/23(土) 03:35:59 ID:V5DnSI1m
- なんつーか…アヴドゥルはイっちまった状態なんだな
ダイアーのマーダー化も考えようによってはアヴがトリガーになってるんだよな…
ダイアーと違ってこいつは自分の理論を完璧に信じ込んでいるから…
マーダー化解除のフラグはもう無いような気がしてきた…
- 622 :参加するカモさん:2007/06/23(土) 05:34:11 ID:azWj/z/D
- これぞロワって感じだな。
- 623 :参加するカモさん:2007/06/23(土) 09:11:23 ID:nOBUHOWz
- バーカwwwwwwwwwwwwwwwwww
521の俺の書き込みに対して言い返した奴がいるがって意味だよ。
しかもそれなら473も同じことが言えるだろ?
何で473は避けたかなんてこのSSでバレバレだなwwwwwwwwwwwwwwwwww
なんつっても俺の言ってることが完全的中したんだから。
ねえ、473もなんか言ってよ。
ま、無理だなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
断言できるぜ。
473は誰も反論できないって。
- 624 :参加するカモさん:2007/06/23(土) 10:16:31 ID:fVA1qVze
- 皆今度こそわかってるな?
- 625 :参加するカモさん:2007/06/23(土) 10:39:37 ID:qRtL5Uo9
- >>621
解除フラグか
敢えて言うなら花京院の言葉に「正義」を感じたって所か
しかし後から「偽物との決闘」っつってるし厳しいな
本人は「自分以外全て敵」と認識してる訳だがこれってつまりゲームに乗った事になるな
主催者打倒の意志、やってる事はマーダー、高い攻撃力、行動の制限
ロワの要素としては凄く面白いな
- 626 :参加するカモさん:2007/06/23(土) 14:47:50 ID:fVFWX5Rm
- 吉良が死んだ辺りから見てなくて久々に見た、アブドゥル、ダイアー億康のを書いた者だが。
え?アブドゥルは噛ませ犬の分際でこんなキャラに?ちょっと今までの全部見直してくるwww
- 627 :参加するカモさん:2007/06/23(土) 15:53:42 ID:j5GrpjUA
- 超GJ!!!
好きな二人が一気に死んで心が痛んだが、これからの展開がもの凄く気になるSSでした。
花京院死亡時のFFの表現が、ディ・モールト・ベネッ!
- 628 :参加するカモさん:2007/06/23(土) 18:17:16 ID:N2v/JiEt
- アヴドゥルさん原作じゃカッコいいんだけどな
- 629 :参加するカモさん:2007/06/23(土) 21:35:34 ID:x0Wp3mrF
- 乙です!
息をつけない展開でスゲェ!
>>626 行ってらっしゃい
>>628 そっか?俺はココのアヴ程、活き活きしてる彼を知らん・・・
ナランチャって期せずして結構殺してるのね
- 630 :参加するカモさん:2007/06/24(日) 01:20:58 ID:5ptrfuFF
- 花京院を殺したのはナランチャって事になるんだろうか
それともジョンガリ?
そういや今回遠距離系だらけだったんだな
あと今後のアヴさんが楽しみだw
- 631 :参加するカモさん:2007/06/24(日) 01:28:24 ID:0xz2qxyM
- >>630
二人がいないと花京院殺しが成立しないから両方カウントじゃね?
- 632 :参加するカモさん:2007/06/24(日) 02:04:56 ID:K6YzijML
- ジョジョの奇妙な芸人
http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=269071
- 633 :参加するカモさん:2007/06/24(日) 10:29:24 ID:OpWTjmou
- 乙!
花京院・・・FF・・・大好きなキャラが死んだのはすげー悲しい
だが非常に面白いッ!
- 634 :参加するカモさん:2007/06/25(月) 01:16:54 ID:hLNEQ5hw
- >>621
確かにダイアーのプライドズタズタにしたのと、ストレスためたのはアヴだなw
っという事は間接的にアヴは
・億安 ・イギー ・康一 ・露伴
の殺害にも関与したとなるのか。
アヴさんすげぇ数の奴の生死に関わりすぎだwww
- 635 :参加するカモさん:2007/06/25(月) 02:29:10 ID:XBrP7M6+
- >>634
それだけじゃないぞwアヴさんは最初にペット・ショップに命を狙われてる。
億泰のおかげでアヴさんは助かったが、戦闘の音を聞きつけたジョセフが代わりにペット・ショップに殺されてる。
で、状助が墓に埋める話に繋がっていくからな……どんだけぇ〜w
- 636 :参加するカモさん:2007/06/25(月) 03:50:31 ID:EmKGbTzo
- まさに疫病神だなwww
- 637 :参加するカモさん:2007/06/25(月) 09:04:51 ID:fWWGMdYI
- アヴさんの人気に嫉妬w
そもそもアヴさんが現実を受け入れてたら今回のバトルはなかっただろうし
そうなると花京院とF.F.も(少なくとも今のタイミングで)死ぬことはなかった筈
これは見事なヒールぶり
アヴドゥル…恐ろしい子!
- 638 :参加するカモさん:2007/06/25(月) 11:32:24 ID:hLNEQ5hw
- 結論:現時点最高のマーダーはアヴドゥルw
ジョセフ、億安、康一、露伴、イギー、花京院(間接的死亡)
FF(直接的殺害)
丈助、ツェペリさん(間接的に怪我をさせる)
ナランチャ、ジョースター卿(直接的に怪我をさせる)
死傷者あわせ11名!!
- 639 :参加するカモさん:2007/06/25(月) 11:36:42 ID:6h3AmTKd
- ホースはなにもなかったっけ
- 640 :参加するカモさん:2007/06/25(月) 16:17:13 ID:jN+xEZU2
- ホルホースは関係ないと思う
広い意味で考えるなら負傷させたことか…?
- 641 :参加するカモさん:2007/06/25(月) 22:46:00 ID:+LItOfou
- アヴドゥルさん好きには今の惨状は辛いぜ
- 642 :参加するカモさん:2007/06/25(月) 23:04:44 ID:quj/189n
- >>640
かすり傷〜とは言ってるけど状態表に書いてないから大した怪我じゃないんだろう。
- 643 :参加するカモさん:2007/06/25(月) 23:08:42 ID:jN+xEZU2
- >>641
我慢せい、バトロワにはマーダーが不可欠なのだ
- 644 :▼fk8qEzlLPk:2007/06/26(火) 00:07:58 ID:NjVGJqmG
- 俺以外の小説は糞
- 645 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 01:36:17 ID:P0Gzz5+Q
- >>644
何がしたいんだw
トリップ騙りしたいならちゃんと文字列探して来いw
- 646 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 01:38:20 ID:Dlb+pH4j
- スルーしようや
- 647 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 01:44:48 ID:P00kISut
- 「T字砲火、果たして全員無事にいられるかなァ」の◆/4V68E5Ojg さん、
修正?のめどが出来たらまとめサイトのしたらばの修正SSスレに投下してください。
そろそろWikiにのせようと思うからさ。
- 648 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 14:23:00 ID:R1VLYhzO
- ROMってみたが>>538の馬鹿さ加減にワロタwww
自分の主張が幼稚過ぎてスルーされてんのも分からずに暴れてるとかどんだけ低能なんだよwww
- 649 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 14:41:53 ID:k/aUPWDn
- 結局ホル・ホースはほぼ無傷で逃走か
流石だな
- 650 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 18:05:05 ID:te8y66YY
- まずは473に反論してみせろ。
今まで誰ひとり出来てねえんだよ。
スルーだ?
反論できないから逃げただけだろうが。
幼稚かどうか以前に俺の意見は正しいんだよ。
負 け 犬 ど も が
- 651 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 18:13:30 ID:FpXBL5VQ
- 単なる予想に反論する必要があるのか?
- 652 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 18:34:53 ID:te8y66YY
- 間違ってたらお前らは
で、473の予想は間違ってたわけだが
って言ってくるだろ?
絶対言ってきたはずだ。
でも当たってても
お前の言うとおりだなんて言わない。
俺の言うことを認めるのがくやしくて何も言わないお前らは
負け犬以外のなんでもねえよ。
- 653 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 18:39:00 ID:7skFEfGN
- はいはい負けた負けた
- 654 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 18:40:49 ID:FpXBL5VQ
- >間違ってたらお前らは
>で、473の予想は間違ってたわけだが
>って言ってくるだろ?
>絶対言ってきたはずだ。
その後にお前は
俺の予想を外す為に話を変えたんだそうに決まってる
って言ってくるだろ?
絶対言ってきたはずだ。
- 655 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 18:42:51 ID:te8y66YY
- そして652の後、
はいはい、お前の言うとおりだよ
的なレスが絶対来る。
俺の予想は当たるからな。
- 656 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 18:43:39 ID:te8y66YY
- 653
はええよ、バカwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
- 657 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 18:50:06 ID:te8y66YY
- 654
言っただろうな。
俺がそれを言っても負け犬の遠吠えじゃなく正しい意見だからな。
だって、実際俺の予想を外す為に話を変えたんだから。
- 658 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 18:59:29 ID:7skFEfGN
- >だって、実際俺の予想を外す為に話を変えたんだから。
これはひどい
- 659 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 19:19:06 ID:nDdUIGFk
- いいか、まず「ホテル組+マーダー2人」の予約があった時点で、ホテル組に
ある程度の被害が出るかも、という予想もできるだろう。しかし、読み手は誰も
そんな予想を立てたりはしない。書き手さんの自由な発想を邪魔するわけだからな。
そこら辺の配慮がまったくないやつが相手にされないのは当然の事ではないのか?
さらに、C9UOxHGVmM氏の話にも同じことが言えるだろう。これに関してはもはや
揚げ足取りでしかない。身勝手な発言で書き手さんを制約するお前は邪魔者でしか
ないんだ。
- 660 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 19:27:36 ID:te8y66YY
- 言われた本人は何も言ってこないんだぜ?
お前は書き手か?
書き手じゃない奴が出せる意見じゃないな。
- 661 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 19:31:45 ID:te8y66YY
- そして660を見た書き手が659の言うとおりだなんていっても手遅れ。
そんな奴らにはこういってやるよ。
お前525と一緒で659が持ち出さなきゃそんな意見しなかっただろう
って。
- 662 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 19:40:40 ID:te8y66YY
- 後さ、俺が邪魔者だって言うけど、
なら648に対して黙ってろっていうのか?
このごろのパターンは全部そうじゃねえか。
きっかけは誰かの俺への叩きで、俺が正論を言ったら全員で俺を叩く。
言われて言い返して何が悪い。
- 663 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 19:49:30 ID:7skFEfGN
- 反応してしまった俺が言うのもなんだが、やっぱスルーって重要だな
- 664 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 20:08:21 ID:FpXBL5VQ
- >>662
>俺が正論を言ったら
自覚が無いようなので正論で無い所を指摘してやる。
>>657の、
>言っただろうな。
>俺がそれを言っても負け犬の遠吠えじゃなく正しい意見だからな。
>だって、実際俺の予想を外す為に話を変えたんだから。
最後一行の根拠は?
>>660
書き手ってのは対象が何であれ否定意見を出し辛いものなんだよ。
その程度は理解しておけ。
ついでに>>652を分かり易くすると、
「何でボクの予想が当たったのに褒めてくれないの!
外れてたらどうせ叩いてたくせに!なんで褒めてくれないの!」
といった所になるんだが、知った事か。
そもそも展開予想自体褒められたものじゃないってのに。
大体、おまえの予想が当たっていた所で褒める義務は無い。
- 665 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 20:16:36 ID:te8y66YY
- あのなあ、今回のSSが書き手は俺の予想通りのSSだったって証拠だろうが。
結果論ではあるが、書き直そうが何しようが俺の言うことが正しいという真実は変わらないだろう。
要するに俺が当たってる所からは目をそらすんだよね。
俺の言うことが10の内9当たっていて1外れていたら
お前らは9からは目をそらし、1だけを必死に言う。
で、473は10-0だから何もいえない(pgr
ってことだ。
結局お前も他の奴らと同じ。
473に言い返せなくて叩くことしかできない負け犬なんだよ。
- 666 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 20:25:54 ID:FpXBL5VQ
- 「何に」対する反論が無いと言っているんだ?
>>473は単なる展開予想に過ぎない。
そして、おまえの予想が当たっていた所で褒める義務は無い。
展開予想以外のものとして書き込んだのなら、それが何なのか示せ。
分かり易く言ってやると、
「うん、君の予想は正しかったねおめでとう。
で? だから? それがどうかしたの?」
って事だ。
- 667 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 20:29:14 ID:XGHAFrH5
- なんだこの流れ
サバイバーでも発動してんのか?
- 668 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 20:31:38 ID:3hsLK2Ly
- >>663の書き込みが!
「言葉」ではなく「心」で理解できた!
- 669 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 20:32:24 ID:Duy9U282
- お前らの専ブラ(スタンド)でIDあぼーんできないのか
- 670 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 20:35:19 ID:te8y66YY
- バーカ。
お前は義務だ何だ言ってるが、
お前が俺に言ってくるのは言うべきだからじゃなくて言いたいからだろ?
義務だからいうんじゃなくて言いたいからいうだけだ。
義務がなけりゃ言わないのなら、654はどういう義務があったんだ?
お前らは、473にミスがあれば必ずそこを言ってくる。
でも、それが出来ない。間違いは何一つないから。
でも、負けを認められないから叩く。
それがお前らの行動だ。
俺が言いたいのはまあそんな所。
反論できなくて悔しいから叩くお前らに
プ
てなってるだけだ。
- 671 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 20:39:39 ID:7skFEfGN
- 三三三/ //
三三三l \\ ミ // // ミl
三三三l \ヽ_ミ _/ ヽミ ./ / ミl ・・・送り込んだスタンドの名は
三三三 l 、 ミ /  ̄ ̄ <〈〜 | ミl 『サバイバー』!!
三三三三\〜〉〉 〉〉 | ミl サバイバーはなにもしない
三三三 | 〉〈〈 彡 彡 , -‐´―ヽ \ / ̄ヽ ただ怒らせるだけだ・・・
三三三 | |´_三\, l ミヽ、/三三__ / ./ イ` | だが、サバイバーに触れたものは
三三三三|| 、(llゝヽ ノ、 (ll), ` ./ / / l 、 | 氏ぬまで煽りあうのだッ!!!
三三三三.|| 〜 ̄ /) ミ  ̄〜 .く イ )_//
三三三三| | lll . | | 、 /
三三三三 \ミ (/ | | | 〜|
三三三三三|| ヽ)__ノ /〜  ̄ |.三|
三三三三三 || _υ__ |ミ /三 |
三三三三三 ヽ| ‐--―‐‐ 、 \ /三 |
三三三三三三 ` ― 〜 /三 |
三三三三三三三\ ⌒ミ /三 |
三三三三三三三三\_ _/三
- 672 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 21:08:36 ID:FpXBL5VQ
- >>670
まず一つ。義務と権利の区別ぐらい付けろ。
>お前らは、473にミスがあれば必ずそこを言ってくる。
むしろ、ミスがあっても何も言われないと考える方がおかしい。
>でも、それが出来ない。間違いは何一つないから。
間違ってるよ。正確に言うと、明確な根拠が無いから正しいとは言えない。
「今までこうだったから次もこうに違いない」は単なる予測。
>でも、負けを認められないから叩く。
違う。そもそも展開予想が書き手にとって迷惑だから。
で、だ。>>473が展開予想である以上、
「うん、君の予想は正しかったねおめでとう。
で? だから? それがどうかしたの?」
これで終わり。
- 673 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 21:24:35 ID:EOMDNNiE
- 何か書きこめなくなったんだけど、お前ら何かした?
お前も655の予言どおりの行動をとってる。
俺の手のひらで踊ってくれてうれしいよ。
後はpc復活してから相手してやる。
それまでに反論まとめておけ。
- 674 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 21:32:04 ID:VIKK8F4k
- 予想通りだねすごいねえ
で、何か問題があるのか?
反論してみせろよ
- 675 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 21:33:36 ID:Rksm8ulp
- 面白い。
- 676 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 22:12:51 ID:1UqjatJN
- なに得意気になってんの…見てるこっちが恥ずかしい
- 677 :参加するカモさん:2007/06/26(火) 22:56:27 ID:nDdUIGFk
- そこで止めるんだ…
(自分も反論していて)勝手なことを言わせてもらうが
このスレを荒らすものはたとえ反論だろうとスルーさせてもらうッ!!
口論ならよォー ここでするはずはねーし スレの発展を願うならよォー
発言を控えてこの板から消えるんだ…
- 678 :参加するカモさん:2007/06/27(水) 03:25:51 ID:Dhz5f/cR
- >>673
とりあえずレスアンカーの付け方覚えよう
半角の数字の前に半角記号の>を二つ付けるだけ
多分
>673
一つでも大丈夫だけど
>>673
二つがベター
さあ、やってみよう
- 679 :参加するカモさん:2007/06/28(木) 19:24:10 ID:vL4cOpXo
- なんか書き込み減ったな・・・・・
- 680 :▲yxYaCUyrzc:2007/06/28(木) 19:31:42 ID:x+XftE8R
- ポルナレフ 墳上 リサリサ
予約します
- 681 :参加するカモさん:2007/06/28(木) 19:37:53 ID:Ee55ZNMW
- >>680
うむ。別に2ch初心者だとかで内容にケチつけるきは毛頭ないし
書き手として多少未熟でも自分自身未熟な書き手だから書き手が増えてくのは歓迎なんだが
まず半年ROMろうか
- 682 : ◆nWbdSOcg36 :2007/06/28(木) 19:51:15 ID:x+XftE8R
- #釣りですた^^
- 683 : ◆nWbdSOcg36 :2007/06/28(木) 20:02:15 ID:SYWDiBek
-
テスト
- 684 : ◆fk8qEzlLPk :2007/06/28(木) 20:32:23 ID:wgL06SMZ
- 【ポルナレフ、承太郎、ツェペリ、ダイアー】
予約します。
- 685 :参加するカモさん:2007/06/28(木) 20:39:28 ID:8cdoFhV+
- 期待。ここで承太郎組とポルポルか
面白そうだな
- 686 : ◆vp3XBrpjZU :2007/06/29(金) 02:18:32 ID:E1aWVIJB
- 【ワムウ、タルカス、ミキタカ、仗助、プッチ、リキエル】
で予約します。
- 687 :参加するカモさん:2007/06/29(金) 05:15:35 ID:SZ/rhQJo
- 駅組も予約ktkr。期待してるぜ。
ということは承太郎たちが駅に着く前に話しが進むんだな。
- 688 :参加するカモさん:2007/06/29(金) 14:56:11 ID:lsYxCSxm
- ジョリーン組空気だな
- 689 :参加するカモさん:2007/06/29(金) 15:46:29 ID:P9pb+di1
- >>688
逆に考えるんだ。「こいつら最後まで生き残るかも」と考えるんだ。
- 690 : ◆vp3XBrpjZU :2007/06/30(土) 22:14:50 ID:olKkIsNq
- 投下します。
- 691 :Judgment Day ◆vp3XBrpjZU :2007/06/30(土) 22:15:59 ID:olKkIsNq
- 全身の悪寒が止まらない。
目蓋を支える筋肉が、意思で操作出来ない。
視界が、暗い視界が……更なる暗黒に塗り潰される。
(何故……何故なんだよォォ――――ッ)
訳の分からぬ恐怖に、全身から汗が噴き出す。
指先で目蓋を押さえ込むが、視界は全く改善しない。
足元がふらつく。眩暈を覚える。
リキエルは、動揺し切っていた。
(……ああ、うわあああああアアァァッ!)
既に。
『スカイ・ハイ』で操った数十のロッズをぶつけた筈なのに。
こいつらの体温は徹底的に奪い去った筈なのに。
体温の急激な変化に、必ず肉体は変調を来す筈なのに。
何故、この男達は、平然としていられるのか。
「どうした……リキエル?」
エンリコ・プッチ神父が後方より自分に尋ねて来る。
声の方向から察するに、二人の男に対し間合いを取っている様だ。
その手はジョースターの一族、東方仗助のDISCを掴んでいた。
リキエルのスタンド『スカイ・ハイ』にてロッズをぶつけ奴らの身体能力を奪い、
神父が記憶DISCを抜き取り、止めを刺す作戦だった。
だが。
(こいつらは……おかしい……おかしいんです、神父様)
- 692 :Judgment Day ◆vp3XBrpjZU :2007/06/30(土) 22:18:12 ID:olKkIsNq
- プッチ神父は決定的なミスを犯している。
奴らは――この戦士達は、ただ図体がデカいだけの人間等では断じて無い。
奇妙な能力『スタンド』……プッチ神父と出会い、その力を得た『運命』に、リキエルは感謝していた。
だが、スタンドなんてモノは、この男達の前では『無』と同じッ!
こんなちっぽけな能力では、奴らには全く歯が立たないんだッ!
「ワムウ様……『これ』らは一体……」
「『羽を八枚生やした棒状の生物』が数十匹、周囲を飛行している。
俺達に接近し、しかし全く身体には触れる事無く飛び去り、再び飛来する……。
なんだこの奇怪な生物は? これが奴の『能力』なのか?」
「恐らく。しかし、どうと言う事もありませんね」
淡々と会話を続ける前方の男達……やはりこいつらに、ロッズの体温奪取攻撃は全く通用しないッ!
それどころかワムウとか言う奴には、
超高速で飛行し人間の動体視力では認識できない筈のロッズが、完璧に見えているじゃあないかッ!
「ハァーハァー……ハァーッ……ハアアーッ……」
途絶えそうになる呼吸を必死に維持しながら、リキエルは悟っていた。
こいつらは、人間ではない、と。
「何が起こっているのか良く分からんが……我らの決闘を汚した存在は、生かしては置けん」
リキエルの全身の肌が、闇に染み出し周囲に溢れ出す獰猛な覇気――殺気を感じ取った。
だが、動けなかった。手も足も出ないとは正にこの事――彼は呆然として、突っ立っているだけだった。
- 693 :Judgment Day ◆vp3XBrpjZU :2007/06/30(土) 22:19:23 ID:olKkIsNq
-
「…………」
何が起こったのか、当事者のリキエルでさえも、すぐには理解出来なかった。
余りにも淡白な。しかし、極自然な結果。
この状況では起こって当たり前の……一触即発の殺し合いの場では、発生して当然の。
古代より蘇りし『柱の男』、ワムウは一瞬にして肉薄し。
突き出された彼の手刀は、呆然としていたままのリキエルの肉体を易々と貫いた。
(神父……様……)
薄れ行く意識の中で、心中で独りごちた。
(俺の……『運命』は……この者達には……遠く及ばなかった)
- 694 :Judgment Day ◆vp3XBrpjZU :2007/06/30(土) 22:20:33 ID:olKkIsNq
- * * *
「何だ……と……ッ」
無言で崩れ落ちたリキエルの身体。
その中央に見える、心臓を抉られ、腹部まで到達する大穴。
駅の床に転倒した彼の形相は、白目を剥いていた。
暗がりの中からでも、神父は明確に理解出来た――間違い無く、即死であった。
「ワムウ様……奴は……私が殺ります」
「ああ……タルカス、行くが良い」
格下の男――タルカスが同意を求め、主人らしきワムウと言う名の男が頷く。
深々と敬礼したタルカスが、神父に歩み寄り始める。
神父は後方に引き下がり、謎の敵より距離を保つ。
(こいつらはッ……!)
プッチ神父は思考する。
この者たちはスタンド使いだったのか。
超常的な身体能力でリキエルを葬ったワムウ、迫り来るタルカス。
正体を見極める必要があるか?
(何にせよ……直接『ホワイトスネイク』で触れて、DISCを奪うのは危険過ぎる)
- 695 :Judgment Day ◆vp3XBrpjZU :2007/06/30(土) 22:21:41 ID:olKkIsNq
- 後方に下がりながら、彼は敵の首元を確認していた。
奴にも取り付けられている。自分にも何時の間にやら装着されている。
教会での、荒木が発した言葉を、忘れてはいない。
『――禁止事項を破れば、君たちのつけている首輪が爆発します――
――禁止事項は――
――力づくで首輪を外そうと大きな衝撃を与えたり無理に取り外そうとする事――』
奴からの死角――背後にて密かに『ホワイトスネイク』が生成したDISC。
刻まれた命令は“自分の首輪を全力で外せ”。
(この命令DISCを……奴の頭にブチ込めば……勝機は、あるか……)
激突は、一瞬。
奴が自分に接近し、致命的な一撃を食らわせるのが早いか。
自分が、奴にDISCを投げ入れるのが早いか。
二つに一つ。失敗は許されない。
垣間見せた契機を、死力で持ってして掴み取るまで。
眼前の明確なる『死』――それが自らのものか、奴のものか?
全てはこの一撃で。一瞬で決定される。
時間の猶予は……思慮の時など、存在する筈が無かった。
「『ホワイトスネイク』ッ!」
- 696 :Judgment Day ◆vp3XBrpjZU :2007/06/30(土) 22:22:54 ID:olKkIsNq
- * * *
(やった……やったぞ……)
プッチ神父は、自らの勝利を確信した。
命令が刻印されたDISCを、にじり寄る巨大な敵――タルカスの頭部に投擲する事に成功したのだ。
奴に、行動する隙を僅かにも与えぬ完璧なタイミングだった。
タルカスは、何が起こったのか全く分からぬまま、自らの首輪を外し絶命するだろう。
……しかし。予測通りの決着が付く事は無かった。
タルカスが、自分に向けて歩み寄り続けているのだから。
これまでと何ら変わりない調子で。首輪に手を掛ける事も無く。
そう……奴の頭には、DISCなど刺さってはいなかったのだ。
(DISCの軌道がッ! 外れたのかッ!)
神父は驚愕した。
自らのスタンドの精密動作には、多大な自信を持っていたからだ。
微小な生物に対してでも的確にDISCを命中させる訓練を積み、命中率は完璧と成った筈なのに。
暗闇と、幾らかの距離が邪魔をしているとは言え、あんな巨大な的から外れてしまうなんて。
何らかの原因が――突発的な肉体のダメージ等の、何らかの要因が――無い限り、有り得ない……。
いや、肉体的な、ダメージ……?
神父は、視界の下方に何時の間にか存在していた、
『それ』に焦点を合わせた。
何かが。
何か、細長い物体が、床から真っ直ぐ伸びて。
自分の脚に刺さり、貫通していた。
- 697 :Judgment Day ◆vp3XBrpjZU :2007/06/30(土) 22:24:01 ID:olKkIsNq
- (な……!? これは……これ、はッ……! 何時の間にッ!?)
「タルカスさん、早くッ! 攻撃をッ!」
さらに驚くべき事に、『それ』から――自らの肉体を貫く見慣れぬ形状の槍のようなものから、
高らかに音声が発せられた。
奇妙だが、槍自体が言葉を放っているかのような様相。
大腿から入り込み腰より突出した奇怪な『それ』の存在を明確に認識し、
その時に初めて神父は駆け巡る苦痛を感じた。
縫い付けられた身体はこの場からの逃走も、思い通りのフォームを許す筈も無くッ!
肉体の動作の、この忌々しい物理的阻害が、
完璧と思われたDISC投擲の軌道を、破滅的なまでに狂わせたッ!
「早くッ! 攻撃をッ!」
リキエルを容易く葬った敵の力に圧倒され、つい思考から外れてしまっていた――『変身する男』!
奴が目立たぬ何らかの形に変容し、自分の足元までに迫り寄りッ! 致命的な攻撃を加えて来たのだッ!
(そんな、バカな事がッ……!)
ふと、押し寄せる怒気に、神父は顔を見上げる。
影に彩られた巨人は、既に眼前までに接近していた。
駅の壁を構成し、手榴弾の爆破で剥がれ落ちた暗い色の岩石を両手に取り、
闇の中よりそいつが、動けぬ自分に向けて、近づいて、近づいて――!
- 698 :Judgment Day ◆vp3XBrpjZU :2007/06/30(土) 22:24:52 ID:olKkIsNq
- (落ち着け……落ち着いて考えるんだ……素数を……2……
何か……打開策が……ある筈……3……しかし……身体が……『槍』に貫かれ……
忌々しい……身動きが出来ない……タルカスが……5……近づいて……私に向けて攻撃を……
一撃を喰らわせようと……迫って来る……7……何と言う事だ……打つ手が……
見つからない……敗北なのか……こんな所で……11……負けだと……?
私には……DIO……天国が……天国は……13……てん……)
タルカスは全力で両腕を振り下ろした。
余りにも単純なその攻撃は、床に身体が縫い付けられ身動きの出来ぬ
エンリコ・プッチ神父の頭部を完全に破壊した。
* * *
「貴様は、一体何者なのだ?」
第一声がそれだった。
頭部が潰されたその陰惨な様相の死体より離脱し、
元の形――ヒトの形――に変身したヌ・ミキタカゾ・ンシは、
眼前の魔人、タルカスに向けて普段と同様の文句を使うかどうか、まず躊躇った。
しかし、やはり何時も通りに行こうと決めた。
名を問われれば自己紹介をする。それは子供でも行う、当たり前の礼儀なのだから。
地球人の。
- 699 :Judgment Day ◆vp3XBrpjZU :2007/06/30(土) 22:26:08 ID:olKkIsNq
- 「……私の名は『ヌ・ミキタカゾ・ンシ』といいます。
年齢は……216歳、です。
職業は『宇宙船のパイロット』ッ……。
趣味は『動物を飼うこと』です、ハイ。
……そう、もうお分かりですかね。私は所謂『宇宙人』なのですよ!」
「……何を言ってるのか、さっぱりだが」
注がれるのは、当然の事ながら獰猛な獣の視線。
厳然とした態度は一切崩れず、眼下のミキタカを睨み続ける。
『宇宙人だってェ!?』
そんな返答など、する筈も無いモンスター。
……別に、ミキタカがそれを求めている訳ではないのだが。
始めの質問も、実に形式的なものであった。
彼はもしや、『宇宙人』と言う概念すら知らないのでは無かろうか? と、ミキタカは疑った。
「その『能力』は何だ?
今、武器に変形し、その男を貫いていたな」
「ハッハイそうです、私の特殊能力は『変身』。
単純な構造の物なら……どんな姿にでもなれます。
先程まで、貴方の所持していた鎖に化けていました」
「ほう……成る程、な」
ミキタカの説明に頷き、壮絶な微笑を送るタルカス。
後に闇の奥より聞こえたのが、彼の主――ワムウの声。
「終わったのか」
- 700 :参加するカモさん:2007/06/30(土) 22:27:26 ID:ZD57tDpz
- 支援
- 701 :参加するカモさん:2007/06/30(土) 22:27:42 ID:UQ2BZMUF
- これは……支援
- 702 :参加するカモさん:2007/06/30(土) 22:28:16 ID:8AvPsZIB ?2BP(52)
- したらばに投下しましたら代理投下しますよ
- 703 :Judgment Day ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/30(土) 22:31:55 ID:8AvPsZIB
- 主の言葉を聞くや否や、タルカスはそちらに振り返り返答する。
「はい、ワムウ様。
この『変身する男』と共に、この神父らしき者を仕留めた次第で御座います。
一度の攻撃さえもして来ない、無力で脆弱な単なる『人間』でした」
真新しい血の滴る腕を伸ばし指し示す方向には、
腰から大量の血液を漏らし、頭部を破壊された死骸があった。
ミキタカはその凄惨たる様相を見て、初めて一つの事実に思い至った。
あの状況では、止むを得なかった。
しかし、認めたくも無かった。死体の、足から腰に掛けての大きな裂傷を。
(私、殺人の幇助をしてしまったのですね……)
眼前に聳え立つ闇の戦士達……ワムウとタルカスは、
ブチャラティと形兆を攻撃した、紛れも無い『敵』であった。
先程の混乱した状況で、彼らから逃走する事も出来たかも知れない。
しかし、彼らが敵であると同時に、東方仗助はミキタカと強い絆で結ばれた『仲間』であった。
そして仗助を卑劣な手段で攻撃した『神父たち』は……見過ごす事の出来ぬ『敵』!
正々堂々と決闘を挑んだワムウに比べ、その卑怯な手口!
背後から『何か』を抜き取り、友人を一撃で気絶させたッ!
ミキタカは『神父たち』を許せなかったッ!
“奴らは倒さなければならないッ”!
それが人間の感情であると。黄金の精神であると。
この異星人は、永き人間の生態観察で理解していたッ!
そうだとしても、やはり……。
神父の殺害に関与してしまった事実は、彼の心に暗い影を投げ掛けた。
- 704 :Judgment Day ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/30(土) 22:32:50 ID:8AvPsZIB
- 『――今から君達には"殺し合い"をしてもらいます! これはゲームです――』
教会の中での、荒木のあの淡々とした口調を覚えている。
彼の恐るべき思惑に、図らずともミキタカは加担してしまったのだ。
『ゲーム』を野蛮だと断じたのは、自分だ。
仗助を護る為だったとは言え……この手段は正解だったのだろうか?
「……そうだ、仗助さんはッ!」
仗助が転倒した方向に走り寄るミキタカに、魔人ワムウが静かに語り掛ける。
「ジョースケか? 奪われた『円盤』は……既に奴の頭に戻したが」
「仗助さんッ!」
「……う……ぐぅッ……」
暗闇の中で、一人倒れ伏していた仗助は、宇宙人の必死の呼び掛けに、ゆっくりと目を見開いた。
* * *
まさか、あんなにあっさりと自分達を解放してくれるとは。
ミキタカは隣を歩く仗助の様子を確認しながら、先のワムウの言葉を脳裏に浮かべる。
『決闘は、一時休戦だ。今回は邪魔が入り過ぎた。
奴らの乱入の為に……興が削がれた。
俺はフェアな闘いを望む。この場から離れ、暫しの休息を取るが良い』
『しっしかしワムウ様ッこの『変身する男』も逃がすのですかッ』
- 705 :Judgment Day ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/30(土) 22:33:33 ID:8AvPsZIB
- 下僕――タルカスの言葉を遮る様にして、ワムウは続けた。
『ミキタカゾ……と言ったかな? この度は我が僕タルカスを助けた事に感謝する。
何も語る必要は無い。ジョースケが旧知の仲間であるのなら、友と行くが良かろう。
そして、再びの戦闘を楽しみに待っているぞ……ジョセフ・ジョースターの息子、ジョースケよ』
「正直、助かったって感じだぜ……ワムウと、これ以上渡り合えるとは思えなかったからな」
仗助の言葉にミキタカは頷いた。今回の戦闘で改めて理解した、あの男達の凄まじきパワー!
人間の常識を突破した彼らには、二人のスタンド使いを一撃で葬り去る事など容易。
ワムウとの決闘にて仗助が受けたダメージは、致命傷と呼べるものでは無かったが、
その足取りは幾らか頼りない様に思える。
「そうですね、あの二人は……危険過ぎます」
ヌ・ミキタカゾ・ンシと東方仗助は、杜王駅東の街路を進んでいた。
闇に覆われた駅を出る際、久しぶりに視界に降り注ぐ陽光に、ミキタカはたじろいだ。
普段賑やかな町並みにやはり人影は無く、周囲は絶対的な静寂に包まれている。
- 706 :参加するカモさん:2007/06/30(土) 22:34:11 ID:biUSwMnw
- 支援
- 707 :参加するカモさん:2007/06/30(土) 22:34:50 ID:wJE6a2O1
- 支援ッ!!
- 708 :Judgment Day ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/30(土) 22:35:58 ID:8AvPsZIB
- 「仗助さん……状況を整理しましょう。
この『ゲーム』が始まってから、お互いが見た事を話し合いましょう」
「ああ、そうだな……この一日で本当に色々な事が起こり過ぎて、かなり混乱しちまってるんだが……」
二人は、荒木によって教会に呼び出された後の、お互いの身に起こった出来事を語り合った。
「……本当に、色々な事があったんですね」
「お前もな、ミキタカ」
ミキタカは仗助に、ブチャラティや形兆と共に闘い、鎖に化けて二人の魔人と駅に辿り着いた事を。
仗助はミキタカに、エルメェスやウェザー達、
……そして共に戦い命を落とした名も知らぬ男……との出会いを、相手に話した。
無論、放送で名前が呼ばれた者達――犠牲者達にも会話の矛先は向いた。
「億康や康一たちは、死んじまったらしいが……。
死人は、死人だ。確かに悲しいぜ……だが、泣いていても何も始まらねぇ。
『クレイジー・ダイヤモンド』でさえも、死者を生き返らせる事だけは出来ないんだからな。
俺はこの街で、まだ生きている奴を助けたい。
なるべく多くの人間を、このクソゲームから脱出させてやりたい。
そして『荒木』! 奴だけは許せねぇ……。絶対にぶっ倒すッ!」
彼の言葉からは、“ゲーム”が始まって以来、幾多もの死を乗り越えた強靭さを感じた。
その精神力はこの状況下に於いても、一向に衰えてはいないらしい。
「仗助さん……グレートです」
強大な意思に勇気付けられ、ミキタカは思わず言葉を漏らした。
仗助は唇を曲げて微笑んでいたが、急に額を押えて呻き始めた。
- 709 :Judgment Day ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/30(土) 22:36:20 ID:8AvPsZIB
- 「……しかしよぉ、俺は結局の所、今の杜王町の状況を何も知らねえんだよな……。
ミキタカ、俺達はこれから一体何処に向かえばいいんだろうな?」
仗助の質問に、ミキタカは足元を見ながら応える。提案があった。
「私が残した『血痕』を追いましょう。この近くにある筈です。
ブチャラティさん達の名前は、第二放送で呼ばれませんでした。
彼らはまだ生き残っている。きっと私を待っています」
異論も無いらしく、仗助は提案を受け入れた。
「そうだな。ウェザーさんの所に今更戻るつもりもねぇし、
『ブチャラティ』達に……会いに行くか」
二人は自分達の街である筈なのに、
何かが決定的に異なる奇妙な杜王町を、道標を求めて歩き始めた。
(期待していますよ……仗助さん)
これからの戦いは、より厳しくなるだろう。
しかし仗助が隣に居る限り、この状況――
『ゲーム』解決への道が必ず存在していると、ミキタカには思えた。
- 710 :Judgment Day ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/30(土) 22:36:49 ID:8AvPsZIB
- 【杜王駅内部(E-3)1日目 日中〜午後】
【闇の重戦士チーム】
【ワムウ】
[モード]:『風』
[時間軸]:首だけになり、ジョセフが腕を振り下ろした瞬間
[状態]:服が焦げているが肉体は無傷
[装備]:手榴弾×6
[道具]:支給品一式
[思考・状況]:
1)戦いを楽しみつつ、優勝を目指す。ただ深追いはしない
2)従者として、しばらくはタルカスを従えておく(ただし死んでもどうってことはない)
3)仗助との再戦を期待
【タルカス】
[種族]:屍生人(ゾンビ)
[時間軸]:ジョナサンたちとの戦いの直前。ディオに呼ばれジョナサンたちと初めて対面する前
[状態]:軽い全身火傷と全身打撲
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]:
1)とりあえずの間ワムウに従う
2)取り逃した虹村形兆、ブチャラティ、ミキタカへの僅かな執着心(ワムウの命に背いてまで追う気はないが)
- 711 :Judgment Day ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/30(土) 22:37:15 ID:8AvPsZIB
- 【杜王駅東口近くの路上(E-4)1日目 日中〜午後】
【東方仗助】
[スタンド]:『クレイジー・ダイヤモンド』
[時間軸]:四部終了時
[状態]:右太股にツララが貫通した傷(応急手当済み・ 歩行に少し影響)、全身に軽い打撲
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]:
1)ミキタカと共に血痕を追い、ブチャラティ達と合流する
2)戦闘を止めたい
3)どこかに隠れているジョセフを探す
4)傷ついている参加者がいたら、敵味方関係なくとりあえず『治す』
5)シーザー、シーザーの仲間を探すのは後回し
6)打倒荒木!
7)時間軸のズレに気付いたかもしれない?
【ヌ・ミキタカゾ・ンシ】
[スタンド?]:『アース・ウィンド・アンド・ファイアー』
[時間軸]: 鋼田一戦後
[状態]:千切られそうになったのと、爆発事故の影響で体全体が痛い
[装備]:なし
[道具]:ポケットティッシュ(支給品一式はブチャラティが持っています)
[思考]:
1)血痕を追い、ブチャラティ達との合流を図る
2)味方を集めて多くの人を救いたい
3)仗助の話を一緒に聞いていたため、形兆ゾンビ説に疑問
【天国への道を探求する者達 全滅】
【エンリコ・プッチ 死亡】
【リキエル 死亡】
- 712 :Judgment Day ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/30(土) 22:37:38 ID:8AvPsZIB
- [補足1]:仗助は「荒木は自分たちの声を聞くことができる」と推測しています。(根拠なし)
[補足2]:仗助は、第一放送の禁止エリアについての情報を聞きましたが、メモは取っていないようです。
[補足3]:仗助は過去に名簿を見ましたが、ドッピオの名前の有無はいまは意識にありません。
[補足4]:仗助は埋葬した遺体がジョセフだとは気づいていません。
[補足5]:仗助は荒木の能力(時空操作)に気付き始めました。
[補足6]:プッチとリキエルの支給品は、死体と共に駅の内部に放置されています。
[補足7]:ヘヴンズ・ドアーのDISCは、駅内のプッチのデイパック内に残っています。
[補足8]:吸血馬1頭+チャリオットは駅の中に置いています。
- 713 :Judgment Day ◇vp3XBrpjZU代理:2007/06/30(土) 22:39:15 ID:8AvPsZIB
- 以上、投下終了です
20秒で投下できるのに途中で遅れた理由として、仕組みはよくわかりませんがOperaだと
したらばの書き込みの反映が遅れるようで、IEを開くのに手間取っていました。すみません。
書き手さん乙です。色々フラグ立ってたリキエルがあっけなく死んで驚きました。
- 714 :参加するカモさん:2007/06/30(土) 22:40:08 ID:u/5dljTM
- 乙!
そういえばミキタカ承太郎と出会ってなかったっけ?
- 715 :参加するカモさん:2007/06/30(土) 22:40:54 ID:biUSwMnw
- 乙ッ!!
いいSSだったッ!
- 716 :参加するカモさん:2007/06/30(土) 22:42:16 ID:psN6UCpg
- まじ乙!ミキタカはいいとこ取りばっかw
- 717 :参加するカモさん:2007/06/30(土) 22:42:54 ID:UQ2BZMUF
- いいSSだがプッチ、リキエルコンビあっけなさすぎじゃないか?
あんなほとんど手も足も出すやられるかなぁ?
百歩譲ってそうだとしてもただでさえ少ないマーダーを殺すのはなぁ…
- 718 :参加するカモさん:2007/06/30(土) 22:45:20 ID:psN6UCpg
- まあそんだけ柱の男たちは強かったってことでいいのでは
- 719 :参加するカモさん:2007/06/30(土) 22:46:19 ID:8AvPsZIB
- そんなに少ないですかね?漫画ロワでは大抵悪役陣営がマーダーですが
基本的にこのロワでは敵陣営はほぼマーダー、味方陣営からもマーダーでてる(改心者出てますが)で
割合としては妥当だと思います
というかそもそもワムウ・タルカス自体マーダーで、両方がぶつかりあって
スタンドDISC持ってないワムウタルカスからは記憶DISCとるしかないですから、
どっちにしろどちらかの再起不能は免れないと思いますよ、ってかここまでのお膳立てしたのは俺なんですがw
- 720 :参加するカモさん:2007/06/30(土) 22:53:09 ID:o7zZ3qZs
- 確かにリキエルにとっては最悪の敵だもんなぁ。パニック発作の再発とか、いかにもで上手い。
ただ……うん、確かに惜しいと思ってしまう。神父の方は。
この敵たち相手なら死ぬにしても、せめて何か最後にカマしてくれるかと期待しながら読んでたから、特に。
ミキタカ・仗助が考えうる限り最高にオイシイ展開で生き延びたから、落差を大きく感じるのかな。
- 721 :参加するカモさん:2007/06/30(土) 23:06:05 ID:z4S9NxkP
- 乙!
よく考えてみればリキエルのロッズはワムウ達に効くはずがないもんなw
ミキタカマジGJだぜ。やっと信頼できる仲間と合流できたなw
>>717
まあしょうがない。普通に二人が生き伸びる可能性は前のSSの時点でヤバかったし。
というかヤバイのはむしろワムウ組でしょw
書き手のfk氏、まだ承太郎組の投下してないんだぜ?
- 722 :参加するカモさん:2007/07/01(日) 00:46:39 ID:879OWIny
- 神父・・・
悲しいが、相手が悪すぎたか・・・
あっけなさ過ぎるって意見もあったが、このあっけなさこそロワだろう
- 723 :参加するカモさん:2007/07/01(日) 01:07:55 ID:ynp1rJy5
- 乙です
あっけなさ過ぎるって意見もありますが
ダイアーさんマーダー時とか、スタンドより
波紋の方が強そうに感じたんで、その波紋使い
たちと戦ってる柱の男たちがあっさり勝っても
違和感なかったです
- 724 :参加するカモさん:2007/07/01(日) 01:38:36 ID:k1k0nUJ6
- 乙!
リキエルはおろか親父までもがさくっと殺られるとは…
ワムウ・タルカス組の恐ろしさが身に染みたぜ
F.F.の時と同じく持ち物とスタンドDiscが遺留品となった訳だが
今後どうなるか気になるな
しかしミキタカ美味しすぎw
- 725 :旋頭歌 ◆6zsldeDOfM :2007/07/01(日) 16:56:40 ID:3AkI2V0U
- 好きキャラっつーか重要キャラそうだった
神父が・・・
・・・・
- 726 :参加するカモさん:2007/07/01(日) 17:36:32 ID:nQ9QPuTZ
- DIOに逢えずに逝ってしまったのは残念。
ジョンガリは逢えると良いな。
- 727 : ◆fk8qEzlLPk :2007/07/01(日) 20:36:08 ID:VOOec+4m
- 投下します。
- 728 :参加するカモさん:2007/07/01(日) 20:41:54 ID:o1SYabhh
- (したらばにないよね? 規制されてるようでしたら代理いたします)
- 729 :4(フォー)プラス1(ワン) ◆fk8qEzlLPk :2007/07/01(日) 20:42:59 ID:VOOec+4m
- 無残。
そこはたった一言で語りつくせる状況だった。
腹部に風穴を開けられ、紅い水溜りを広げる骸。
首と体が離反し、噴出す紅いシャワーで衣類が彩られている骸。
男はそっと手をかざし、『二人』のマブタをゆっくりと閉じる。
「で……こっちの子供が、お前の言っていた広瀬康一なんだな? 」
自分の後ろで立ちすくむ別の男に、男――空条承太郎は語りかける。
承太郎に質問に答えるように、もう1人の男は軽く頷いた。
今、彼らがいる場所は【E-5】。本来ならば駅に向かう為の通過点に過ぎない所だった。
だが到達して間もなく、全員が発見してしまったのだ。
この場にいるもう1人の男、ダイアーが第二放送前に仕留め損ねた少年の死体を。
承太郎に衝撃はなかった。そもそも放送で彼の名前は流れていたのだから。
ダイアーが仕留めようが損なおうが、どのみち彼が第二放送前に死んだという事実は変わらない。
康一が残した断末魔は、承太郎の頭にしっかりと残されている。ダイアーを除く全ての危険人物の把握も万全だ。
しかし……ここで一つの疑問が残されている。
広瀬康一の隣で死んでいるこの首なし死体は、一体何者なのか。
「空条承太郎よ……少なくとも私はその男と会った事はない。本当だ」
承太郎が尋ねる前に、ダイアーは彼に全てを話した。
自分が広瀬康一と、どのように出会い、戦い、別かれたのか……。
彼のその言い分を一通り聞くと、承太郎は帽子を深く被りため息をつく。そして……ゆっくりと口を開いた。
- 730 :4(フォー)プラス1(ワン) ◆fk8qEzlLPk :2007/07/01(日) 20:43:53 ID:VOOec+4m
-
「この死体は広瀬康一と同様にまだ暖かい。恐らく第二回放送直前で死んだ奴だな。
お前から逃げ切った後……広瀬康一と合流して、一緒にいた所を狙われたと言った所か。
支給品のディバッグも無くなっているしな。持ち物の数が合わなくなるから、お前が殺した線も薄い。
身元がわかれば、もっといいんだが……」
「恐らくその男は岸部露伴じゃよ」
承太郎の推理に割って入るように、誰かの発言が飛び出す。
承太郎たちの視線に突然現れたもう1人別の男――――ウィル・A・ツェペリである。
「……今までどこにいたんだ? 急に姿を消しやがったと思ったら突然出てきやがって」
ツェペリは承太郎に反論をするかのように懐から一匹の『亀』を取り出す。
そして『亀』の背中に手を突っ込み……なんと一枚の紙を取り出したのだった。
驚く承太郎達をよそに、ツェペリは紙を彼らに渡す。そこには何か、落書きのような物が書かれていた。
そしてツェペリはそのまま落書きのある一部分を指差す。
そこに書かれていたものは、背景や絵でもなく立派な文字列――『岸辺露伴』と書かれたサインであった。
「彼らの死体から少し離れた所にこの『亀』がおった。こいつもスタンド使いなのかのう?
甲羅の中に……小洒落た部屋が入っておる。いや『繋がっている』と言うべきか。
おそらく彼らを殺した奴は『亀』の『部屋』に気づかなかったんじゃろうな。
ワシも最初は驚いたわい……その部屋の中に支給品のディバッグが二つとその紙が、
手をつけられてない状態で置いてあったんじゃからな」
そして、承太郎とダイアーはツェペリに連れられるように亀の中に入った。
そこはまるで小さな楽園と言わんばかりの整った造りだった。
この時ダイアーは自分が波紋で調べても、亀の内部までは生命反応を探れなかったことを二人に話した。
「なるほど……不思議な生き物だ。こいつを使う手は無いぜ」
- 731 :4(フォー)プラス1(ワン) ◆fk8qEzlLPk :2007/07/01(日) 20:45:33 ID:VOOec+4m
-
『亀』を粗方語りつくした3人は、次に岸辺露伴の落書きについて議論した。
いくらサインが書かれた紙があったとはいえ、死体が露伴と断定するのは早合点という意見もあがったが、
ツェペリが持っていた『露伴の置手紙』から、サインの一致と自己顕示が強いと読み取れる文面。
そしてアジア圏系統の出で立ちと第二放送で呼ばれた男性人の詳細から、
彼は岸辺露伴であり、『亀』の『部屋』で書いた落書きにサインを残すことも打倒と結論が出た。
「まさかこんな形で会う事になるとは非常に残念じゃ。またワシは……間に合わなかった」
ガックリと、うな垂れながらツェペリは荷物を持って『亀』に入ってゆく。
つられてダイアーとヨーヨーマッも追うように亀に入り、その場には承太郎と『亀』が残った。
そして……承太郎は『亀』を抱えて歩き出す。ツェペリ達には何も言わず、ただひたすら歩く。
わかっていたのだ。
承太郎がイギーという仲間を失ったように……これは誰もが何度も通る道だと言う事を。
自分が今更何を言ったとしても、ツェペリ自身が悲しみから乗り越えない限り無意味だという事を。
過ぎてしまった物を追い求めるのではなく、遺された物を先に生かす――それこそが一番大事なのだと。
* * *
「ツェペリ……俺が口を挟む資格など毛頭ないのがわかっているが言わせてくれ。
ここでお前がしょげていては、亀を残してくれた……いやわざとやったわけではないと思うが……
広瀬康一が浮かばれないぞ。今一度……私を改心させた時のように、『勇気』を持って奮い立つべきだ」
ダイアーはツェペリの両肩に手をおき、彼を励ます。
ツェペリはダイアーの呼びかけに応じるが、先ほどのような元気はない。
数奇なすれ違いである。もしダイアーがあの時……広瀬康一と初めて遭遇した時に岸辺露伴の存在に気づいていたとしたら。
ダイアーは間違いなく彼も殺していただろうか? それとも……スタンドを奪われた男は見逃していたのだろうか?
どちらにせよ……ダイアーの運命はまだまだ不安定なのは間違いない。
- 732 :4(フォー)プラス1(ワン) ◆fk8qEzlLPk :2007/07/01(日) 20:46:36 ID:VOOec+4m
-
「ツェペリ様、ダイアー様……一通りの荷物はまとめておきました。余ったディバッグや不用な物は分けておきました。
もし何かご要望がありましたら何なりとお申し付けください。
そして……ツェペリ様、私もダイアー様と同意見です。今更しょげても手遅れですよ。
今は広瀬康一様が死んだおかげで、この宝の山が手に入ったことを喜ぶべきです……」
「……貴様ッ! 言っていいことと悪いことがあるぞッ! ツェペリの気持ちも知らず……」
「? ダイアー様、何を仰られるのですか。あなたは仕留め損ねた相手を間接的に始末することが出来て……
ツェペリ様はなんだかんだで岸辺露伴様と“合流”出来たのですよ?
しかもこの『亀』の『部屋』……我々の戦力強化としても充分。いいこと尽くめじゃあありませんか? 」
「おいッ! いい加減に……」
『聞こえてるかヨーヨーマッ……そろそろもう一回放送を流すぞ。「亀」の中から出てきな』
ヨーヨーマッの『思いやり』にダイアーは癇癪を起こしかけたが、承太郎の呼びかけによってそれは遮られてしまう。
拡声器を片手にへこへこと亀から出ていくヨーヨーマッを、ダイアーはただ睨み付ける事しか出来ない。
そして承太郎の支給品である事も相まって、ダイアーはヨーヨーマッに手が出せない自分に苦虫を噛み潰すのであった。
* * *
「旦那様……次はどこで放送を流せば宜しいのですか? 」
「よし、ここから20メートル先だ。いいか、放送では決して紙に書いてある事以外は話すなよ。何があってもだ」
「かしこまりました」
承太郎に命令されヨーヨーマッは先へ進む。
そして20メートルばかり離れたところに着くとヨーヨーマッは拡声器を口にあて、喋り始めた。
「私は!!!承太郎の支給ひァガババババァァ!?? 」
……が、それは失敗に終わった。
ヨーヨーマッは大きく空を飛び、路地に投げ出され……今はのたうち廻っている。
隠れていた承太郎も驚きのあまり路地から顔を出した。
なぜならヨーヨーマッが吹っ飛んだのは猛スピードで走っていたバイクと衝突したからであり……。
- 733 :4(フォー)プラス1(ワン) ◆fk8qEzlLPk :2007/07/01(日) 20:47:38 ID:VOOec+4m
-
「やっちまったッ! おいお前、大丈夫か……」
そのバイクに乗っていた人物が自分の旧友だったからである。
「ポルナレフ!」
「あ……お、承太郎……承太郎か!? 」
* * *
ポルナレフが『亀』の中でツェペリ達と知り合い、荒木打倒の同盟を結ぶまでに時間はそうかからなかった。
お互いがお互いの有益な情報、これまで自分たちが遭遇した出来事は勿論のこと。
中でもポルナレフがジョルノ・ジョバーナから受け継いだ、
『首輪の盗聴の可能性』、『荒木の能力に関する謎のメモ』は、ツェペリ達にとって尋常でない衝撃を与えた。
その後カフェ・ドゥ・マゴに着いた後の作戦が色々と決められていったものの、
荒木に関する問題はカフェ・ドゥ・マゴに到着してから話し合おうという事になったので、
ポルナレフは承太郎達が入った『亀』を持って、バイクで目的地へ向かう役を引き受けた。
そして一行は今、カフェ・ドゥ・マゴにいる。
「着いたぜ……じゃあ今から俺はヨーヨーマッと一緒にバイクで町中を周る。
色々なところで放送を流させてこよう。ポルナレフ、お前がいっていた町の調査もついでに引き受けるぜ」
「ありがとよ。俺はツェペリさん達にもう少し詳しい話をしておくぜ。
しっかし承太郎、お前バイクの運転ちゃんと出来るんだな……高校生ってOKなのか?」
「それぐらい普通だぜ。その、あれだ……りろんは知ってる。運転のやり方は乗りながら覚えるぜ」
「……はぁ? 今何って言ったんだ承た―――――――」
――ゴシャッ…………! ―――
- 734 :4(フォー)プラス1(ワン) ◆fk8qEzlLPk :2007/07/01(日) 20:49:51 ID:VOOec+4m
- 「……今何か聞こえなかったか」
「……ああ、聞こえたな」
「何かがハジけるような音じゃったの」
「まさか、駅の方角からではないか?」
全員が聞こえたかすかな……それでいてはっきりとした音。
矛盾した表現だが、そう言える音だったと言わんばかりの表情をする承太郎達。
我先へと動いたダイアー、彼を制止しつつも一緒に歩くツェペリ、しょうがないと後を追う承太郎。
カフェに近い裏路地から駅を事細かに観察し、3人は様子を見る。
「どういう事だ……駅の入り口は封鎖されたのではなかったのか? 」
ダイアーは承太郎に顔を向けるが、承太郎自身も納得がいかない表情をしている為、困り果てている。
だがここでツェペリが声を立てず、ゆっくりと人差し指を駅の入り口に向ける。
2人がツェペリの示す方向を注視すると……なんと2名の人物が現れたのだ。
――しかしよぉ、俺は結局の所……――
何やら喋っているのだが、遠すぎて余り聞き取れない。
見たところは普通の人間。太陽の元に姿を出すのだからそれは間違いない。
しかし素性がわからない。彼らは敵なのか、味方なのか。スタンド使いなのか。
そのため承太郎も迂闊にスタンドを出して探りも入れる様子がない。
駅に屍生人のタルカスがいるという承太郎の話が本当ならば、何故あの二人は無事なのか。
タルカスは既に彼ら殺されてしまったのだろうか、それともタルカス達と手を組んだ人間なのか。
屍生人と人間が手を組むということなど彼らの常識では到底考えれないが、
『この世界が既に非常識である』という前提があるため、誰もその可能性を否定出来なかった。
当初はタルカスとそのもう1人の人物の退治の為に駅に近づいたのに……彼らは予想外の出来事に足止めされてしまったのだ。
* * *
- 735 :4(フォー)プラス1(ワン) ◆fk8qEzlLPk :2007/07/01(日) 20:52:28 ID:VOOec+4m
- * * *
「全くよぉー……何も皆で行く必要はねーだろうに。
確かにカフェに着いた後、駅に向かうつもりだったんだから、気になるのはわかるけどな」
カフェ・ドゥ・マゴに1人取り残されたポルナレフは椅子に座って器用に胡坐をかく。
皆がいなくなっては自分も移動できないので、彼は立ち往生をしていた。
なぜなら、今カフェに誰もいないと花京院達と入り違いになってしまうからである。
仮に移動したとしても、承太郎がやろうとしていたヨーヨーマッの放送が出来ない。
なぜなら持ち主はまだ承太郎にある為、20メートル以上離れられないのだ。
ポルナレフは、こんなことなら持ち主のチェンジを引き受けておくんだったと言わんばかりにため息をついた。
そして……そのため息を見ていたヨーヨーマッは、何かを決意したかのように彼に近づくのであった。
「どうした……ヨーヨーマッ……だっけ? お前承太郎に着いてったんじゃあなかったのか? 」
「旦那様は『お前はこうゆう時に限って足を引っ張るような気がするから引っ込んでろ』とおっしゃいました。
まぁ……私は旦那様の命令が絶対でございますから。でも、そんな事はどうでもいいんです。
ポルナレフ様、あなた様にお願いがあるのです。聞いて頂けないでしょうか……?」
ヨーヨーマッの言葉にポルナレフは合意のうなづきをする。
だが、次ぎの瞬間……ポルナレフは顔を一気に引きつらせたのだった。
「これをごらんください……これは人の手首……正真正銘本物でございます。
私、解剖学に詳しくありませんが……恐らくそれなりに時間はたっているかと。血も止まっていますし」
「そんなもの……いつどこで見つけたんだよ!? 」
「ついさっき……皆様の荷物を亀にお運びした時のことです。
皆様の荷物の中身のチェックや確認をしていたところ……目立たないように奥底に隠してありました。
かばんの持ち主は…………ウィル・A・ツェペリ様です」
ポルナレフの顔からどんどん脂汗が流れていく。
何も知らない第三者から見れば……彼が隠し持っているとしか考えられない。
だが、事実は小説より奇なりと言うように……全ては偶然の産物だった。
- 736 :4(フォー)プラス1(ワン) ◆fk8qEzlLPk :2007/07/01(日) 20:54:41 ID:VOOec+4m
-
この手首の名は『美奈子』。殺人鬼、吉良吉影の支給品であり……大事な大事な『恋人』。
事の発端は、吉良吉影がギアッチョとの戦闘時に『美奈子さんの手首』をディバッグの奥底に隠した事実。
『美奈子さんが傷つかないように』ちゃんとしまった為……バッグの中を見ても中々気づかれなくなっていたのだ。
今から遡ること6時間前……ツェペリはD-3で行われた吉良とギアッチョの戦闘跡で吉良のディバッグを見つける。
この時彼は……第一放送でジョナサンの死を知った為に動揺していたのかはわからないが……
あろうことか吉良のディバッグに他のディバッグの荷物を詰めて……
『およそバッグ3つ分の荷物を2つのディバッグにまとめたのであった』
当然隠されていた『美奈子さん』はそのままバッグに残ったままツェペリと旅を続け……今に至るのである。
ツェペリはおろか、ダイアーも承太郎もシュトロハイムリサリサも……持ち主だった吉良すらも知らない事実。
誰も知らない奇妙な事実。
- 737 :4(フォー)プラス1(ワン) ◆fk8qEzlLPk :2007/07/01(日) 20:55:25 ID:VOOec+4m
- そろそろ規制されそうなので、これ以降はしたらばに投下します
- 738 :参加するカモさん:2007/07/01(日) 20:57:46 ID:o1SYabhh
- 「つまりよぉー……ツェペリのおっさんは俺たちに内緒で……それを隠し持っていたってことか?」
「はい。このカバンです……ご覧ください。どういう経緯なのかはわかりませんが……よく見ると
『カバンの内部』に固まった血がわずかながらに付着しております。
指紋が取る手段がこの場で出来ないのが残念ですが、これは間違いなくツェペリ様のバッグです」
「で、でも承太郎達はずっと一緒だったんだろ?」
「そもそも旦那様もダイアー様も昼過ぎに初めてツェペリ様と合流なされました。
つまりそれまでどこで何をしていたのかは彼自身の話でしか聞いていないのです……」
「で、でもよ。お前達は……確かツェペリのおっさんの居場所を教えてもらったから合流できたんだろ? 」
「そこです……私達にツェペリ様を紹介してくださったリサリサ様。全ては彼女の紹介です。
ですが彼女も……ずっとツェペリ様と一緒にいたわけではありません。それにひょっとしたら……共犯の可能性も」
「ふざけるな! 第一わざわざ自分が殺人をした証拠を残す奴がどこにいるッ!」
「まさか先ほど『亀』の中でダイアー様が話した事をお忘れではありませんよね?
あの方は土下座をしてまで旦那様……いいえあなた様の仲間でもあるイギー様の殺害を謝罪なされましたよ?
最初から黙っていれば、証拠も無いし、気づかれなかったのに……つまりその逆も在るとは言い切れませんか? 」
「ダイアーと違ってツェペリのおっさんやそのリサリサって人はジョースターの血統なんだろーがッ!
誇り高きジョースター一族のご先祖様がそんなこ……と…………」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……………
「そうなんです。私もずっと気になっておりました……皆様の情報を纏めると、
ここにいる者たちは時代を越えて集められた、という事がわかっています。
でも、私達は……同時代のお知り合い以外の人物の素性はまるでわからないのではありませんか?
ポルナレフ様は……ツェペリ様の具体的な本性をどなたかから聞いたことはありますか? 」
「てめー……何が言いたい……! 」
- 739 :4(フォー)プラス1(ワン) ◇fk8qEzlLPk代理:2007/07/01(日) 20:58:47 ID:o1SYabhh
- 「聞きの悪い過去の歴史ほど、中々明るみには出ないものでございます。
そうですね……例えば……『ウィル・A・ツェペリ』は……
人を殺さずにはいられない性格だった……あるいは死体収集家だったとかアバァッ! 」
ポルナレフの『銀の戦車』がヨーヨーマッを針串刺しにしてゆく。黙れと言わんばかりに貫きつづける。
しかし……この杜王町に来て初めて剣を振るった相手は、何事もなかったように話続ける。
「アガガ……ボルナレブ様……私は……あなた様に……この『手首があった』という事実を伝えたかっただけ。
この手首は私が丁重に処分させておきます。
万が一の時の為に……ウィル・A・ツェペリ様を警戒して頂きたかったのです。
何故なら……彼は旦那様のご先祖の師匠。。ツェペリ様が黒なら、とぼけられてオシマイです。
白だとしても旦那様がこの事を話せば……きっと迷いが生じるはずです。もしかしたら……と。
ひょっとしたら……自分でツェペリ様に手をかける可能性もございます。さすればきっとダイアー様も巻き込まれます。
いや…その前に……旦那様は私言うことなんて信じてくれないかもしれません。
でも……私は旦那様を守りたい……助けたい……あの方の為に役に立ちたいのです。
ポルナレフ様……もしもの時の為に……ツェペリ様の行動を監視して頂けないでしょうか……? 」
「……………………ヨーヨーマッ、その手首ちょっと貸せ」
ヨーヨーマッが『はい』受け答える前にポルナレフは『美奈子さんの手首』を奪う。
そしてそれを投げ上げると――――
「『銀の戦車』ッ! 」
居合いの達人も目に見張る剣技の乱舞に手首はなんども跳ねあがり……粉微塵と化した。
そして残った残骸を店にあった掃除用具で纏めると、ポルナレフはごみ箱にそのまま捨てた。
- 740 :4(フォー)プラス1(ワン) ◇fk8qEzlLPk代理:2007/07/01(日) 20:59:33 ID:o1SYabhh
- 「ああ……なんて事を……せっかくの証拠を処分なさるなんてッ! 」
「俺や承太郎をナメてんじゃねーぜ……殺人犯? 上等だぜ。俺らを騙せ通せるもんならやってみろってんだ。
いいかヨーヨーマッ……こんな事な、俺たちにとっちゃどうでもいい事なんだよ。
本当に性根の腐った野郎なら……その内自分からボロを出すさ。俺にはわかる。悪党ってのは昔からそうゆうもんだ」
「そんなッ! 無責任すぎますッ! 旦那様にもしもの事があったら……」
「少なくとも承太郎はお前を恨むような事はしねーだろーよ。恨むなら自分自身だ。
まあツェペリが悪党なのかどうかはこれから俺がじ〜〜っくりと観察してやっからよ。お前は指でもしゃぶって見てな。
悪党じゃあなければOK。もし悪党なら俺たちが駄目押ししてやればいだけだッ! 簡単なことだろう? 」
- 741 :4(フォー)プラス1(ワン) ◇fk8qEzlLPk代理:2007/07/01(日) 21:00:59 ID:o1SYabhh
-
……あっけに取られるヨーヨーマッをよそに、ポルナレフは店の外に出る。
そこには今しがた駅の近くから戻ってきた承太郎達の姿があった。
三人は何も知らない。待っていたポルナレフに何があったのかを。
「駅は謎だらけで不気味じゃのう……潜入はジョジョの仲間の更なる合流を考えて5時まで待つべきじゃろうか? 」
「しかし6時になれば日没だ……奴らの時間になったらそれはそれでマズイ」
「俺が付き添わないとヨーヨーマッを使って放送が流せないからな……ルートや回数を決めとくべきか? 」
「ヨーヨーマッはお主の一存で主人を変えられるんじゃろう? 何もお前さんだけがやる必要はあるまいて」
「なぁお前ら、そんな事よりもう午後3時だ。おやつの時間だぜ? 」
だが、ポルナレフの表情は相変わらずのお気楽なJ・P・ポルナレフの顔だった。
彼に後悔はない。疑心もない。それは彼には必要のないものだ。
バカで結構、無知で上等……ただ、真っ直ぐに、思った通りに行動する。
それこそが、彼のポリシー……J・P・ポルナレフのポリシー。
何事もなく……自分は暇を持て余していたと言わんばかりに、ポルナレフは彼らを出迎えた。
「ガムかむかい?」
- 742 :4(フォー)プラス1(ワン) ◇fk8qEzlLPk代理:2007/07/01(日) 21:04:42 ID:o1SYabhh
- 【波紋の達人と幽波紋の達人】
【カフェ・ドゥ・マゴ(E-4)/1日目/午後(3時)】
【J・P・ポルナレフ】
[スタンド]:シルバー・チャリオッツ
[時間軸]:ヴァニラ・アイスを倒した後。DIOに出会う前
[状態]:服はほとんど乾いてる。
[装備]:支給品はまさかの『コーヒーガム(イギーの大好物)』でした。
[道具]:詳細な杜王町の地図、荒木の放送での発言をまとめたメモ 、
ジョルノが遺した荒木の能力(?)に関するメモ。露伴のバイク
亀の『ココ・ジャンボ』
[思考・状況]:
1)荒木の打倒。ジョルノの敵を必ず討つ!!! その為に仲間を探す。
2)荒木の事、駅へ襲撃すること、色々話し合おう。
3)仲間の犠牲者は出さない(一応ツェペリは監視する)
4)DIOとディアボロに対する警戒感。(何があっても共闘など真っ平)
[補足1]:承太郎たちと情報交換はしました(荒木のことは話してません)。
[補足2]:首輪の盗聴の可能性に気付いています。
- 743 :4(フォー)プラス1(ワン) ◇fk8qEzlLPk代理:2007/07/01(日) 21:05:05 ID:o1SYabhh
- 【ウィル・A・ツェペリ】
[能力]:波紋法
[時間軸]:双首竜の間で天地来蛇殺の鎖に捕らえられた瞬間。胴体を両断される直前
[状態]:軽傷(打ち身と額の傷)、処置済み。
[装備]:ショットグラス×2。水入りペットボトル(共通支給品だが、波紋カッターや波紋センサーに利用可能)
[道具]:無し
[思考・状況]:
1)承太郎、ダイアーと共に駅にいるタルカス達を倒す。(だがいつ突入するかは決めてない)
2)承太郎とダイアーの事を懸念。
3)病院襲撃の為の仲間(リサリサの仲間、承太郎の仲間)を捜す。
4)参加者の中に居る吸血鬼、屍生人を斃す。
5)皆で荒木の能力について自分なりの見解の説明や、御互いの情報の交換(タルカスとの優先順位は微妙)。
[補足1]:ポルナレフたちと情報交換はしました(荒木のことは話してません)。
[補足2]:首輪の盗聴の可能性に気付いています。
- 744 :4(フォー)プラス1(ワン) ◇fk8qEzlLPk代理:2007/07/01(日) 21:05:57 ID:o1SYabhh
- 【ダイアー】
[能力]:波紋法
[時間軸]:次の書き手さんヨロ
[状態]:ツェペリとの闘いによるダメージ、処置済み。
[装備]:無し
[道具]:無し
[思考・状況]:
1)ツェペリ、承太郎と共に駅へ向かい、タルカス達を斃す。(いつ突入するかは決めてない)
2)波紋戦士としての使命を果たす(吸血鬼の殲滅)。
3)自らの過ちにより2名の命を奪ってしまった事への贖罪。
4)1)〜3)の為に、此の身を盾にする事に躊躇いが無い。
[補足1]:ポルナレフたちと情報交換はしました(荒木のことは話してません)。
[補足2]:首輪の盗聴の可能性に気付いています。
【空条承太郎】
[スタンド]:『スタープラチナ』
[時間軸]:ロードローラーが出て来る直前
[状態]:ほぼ無傷(左腕は動かす事に支障は無い)。ダイアーへの怒り(プッツン寸前)
[装備]:無し
[道具]:拡声器(ツェペリから譲り受けました)
[思考・状況]:
1)ダイアーへ怒り心頭だが、抑えている(殺意ではない)。
2)ツェペリ、ダイアーと共に駅に向かい、タルカス達を斃す。(いつ功めるかは決めてない)
3)ヨーヨーマッと拡声器を用いて仲間へ呼び掛ける(場所、回数などの詳細は決めてない)。
4)その為のヨーヨーマッの主人代えも検討中。
5)打倒荒木、DIO。
[補足1]:承太郎の言う『ババァ』とは、リサリサの事です。
[補足2]:ポルナレフたちと情報交換はしました(荒木のことは話してません)。
[補足3]:首輪の盗聴の可能性に気付いています。
- 745 :4(フォー)プラス1(ワン) ◇fk8qEzlLPk代理:2007/07/01(日) 21:09:01 ID:o1SYabhh
- 【ヨーヨーマッ(支給品)】
[現在の主人]:空条承太郎
[装備]:マスク
[持ち物]:無し
[任務]:
1)承太郎を“助ける”
[補足]
1)ヨーヨーマッは攻撃出来ない。能力も完全に封じられている(主人がヨーヨーマッ自体を利用して攻撃というのは可能かも知れない)。
2)主人の命令には絶対服従、しかし命令を曲解して受け取る事もあるかも知れない(ヨーヨーマッを殺すような命令には従えない)。
3)ヨーヨーマッは常に主人の半径20m以内に居なければならない。
4)ヨーヨーマッの主人が死んだ時、又はヨーヨーマッが規則を破ったならヨーヨーマッは消滅。
5)主人変更の命令があれば主人は変わる。但し変更対称人物の同意が必要。
6)主人変更の命令をされた時、次の主人がヨーヨーマッの視界に入っていなければ命令は無効化される。
※【現在ココ・ジャンボの中に入ってる物の一覧】
黒騎士ブラフォードの首輪、大型スレッジ・ハンマー、
ポルナレフの支給品一式×2(バッグは自分とジョルノ)、缶詰等の追加の食料品、
ツェペリの支給品一式×2(バッグは吉良とツェペリの)。薬草少々(リサリサと分けました)。岸辺露伴の手紙
ダイアーの支給品一式×2(但し、水は無し)(バッグは自分と億泰の)
承太郎の支給品一式
※駅から出てきた二人組みはミキタカと仗助です。
※「ゴシャッ…………!」はタルカスがプッチを殺した時の音です。
- 746 :参加するカモさん:2007/07/01(日) 21:12:13 ID:o1SYabhh
- 終了だそうです。書き手さん、お疲れ様でした。
なお、>>741の上の空白はミスだそうです
- 747 :参加するカモさん:2007/07/01(日) 21:13:21 ID:o1SYabhh ?2BP(52)
- 一応レスも
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8085/1176634401/282
282 :4(フォー)プラス1(ワン) ◆fk8qEzlLPk:2007/07/01(日) 21:00:45
>>281
またやってしまった・・・スペースは削除してください
- 748 :参加するカモさん:2007/07/01(日) 21:13:23 ID:8LLzv9Zn
- おつかれ〜
- 749 : ◆fk8qEzlLPk :2007/07/01(日) 21:13:33 ID:VOOec+4m
- >>746
代理投下、本当にありがとうございました。
- 750 : ◆fk8qEzlLPk :2007/07/01(日) 21:16:33 ID:VOOec+4m
- しまった……orz
↓これが正しいものです。
※【現在ココ・ジャンボの中に入ってる物の一覧】
黒騎士ブラフォードの首輪、大型スレッジ・ハンマー、
ポルナレフの支給品一式×2(バッグは自分とジョルノ)、缶詰等の追加の食料品、
ツェペリの支給品一式×2(バッグは吉良とツェペリの)。薬草少々(リサリサと分けました)。岸辺露伴の手紙
ダイアーの支給品一式×2(但し、水は無し)(バッグは自分と億泰の)
承太郎の支給品一式
露伴の支給品一式、露伴の書いた落書き
康一の支給品一式、シャボン液
- 751 :参加するカモさん:2007/07/01(日) 21:21:59 ID:o1SYabhh
- >>750
後日にでも修正スレへの投下をお願いします。
- 752 :参加するカモさん:2007/07/01(日) 21:38:33 ID:kid2PhgO
- 書き手さん 乙
>>730
「なるほど……不思議な生き物だ。こいつを使う手は無いぜ」
の部分なんですが
「使わない手は無い」の間違いではないでしょうか?
- 753 :参加するカモさん:2007/07/01(日) 22:48:35 ID:6Rd4UZ4y
- スレ投下乙!
ココジャンボがボスの大冒険的な使い方になっててワロタw
ポルナレフも承太郎と合流できてひと安心だな
そしてヨーヨーマッ、ほんとにひっかきまわすのが好きだなw
いい展開にも悪い展開にももっていけそうなSSはとても面白かったです
やっぱたまには知り合い同士が合流できるのもいいものだな
- 754 :参加するカモさん:2007/07/01(日) 23:21:55 ID:k1k0nUJ6
- 乙です
ヨーヨーマッうぜえw
ポルナレフ格好いいな
ミキタカ達とはニアミスか
- 755 :参加するカモさん:2007/07/01(日) 23:24:22 ID:GlPbt61I
- 乙です
今までの他の話の流れでポルナレフVSツェペリになるかと思いきや
ポルナレフを信用できなかった自分がくやしいw
- 756 :参加するカモさん:2007/07/02(月) 00:07:49 ID:Lz69HEgz
- GJ!
律儀に手の残骸を掃除するポルに萌えたww
でも、ダイアーのイギー殺害をあっさり許したのは少し・・・
せめてそこのところを深く掘り下げて書いてほしかったな
贅沢を言うようでスマン
- 757 : ◆yxYaCUyrzc :2007/07/02(月) 06:26:12 ID:OygZqMvI
- 乙です。
残り少ない支給品がまさかのコーヒーガムってところがこのロワらしくていいw
- 758 :参加するカモさん:2007/07/03(火) 20:08:11 ID:pqopNRRx
- >>756
ポルポル君はヴァニラ・アイスを殺した後の時間軸から参戦してるからな。
つまりイギーが死んだ直後だから、正直どう反応したらいいか困ってるんじゃね?
描写はあっさりなのはちょい同意だけど。
- 759 :参加するカモさん:2007/07/03(火) 22:27:51 ID:ea0osdFU
- どーでもいいけどよつばとネタがあってワロタ
- 760 :参加するカモさん:2007/07/03(火) 23:41:35 ID:InV8B7jm
- 乙
ポルポルかっこいいなw
- 761 : ◆fk8qEzlLPk :2007/07/04(水) 00:20:41 ID:xIa84bpS
- したらばにちょっとだけ加筆修正したものを投下しました。
>>752>>756
確かに全く触れていないのもおかしいので若干考慮させて頂きました。ご意見ありがとうございます。
- 762 :参加するカモさん:2007/07/04(水) 11:04:23 ID:CBu03Xpk
- 追加乙です
- 763 :参加するカモさん:2007/07/04(水) 17:22:57 ID:2sZB6pQk
- 追加した方読ませてもらったけど
ポルポルかっこよすぎるwww
- 764 : ◆C9UOxHGVmM :2007/07/06(金) 22:12:44 ID:+pa10cVg
- だ、誰も居ない。
SS投下したいんですが、
代理できる方、どなたかいませんか?
- 765 :参加するカモさん:2007/07/06(金) 22:15:06 ID:C+YL32sz
- 一応いるぜ
- 766 :参加するカモさん:2007/07/06(金) 22:17:23 ID:VlSFxgMR
- 2人目も
- 767 : ◆C9UOxHGVmM :2007/07/06(金) 22:27:03 ID:+pa10cVg
- あ、じゃあこれから避難所に投下します。
代行宜しく御願いします!
- 768 :参加するカモさん:2007/07/06(金) 22:36:54 ID:VlSFxgMR
- それでは、自分が◆C9UOxHGVmMの代理投下をいたしたいと思います。
- 769 :神への挑戦2 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/07/06(金) 22:37:51 ID:VlSFxgMR
-
「………」
空を見上げる。
既にウェザー・リポートによる降雨は収まり、文字通り雲一つ無い青空が視界を覆っていた。
だが、俺は空を見上げようとして上を向いていた訳ではない。
物思いにふけたかったのだ
俺は死ぬ………か。
死の恐怖は湧き上がらなかった。
自分の死に対して無頓着と云うか他人事と云うか、兎に角実感が湧いて来ないのだ。
刑務所の中で読んだ本を思い出す。
カミュの『異邦人』。
親の死、殺人、死刑宣告。
次々と自分の身に起こるそれら全てを淡々と享受する虚ろな主人公は、正に今の俺を表しているかのようだ。
俺も其れで良いかも知れない。
死刑宣告は成された。
アナスイも丈助も去り、エルメェスも丈助の下へ行ってしまった。
ならば俺は死を迎え入れれば良い。
もう生きる気力すら…
「おい、ウェザー。どうするんだ?」
セッコに呼び掛けられ振り返る。
とは云え、今後の方針など思いつきもしない。
最初は徐倫達との合流や荒木の打倒を考えていたが、そんな事はもうどうでも良くなってしまった。
荒木を斃しても、其の後に待ち構えるのは“死”なのだから。
「セッコ…」
「何だ?」
「“自分がもうすぐ死ぬ”其れが解っている場合、御前はどうする?」
こんな質問をしたのは只の気紛れだった。
別にセッコに回答を求めていた訳じゃない。
セッコの返事次第で方針を決めようとしていた訳でもない。
只の質問。
- 770 :神への挑戦2 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/07/06(金) 22:39:14 ID:VlSFxgMR
- なのに、其れに対するセッコの返事を聴いた時、俺は再び気力が湧き出す事になる。
「あぁ?質問の意味がわかんね〜よ」
「だからお前がもうすぐ死ぬと解っていて、御前は死ぬまで何をするかを…」
「何で死ぬってわかんだよ。余念者…じゃなくて予選、でもない。予見…は近いけど違う。え〜っと…」
「予言者、か?」
「知ってんだよおおおぉぉぉ。国語の先生か、てめぇはよぉ」
「…邪魔して悪かった。続けてくれ」
「死ぬなんてわかるかよ。わかることは今生きているくらいだろうが」
「!!!」
セッコは別に、何かを考えて俺に向かって発言した訳では無いだろう。
しかし、其の一言が俺の胸に突き刺さった。
然うだ。俺は生きているのだ。
全てを放り出すにはまだ早い。
然う云えば、先程の『異邦人』は、其れ単体の作品ではなかった。
『ペスト』と呼ばれる『異邦人』とは対の作品があり、
『ペスト』があるからこそ『異邦人』は生き、『異邦人』により『ペスト』は其の魅力を引き出される。
そして、『異邦人』が理不尽へのニヒリズムなら、『ペスト』は理不尽への徹底的な抵抗を伝えていた。
俺が取るのはどっちだ。
諦観か、抵抗か…。
「悩むまでも無いな」
- 771 :神への挑戦2 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/07/06(金) 22:39:46 ID:VlSFxgMR
- 「セッコ」
「何だ?」
「有難う」
「???」
何に礼を言われているのか解らない、とでも言いたげに首を傾げるセッコ。
其れで構わない。
未来がどうあろうと“今”を全力で生きる。
其れを教えてくれた事への教えてくれたセッコへの礼だ。
ただ、セッコ自身は自覚が無いため、何故礼を言われたのか解らなかったのだろう。
俺は再び空を見上げ決意を新たにする。
荒木打倒に向け、ひたすら突き進もう、と。
「…!!!」
其の時だった、俺が其の“可能性”に思い当たってのは。
空には何も無い。雲一つ、だ。
地図には教会の場所は記されていない。
あれだけの建物だ。
家の屋根に上って辺りを見渡せば見つけられる筈なのに見つける事も出来ない。
つまり、“教会は地上に無い”。
そして何も無い青空。
そう、何も無い。
“教会は上空に無い”
ならば結論は1つ。
“教会は地下にある”。
「それしかないか」
教会が地下にあるのなら、俺はとんでもないアドバンテージがある。
そう、セッコの存在だ。
「セッコ」
「何だ?」
俺の下へ近付くセッコに、俺は破格の提案をする。
- 772 :神への挑戦2 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/07/06(金) 22:40:40 ID:VlSFxgMR
- 「角砂糖を20個やるから、一つ頼まれてくれないか?」
「!!!」
俺の提案を聞いた途端、セッコの目が輝く。
「ああ!いいぜぇ!何すればいいんだ!?」
「この町の地下を調べと欲しい」
「地下の何を調べればいいんだ?」
「何処か、不自然に大きい空洞は無いか?最初にいた教会がすっぽり入ってしまうような大きな空洞を」
俺の問いに、セッコはあっさりと俺の期待する答えを返す。
「空洞?知ってるぜ」
「何!何処だ!?」
「A-1の地下によぉ」
「教会が在るんだよね、コレが」
!!!
一瞬、何が起きたのか解らなかった。
一瞬にして、俺達の居る場所が変化したのだ。
「なっ!」
「何だ!?」
セッコと二人、辺りをキョロキョロする。
何が起きたのだ!?
いや、この瞬間移動のような感覚、数時間前に体験しただろう。
そして今、俺達は全ての始まりの地、教会にいる。
つまり結論は一つ、コレは…
「ようこそ、ジョルノ君に続いて2人目、3人目の客人の到着だね」
…荒木の仕業だ。
- 773 :神への挑戦2 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/07/06(金) 22:41:57 ID:VlSFxgMR
-
* * *
「何故、俺達を此処へ瞬間移動させた」
俺の質問に、荒木は飄々とした表情で返事を返す。
「どの道ココに来るつもりだったんだろう?手間を省いてあげただけさ」
「…」
「で、君達は僕をどうする気なのかな?」
「ぶっ殺す!」
荒木の問いに答えたのは俺ではなくセッコ。
俺も同意なのだが、一つ問題がある。
“俺達は荒木を斃せるのだろうか”
其の策が見い出せない。
そう思い悩んでいる所へ、当の荒木から思わぬ話を持ちかけられた。
「ん〜♪清々しくて良い返事だ。ご褒美にいい事を教えてあげよう」
「いい事?」
「僕のスタンド能力について…さ」
* * *
「今までの話をまとめよう。お前の能力は空間を操れる能力」
「そう」
「対象は同時に幾つも操れる」
「その通り」
「但し、対象の位置や運動状態が解らなければ操れない。だから位置把握の為に首輪をつけた」
「その通りだ。やはり君は賢いね」
俺の言葉にいちいち大袈裟に肯きながら、荒木は返事を返してきた。
そして、更に俺は荒木からの説明を復唱して確認する。
此処は何処なのか、どうやって俺達を集めたのか、何故集めた人間の時間がずれているのか、
集めた後対象者は元の世界でどうなったのか、
それら全ての質問に答えた後、荒木はこんな事を言って来る。
「今ならサービスで、君達の質問に幾らでも答えちゃうよ」
- 774 :神への挑戦2 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/07/06(金) 22:42:28 ID:VlSFxgMR
- ならば、お言葉に甘えよう。
「テメーなにモンだ?」
しかし、真っ先にセッコが質問する。
又も出鼻を挫かれてしまったが、俺も其れが聴きたかった。
しかし、荒木は少し悲しげに眉を顰めた。
「…済まない。その質問には答えられない」
「…?」
「僕自身、自分が何者か分からないんだ」
* * *
生まれた瞬間を覚えている者など居ないだろう?
僕だってそうだ
物心ついた時には僕は一人だった
一人で闇の中に居たんだ
バトル・ロワイアルのおかげで死なずには済んだが
まともに生きることすら出来なかった
ただ闇の中で
僕は必死に僕の居場所を探した
バトル・ロワイアルを使って、僕の居る空間(宇宙のことだね)全てをひたすら探した
そして、気の遠くなるような時間を経て
僕は遂に僕と同じ生き物を見つけることが出来た
迷わずそこへ向かったよ
そして僕は地球についた
もう、ずっと昔のことだね
ただ、そんな僕でも一つだけ認めて欲しいことが在るんだ
それは…
「僕が、人間であるということ」
* * *
- 775 :神への挑戦2 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/07/06(金) 22:43:26 ID:VlSFxgMR
- 「…」
「…」
「何か、変な話になっちゃったね。他に聴きたい事は?」
「誰に認めて貰いたいんだ?」
「さて、誰だろうね。もしかしたら君達かも知れない」
「認めて貰いたいからこんなゲームを始めたのか?考えにくいが」
「違う。いや、そうかも知れない」
突然、荒木の答えは歯切れが悪くなった。
もしかしたら、荒木は喋り過ぎたのを後悔しているのかも知れない。
つまり、荒木に質問しても、もうちゃんとした答えは返って来ないという事だ。
実際、今もセッコが色々と訊いているが、当の荒木は不気味な笑みを浮かべたままのらりくらりとかわしている。
…潮時か。
重要な情報はほぼ引き出し、“伝える事が出来た”。
後の事は任せよう。
俺に出来るのは、全力で奴に向かう事だけだ。
「もういい」
そう荒木に告げ、俺は立ち上がる。
「もういい、とは?」
荒木の質問に、俺はこう答えた。
「ケリをつけよう」
* * *
- 776 :神への挑戦2 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/07/06(金) 22:44:37 ID:VlSFxgMR
- 「ハァ、ハァ」
アタシは駅に向かって走っていた。
早くこの事実を伝えるために。
仗助に教えるために。
アタシの手にあるのは、キッスで分裂させたウェザーの舌。
何かあった時のために、すぐ合図を出せるようにしておいたのだ。
しかし、それで信じられない位重要な話が出てきた。
荒木の能力、居場所、経緯…
すぐに仗助に知らせなければ。
いや、他の誰でも良い。
兎に角、この事を伝えるために誰かに会わなくては!
そしてアタシは、駅に辿り着いた。
* * *
「成程、エルメェス君は僕の居場所を知ったか」
僕は知らず知らずの内に唇を歪めていた。
笑いが堪えきれない。
素晴らしいよ、みんな。
僕の下へ辿り着くためにあの手この手を尽くしてくる。
僕は、正々堂々彼らを迎え入れよう。
エルメェス君の首輪を爆発することはしない。
A-1から教会を移動させることもしない。
ただ、ココに来た者達を迎え撃つだけだ。
そう、彼らのように…。
僕が下ろした視線の先には、2つの死体が転がっていた。
ウェザー君とセッコ君だ。
全く以ってあっけない決着。
ジョルノ君との戦いを再現したような結果になった。
- 777 :神への挑戦2 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/07/06(金) 22:52:32 ID:C+YL32sz
- だが、やはり戦闘は楽しい。
はっきり言おう。
僕は“ただ眺めるだけじゃ物足りなくなって来た”
麻薬と同じ、酒と同じ、煙草と同じ、TVゲームと同じ、漫画と同じ。
一度嵌まるとクセになってしまう。
あぁ、早く次の挑戦者よ現れてくれ。
でないと、痺れを切らした僕が、ルールを破って誰かをココに連れて来てしまうかも知れない。
或いは、DIO君のバッグと、このウェザー君の死体から取った首輪をつけて…
「…フ」
無意識に笑みがこぼれる。
何だ、やっぱり僕も人間じゃないか。
僕は長椅子から立ち上がる。
「ま、さしずめ期待出来るのはエルメェス君かな」
そう独り言を呟いて、僕は教会中と教会の外のランプを消した。
途端、辺りは完全に闇に閉ざされる。
そして僕は思い出す。
僕が昔居た、あの場所を。
- 778 :参加するカモさん:2007/07/06(金) 22:53:48 ID:C+YL32sz
-
【角砂糖同盟 Lv.2 解散】
【E-3/1日目/午後】
【エルメェス・コステロ】
[スタンド]:『キッス』
[時間軸]:スポーツマックスとの決着後、体調が回復した頃(脱獄前)
[状態]:無傷
[装備]:ライフル
[道具]:ドル紙幣等、大量の石ころ
[思考・状況]:
1)荒木の能力、居場所について伝える
2)仗助に合流
3)徐鈴、F・Fとの合流
4)打倒荒木
[補足1]:エルメェスは荒木の居場所、能力、過去等全て、ウェザーの舌を通して知っています。
[補足2]:もし舌のシールを剥がすと、教会へすっ飛んで行きます。
[補足3]:エルメェスは仗助とギリギリで擦れ違いました。
- 779 :神への挑戦2 ◇C9UOxHGVmM代理:2007/07/06(金) 22:54:30 ID:C+YL32sz
- 【教会(A-1地下)/1日目/午後】※遂に教会の場所が判明しました
【荒木飛呂彦】
[スタンド]:『バトル・ロワイアル』
[時間軸]:???(想像を絶する大昔の模様)
[状態]:無傷
[装備]:???
[道具]:???
[思考・状況]:
1)挑戦者来ないかなぁ。てか来て。正々堂々と迎え撃つからさ
2)ただ見ているだけでは段々つまらなくなって来た。DIO君の支給品と首輪は死体のを使えば…
3)とりあえず暫くは大人しく観戦を続ける
4)居場所を知っているエルメェス君に期待出来そうだな
5)(心の底)ウェザー君達もジョルノ君と一緒だ。僕を神を見るような目で見る
[補足1]:どうやら荒木がゲームを始めた背景には、“人間として見て欲しい”と望む事と、荒木の過去に原因があるようです。
[補足2]:荒木は、エルメェスがウェザーの舌から情報を得たのを、首輪の盗聴器を通して知りました。
【ウェザー・リポート 死亡】
【セッコ 死亡】
- 780 :因果 ◇C9UOxHGVmM 代理:2007/07/06(金) 22:55:45 ID:C+YL32sz
- 旦那を担ぎ上げ、俺は病院へ向かう。
「…ハァ、ハァ」
何だかんだで、大の男一人担いで歩き続けるのは疲れる。
だから俺は途中で何度か休みながら旦那を担いでココまで歩いて来た。
そしてもう一度休みを取るため、近くの家の塀に隠れた。
「ふぅ」
旦那を下ろし、俺も一息吐く。
思えば、今まで色々な敵と戦ってきたよな。
神父、ジョンガリ・A、アヴドゥル…
どの戦いでも俺達は死んでいたかも知れなかった。
だが、仲間は居なくなり又二人に戻っちまったが、結局の所は生きている。
これって結構運の良いことなのかもな。
「…」
眠り続ける旦那の横顔を眺める。
旦那よぉ。俺にとってアンタは救いの神かな。それとも疫病神かな。
死線を共に生き抜いてきたアンタを、俺はどうすれば良いんだ。
旦那を護る?DIOに差し出す?
DIOには会いたい。会って、しかも旦那を差し出せば俺の株は一気にアップする。
だが…
「旦那を見殺しにするってのはなぁ」
つい呟き声が漏れてしまう。
自分が生き残るために旦那を利用するつもりだったんだが、
コイツを死なせちまって良いのか、どうしても疑問が頭から離れない。
なんか俺、自分でどうしたいのか解らなくなってきたぜ。
ま、取り敢えずは病院で傷の手当をするのが先決だな。
それからのことは後で考えりゃ良い。
「良し、行くか」
そして俺は旦那を担ぎ直す。
しかし、俺は重要なことを忘れていた。
- 781 :因果 ◇C9UOxHGVmM 代理:2007/07/06(金) 22:56:26 ID:C+YL32sz
-
暫く歩いていると、目当ての病院が見えてきた。
「フー」
思わず溜め息が漏れる。
もう少しだ。もう少しで目的の場所に辿り着く。
旦那、この貸しはきっちり返してもらうからな。
そして俺は旦那を担いだまま踏み出し、
Pipipipipipipipi……
「!!!」
いきなり首輪が鳴り始めた。
- 782 :因果 ◇C9UOxHGVmM 代理:2007/07/06(金) 22:57:36 ID:C+YL32sz
- え!?
これってどういうことだ!?
何が起きたんだよ!?
俺はただ病院へ向かおうとしただけなのに…。
ちょっと待て。
病院は何処にあった?
確か、D-6…。そこは………………
………禁止エリアだ!!!
「やべえ!!!」
思わず後ろに下がるが、発信音は止まらない。
ウソだろ!オイ!!!
度重なる連戦で、ちょっと忘れてただけなのに!
死んじまうのかよ!俺は!!!
俺は完全にパニックになってしまった。
とにかく助かりたい、それしか頭に浮かばかなった。
そのはずなのに………俺はそれに気付いた。
気付いてしまった。
- 783 :因果 ◇C9UOxHGVmM 代理:2007/07/06(金) 22:58:18 ID:C+YL32sz
- “鳴っているのは俺の首輪だけであることに”
担いで身を乗り出していた分俺が禁止区域に先に入り、旦那はギリギリ入らずに済んだらしい。
次の瞬間………
何で俺がそんなことしたのか、俺自身解らねぇ。
無意識に体が動いたとしかいえねぇ。
………俺は旦那を病院と逆側に突き飛ばした。
旦那。やっぱりアンタは疫病神だったぜ。
仕方ねぇから俺の分まで………
………………生きやがれ。
* * *
ドォ〜〜ン!!!
「!!!」
地面に叩き付けられる衝撃と爆発音に、私は目を覚ました。
「ぐっ!」
しかし、体を起こそうとすると体に激痛がほとばしる。
何だ!?
一体何が起きたのだ?
花京院君は?
ポルナレフ君は?
F・F君は?
辺りを見回すと、北東の方角から爆炎が立ち上っていた。
目を凝らしよく確認してみると、其処にはポルナレフ君が倒れていた。
しかも、其の首が…
- 784 :因果 ◇C9UOxHGVmM 代理:2007/07/06(金) 22:59:04 ID:C+YL32sz
- 「ポルナレフ君!!!」
私はポルナレフ君の下へ駆け寄ろうとし、
「待ちな」
其の肩を押さえられる。
「!」
振り返ると其処には、
「そっちは禁止エリアだ。死ぬ気か?」
帽子を被った長身の男が居た。
* * *
バイクに乗って町の調査に出て再び東へ向かおうとした所、とんでもねぇ場面に出くわしやがった。
爆発音が聴こえたのでそっちに行ってみれば、そこにあったのは煙を噴き上げるホル・ホースの死体。
そしてホル・ホースを『ポルナレフ』と呼び、駆け寄ろうと禁止エリアに向かう中年の男だった。
よく解らない状態だが、取り敢えず俺のやることは、死者を出さない事だけだ。
「そっちは禁止エリアだ。死ぬ気か?」
そして男を止める。
「離してくれ。ポルナレフ君が…!」
「奴はもう死んでいる。俺が出来るのはこれ以上の死者を出さないことだけだ」
そう言って、男の肩をより強く掴む。
「………っ」
暫く抵抗していた男はやがて力を抜き…
「ポルナレフ………君」
膝をついた。
- 785 :因果 ◇C9UOxHGVmM 代理:2007/07/06(金) 22:59:45 ID:C+YL32sz
- * * *
「取り乱して済まなかった。君は命の恩人だ」
「見てみぬふりが、後味のよくねぇものを残すと思っただけだ。気にするな」
暫くして落ち着きを取り戻した私は、先ず目の前の少年に礼を言った。
返す少年の返事は不躾だが、其の底には彼の優しさが垣間見える。
彼は危険人物では無い、然う結論した私は、少年に自分の名を名乗る事にした。
「私の名は、ジョージ・ジョースター。
少年。君の名前を窺っても宜しいかな?」
「…空条承太郎」
「!!!」
其の名を聴き、私は驚いた。
空条承太郎。
花京院君とポルナレフ君の仲間ではないか!
「君が空条承太郎君か。花京院君より話は窺っているよ」
「!アンタは花京院と一緒に居たのか?」
「あぁ、今ははぐれてしまった様だが、先程まで一緒に居た」
「…どうやら、お互い情報交換をする必要がありそうだな」
承太郎君の言葉に私は肯き、二人して御互いの情報交換を始めた。
………………
………
…
- 786 :因果 ◇C9UOxHGVmM 代理:2007/07/06(金) 23:00:57 ID:C+YL32sz
- * * *
目の前の男、ジョージから聴いた話は有益なものばかりだった。
ホル・ホースの正体を知り、尚ポルナレフと呼ぶ理由。
6人で荒木打倒のチームを立ち上げた経緯。
彼らにとって仲間と敵の名。等々。
色々と情報はあったが、中でも俺にとって重要なのは
『DIOがC-8に居る』『アヴドゥルに襲われた』
この2点だ。
「アヴドゥルも花京院も行方知れず、か…」
「うむ。私が気絶している間に何があったのか、済まないが私には解らない。ただ…」
「この場に居るのがホル・ホースだけだった事を考えても、花京院達があんたらを逃がしたと考えるべきだろうな」
「私も然う思う。
全く自分が不甲斐無い。せめて彼らがどうなったかだけでも解れば…」
「アヴドゥルなら北へ向かったぜ」
ジョージの言葉に突如割り込む聞きなれない声。
「!」
振り返ると、顔に傷を負った少年と盲目の青年が居た。
- 787 :因果 ◇C9UOxHGVmM 代理:2007/07/06(金) 23:01:51 ID:C+YL32sz
- * * *
「ナランチャ君!無事で良かった!!!」
目の見えなくなった俺の手を握る感触は、紛れも無くジョージさんのだった。
「ジョージさんもな」
俺もジョージさんの手を強く握る。
ちなみにジョンガリ・Aの縄は解いている。
コイツのスタンドが脅威でないことは解ったし、今の俺じゃこいつを担ぐことは出来ないからだ。
そうして再会を喜んでいる所に、
「誰だ、こいつら」
俺達がココに辿り着く前からジョージさんと一緒に居た奴が、俺達のことを聴いて来た。
「あぁ、然うだね。紹介しよう」
そして俺達はお互いの紹介をした。
「で、先程アヴドゥルが北東へ向かっていると言っていたが」
紹介を終え、承太郎がそう訊ねてきた。
「うん、実は…」
その後に続く言葉を俺は言いよどむ。
伝えるのが辛かった。
ジョージさんに、この優しい人に仲間の死を告げるのが。
「ナランチャ。俺から説明する」
それを察したらしいジョンガリ・Aが俺の代わりに事を説明してくれる。
戦いの跡が見つかり、ジョンガリのスタンドでアヴドゥルの気配を感じ取ったこと。
アヴドゥルは探知機を携え暫く俺達との睨み合いになったが、突然北東へ向かい始めたこと。
それ以外、(ジョンガリが知る限り)地上で感知できた人間はココだけだったこと。
アヴドゥルよりもジョージさん達との合流を優先し、ココまで来たこと。
つまり…
「…そうか」
ジョージさんの呟き声が聞こえる。
多分、ジョージさんは深くうなだれているのだろう。
仲間のほとんどを失ってしまったのだから。
- 788 :因果 ◇C9UOxHGVmM 代理:2007/07/06(金) 23:02:32 ID:C+YL32sz
- 「…」
承太郎も暫くは無言だった。
気持ちは解る。
俺だってこんな事認めたくねぇ。
せっかく信頼出来る仲間が見つかったのに、次々と居なくなってしまうんだから。
でも、
「と、とりあえずどうするか決めねぇか?このままじっとしてるわけにもいかねぇだろ?」
俺はわざと明るい声を出す。
仲間を失って悲しんでいる所に明るい声を出されてもうざいだけかも知れねぇ。
けど、意気消沈している暇はないから。
死んだ奴らのためにも、俺達は進んでいかなきゃならないと思うから。
「…そうだな。ナランチャ君、有難う」
そして、ジョージさんは俺に礼を言ってくれた。
承太郎も顔を上げる。
二人とも、俺に当り散らすような真似はしなかった。
………凄いな。
ジョージさんは勿論、承太郎という奴も。
俺みたいに取り乱すことないんだから。
「で、アヴドゥルが北東へ向かったのは確かなのか?」
承太郎がジョンガリに訊ねる。
「あぁ、間違いない」
「別人の可能性は?」
「さっきも言ったが、北に行った男は炎を探知機のようにしていた。
実は、俺達はもう一人、北東へ駆け出す人間を感知していた。
そいつも其れに気付いていたのだろう」
「其れが花京院君やF・F君である可能性は…」
「無い。見も知らぬ人間だ」
ジョージさんの質問をけんもほろろに否定するジョンガリ。
そしてそのまま続ける。
- 789 :因果 ◇C9UOxHGVmM 代理:2007/07/06(金) 23:03:16 ID:C+YL32sz
- 「そして奴は、俺達が攻撃を仕掛ける意思無しと判断するなり北東へ向かった。
アヴドゥル以外にそんなこと出来る奴がいるのなら、別人かも知れないがな」
「…そうか。誰を追ってるようだが、恐らくそいつはアヴドゥルで間違いないだろう」
そこまで言って、承太郎は黙り込んだ。
俺はジョージさんに訊ねる。
「で、どうしよう、ジョージさん」
「然うだな…」
* * *
ナランチャ君の問いに、私はどうするべきかを考える。
ナランチャ君の傷も在る事だし、此処は北西の病院へ…。
然う考えている所に、承太郎君が提案してきた。
「俺に案がある」
「何だね?承太郎君」
私の質問に承太郎君は案を口にする。
「ジョージとナランチャは駅に向かい、俺の仲間に合流してくれ。
傷を治す方法があるかもし知れん」
「君は?」
「ジョンガリ・Aとアヴドゥルの下へ向かう」
「!!!」
どう云う事だ!?
先程、ジョンガリ・A君の事について説明したじゃないか。
彼は厳密に我々の仲間では無いのだ。
「何故ジョンガリ・A君を連れて行くんだね?」
だから私は、其の疑問を口にした。
そして其れに、承太郎君は私の目を見据えながら返答した。
「理由はある。コイツのスタンドでアヴドゥルの居場所を素早く探し出せるからだ」
「…」
- 790 :因果 ◇C9UOxHGVmM 代理:2007/07/06(金) 23:04:09 ID:C+YL32sz
- 確かに、承太郎君の言う事には一理ある。
併し、私は釈然としなかった。
何かがおかしい。
承太郎君は本当にアヴドゥル君に会おうとしているのだろうか。
いや、恐らくそれは本当だろう。
が、何かそれ以外にもありそうな…。
「解った。ついて行こう」
然う言ったのはジョンガリ・A君。
其の言葉に、私の思考は遮られる。
「ナランチャ。後は任せたぞ」
然う言って、ジョンガリ・A君は承太郎のバイク後部座席に乗り込んだ。
「…じゃあな」
そして承太郎君も乗り、バイクは走り去った。
私は彼らの去って行く方角を眺めていた。
何か、胸騒ぎがする。
「ジョージさん。行こう」
暫く呆けていた私の袖をナランチャ君が引っ張り、私は我に返った。
「あ、ああ。然うだね」
然うだ。何より先に、私はこの少年の治療をしてやらねば。
そして私達は西へと歩き出した。
* * *
「で、アヴドゥルは何処にいる!」
バイクを飛ばしながら俺達はD-7を北東へ進む。
「3本先の道を右に折れた所だ!
…!奴もこっちに気付いたらしい。歩くのを止めてこっちを窺っているぞ!」
承太郎にアヴドゥルの居場所を教える。
マンハッタン・トランスファーが確認する限り、アヴドゥルは壁に背を貼り付けたまま、こちらの様子を窺っているようだった。
本当なら、承太郎とアヴドゥルを会わせないようデタラメを言っても良かった。
- 791 :因果 ◇C9UOxHGVmM 代理:2007/07/06(金) 23:05:09 ID:C+YL32sz
- しかし今、俺は承太郎にアヴドゥルの正確な居場所を教える。
何故、わざわざ承太郎とアヴドゥルを合流させるか。
“同士討ちをさせるため”
それが俺の狙いだった。
すでに俺は縄から解き放たれ、スタンドも自由に操れる。
だから承太郎とアヴドゥルを闘わせるよう仕向け、戦っている間に身を潜めるか逃げ出す。
だから俺は、不要な情報は承太郎に話さなかった。
アヴドゥルの先、地図でいうボヨヨン岬に一人の男が走っていってること。
アヴドゥルは恐らくそいつを追いかけていること。
それら全てを…。
しかし、ことはそう上手く行かなかった。
「解った。ヨーヨーマッ!」
「承知してます。旦那様」
承太郎の呼び掛けに応じ、学ランの中から一匹の生き物が姿を出す。
そしてその姿を見て、俺は驚いた。
- 792 :因果 ◇C9UOxHGVmM 代理:2007/07/06(金) 23:05:50 ID:C+YL32sz
- コイツは、DアンGのスタンド、ヨーヨーマッ!
ヨーヨーマッは蛙のように舌を伸ばしてマンハッタン・トランスファーを捕らえ…
パクリ
…食べてしまった。
「なっ!!!」
驚愕する俺に、承太郎は淡々と喋る。
「テメーがDIOの配下なのはジョージより聴いて知っている。
アヴドゥルと合流した後、DIOとの決着を着けるのにお前のスタンドで邪魔されちゃ敵わんからな」
!!!
その瞬間、ヨーヨーマッのことも、マンハッタン・トランスファーを食べられたことも頭の中から消し飛んだ。
今、この男何と言った!?
『DIOとの決着を着ける』
つまりコイツは、DIO様の居場所を知っている!
アヴドゥルとの決着をつけた後DIO様の下へ向かうというのか!
フ、と自然に俺の口がゆがむ。
…作戦変更。
マンハッタン・トランスファーの無い俺は、DIO様の居場所を探れない。
ならば、予定通り承太郎とアヴドゥルを戦わせ、“承太郎を勝たせる”。
そしてDIO様の下へ向かうのだ。
DIO様、お待たせしました。
もうすぐ貴方の下へ向かいます。
- 793 :因果 ◇C9UOxHGVmM 代理:2007/07/06(金) 23:06:31 ID:C+YL32sz
- * * *
俺はポルナレフ達と別れてから、ずっとヨーヨーマッを服の下に隠していた。
コイツが表に飛び出すと何が起こるか解らねぇからだ。
だが、ウザイとばかり思っていたこいつも、要は使い方次第だと解ってきた。
兎に角、俺のする事は2つ。
1つ目はアヴドゥルに会う。
アヴドゥルが何故花京院を殺したのか真意をたださねば。
そして、何者かに操られたり目を曇らしているようなら、俺が喝を入れてやる。
ツェペリがダイアーの目を覚ましたように。
そしてもう1つ。
荒木打倒と同じくらい重要な俺の目的、DIOとの決着。
ようやくお前の居場所がわれたぜ。
アブドゥルの件でケリをつけた後、日が沈む前にテメーを倒す!
必ずだ!!!!!!
- 794 :因果 ◇C9UOxHGVmM 代理:2007/07/06(金) 23:07:14 ID:C+YL32sz
- 【波紋の達人と幽波紋の達人 B班】
【D-7を北上中/1日目/午後〜夕方】
【空条承太郎】
[スタンド]:『スタープラチナ』
[時間軸]:ロードローラーが出て来る直前
[状態]:ほぼ無傷(左腕は動かす事に支障は無い)
[装備]:無し
[道具]:支給品一式。拡声器
[思考・状況]:
1)打倒DIO。
2)DIOの前にアヴドゥルに会う。どう対応するかは会ってから決める。
3)打倒荒木。
【ヨーヨーマッ(支給品)】
[現在の主人]:空条承太郎
[装備]:マスク
[持ち物]:無し
[任務]:
1)承太郎を“助ける”
[補足]
1)ヨーヨーマッは攻撃出来ない。能力も完全に封じられている(主人がヨーヨーマッ自体を利用して攻撃というのは可能かも知れない)。
2)主人の命令には絶対服従、しかし命令を曲解して受け取る事もあるかも知れない(ヨーヨーマッを殺すような命令には従えない)。
3)ヨーヨーマッは常に主人の半径20m以内に居なければならない。
4)ヨーヨーマッの主人が死んだ時、又はヨーヨーマッが規則を破ったならヨーヨーマッは消滅。
5)主人変更の命令があれば主人は変わる。但し変更対称人物の同意が必要。
6)主人変更の命令をされた時、次の主人がヨーヨーマッの視界に入っていなければ命令は無効化される。
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